仙丈ヶ岳 前泊プラス1泊2日のゆったり山行
- GPS
- 11:07
- 距離
- 9.8km
- 登り
- 1,118m
- 下り
- 1,127m
コースタイム
- 山行
- 6:54
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 8:25
- 山行
- 2:12
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 2:30
天候 | 晴れ時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
JR茅野-戸台パーク ジオライナー 戸台パーク-北沢峠 南アルプス林道バス 【帰り】 北沢峠-戸台パーク 南アルプス林道バス 戸台パーク-高遠 ジオタクシー(要予約) 高遠-伊那バスターミナル JR関東バス(路線バス) |
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備されている |
その他周辺情報 | 仙流荘に日帰り入浴あり(800円) 伊那バスセンターから5分ぐらいのところにコンビニあり。JR伊奈駅も徒歩2−3分ですが、駅前に和菓子屋さんがあって伊那名菓が買えます。 |
予約できる山小屋 |
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写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
アームカバー
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
インナーシーツ
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感想
早いもので、我々が甲斐駒ヶ岳に登ってから6年が経った(ようだ)。当時(いや今もだが)長い休みが取れないことと、体力がないことで、甲斐駒ヶ岳だけの登頂となったため、いずれ仙丈ヶ岳にも行かねばならないと思っていたが、今回は我らがリーダーの山小屋愛とうまく合致した企画となった。リーダーがぜひ泊まりたいと熱望していた馬の背ヒュッテの予約をしようとしたところ、7/20(土)はすでに満室。7/21(日)なら空きがあったため、気合いを入れて(いやそうでもないか)年休を取り、宿泊場所を確保した。並の体力の人なら1日で登って降りてきてしまうのだろうけれど、筆者たちは超軟弱である。筋力、持久力はなく、技術も未熟、高山病になりやすく、おまけに前立腺肥大の上に鳥目である(まあ、最後の二つはどうでもいいのだが)。なので、我々が仙丈ヶ岳に登るには途中宿泊が必須である。それで馬の背ヒュッテの予約は取れた。並の体力の人であれば、当日家を出て、その日のうちに馬の背ヒュッテに余裕で到着する計画を立てるであろう。しかし、我々は超軟弱である。バスが遅れたり乗れなかったりすると山小屋にたどり着けない可能性も考えて、前日は登山口近くに泊まることにしたが、今度はこもれび山荘の予約が取れない。しかし、リーダーはキャンセルが出たタイミングを逃さず、予約を入れ(うーむ、すごい執念だ)、前泊+山小屋泊のゆるゆる登山計画がまとまったのだった。
当日、リーダーとは茅野駅で待ち合わせたが、戸台パーク行きのバス「ジオライナー」乗り場がわからない。結局アルピコバスの切符売り場の方に教えてもらって、もう一度駅側に戻ってみるとすでに結構の人が並んでいた(というよりザックで場所取りをしていた)。バスの到着までしばらく待っていると果たして、55人乗り(多分)のバスが来た。テント泊の人も多く、みなさん荷物は大きい。その荷物をバスの横腹に積んで、いざ出発。1時間ちょっとで戸台パークに到着した。ほとんどの人はすぐに北沢峠行きのバスに乗り継いで行くが、我々はゆるゆる登山である。戸台パークでお昼を食べることにした。昼食を済ませてゆっくりしていたが、流石に梅雨明けの土日なので、バス乗り場で人が並び始めており、我々もそうすることにした。と、どうやら臨時便が出るらしい。その臨時便に乗り込み、15時前には北沢峠に到着した。
筆者が戸台パークで食べたエビフライ定食のご飯の盛りは(筆者にとっては)すこぶる多かったので、晩御飯までにお腹を減らす必要があり、というかヒマだったので、長衛小屋まで散歩した。このテント場は超満員だった。我々がこもれび山荘に戻る道すがらでもまだ来る人がいたので、テントが張れるのか心配になってしまった。
