鹿島槍ヶ岳から五竜岳へ 小屋泊デビューはキレット小屋で
- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.2km
- 登り
- 2,794m
- 下り
- 2,636m
コースタイム
- 山行
- 8:30
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 9:25
天候 | 7/25 晴れのち曇り 7/26 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
アルプス平駅〜とおみ駅 テレキャビン 950円/人、200円/10kg以上の荷物 エスカルプラザ〜扇沢駅 アルピコ交通バス(7/11〜8/31運行) 1,600円/人 |
コース状況/ 危険箇所等 |
G5前後がこのルートの核心部だと思います 慎重に進みましょう |
写真
感想
前回の南アルプステント泊に引き続き、今回は北アルプスで小屋泊。
扇沢〜爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳〜五竜岳を1泊2日で歩きます。
いわゆる三大キレットの一つである「八峰キレット」を含むルートですが、果たして私でも歩ききれるのか…出発前に色々な方のレコを読んでイメージトレーニングをして挑みました。
1日目は扇沢の無料駐車場に駐車して、爺ヶ岳登山口から種池山荘まで登ります。
この柏原新道は結構な登りですが、道が整備されていて一定の歩幅で歩けるので意外と登りやすい!
この道の大敵は急登より暑さと虫の多さです。
特に虫はかなり標高の高い所までまとわり付いて来て、払いながら歩いていたのに気が付いたらおでこを刺されていました…
虫にうんざりしながらもぐんぐんと標高を上げて、ケルンを通り過ぎるあたりで次の目的地である種池山荘が見えてきます。(見えてからが長いのですが。)
途中、雪渓を横切る箇所がありますが、小屋の方がステップを切っていてくれたので安全に渡ることができました。
だんだんと近づいて来る稜線に気分も盛り上がります。
特に針ノ木岳〜種池山荘の稜線は「歩いていて気持ち良いだろうな〜」と思わせる道で、kenboさんも「今度はあっちを歩いてみたい。」と言っていたので、今年行きたい山に針ノ木岳が見事追加されました♪
そんなこんなで種池山荘に到着。
ここでトイレを借りて、いよいよ長い縦走路に出発です。
種池山荘〜爺ヶ岳は、1時間ほどの登り。
針ノ木岳や立山〜剱岳、鹿島槍ヶ岳などの山々を見ながら歩くことが出来るので、何度も立ち止まって景色を眺めてしまいます。
爺ヶ岳南峰は人がいっぱいでしたが、中峰はあまり登っている人がいませんでした。
(北峰は残念ながら登ることが出来ないようです。)
爺ヶ岳〜冷池山荘、基本は山頂をトラバースしていく道ですが、結構アップダウンがあります。
特に冷池山荘手前は、一気に下ってまた登り返します。
ここも見えてからが遠い山荘でした。
冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳、私的に今回のルートの中で一番辛い登りでした。(五竜岳の直登よりも)
山頂が見えているのに中々辿りつけない…
暑さはないので楽なはずなのですが、やたら息が切れてしまってペースがあがりません。
途中で下ってくる人に「山頂が見えているのに遠いよね。頑張って。」と励まされたり、休憩中の方に「登っても登っても頂上につかないね〜」と話しかけられたりしながらなんとか登って行きます。
それでも途中で休むことなく、鹿島槍ヶ岳南峰へ到着。
思わず「やっと着いた〜!」と声を上げてしまいましたが、あたりはガスガスで真っ白。
景色を楽しむこともなく、写真を撮って先へ進みます。
鹿島槍ヶ岳〜キレット小屋、鹿島槍ヶ岳南峰から北峰までは結構急な岩場があり、今までとは道の様子がガラリと変わります。
慎重に下って登って、北峰と八峰キレットの分岐へ到着。
「ここまで来たら北峰も行っておきたい。」とkenboさんが言うので、せっかくなので北峰も登っておきます。(片道10分くらい)
こちらもガスガスで真っ白でしたが、南峰とは違い誰もいませんでした。
鹿島槍ヶ岳へ登っても、こちらまで足を延ばす人は少ないみたいです。
分岐へ戻っていよいよ八峰キレットへ。
ヘルメットを被って気を引き締めます。
ここからキレット小屋までは距離は短いですが、急な岩場やザレたトラバース、梯子や鎖などが続く道。
ゆっくりめのペースで足元に気を付けながら慎重に進みました。
ガスっていたので高度感はあまりありませんでしたが、小屋の直前まで梯子があったりする道なので気を抜けませんでした。
15:30キレット小屋に到着。ようやく1日目のゴール地点です。
私は久しぶりの小屋泊、kenboさんは初小屋泊でワクワクしていました。
キレット小屋は小さな小屋ですがとてもキレイで、予約していたのが良かったのか、6人スペースを4人で使うことが出来てとっても快適。(後から着いた団体さんは食堂で寝ていました。)
