槍ヶ岳 / 烈風!疾風!槍ヶ岳!!
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- 23:13
- 距離
- 36.6km
- 登り
- 2,461m
- 下り
- 1,962m
コースタイム
- 山行
- 9:38
- 休憩
- 2:24
- 合計
- 12:02
- 山行
- 9:26
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 11:01
天候 | ガス・強風 / 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全体的によく整備された道。新穂高から白出沢までは林道歩き。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
「5年後に剱岳に登りたいです!」
義妹の友人、残念嬢のこの言葉からスタートした我等がにこさわ山岳会(仮称)。今年は5ヶ年計画の3年目にあたる。1年目は初心者の残念嬢に合わせて白馬に行く予定が山小屋スタッフにコロナ陽性が出て白馬山荘に泊まれず五竜岳に変更、去年は槍の予定が予約合戦に敗れて穂高に変更と、なかなか希望の山へ登らせてくれない。
今年こそは槍に行くと万全の体制で臨み、何とか槍ヶ岳山荘の予約が取れた。やれやれと胸をなで下ろしていると今度は大雨で槍沢の登山道が崩落したり滝谷の橋が流されたりして大変やきもきさせられる。
どうにか登山道も通れるようになり、ようやく槍ヶ岳行きが叶うこととなった。山小屋の方々の尽力に頭が下がる。
槍ヶ岳は標高3,180mを誇る日本第5位の高峰であり、登山者なら誰もが憧れる北アルプスのランドマークだ。6年前に東鎌から登った時以来の登山となる。今回は1泊2日の日程なので、新穂高温泉から飛騨沢を詰め、槍沢から上高地に下山するルートを採用した。
土曜の23時半に堺を出発、SAで休憩を取りながら東名・東海北陸道を爆走し、高山で前泊していた義妹・残念嬢と3時半に合流、すき家で朝メシを食って新穂高へ。登山者用駐車場は満車で、係員に鍋平へ行けと言われたが、深山荘の宿泊者ですと告げたら宿の駐車場に停めさせてもらえた。助かった。装備を整えて5時半に出発する。
新穂高から飛騨沢経由での槍は8年ほど前にも来たことがある。あの時は大キレットとパノラマコースを歩く計画だったのだが、途中から天候が急変し大キレットどころか山頂の1つも踏めずに這う這うの体で下山したのだった。今回も週間天気予報には一喜一憂させられたが、まあ最悪登山道が無事に通過できて山頂に登れれば文句は言うまい。
新穂高センターで登山届を提出し、右俣林道を進んでいく。本来なら笠ヶ岳がよく見えるはずなのだが、上空には濃いガスが立ち込めていて稜線の上はうかがい知れない。
2時間ほどで林道終点に到着。木々の中に白い帯が見え「こんな低い場所に雪渓が?」と思っているとそれは白い岩だった。白出沢とはよく名付けたものである。さらに1時間半ちょいで滝谷へ到着。沢に架かっている木製の橋を渡る。見た目よりも安定していて渡りやすい。沢の奥には轟々と流れ落ちる滝谷大滝、その上に雪渓、そしてはるか上には北穂の厳しい滝谷ドームが聳えている。超絶カッコいい。
10時半に槍平小屋に到着。お腹ペコリンなのでここでお昼にする。毎度おなじみ多賀SAで購入した柿の葉寿司。いやー山の中で食うとまた一段と美味い。
槍平から先がしんどかった。徐々に傾斜がきつくなっていくのに反比例して足は上がらなくなっていく。歩くペースを少し落としてノロノロ進む。
飛騨沢が右へと折れ曲がると前方に西鎌尾根が見えてきた。おおう、高いな。カッコええな。ちょっとテンションが上がって元気が出る。13時すぎに千丈分岐に到着、以前大キレット敗退の際はここから大喰の飛騨乗越へ向かったので今回は目の前にドーンと立ちはだかる西鎌へ登ることにする。足元の悪い高度感のある急登を45分ほど登りきり14時前に西鎌の千丈乗越へ。うっわ西鎌めっさ風キツい!飛騨沢からとんでもない強風がゴーゴー吹き上げてくる。目の前には硫黄岳や鷲羽・水晶などの眺望が素晴らしいが、あまり写真を撮るのに夢中になっていると風に背中を押されて千丈沢へ落とされそうだ。
ガレ場、ザレ場の急登を強風に煽られながら進んでいく。すると、それまで稜線上に滞留していたガスが徐々に取れはじめ、やがて目の前に槍ヶ岳がその姿を現した。おおう、槍ヶ岳かっけーぜ!やっぱ槍は格が違うよなあ。
西鎌から槍ヶ岳に向かう場合、山頂の左手前に小槍を見上げながら登って行くことになる。
一部に子ヤギと混同されながらもあの歌によって全国的に有名な岩、小槍。まあしかしアルペン踊りが如何なるダンスかはわからないが、あの上で踊るのはちょっとハードル高いなあ。ところで1尺は3cmなので、一万尺とは3,000mのこと。標高3千mの日本アルプスを歌っているわけだ。ちなみに標高1,500mの上高地には「ホテル五千尺」という施設がある。どうでもいいが。