さて、宿に戻り、夕食までまったりしたのだが、この辺りはホテルマニア改め山小屋オタクのリーダーの撮影した写真のコメントをご参照いただこう。リーダーがTJARのビブスに興奮していたことだけ記しておく。
さて翌日は晴れの予報ではあったが、この季節なので夕立の可能性も考えて少々早めに出発することにした。といっても5時前に出発している人も多く、5時半過ぎに出発した我々はこもれび山荘宿泊者の中では遅い方であった。実は登山口は二つあって、こもれび山荘のすぐそばのトイレの横からの登り口と、バス道を少し長衛小屋の方に下った右側にある登り口だが、我々は前者を選択。最初は緩やかな尾根道である。ちょっと下って2合目に至ると先ほどのもう一つの登山道と合流する。2合目からは少し上りが急になる。この辺りから今朝一番のバスで着いた人たちが登ってくる。どんどん登ってくるのでどんどん追い抜かれる。そして、筆者はお腹の調子が少々怪しくなってきた。おいおい、この先トイレはないぞ。今朝しっかり出たのになあ。まあ、やれることはやろう、ということで下痢止めの薬を服用。登山再開。4合目を経て5合目に到着。5合目は大滝の頭と言われているようだ。ここは通過して、さらに樹林帯を登っていく。そして、樹林帯が途切れたところで、6合目に出た。
振り返ると鋸岳は見えるが、甲斐駒ヶ岳は雲の中。東側には地蔵が岳のオベリスクが見える。そして微かに富士山も。我々は先を急ぐ必要がないので、ここでずいぶんゆっくり写真を撮ったりした。そしてこの後、ハイマツ帯を登っていくのだが、だんだん雲が晴れてきて、甲斐駒ヶ岳も見えるようになってきて、しょっちゅう立ち止まりながらゆっくりゆっくり登った。日頃からゆっくりではあるのだが、今回は特にゆっくりしたペースになり、雲に隠れそうな北アルプスなんかも眺めながらその景色を堪能した。
それほどゆっくりでも登り続ければ山頂に着く。小仙丈ヶ岳到着。この山頂はまずまず広く。みなさん思い思いに過ごしていた。北岳の山頂は雲に隠れているが、甲斐駒ヶ岳はすっかり見えている。写真を取った時には気づかなかったが、摩利支天の上方にUFOが飛んでいる(これは我らが助っ人・分岐マニア氏に写真を見せたら直ちに発見していた。氏は月刊ムーでこの手の感性を磨いているに違いない)。あなたはUFOの存在を信じますか?私は信じます。だってUFOは「未確認飛行物体」だから、「未確認飛行物体が存在すると思いますか?」と言われれば「存在する」という答えになるでしょう? UFOは宇宙船ではないのだ。ここで、ピンクレディーの曲が頭の中で流れたあなた、ご同類です。
書きながらギャグを滑ったオジサンの気持ちになりつつ(まあ、そのものとも言いますが)、気を取り直して、山行記録に戻ろう。我々も小仙丈ヶ岳で結構ゆっくりした後、仙丈ヶ岳の本丸?に向けて出発した。北岳の雲が晴れないかなと期待しながら南東側を気にしながら歩いたが、残念ながらこの日は最後まで北岳の山頂を拝むことは出来なかった。でも甲斐駒ヶ岳と鋸岳の間から八ヶ岳を見ることもできたし、このぐらい見えれば御の字だろう。しかし、仙丈ヶ岳までは結構距離がある。小仙丈ヶ岳で一旦達成感を味わってしまっているので、なおさら登りがキツく思えてくる。それでも山頂直下のカール地形などを愛でつつ、仙丈ヶ岳山頂に至った。
仙丈ヶ岳山頂は思ったより狭く、ゆっくり出来ない感じであったのだが、リーダーは腹が減ったと言い、ここは手狭だから仙丈小屋まで降りて休憩しようと提案してきた。筆者はトイレが心配だったので(この頃には小さい方が心配になってきていたんですねー。毎度尾籠な話で恐縮でございます)、休まず行こうと主張し、にわかに険悪なムードになるかと思われたが、リーダーが呆れた顔で、仙丈小屋に行けばトイレはあるでしょ、と言う。そうか、山小屋にはトイレがあるんだ、と今更そんなことに考えが及ばなかったことは棚に上げて、新たな発見をしたかのような気分になったが、「ヘウレーカ」と叫んで裸で走ることはやめておいた。
