【北ア 黒部源流域周回 念願の高天原温泉へ】 飛越新道〜薬師峠〜雲ノ平〜高天原温泉〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜黒部五郎岳〜北ノ俣岳〜飛越新道

- GPS
- 42:12
- 距離
- 56.9km
- 登り
- 4,507m
- 下り
- 4,479m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 9:11
- 山行
- 8:34
- 休憩
- 2:35
- 合計
- 11:09
- 山行
- 8:13
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 9:29
- 山行
- 10:12
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 11:10
| 天候 | 1日目 曇り 2日目 晴れ時々曇り のち曇り 3日目 晴れ時々曇り のち曇り 4日目 終日快晴 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・ 飛越トンネルの岐阜県側駐車場にクルマを駐車。30台程度は駐車可能な広い駐車場です。簡易トイレ一台が設置してありますが,水場はありません。登山口に登山ポストあり。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
・ 愛媛から来られたAさん達3人パーティの皆さん用に写真は多めに載せました。写真をご覧になる際には「スライドショーで見る」ボタンを押していただくか,写真ごとに「元サイズ」をクリックして頂くと,実際のサイズで表示されますので,感じがつかめると思います。 ◆ 1日目 飛越トンネル〜北ノ俣避難小屋〜神岡新道分岐〜太郎平〜薬師峠(幕営) ・ 飛越トンネル駐車場には,06:40頃に到着。広い駐車場ですが,平日とあってか,駐車していたのは私のクルマを含めて,たったの5台でした。撮影用の一脚やトレールチェア,サンダルなどをザックにくくりつけ,登山地図で本日のルートを確認して,標高1,460mの登山口を07:04に出発。 ・ 最初は標高差100mほどの急な登りが尾根まで続きます。真夏の日差しが照りつけ,風も無いのですぐに汗が吹き出てきます。尾根に上がってからは少し下りとなり,また登り返すと,登り始めて30分ほどで中部電力の送電線鉄塔のところに到着。ここを過ぎると,標高1,643mピークまで50mほどの登り返しとなり,このピークの先でまたもや下りです。この先もしばらくは標高1,700m前後のアップダウンが続き,登山道はなかなか標高を上げてくれません。なお,途中,何カ所か泥濘の中を歩きますが,このところ雨が少ないのか,それほどひどい状況では無く,靴を汚さずに通過できました。しかし,スパッツは必携だと思います。 ・ しばらく登りが続くようになると,ようやく標高1,842mの飛越新道・神岡新道分岐点に到着。登山口からここまでは,コースタイムどおり,2時間かかりました。神岡新道ルートならば,40分は短縮できそうなのに,林道が通行できないようで,この飛越新道ルートを利用せざるを得ませんでした。さて,大汗をかかされたので,ここの日陰のところで水分補給の休憩です。すると,黒部源流域を4泊5日で周回してきたという登山者が到着。初日と昨晩は北ノ俣避難小屋に宿泊したとのこと。同じルートをこれから歩く私にとっては,直近の状況を知ることができて,とてもラッキーでした。 ・ 分岐で20分弱の休憩のあと,まずは最初のピークである寺地山へと向かいます。湿原のような開けたところや,シラビソの樹林帯の泥濘の中を歩いたりしながら緩い登りの中を1時間ほど歩いて行くと,標高1,996mの寺地山の山頂に到着。山頂東側からは,薬師岳や北俣岳の大展望が広がっているはずが,残念ながらガスで展望は無し。水分補給のため5分ほど休憩のあと,北ノ俣避難小屋へと出発。 ・ 最初は尾根を標高差で60mほど下り,そこから北ノ俣岳へと続く神岡新道の登りを100mほど登り返すと,避難小屋分岐に到着。ここを右に3分ほど木道を下れば,北ノ俣避難小屋に到着。収容6〜8名程度の小さな小屋ですが,内部はきれいに清掃されていて快適そう。