私は疲れていたのでぐっすり眠ることができましたが、意外と繊細なkenboさんは中々寝付けなかったようで「テント泊の方がいい!」とげっそりしていました(笑)
翌日。ある意味、昨日のキレットより今日の五竜岳までの道のりの方が危険かもしれないということで、朝から気を引き締めて挑みます。
道はザレている箇所が多く、もちろん岩場の登りや下りもありますが、だいたい危険な所には鎖が設置されています。
ただ一か所だけ、G7を過ぎたあたりで富山側にトラバースするザレた道で、岩が脆くて鎖が設置できないのか危険な箇所がありました。
この辺りで朝一で五竜山荘を出発した人達とすれ違うことも増えてきます。
道が細く狭いので、道を譲ったり譲られたりするのも緊張しました。
そして見るからに岩岩としたG5に到着。今回のルートの核心部です。
昨日、夕ご飯の時にパトロールの方が「G5のあたりにあるピンクのザイルは、長野側ではなく富山側を通ってください。」と仰っていたので、その通りに進みました。
G5を過ぎるとしばらく落ち着いた道になり、その後は五竜岳までのザレた直登に取り付きます。
ここは見た目より登りは難しくありませんでしたが、下るのは滑って怖いだろうなと思いました。
そして、ついに五竜岳へ到着。
まだ朝早いこともあって、白馬〜唐松方面がくっきりと見え最高の展望でした。
山頂でしばらく写真を撮ったり景色を眺めて、五竜山荘に向けて下り始めます。
40分ほどで山荘に到着。
kenboさんは唐松まで行って八方尾根を下りたいようでしたが、エスカルプラザから扇沢までの期間限定直通バスに乗れそうだったので、そのまま遠見尾根から下山することにしました。
「遠見尾根の下りは意外と歩き辛いよ。」というkenboさんの言葉通り、鎖場あり、アップダウンあり、そしてひたすら長い…という遠見尾根。
さらに無風で天気が良すぎて暑い!暑い!
汗がダラダラと流れてきて、あっという間に体力が消耗してしまいました。
こんな暑い中登ってくる人達はもっと大変だな…と思いながら、休憩ポイントも暑いので休まず、ひたすらアルプス平を目指します。
汗だくになりながら3時間ひたすら黙々と歩き続け、ようやくテレキャビン乗り場に到着。
サービスの冷たいおしぼりをもらってやっと一息つき、麓のエスカルプラザまでゴンドラに揺られたのでした。
扇沢への直通バスは、私たちともう一人ソロのお兄さんの3人だけだったので、席をゆったりと使うことができたのが良かったです。
(他に人がいなかったので、座席を倒して扇沢までお昼寝することができました。気持ち良かった♪)
その後は扇沢で車を回収して、大町温泉薬師の湯で汗を流しました。
今回は三大キレットの一つ「八峰キレット」に挑戦しましたが、やっぱり岩場になれていないと時間が掛かってしまう所もあって、もっと岩場を経験しないといけないなと思いました。
怖さはあまりありませんでしたが、何もない所でバランスを崩しそうな場面もあったので集中力を途切れさせないことも大切だと痛感しました。
…三大キレット、残りの2つは行けるかな?
昨年の6月に両神山で一緒に下山した方に「八峰キレットは私でも行けたから、体力がありそうなお兄さんなら行けるわよ」と言われたことがずっと頭にあって、八峰キレットは挑戦してみたい場所でした。
また、山デビュー以来、順番をすっ飛ばしてテント泊をしてしまった感があったので、小屋泊は躊躇してしまいました。そこで、よほどの悪天候にでもならない限り、初めての小屋泊はキレット小屋にしようと決めていました。
昨年8月に八ヶ岳キレットを経験し、気を良くした私は無謀にもその翌週に八峰キレットに挑戦しようと計画しましたが、色々あって延期となり、その間に北穂高岳を経験してみて、八峰に限らず三大キレットは時期尚早であることを痛感したのでした。
一緒に登っていただいているkazuruさんも私も未だ岩稜帯の経験が乏しいとはいえ、前々回に西穂高岳をクリアできたので、お互いに何とかなりそうだと判断。この度の挑戦となりました。
7/25
5:30に柏原新道登山口近くの無料の第2駐車場に到着すると、ほぼ満車。何とか停めることができ、5:40で満車になりました。登山口で遭対協の方に登山届けを提出して出発です。
柏原新道は、きちんと整備されていて、とても歩きやすかったです。途中には札が掛けられていて、これが歩く一定の目安や休憩ポイントに適しているように感じるのも良かったと思います。ただ、ほほ無風のために汗がダラダラと流れ、体力を消耗します。また、虫がとても多く、手で振り払いながら進みましたが、右耳を刺されてしまいました。
鐘がぶらさがっていて北アルプスっぽい雰囲気である種池山荘に着くと、これから歩く爺ヶ岳や針ノ木岳方面が綺麗に見えて、気持ち良かったです。劔岳は雲の中で残念でした。冷たい風が強く吹いてきて涼しくなり、助かりました。
少しザレ気味の道を歩いて爺ヶ岳南峰に到着。種池山荘よりも眺望良く、これから進む鹿島槍ヶ岳方面か綺麗に見えます。同時に、一度かなり下ってからまた登り返すことがわかり、大変そうだな…あそこからさらにキレット小屋まで歩けるのな…?
