飯豊山 ↑御沢野営場 ↓飯豊温泉
- GPS
- 71:19
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 2,649m
- 下り
- 2,786m
コースタイム
- 山行
- 3:50
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 4:35
- 山行
- 5:15
- 休憩
- 2:38
- 合計
- 7:53
- 山行
- 5:08
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 5:59
天候 | 嵐 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
その他周辺情報 | 山都タクシー https://santotaxi.com/ 飯豊山荘 http://www.siroimori.co.jp/iidesansou/ 天狗平ロッジ https://yamagata-oguni-shiroimori.jp/tourism/tozankichi-tengudaira-lodge/ 国民宿舎 飯豊 梅花皮荘 http://www.siroimori.co.jp/kairagisou/ 小国町 町営バス時刻と料金 https://www.town.oguni.yamagata.jp/soshiki/choumin/1609.html |
写真
感想
職場でいただいた特別休暇を活用し山友と飯豊(いいで)連峰縦走へ。
山行中飯豊方面は猛烈な雨風で一部地域に住民の避難勧告まで出ていた。下界でその有様なのだから遮るもののない稜線はさらに酷くたいへんな山行になった。一歩間違えれば遭難してもおかしくなかった山行の備忘録。
1日目 御沢野営場ー三国避難小屋
早朝の新幹線で郡山に移動し山都駅でタクシーに乗り換え御沢野営場へ。7800円也。
野営場横から登山開始。今日の目標の三国小屋までは約5km、標高差約1100mの行程。基本はほぼ登り基調。途中に鎖場のある剣ヶ峰を通過する登り甲斐のあるコース。
三国小屋には16時頃に到着。宿泊客は我々のみ。小屋の主人曰く「今日は誰も泊まらないと思ったから寝ようとしてた」とのこと。三国小屋は、早朝から登るハイカーなら次の切合小屋か飯豊山直下の本山小屋まで足を伸ばして泊まるため中途半端な場所にある。とはいえ我々のように昼から登りはじめる、または下山で泊まるには使い勝手がいいともいえる。収容人数50人の広い小屋を占領して明日への英気を養う。
2日目 三国小屋ー本山小屋ー飯豊山ー御西小屋
3時半起床。5時過ぎに出発。
出発時こそ眼前に雲海が広がりその後の天候のよさを期待させたが、実際は次第に風が強まってきた。飯豊山直下の本山小屋に到着した頃には雨も混じり嵐のような天候に。小屋の主人と話しながら計画を練り直す。元々は御西小屋でザックをデポして大日岳をピストンする予定だったが、大日岳登頂を諦めることにした。我々を心配して「ここで泊まればいいのに」と言ってくれる主人に別れを告げ飯豊山へ。遮るもののない山頂は暴風で立ってるのもやっと。山頂標識を撮影するのに足下の岩にかかとをつけ体勢を保ち耐風姿勢をとらなければならなかったほど。途中で会ったハイカーは「まるで富士山山頂のようだ」と表現してた方もいるくらいだったし、あまりの暴風に登頂を諦め撤退した方もいた。景色などまるで見えず真っ白ななか飛ばされそうになりながらなんとか避難小屋に到着。小屋には先客はおろか管理人もおらずまたもや我々の貸切。通常なら山行を中止するのが当たり前の天候なのだからさもありなん。
3日目 御西小屋ー門内小屋
暴風に加え強い雨。元々の計画では御西小屋から朳差岳を目指す予定だったが明らかに危険なため門内小屋までの移動に留めることにした。そもそも門内岳までの移動すら本来なら危険なため山行の中止判断が適切な天候。しかして翌日の天気予報も悪く少しでも移動しなければ下山も危ういため嵐のなか出発。下界ですら風速20mを超えていたそうなので稜線上は30mはあったのではなかろうか。暴風の影響によりで大粒の雨は真横から叩きつけてくる。合羽から露出した顔に雨粒が機関銃のようにあたる。西から大きな音で叩きつける機関銃雨が常に身体の左を撃つため休憩時にしばらく左耳が聞こえなくなるほどだった。
途中の梅花皮小屋で避難しつつ昼食を摂り天候の回復を願うが届かず。この小屋にもやはり誰もおらず宿泊を検討するが翌日の行程を考えるとやはり門内小屋まで行くのが妥当だろうと判断し行動再開。幸い事故なく昼前には門内小屋に到着。これ以上の行動は不可能なためこの日の山行はここまで。