小屋前には,ホースで引水された水場があって,水が出たり止まったり。水は冷たくておいしかったです。ここで水を2Lほど補給し,20分休憩。 ・ 休憩後は分岐へと戻り,ここからは北ノ俣岳へと続く稜線まで,標高差600mの登りが始まります。歩き始めは木道が整備された快適な道です。途中には地塘が点在する湿原が広がり,キンコウカやタテヤマリンドウなどの高山植物も咲いていて,ずいぶん標高を稼いできたことを感じます。でも,その先は木道が終了し,雨水で深くえぐられた,歩きづらい登山道となります。登るにつれて傾斜も増し,5歩進んでは息を整える牛歩の歩み。結局,コースタイム2時間のところを30分ほどオーバーして,14:00に稜線分岐に到着しました。 ・ 稜線分岐からは,右手に北ノ俣岳の山頂を,ガスの切れ間から望むことができました。でも展望はその程度。目指す太郎平への稜線もガスに隠されて,よく見えません。それでも,歩きづらいゴーロ帯の下りを降りていくと,時々ガスが晴れ,太郎平小屋が見えてきました。太郎山の山頂はルートから少し外れていますが,せっかくなので山頂へと向かいます。山頂で,まずはau携帯でメール送信を試しますが,送信できず。ドコモのLTE対応Nifmoスマホでも送信できず。この付近は,携帯での通信は,エリアが限られていてなかなか難しいですね。 ・ その先,さらに下り,太郎平小屋には,15:48に到着しました。売店のお兄さんに携帯電波が使えるか聞いてみると,ドコモならば,小屋周辺で利用可能とのこと。試してみると,確かにドコモは通信できました。小屋周辺に通信機器を整備しているのでしょうか?とにかく,これで家人に状況報告ができ,一安心。このあとは,薬師峠のテン場へと向かいました。 ・ 薬師峠のテン場には,16:15に到着。平日のためか,サイトは比較的空いていて,平坦な良い場所を確保。テン場代は一人700円。水量豊富な水場ときれいなトイレが整備されていて,快適なテン場です。これで3回目の利用。その晩は,遅くまで騒いだりする迷惑者もおらず,静かな眠りにつくことができました。 ◆ 2日目 薬師峠〜太郎平〜薬師沢小屋〜雲ノ平〜高天原山荘(宿泊) ・ 午前3時半に,腕時計のアラームで起床。学生と思われるパーティでは,すでにテント撤収の作業に入るなど,皆,早朝から活動開始です。私も,お茶漬けの朝食をすませ,ドリップコーヒーで一息入れてから,テント撤収。05:05にテン場を出発しました。 ・ 本日は良い天気。黒部五郎岳なども間近に見えていて,すがすがしい朝でした。良く整備された道を太郎平へと登り返し,その先の分岐を左に下って,薬師沢小屋へと向かいます。この下り道は,ずっと木道が整備されていて,歩いていて本当に気持ちよいところですね。朝日を浴びながら,美しい笹原の草原の中を,快適に下ります。途中からは,沢沿いとなり,そこかしこから水が流れ落ちる中,ベンチなどもあって休憩適地もたくさんあります。 ・ 太郎平から1時間ほど下り,2回ほど中俣の橋を渡った先のベンチのところで,休憩していた3人パーティに会い,話を交わしました。この方達,実は前日,薬師峠で隣にテントを張っておられた,愛媛県の宇和島から来られたAさんたちです。お互いのルートを確認すると,彼らは本日,雲ノ平にテン泊し,明日は水晶岳に登って,鷲羽岳〜三俣蓮華へと歩くとのこと。私のほうは,雲ノ平から高天原温泉に下り,明日は鷲羽岳から同じ方向に歩くことを話し,お互いの登山の無事と健闘を祈りました。 ・ 薬師沢出合の橋を渡り,カベッケヶ原まで下ってくると,前方に黒く盛り上がった台地が見えてきます。黒部源流域に残された秘境の台地,雲ノ平です。標高1,912mの薬師沢小屋から標高2,550mの雲ノ平山荘まで標高差約640mを登る本日のコースの中で最もきつい登りが待ち構えているのですが,残念ながら薬師沢小屋まで,道は一旦急降下です。薬師沢小屋には7:36に到着。太郎平から約2時間ほどでした。 ・ 薬師沢小屋のデッキのところで,15分の大休止。ここで水分と行動食をたっぷり補給し,雲ノ平への登りに備えます。テン泊装備の単独行の若い女性が吊り橋を渡り,雲ノ平へと向かうのに続き,私が歩き始めると,宇和島の3人組もスタートです。ここからは,薄暗い森の中,岩の堆積する急登が続きます。単独行の女性とほぼ同じペースで,あせらずじっくりと登ります。