南峰と比べて人気のない中峰を踏み、歩きやすい道を冷乗越まで下り、登り返しが開始します。この辺りで風が止んでしまい、暑いなぁと思いながら少しだけ樹林帯のような道を歩いて冷池山荘に到着。この山荘の名前の由来であろう、水溜まりのような冷池が何だか面白かったです。ここで昼食にしました。
冷池山荘を出発し、数分歩いてテント場に到着。絶景だけれど、平らな場所はあまりなく、テント泊するにはどうかな?といった雰囲気でした。テント場付近のお花畑を楽しむと、徐々に傾斜がきつくなってきます。やはり汗が滴り落ちますが、再び冷たい風が強く吹き始め、これはいいやと思っていると、鹿島槍ヶ岳北峰が雲に覆われ始めました。周りを見渡すと、鹿島槍ヶ岳と剱岳のみが雲に覆われてしまっていました。
布引岳に到着する頃にはすっかり汗が引き、感覚的にはもうあと半分くらいの感じ。その先のキレット小屋まであるので、ペース配分に気をつけていましたが、kazuruさんが苦しそう。途中ですれ違う方に「山頂に着きそうでなかなか着かないのよね。精神的に参っちゃう。頑張って」と励まされていました。確かに、種池山荘も冷池山荘も、見えてからが長かったな。みんな考えることは同じだな。ゆっくり登って鹿島槍ヶ岳南峰に到着。
山頂に到着手前で北峰だけではなく南峰にもガスがかかってしまい、真っ白な山頂。当然のことながら、これから進むキレット方面も見えません。どうせ何も見えないなら、急な天気の変化等に備え、とっとと先に進むことにしました。
吊尾根まで下り「往復にあまり時間がかからないようですし、せっかくなら北峰を踏んでおきましょうか」とkazuruさんに提案すると、OKの返事。片道10分程度で北峰に到着しました。大人気の南峰と異なり、ひっそりとした北峰。ここもガスで真っ白だったので、すぐに吊尾根に戻ります。10分程度で吊尾根に戻り、ヘルメットを装着。初の三大キレット越えに気合いを入れます。
ところが、キレット小屋までは特に問題なく歩くことができました。まず安心したのは、土の上を歩くことができること。また、危なさそうな場所では、鎖や梯子が整備されていたからです。こんな感じで、結構呆気なくキレット小屋に到着。
事前にキレット小屋に予約を済ませておきました。その際は「30名程度で空いています」とのことでしたが、飛び込みの方がいるらしく、夕食は3回目の18:20となってしまいました。また、ネット情報だと、朝食を弁当にすると鰻丼になるとのことでしたが、近年の鰻価格の高騰のせいか、パンとなっていたため少しガッカリ。朝食はキャンセルしました。気になる布団は1人1枚で、私たちが割り当てられた区画(5番) は6人用。ここを群馬県から来られたという2人の方と4人で使うこととなり、食堂や乾燥室で寝ることとなった方がいる中で、ゆったりできてラッキーでした。
初の小屋泊を楽しもうと思っていましたが、場所が場所だけに周りを散策するわけにもいかず、ガスで真っ白だったので、小屋内で大人しくしていました。夕食時には、遭対協の方から「G5を過ぎたあたりにピンクのザイルがある。ここは長野側ではなく富山側を歩くこと」と注意を受け、少し緊張感が高まるものの、大食いの私は当然モリモリ食べて、就寝です。
いつもは枕が違うと寝付けないのですが、徹夜で臨んでいたので流石に寝られるだろうと思っていました。しかし、テント泊ほど疲れていないせいか、なかなか寝付けませんでした。一組が消灯まで宴会をしていて、消灯後も大きな声で会話をしていたこともあり、尚更でした。
このため、当然夜中にも目を覚ましてしまいました。窓から外の様子を窺ってみると、綺麗な星空が見えたので、外に出てしばし観賞。初めて天の川を見ることができました。
3時になると、殆どの方が起き出して出発の準備を始めました。私たちは薄暗い中を歩きたくなかったので4時起床としていましたが、ビニールのガサガサ音とかが凄く、結局3時起床のようなもの。テント泊では、撤収の際に気を使って静かに行うのが暗黙の了解だと思っていたので、小屋泊との違いはある意味で勉強になりました。やはり、プライベートが確保できるテント泊の方が私にはあっているようです。