さて、仙丈小屋まで降りて、無事に出すものを出して、ちょっと休憩した。今日帰る人たちは続々に下っていく。我々はゆっくり休んでから馬の背ヒュッテを目指して出発した。こちらの登山道は谷筋になるからなのか、花がたくさん咲いている。これも詳細は写真解説に譲る。鹿の食害防止の柵が続いていて、その間の狭い登山道を下っていくような具合である。普段ならバスの時間を気にして早足になるようなところだが、早く山小屋に着いたところでやることもないので、花を見つけては立ち止まり、過去に10回は聞いている花の種類をリーダーに聞いては立ち止まり、そんな感じでゆるゆると下った。そんなゆっくりでも馬の背ヒュッテには予定より早く到着した(まあ予定より早く出発しましたからね)。2階の広い部屋に案内されたのだが、グループごとにパーテーションで区切っているような塩梅だった。敷布団、というか敷布団兼マットレスのようなものがすでに敷かれていて、写真を見ていただくと分かる通り、枕と一体型になっているもので、こもれび山荘と同じものだった。これなら枕の扱いが省けるので合理的だ。おそらく近隣の山小屋でまとめ発注したのではないだろうか。荷物置き場を枕元に設置してくれているのも使いやすかった。
山小屋に着いたらビール。これ基本。リーダーにどんなに嫌な顔をされても基本。ということで、売っていた4種類の地ビールの中からラガー系の「HASE」という銘柄を選んでみたら、原料が玄米のビール(発泡酒)だった。あまり癖がなくて、でもよくある発泡酒のようでもなく、とても美味しくいただきました。登山環境を整備してくださっている地元への返礼という意味で、やはりビールは飲まなければ。そして夕食。リーダーが心待ちにしていた鹿肉ジビエカレーである。材料に愛知県三河足助の味噌を使っているようで、伊那谷と三河のつながりをちょっと感じたりもした。鹿肉がミンチで入っていることもあって、クセがなく、とても美味しくいただきました。ご飯はお代わりできるのだが、同じテーブルの男性は、「いただきます」から30秒後におかわりしてました。夕食後、少し雲が晴れて、甲斐駒ヶ岳がほんのり夕日に染まっていた。この光景は山小屋泊やテント泊でないと味わえない。いいものを見せてもらった。
翌朝、残念ながら山小屋は雲に飲み込まれていて、日の出を見ることを叶わなかった。この日は下って帰るだけだが、少し早めに出発することにした。谷沿いの道を下っていく。時々渡渉箇所も出てくる。藪沢小屋跡の有名なハート型洗面器のある水場のところの渡渉がちょっと分かりづらい(逆方向からならそうでもないかな)。鎖場も出てきたりして、十分注意しながら進むと、立派な滝が出てきて、なるほどこれが5号目の大滝の頭の「大滝」かな。ということは五合目が近い、と思っていると、果たして尾根道との合流地点である5合目に到着した。
この辺りから筆者はまたしてもお腹が緩い感じになってきた。うーむ、今朝は念のため2回も行ったのに。気休めかもしれないが、水無しで飲める下痢止めを服用し、下山を続けた。4合目、まだ大丈夫。3合目、薬が効いてきたかな? と無事2合目まで到達。ここからは、行きとは違う道をいってみることにした。往路は緩やかな尾根道だったが、こちらは巻道である。ずっと右に谷を見ながら下りていく。斜面から生えている木と山肌の間の根っこを乗り越えていく箇所が多い。ちょっとこのパターンに飽きてきた頃合いで、予定時間より早く北沢峠のちょっと下のバス道に出た。と前を行くバスの姿が。あ、臨時便が出るんだ、と思ったが、トイレの方が先である。筆者のカラータイマーはまだ点滅していなかったが、それでも北沢峠のトイレで一息着いたのであった。
月曜日だが、バスに乗る人は続々集まってきていた。なので定刻10:00前に再度臨時便が出るかと思ったが、10:00になってやってきたのは55人乗りの大型バスであった。ザックは車内に持ち込みであったが、テン泊の人も多く、苦労して乗り込んでいる若者もいた。バスの横腹に積んだ方がいいのではないかと思ったが、時間がかかってしまうということなのだろうか? ともかくバスは時間通りに出発し、ほぼ時間通りに戸台パークに到着した。我々は、リーダーが目をつけていた仙流荘の日帰り入浴にまっしぐら。普通は12時からのようだったが、係の人がOKを出してくれたので、遅めの朝風呂にゆっくり使った。温泉ではないが十分に堪能した。
この先、ジオライナーは夕方にしか運行しておらず、バスも平日は運行がないので、ジオタクシーなる乗合タクシーで高遠駅(バス停だが「駅」というらしい)まで行って、そこから伊那バスセンターまで路線バスに乗った。さらにそこから筆者は新宿行きの高速バスに乗って帰ったのだが、Sクラスシートというプレミアム席があって、今回は奮発してその席をとった。紙スリッパ、レッグレストもついている。乗り込んで周囲を見回すとSクラスシートに座っている人はどうやら皆さん登山者らしかった。考えることは同じなのでしょうかね。今回は最後までゆったりした山旅を楽しむことができた。(完)
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