水分補給の休憩ごとに,抜いたり抜かされたりしましたが,良いペースでした。2時間10分ほどでアラスカ庭園に到着。これで急登は終わりです。 ・ アラスカ庭園で水分補給のため10分ほど休憩を取り,併せて証拠写真のセルフ撮り。水晶岳や祖父岳を背景に,ハイマツが広がる庭園のような美しい風景をカメラに収めました。その先は,整備された木道の上をのんびりと歩き,11:00雲ノ平山荘に到着しました。 ・ 5年前に改築されたという雲ノ平山荘は,とてもきれいで快適そうな小屋でした。ここの食堂でラーメン(1,100円)を注文し,ビールのロング缶(850円)を購入。食堂には手作りのスピーカーが置かれ,ジャズが流れる中,のんびり50分ほどの昼食休憩です。お昼時とあって,食堂は結構な賑わいです。登山者が次々に入ってきて,おでんやラーメン,焼きそばなどを注文していました。 ・ 食事を終え,登山靴を履きながらテン場方向を眺めると,さきほど雲ノ平までの登りを相前後して登った単独行の女性が歩いているのが見えました。今夜は雲ノ平でテン泊なのでしょう。心の中でエールを送り,私も本日の目的地,高天原山荘へと向かいます。 ・ 雲ノ平山荘から高天原山荘へは,北側の丘のようなところを登り返し,そこから下って標高2,576mのところにある「コロナ観測所」まで,また登り返しとなります。その先は,歩きづらいゴーロ帯の中を進み,「奥スイス庭園」の標識を過ぎると標高2,250mの高天原峠まで,急な下りが始まります。途中,木道が敷設された湿原のようなところも通りますが,そこを過ぎると下りの斜度が一気に増し,しっかりしたステンレス製の3連梯子が出現。後ろ向きになってこのハシゴを下り,13:33にようやく高天原峠に到着。ここはかなりの傾斜なので,登りでは使いたくないですね。 ・ 高天原峠で水分補給の休憩をしていると,雲ノ平から水晶岳に登り,温泉沢を下って高天原温泉に入ってきたという単独行の登山者に会いました。昨晩は雲ノ平にテン泊し,今日は日帰り装備で周回し,雲ノ平に登り返して連続テン泊とのこと。随分とパワフルで元気な方でした。 ・ 高天原峠から先も,急な下りが続きますが,岩苔小谷に架かる橋まででこの下りも終了。ここから少し登り返すと,14:23岩苔乗越方面との分岐に到着。明日はここから岩苔乗越へと登る予定です。その先は湿原の中の木道歩きとなり,ゆるく左へと回り込んでいくと,14:30,本日の宿である高天原山荘に到着しました。 ・ 事前に太郎平山荘へ電話で宿泊予約を入れておいたので,宿泊手続きはスムーズでした。私の寝床は2階の大部屋の壁際(10)が割り当てられ,早速荷物を置いて,ビールを片手に温泉へと向かいます。 ・ 温泉までは,歩いて15分ほどでした。二日歩いてようやく辿り着いたここは,まさに「日本最奥の温泉」です。浴槽は3つあり,女性用の「からまつ美人の湯」のみ,周囲が板張りで囲われています。私は,一番広い混浴露天風呂「からまつの湯」に浸かりました。先客は一人のみ。湯に浸かり汗を流すと,生き返るよう。本当に気持ちが良かったです。さらに,缶ビールをプシュッ。あ〜っ,最高ですっ! ・ 40分ほど湯に浸かり,スッキリしたところで山荘に戻りました。夕食までの時間は,外のテーブルでビールやウィスキーを飲みながら,目の前に聳える水晶岳を眺めました。最初はガスで山頂が隠れていましたが,次第にガスが取れ,山頂までしっかり見ることができました。2年前の夏に黒部ダムから入山して,テン泊装備で読売新道を登りました。ヘトヘトになって赤牛岳から水晶岳へと稜線を歩いていたとき,眼下にこの高天原山荘の赤い屋根が見えて,いつか訪れてみたいと思ったものです。そのときのことが,鮮明に蘇ってきて,今,ここ高天原山荘にいることが,まるで夢のような感じでした。 ・ 山荘の夕食は,午後5時から。食堂は6人掛けのテーブルが4つ置かれており,一度にすべての宿泊者が利用することはできないので,この日は2回に分けての食事でした。のんびり夕食をとりたいならば,2回目のほうが良いでしょう。おかずは,ハムカツやポテトサラダ,ひじき,キャベツの千切り,ざるそばなどシンプルでしたが,ご飯がとてもおいしかったです。おそらくかまど炊きしているのでしょう。おいしくておかわりしました。味噌汁もおかわり自由です。 ・ 高天原山荘は,昔ながらのランプの宿でした。電気を使用しているのは食堂の照明だけで,テレビもありませんし,発電機の音もしません。