最後に向けてどんどん急登っぷりが酷くなる西鎌尾根を登りきり、15:15槍ヶ岳山荘の建つ槍の肩へ到着。さっそく山荘にチェックインする。荷物を降ろして喫茶コーナーで温かい飲み物を注文して一息つく。すると義妹が「個室空いてない?」と言う。確認すると確かに個室に空きが複数ある。予約の時は満室だったのに何故だ。思うにツアー会社などが先に押さえてしまって、その後キャンセルしまくったりするのだろうか。部屋を変更してもらい荷物を個室へ移す。奮発して4〜6名用の広い部屋にしたがこれが大正解。大変快適な山小屋泊となった。
一息つけたのでいよいよ山頂へアタック開始。槍の穂先はさながら大人のアスレチック。何度来てもめっさ楽しい。濃いガスがあたりを覆っているが、時折風がガスを吹き飛ばしてはるか下に現れる槍沢登山道が高度感を演出してくるのもたまらない。クサリや鉄杭を掴んで上へ、上へ。楽しい楽しいと思っていたらもうラストの2段ハシゴに来てしまった。
16:55、登り始めて30分で槍ヶ岳(3,180m)登頂。
山頂付近はガスに巻かれたり晴れて眺望が開けたりと目まぐるしい。他の登山者と交代でお互いの写真を撮りあう。さらには下には濃いガス、逆側から強い日差しという好条件が重なり、くっきりとブロッケン現象が起こる。何度見ても神秘的な光景だ。まさに如来光臨といったところである。
山荘へ戻ると徐々に天候が悪化してきた。夕食の時間帯には若干降雨があったのか外のテーブルなんかは濡れているようである。これは星空は期待できそうにないなあ。
部屋に戻ってウイスキーで乾杯し、義妹が持ってきたハンディマッサージャーで足をほぐして床につく。ぐう〜すかぁ〜ピースまた明日☆
月曜の朝。山荘周辺は真っ白けのガスにゴーゴー吹きすさぶ強風。ご来光などは望むべくもなし。昨日のうちに登頂しておいてよかった。
喫茶コーナーで温かいココアなどを飲んでから山荘を出発。槍沢へ向けて下っていく。風はますます強く、身体が吹き飛ばされそうになるほどの突風がたびたびパーティーを襲う。耐風姿勢をとって飛ばされないようにしながら下りていく。雨が降ってなくて不幸中の幸いではあるが、これ稜線じゃなくて本当によかった。西鎌だったら誰か落ちてるよこれ。
しかし下っていくにつれて徐々に天候は回復し、殺生ヒュッテ分岐に着くころには風もやみ、ヒュッテ大槍分岐に差しかかるころには山頂付近のガスも晴れてきた。おや?当初はこの天気では天狗池は行ってもしゃあないと思っていたが、これなら逆さ槍が見れるんじゃないか?
最初の強風のせいで割と時間は押していて、この上天狗池に行っていてはかなりスケジュールはタイトになりそうではあるが、今このメンバーで天狗池に行かなければもう一生行かないかも知れない。強行することにする。
天狗原分岐に荷物をデポって天狗原へ向かう。槍沢の右岸に取りついて再び標高を上げていくと、東鎌尾根の向こうに大天井岳が姿を現してくる。おお、ここから大天井が見えるんか。やっぱドッシリしていて雄大やな。
40分ちょいで天狗池に到着。天狗池越しに眺める槍ヶ岳は超絶カッコいい。なかなか山頂のガスが晴れる&風が凪いで池の水面の波がない状態の両条件がそろう瞬間がなく、シャッターチャンスを待ってだいぶ長居してしまった。
再び登山道に戻って上高地に向けて下りていく。先日の大雨で登山道が水に抉られた箇所を通過する。この美しい水の流れがひとたび牙を剥くとこのような破壊力を生むのだなあ。
大曲を少し過ぎたところで沢の水にネッククーラーを浸していると、下にいた兄ちゃんに立ち止まるな、早く通過しろと言われる。どうやら兄ちゃんは山岳救助隊員で、要救助者を介抱しているようだ。察するに今からヘリが来るのだろう。果たして槍沢キャンプ場に差しかかるころにヘリが上空に現れた。後で報道で知ったところによると下山中に1mほど滑落して足を骨折したそうだ。無事登頂も果たして大曲まで下りてきて残りは上高地までほぼ平坦な道というとこで滑落・骨折か。他山の石としよう。
槍沢ロッジで昼メシ。槍サワーがナイスネーミング。しかも美味い。
その先も登山道が崩落している箇所がいくつかある。急ごしらえながら立派な桟道がつくられていたりして山小屋の方々の土木力の高さに驚くとともに尽力に感謝せざるを得ない。
横尾、徳澤とペースは上がらないながらも通過していく。明神から先は登山道がまだ通行止めらしく右岸の遊歩道を歩く。サルがめっさいてて笑う。子ザル可愛い。
17時半、ようやく河童橋に到着。うへえ、超疲れた。タクシーに乗って深山荘へ戻り宿泊。温泉で汗を流し、飛騨牛ステーキに舌鼓を打って泥のように眠る。
3日目は快晴。平湯でお土産を買い、飛騨の大鍾乳洞を見学して帰阪。
ハードな山行ではあったが西鎌や天狗池にも行くことができ、山頂からはブロッケン現象も見ることができた。思い出に残る槍ヶ岳への旅となった。疲れたけど楽しかった。
来年はどこ行こう。北岳とかかな?
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する