小屋に着き濡れた携帯端末を確認すると圏外だったアンテナが気まぐれのように1本だけ立つ瞬間があった。数件の着信履歴とともに明日の下山後に宿泊予約をしている天狗平ロッジの主人からメッセージが入っていることに気づく。この天候のなか予定どおり宿泊するかの確認だ。アンテナの立つタイミングを見計らい折り返す。予定どおり宿泊予定であること、今日は稜線を歩き門内小屋まで移動したことを告げるとひどく驚かれた。こんな日に山を歩く者などいないだろうという反応だろう。あるいは呆れていただけかもしれない。電波が切れないうちに用件を伝え電話を切りまたもや貸切の、雨風の音が轟轟と煩い避難小屋で一晩を明かす。
4日目 門内小屋ー飯豊温泉
朝には風がおさまるとの予報なため様子を見るが気配なし。ただし雨は小降りなため6時過ぎに出発。天狗平ロッジに出発すること、下山コースについて、到着予定時刻などメッセージを送りたかったが、もはや電波を受信することはなかった。
出発して1時間ほどで到着した地神北峰の分岐から東に伸びる丸森尾根に入れば西からの暴風もおさまるだろうと予想していたのがズバリ的中。小雨混じりのなか本格的に下山開始。
景色は森林限界から樹林帯に変化。急な斜面を難儀しつつひたすら下る。途中で人の背ほどの大きな段差を手をつき下ろうとして右膝を思いきり捻り痛みを抱えたまま歩行する羽目に。標高を下げるにつれ気温も上がってくる。着ている合羽が蒸れ体温を容赦なく上げる。辛抱堪らず雨が止んだタイミングで脱ぐもしばらくすると再び降りはじめた。しかし身体はすでに汗と雨でグシャグシャであり、かつ小一時間もすれば登山口に到着するため再び合羽を着ることなく歩ききる。
やがてロッジの屋根が見えてきて下山完了。目の前の飯豊温泉に飛び込む。
下山後 天狗平ロッジー梅花皮荘
飯豊温泉で4日分の汗を流し一休みしていると天狗平ロッジの主人がやってきた。ロッジは予約があれば開ける運用。飯豊山開山直後とはいえ嵐の平日に泊まる物好きなど他にいるはずもなく我々のためだけにやって来てくれた。ロッジの鍵を開けるために先行する主人の後を追うように移動する。ロッジには食事こそないものの、電気が通り、Wi-Fiの電波が通じ、蛇口を捻れば水が出、部屋は畳敷で布団まである。山中ではこれら全てを担がなければならない。文明の偉大さを感じる瞬間だ。
が、しかし。出払っていた主人が戻ってきた途端に開口一番「この地域で避難指示が出た。土砂崩れが起きたら明日はバスがここまで上がって来られなくなる。道路の状況はわからないが、今のうちにバスが来られる麓まで下りるか、安全策でこのままロッジに留まるか検討してほしい」とのこと。道路の状況がわからないため車を出しても土砂崩れがすでに発生していたら引き返すことになるかもしれない。とはいえこのままロッジに留まり朝を迎えてもバスが上がって来なければ帰宅困難になる。それならば、麓まで移動するとを伝えると主人は麓の梅花皮荘に連絡をしてくれ急遽の宿泊予約をしてくれた。急いでザックに荷物を詰め直し主人の運転する車に乗り込む。道中は幸いに土砂崩れは発生してなかったが木々の枝や石が散乱する箇所がいくつもあった。
10分ほどで梅花皮荘に到着。ここより先で災害が起きたらバスが折り返すことになる地点。ロッジの主人からの連絡によりスムーズにチェックインをする。「こんな天気の日に当たっちゃって申し訳ないねえ」という主人だが、こちらこそこんな天候のなか我々のためにロッジを開けてくれ、避難指示が出るや麓まで車を出してくれて申し訳ない気持ちだ。
主人に別れを告げ部屋に通りようやく人心地つく。宿泊の決定が急過ぎて他の宿泊客と同じ夕食は提供できないとのことだったが、ランチメニューにある山菜蕎麦なら用意できるとのことだったため注文。ささやかな夕食だったが、山中ではフリーズドライ食品で済ませていたことを考えれば十分に美味しくいただいた。
翌日。バスは梅花皮荘止まりでここより上へは行かないとのことだった。前日に移動していなければ帰宅難民になってるところだった。
※ ※ ※
これまでの山行でも一二を争うたいへんな山行だった。ともすれば二度と来るものかと感情的になってもおかしくないところ、帰路の列車で我々が話していたのはいつリベンジするかだった。
今度こそ眺めの良い稜線を雨風に邪魔されることなく軽快に歩きたい。天狗平ロッジの主人と再会することがあれば伝えたい。飯豊はいいで~と。
おつかれさまでした。
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