食堂の照明用電源は太陽光発電でまかなっているようです。大部屋の照明は,階段の脇にランプが一つ灯されているのみ。本当にシンプルで静かな小屋です。なので,その晩は,皆さん午後7時過ぎには就寝モード。私もあっという間に熟睡でした。 ◆ 3日目 高天原山荘〜岩苔乗越〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜黒部五郎小舎(幕営) ・ 午前3時前には目が覚めましたが,しばらくは布団の中でゴロゴロ。営業小屋の布団で寝たのは,2007年5月のGWに燕岳〜常念岳〜蝶ヶ岳〜上高地と縦走した時以来,8年ぶりでした。沢山の登山者が寝ている部屋は,人の発する熱で暖かく,布団をかぶると暑いくらい。お腹の上だけ布団を掛け,足と胸から上は何も掛けないでちょうど良い感じでした。 ・ 午前4時を過ぎると,皆さん起き始め,温泉に向かう方もいるようでした。私ももう一度温泉に入ろうかとも思ったのですが,本日の目的地である黒部五郎小舎まで,結構なアップダウンとなり,時間がかかることや,体力を温存する必要も感じ,自重しました。 ・ 朝食は午前5時。おいしいご飯と味噌汁をおかわりし,お腹いっぱい食べました。トイレや歯磨きを済ませ,05:36に山荘を出発です。天気は快晴。霧が漂う湿原の先には,風格のある薬師岳の実に堂々とした姿が印象的でした。 ・ 湿原を過ぎると,すぐに分岐に到着。本日は,ここを左折して,まずは岩苔乗越まで標高差600mを登ります。前半は薄暗い樹林帯の中,徐々に勾配を増しながらの登りが続きます。樹林帯を抜け,灌木帯となったところで,水晶池分岐に到着。ここに荷物を置き,水晶池へと足を伸ばしました。標識には10分との表示がありましたが,5分ほどで,誰もいない静かな水晶池に到着。 ・ 水晶池は,とても神秘的な雰囲気を漂わせていました。静かな湖面には対岸の森の中に佇むダケカンバの姿が映し出され,その先には圧倒的な迫力の水晶岳が目の前です。まだ,日差しが届いていないこともあって,黒々とした岩肌は,まさに「黒岳」という印象でした。高天原温泉を訪れる時は,是非とも立ち寄りたいお勧めポイントです。 ・ さて,水晶池分岐に戻り,ザックを背負って岩苔乗越へと向かいます。最初は,岩苔小谷を右下に見下ろしながら,灌木帯の中の緩い登りを歩いて行きますが,しばらくすると灌木帯が終わり,草原地帯となります。この先は,クルマユリやオタカラコウ,トリカブトなどが咲き乱れるお花畑の中の楽しい登りです。 ・ 岩苔小谷の沢が近づいてくると,傾斜も増してきて,岩苔乗越が間近に見えるようになります。登山道と沢の流れが何度も交差するので,冷たい雪解け水が飲み放題です。水晶岳へと続く稜線と雲ノ平の台地に囲まれた,とても素晴らしい谷ですね。そのうえ,縦走コースからは外れているため登山者が少なく,静かです。すっかり気に入りました。 ・ 最後の急登を登り切り,標高2,730mの岩苔乗越に着いたのは08:56。高天原山荘を出発してから3時間20分ほどかかりました。乗越からは展望が開け,目の前に祖父岳とその先に黒部五郎岳,谷を挟んで薬師岳,その右手に水晶岳。南側にはワリモ岳や三俣蓮華岳などが見えました。快晴の下,素晴らしい展望です。ここで眺めを楽しみながら15分ほどの休憩をとりました。 ・ 休憩のあとは,ワリモ岳を越えて深田百名山にも選ばれている,標高2,924mの鷲羽岳山頂を目指す岩場の稜線歩きです。特にワリモ岳からの下りの岩場は地図でも「転落注意」の表記がなされているちょっと険しい場所なので注意が必要です。なお登山地図では,乗越から鷲羽岳山頂までコースタイム1時間10分の表記ですが,重装備でのワリモ岳周辺の岩場の通過や数多く写真撮影したこともあり,私の足では1時間20分かかりました。それにしても,快晴の下,素晴らしい展望を楽しみながら爽快な稜線歩きを堪能することができました。水晶岳から東に続く裏銀座の稜線や天を突き刺すような槍ヶ岳,美しい山容の笠ヶ岳,もちろん岩苔乗越でも眺めを楽しんだ薬師岳や祖父岳,黒部五郎岳,三俣蓮華岳など,黒部源流域周辺の山々がすべて望めました。このエリアを歩いたのは今回が4回目となりますが,毎回晴れて,素晴らしい展望を楽しむことができていて,私にとって相性が良いようです。 ・ 鷲羽岳山頂には10:30に到着しました。