7/26
さて、今日が本番みたいなものなので、嫌でも気合いが入ります。
昨日までの土の上を歩くのとは違い、ザレた道を歩くこととなるので、慎重に進みます。小屋を出発してからすぐの鎖場は、横に進みながらS字を描くように下らねばならず、足の置き場を探しながらで少し面倒でした。それでも特に問題なくG7に到着。この辺りから難易度が上がるような感じで、道が細い上に岩が脆くて鎖が設置できない場所があり、ここは特に慎重に進みました。
五竜岳方面からのすれ違いも徐々に始まり、狭い道での譲り合いは気を遣いました。そして、本日の核心部であるG5に到着。昨日に遭対協の方から注意されていた通り、ピンクのザイルの箇所は慎重に進みました。
あとは、五竜岳真下までは歩きやすい道となり、最後のザレた登りに挑みます。登りは楽でしたが下りは大変なようで、すれ違う方は若干うんざり気味のようでした。このルートは、五竜岳から進むとかなり厄介だと思います。
ガシガシ登って五竜岳へ到着。朝一の混雑が解消された後でもあり、360度のパノラマを楽しむことができました。特に、剱岳はこれまでに見えた中で一番くっきりと見え、いつか挑戦したい気持ちになりました。
これまで歩いてきた方面を眺めながらご満悦のkazuruさんに下山を促し、五竜山荘に向かいます。昨年、岩稜帯の経験がないままに挑んだ五竜岳では、登りも下りも怖かったのですが、今回は特に怖さを感じることがなく、少し成長した自分を実感することができました。
五竜山荘に到着して、下山ルートを検討します。遠見尾根は歩きにくい上にアップダウンがあるので遠慮したく、唐松岳までのアップダウンと予想コースタイムが1時間程度延びてでも八方尾根から下山したかったのですが、扇沢駅までの直通バスの時間を考えると、八方バスターミナルに到着するのはかなりギリギリ。エスカルプラザなら余裕で間に合いそうなので、遠見尾根を選択しました。
五竜山荘を後にすると、それまで吹いていた冷たい風がピタッと止んでしまい、先が思いやられます。天気はとても良く、予想通り暑くてたまらず、汗が滴り落ちます。すれ違う方は一様にグッタリしていました。
これだけ暑いので、途中の休憩ポイントでは多くの方が小休止や食事休憩をされていましたが、太陽に照らされながら休憩する気になれず、休憩なしで一気に下り、アルプス平に到着。
テレキャビンで下り、エスカルプラザに到着した時には、直通バスの発車時間まで1時間程度あったので、食事をしたりして時間を潰します。途中で、バスの発車時間まで待てなかった4人の方がタクシーで扇沢まで向かいましたが、私たちはソロの男性と3人で1台のバスを貸切状態という贅沢に恵まれながら、扇沢駅に到着。第2駐車場まで車を回収しに歩いたのでした。
今回は、キレット小屋泊でしたのでテントを背負う必要はなく、若干軽めの装備で歩くことができ、ちょうど良い練習になりました(それでも水を多めに積んだりして、とても小屋泊とは思えないほど重さを調整しましたが)。残りの2つに挑戦するのであれば、テントを背負うつもりでいるので、今回とは全く違い、苦しい歩きとなるのでしょうか。少し不安ではありますが、検討したいと思います。
キレット小屋で5上でご一緒になった二人組です。
先に起きて、ガサガサしちゃってごめんなさい<m(__)m>
あのあと、唐松にいったのかなぁ?遠見尾根かなって相棒と話していました。
天気もまずまずでよかったですよね!!
いつか妙義山の岩場もチャレンジしてみてくださいね(*^▽^*)
コメントをいただき、ありがとうございます。
ロマンチストではないくせに、夜中にお二人を跨いで星空を眺めに行ったりと、こちらこそご迷惑をおかけしました。
扇沢駅までの直通バスの誘惑に勝てず、遠見尾根からの下山にしました。
こんなことなら、pi-tiさんらと下山すれば、あのクソ暑い道中が楽になったかもしれません。
帰りに松井田妙義ICのあたりを走行していた時に、ちょうど妙義山の話をしていました。
機会があれば、登ってみようと思います。
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