行動食と水分補給のため,ここで15分の休憩としました。この山頂からは,槍・穂高連峰や笠ヶ岳など南側の展望が素晴らしいです。また,三俣蓮華岳から黒部五郎岳〜北ノ俣岳へと続くこの先歩く予定の稜線ルートも,しっかりと確認することができました。 ・ 山頂からは,岩屑の急斜面の下りとなります。途中で鷲羽池の写真を撮ったものの,花などは咲いておらず,淡々と下るのみ。でも,正面に三俣蓮華岳を望む展望は素晴らしいと思いました。 ・ 三俣山荘へはちょうど1時間で到着。時刻は11:45。早速2階の展望レストランに向かいます。2年前にここで食べたビーフカレーがとてもおいしかったので,今回もここで昼食。前回同様,ヱビスビール(ロング缶950円)とカレーライス(1,100円)の組み合わせです。カウンターに陣取り,正面に槍ヶ岳を望みながらの贅沢な昼食タイムでした。相変わらず,ここのカレーはおいしかったです。 ・ 昼食後は,テン場を通過して三俣蓮華岳の登りに取り付きます。テン場の先に残る雪渓で雪遊びをしていた4〜5歳くらいの女の子に「こんにちは〜」と挨拶され,思わずにっこり。しかし,こんな標高の高いところに来て,高山病にならないかちょっと心配もしました。 ・ その先の登りは,ビールの酔いと強い日差しのおかげで,すっかり息が上がり,ペースダウン。三俣峠までの標高差200mの登りに1時間近くかかってしまいました。ここから三俣蓮華岳山頂までは,さらに標高差90mの登りとなり,ここを25分かかってなんとか山頂に到着。でも山頂からの展望は雄大でした。先ほどまで歩いていたワリモ岳〜鷲羽岳の稜線が目の前です。三俣山荘を前景にした鷲羽岳の姿も見応えがありました。 ・ さて,本日の宿泊地である黒部五郎小舎までは,この先標高差で500mの下りとなります。まずは巻き道分岐となる黒部乗越まで30分ほど下りますが,稜線の南側はガスが垂れ込め,遠くから雷鳴の音も聞こえるようになってきました。乗越では10人ほどのパーティが休憩していて「雷が鳴っているから,巻き道で三俣山荘へ行こう」と話していました。稜線で雷雲に遭遇することほど恐ろしいものはありませんので,私も先を急ぎます。 ・ 乗越から先は,標高2,661mピークまで一旦登り返し,その先を南側にカーブするように回り込んで緩い傾斜の登山道を降りていきます。さらに進んで,登山道が広まり,シナノキンバイやチングルマなどのお花畑を過ぎたところから,道は一気に300mほど急降下。大岩が堆積しているところもあり,下部は歩きづらいですが,しばらく頑張ると,黒部五郎小舎の屋根が見えてきました。ほどなくして,15:05,小舎に到着しました。 ・ 小舎前のテーブルでは,ジョッキに注がれた生ビールをおいしそうに飲んでいる人達が数多くいて楽しそうに懇談中でした。それを横目に見ながら,早速,受付でテント泊の手続きです。幕営料はなんと千円!いつの間にこんなに高くなったのでしょうか?なお,本日の小舎は混雑しているようで,「布団2枚に3人の割合で寝て頂きます」と受付担当が叫んでいました。 ・ 受付後にテン場に向かうと,テン場はまだ余裕があり,小屋に近いフラットな場所を確保することができました。早速,テントを設営し,荷物をしまい込みます。そのあと,小舎に戻って携帯通話可能な場所を確認したところ,ドコモであれば,三俣方面に15分ほど登り返せば通じるポイントがあるとのこと。そこで,空身で先ほど下った道を登り返すと,途中で,昨日ご一緒した愛媛3人組の一人,Aさんと遭遇。お互いびっくり。到着が遅くなったので,二人に先んじてテン場に向かっているとのことでした。どうやら明日は,北ノ俣岳まで同じルートを歩くようです。テン場の状況を伝え,さらに上を目指すと,残りの2人とご対面。またお会いしましたね,とご挨拶。なんだか昔からの知り合いに会ったような懐かしさでした。なお,そのあとさらに登ったところから,ドコモ電波でのメール送信ができました。 ・ メール送信から戻ってみると,いつのまにかテン場は満杯。ここのテン場は岩がたくさんあって,面積の割にテントの張れる数は限られてしまいます。なので,午後3時頃までに到着していないと,きついと思います。 ・ その晩は,騒ぐような迷惑者もおらず,午後7時半頃には皆さん就寝モード。静かな夜を過ごすことができました。 ◆ 4日目 黒部五郎小舎〜黒部五郎岳〜北ノ俣岳〜寺地山〜飛越トンネル ・ 縦走最終日は,最も長い距離を歩くため,午前3時に起床しました。隣の大型テントの大学生達もほぼ同時に活動開始。皆さん,起床が早いですね。朝食は即席麺のチャンポンを食べてみました。水分・塩分が摂れ,暖かく味も良いので,起床したばかりでも食べやすく,朝食には向いていますね。 ・ そのあと,早めにトイレへ。実はこの小舎,テント利用者用の個室は男女兼用で3つのみ。これでは,特に女性にとってはきついでしょう。案の定,午前4時前でも既に順番待ちの状況でした。テン場代を千円も徴収するのなら,トイレは是非とも早急に増設して頂きたいと思いました。 ・ 思いの外トイレに時間を要したため,出発は予定より30分近く遅れてしまいましたが,幸い,天気は快晴。目指す黒部五郎岳の山頂付近は,朝焼けで赤く色付いていて見事です。振り返れば,昨日登った鷲羽岳の山頂付近から,朝陽が上がってきて,「ダイヤモンド鷲羽」とでも呼びたいシーンでした。 ・ 黒部五郎カールを目指して登っていくと,3人組が私の前を歩いていました。よく見ると,愛媛から来られたAさん達ではないですか。早速,ご挨拶。しばし,高天原温泉のことや,昨日歩いたルートのことなどで話が盛り上がりました。 ・ このあとは,しばらく私が先行。氷河に削り取られたカールの見事な眺めを楽しみながら,順調に標高を上げていきます。カールの核心部には,羊背岩と呼ばれる,羊の背のような丸いコブ状の岩があちこちに見られます。そしてその岩の間を縫うように,冷たい雪解け水が流れていきます。 ・ 休憩に良さそうな水場に到着したところで,水分補給の休憩です。せっかくなので,雪解け水を手の平ですくって飲んでみました。とても冷たくて,おいしい水でした。でも,冷たすぎて,手が痛かったです。そのあと行動食を食べていると,Aさんたち3人組が追い越していきます。まったくもって元気な方々でした。 ・ カールの核心部を歩いていると,周囲をまるで大伽藍で囲まれているような,大迫力に圧倒されます。覆い被さるような,これだけ迫力のあるカールはほかに無いのではないでしょうか。黒部五郎岳に登るのならば,是非ともこのカールから登ることをお勧めしたいですね。 ・ カールの水場を過ぎると,登山道は黒部五郎の肩を目指し,コバイケイソウの咲く草付きの斜面を九十九折りに登るようになり,傾斜が急になってきます。ここはしばしの頑張りどころです。徐々に高度を上げ,カールの岩壁が目の高さになってくると,ようやく尾根の上に上がり,薬師岳や北ノ俣岳などが見えてきます。黒部五郎の肩はここからすぐです。肩には07:09に到着しました。 ・ 肩に荷物を置き,カメラを持って山頂へと向かいました。山頂はすぐそこです。10分ほどで黒部五郎岳の山頂に到着。2度目の頂でした。青空の下,山頂からの展望は素晴らしかったです。北には間近に薬師岳,その右奥に剱岳と立山,さらその奥には白馬連峰。西に目をやると,名峰白山。南側には笠ヶ岳とその右奥に乗鞍岳,さらに奥には御嶽山。もちろん,槍・穂高連峰のギザギザも。眼下にカールを望みながら,薬師岳,水晶岳,鷲羽岳,三俣蓮華岳と奥黒部の山並みが見事でした。 ・ ひとしきり展望を楽しみ,撮影を終えて黒部五郎の肩に戻ると,Aさんから「フィルムが無くなってしまったので,デジカメで撮った風景をメールで送ってもらえないか」との依頼。せっかくなので,3人を入れた写真なども撮影し,私のメールアドレスのメモを渡しました。さらにこのあとも,北ノ俣岳までは同じルートを歩いたので,何枚か撮影した写真も含め,下山後,CDでAさんに提供させて頂きました。Aさん達からは,その後丁寧なお礼の手紙に加え,お礼の品まで頂いてしまいました。皆さん,こちらこそ,どうもありがとうございました。 ・ 肩から先は,北ノ俣岳まで穏やかで気持ちの良い緑の稜線歩きとなります。どことなく,飯豊連峰の稜線にも似た,緩やかなアップダウンの続く尾根でした。肩から1時間ほどで標高2,578mピークに到着。黒部五郎岳や薬師岳の眺めの良いところだったので,私はここで,水分&エネルギー補給のため,15分ほどの休憩としました。私の休憩している間に,愛媛3人組が通り過ぎていきます。相変わらず元気一杯です。このあと,北ノ俣岳山頂まで,私が追いつくことはありませんでした。たいしたものです。 ・ 2,578mピークの先は,中俣乗越まで130mほど下り,そこから標高2,622mの赤木岳まで標高差はわずか70mほどの緩い登りです。でも,赤木岳の山頂付近は,大岩が堆積しており,歩きづらくて山頂までは意外に時間がかかりました。 ・ その先は,本日最後の稜線ピークである標高2,661mの北ノ俣岳へ。こちらも緩い下りのあと,緩い登りが続きます。赤木岳から35分ほどで北ノ俣岳山頂に到着。山頂には,先に到着した愛媛3人組の皆さんが休憩中でしたので,ここでも写真撮影。そのあと,皆さんは太郎平経由で折立に下山するため,先に出発。「どうぞお気を付けて。下山後,写真を送りますね。」と挨拶させて頂きました。 ・ 皆さんが出発したあと,メール通信できないか試してみましたが,北ノ俣岳では,auもドコモも通信できませんでした。ところが,その先の神岡新道分岐から少し下った,有峰湖の展望できる場所からは,ドコモLTE通信がバッチリ。場所が少し変わるだけで,通信環境はかなり変わるようです。 ・ 神岡新道分岐からは,距離の長い下山ルートが始まります。まずは,北ノ俣避難小屋まで,標高差600mの下りです。途中,何組かの登山パーティや単独行の方とすれ違い,そのたびに言葉を交わしました。最初の二組は,赤木沢狙いで,本日は,薬師峠泊とのこと。また,その先の男女ペアは,私と同じルート取りで黒部源流域周回とのことだったので,状況を詳しく説明。さらに,池塘の木道で出会った単独行の方は,このあと,黒部五郎小舎でテン泊したいということだったので,既に12時を過ぎていて,この時間では夜中になってしまうので,薬師峠泊が無難であるとアドバイス。でも,結果はどうなったのか分かりません。 ・ 避難小屋分岐に到着したのは12:30頃。小屋に向かおうと木道を降り始めたところ,小屋のほうから大学生らしき何人かの楽しそうな話し声が聞こえてきました。どうやら今夜は避難小屋泊まりのようです。私は彼らの邪魔にならないよう,避難小屋での休憩はあきらめ,木道を戻って,寺地山を目指します。 ・ 真夏の太陽に照らされての下りでバテバテになりながら,50分ほどで寺地山の山頂に到着。本日は晴れていて良い眺めです。薬師岳がひときわ大きく,雄大なパノラマが素晴らしい。ここでも二人パーティの登山者に会いました。日帰り登山から下山の途中のようでした。私も,ここで水分補給のため10分弱の休憩です。 ・ 休憩後は,さらに50分ほど歩き,14:22に分岐に到着。ここで,最後の休憩です。残しておいたフルーツゼリーに加え,さらに行動食も食べて,たっぷりと水分補給しました。この先は,何度もアップダウンや平坦な草原地帯の歩きを繰り返しながら,16:05,飛越新道登山口に戻りました。 |
| その他周辺情報 | 下山後は「ひらゆの森」で入浴しようと思いましたが,駐車場が混んでいたので,近くの「アルプス街道平湯」で汗を流しました。入浴料は600円。 |
写真
感想
・ 今夏のテント縦走登山は,北アルプスに行くか南アルプスに行くかで直前まで迷いましたが,最終的には気象情報を踏まえ,天候が安定していそうな北アルプスとしました。
・ 目的地は高天原温泉です。有名な「日本最奥の温泉」である高天原温泉に,まだ行ったことがなかったのと,高天原山荘がこの7月にリニューアルオープンしたとのことから,是非とも,高天原山荘に宿泊して,温泉に入ってこようというのが,今回の縦走の目標でした。
http://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000003124
・ ただし,単に高天原山荘の往復ではおもしろくないので,以前テント泊して気に入った雲ノ平や黒部五郎小舎など,黒部源流域をぐるっと一周することにしました。
・ 問題は,どこから入山するか?富山県側の折立は何度か入山・下山しており,今回は別の登山口を探していたところ,ヤマレコの記録で,飛越(ひえつ)トンネルからの登山口があることを知り,行くことにしました。
・ しかし,行ってみて感じたのは,とにかく寺地山までのアプローチが長いうえ,平坦な道やアップダウンが多く,入山する場合はまだしも,下山のときはうんざり。早く登山口に戻りたいのに,登山口直前まで,何度も何度も登り返しがありました。
・ 登山地図では,神岡新道ルートが記載され,こちらの方がコースタイムは40分も短いですし,アップダウンも少なそう。そのうえ水場も途中にあるとのこと。ところが林道が通行止めで使用不可とか。
・ おそらく有峰林道の利用促進のため,飛越新道ルートを整備し,神岡新道は放置ということなのでしょうが,登山者のためを思えば,神岡新道を是非とも整備してもらいたいと思いました。そうすれば,登山客も増えて,地元の観光需要を喚起することもできると思います。
・ 愚痴が長くなってしまいましたが,飛越新道以外は,本当に素晴らしいルートでした。テン場はいずれも水が豊富で快適ですし,高天原温泉と高天原山荘は期待以上の素晴らしさ。特に,山荘のシンプルで必要最小限のサービスは,とても好感が持てました。いつまでも,このスタイルの営業を続けて欲しいと思います。
・ また,縦走中にご一緒した愛媛3人組の皆さんとの語らいはとても楽しかったです。リーダーの男性A・Kさんは,相当のベテランらしく,常に冷静沈着。ご一緒の二人の女性は快活で元気いっぱい。お一人はなんと69歳ということでしたが,私などおいて行かれるほどの健脚でした。皆さんと出会ったことで,自分もあと10年以上は頑張れるぞと,大いなる勇気を頂きました。どうもありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
りきまる

















rikimaruさん、こんばんは、goroです。高天原温泉に行ってこられましたか、しかも入山が飛越トンネルからとは。あそこは松本ICから実走100Kmですから、それだけでも疲れますよね。薬師沢から雲の平経由だと登って下りてですから流石のルート選択です。次の機会あれば、大東新道も気持ちのいい道ですよ、歩き足りないかもしれませんが。写真の美しさは相変わらずですね。カメラも腕も流石です。高天原は私もまた行ってみたくなりました。山歩きに私が言えることはないですが、下山後の平湯周辺のおすすめの温泉はホテル焼岳です、次の機会があれば是非。
私は未だ体調イマイチで冴えないのですが、とりあえずボチボチ歩きたいと思っております。ではまた。
goroさん,コメントありがとうございます。
goroさんが2年前に新穂高から高天原温泉に歩かれたレコが印象に残っていて,私も是非行ってみたいと思っていました。以前にもコメントしたと思いますが,この周回ルートにトライしていた途中で台風がやって来て,登山口の折立に戻ったことがあり,今回は,その時のリベンジを兼ねていました。今回は時間的に余裕が無く,夢ノ平へと足を伸ばせませんでしたが,あの素晴らしい高天原温泉に入ってみて,今度は是非訪れたいと思っていますので,その時は,大東新道を歩いてみたいと思います。黒部源流を間近に眺めながら歩くのは,気持ちが良いでしょうね。
ところで,goroさんの今回の登山は残念でしたね。私もレコを読んで,なんとコメントして良いものか分からず,コメントは控えました。
五十代後半を迎えると,若い頃のようにはいかないようです。実は,私もこの山行から下山して3日後に,突然,右膝関節に痛みが走り,5日間ほどロキソニンテープのお世話になりました。笊ヶ岳では2千メートルを超える下りでも何事も無かったのですが,このところの山行の疲れが出たようです。
お互い,そろそろ無理は禁物の年代のようです。あせらず,のんびり,じっくりと山旅を味わうよう,山の神様から諭されているようにも感じます。なので,このあとの登山に向けては,自分自身で万全の体調であると自信を持てる状況になってから,再開すべきかなあと感じました。
膝痛ですか。急性だと思いますが、大事にしてください。充実した山行の後ですから、少しだけ休むのもいいかもしれませんね。その後でまたばりばり歩いてください。次の記録を楽しみにしています。rikimaruさんの写真はいつも非常に楽しませてもらっています。
私も去年の8月、今年の4月と山歩きと下手なスキーで脚にけっこうな怪我をし、この次はもっと大変なことになるかもしれないと思ったりしますが、齢だし少し気をつけろという、ご先祖様のお告げかなとも思います。心臓は心房細動の手術だったので、たいしたことないのですが、咳がずっと続き今日も医者に行ったのですがイマイチなのです。
秋の陣は何とかしたいと思っているのですが。ではまた。
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