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Yamareco

記録ID: 716193
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

欅平〜唐松岳〜不帰キレット〜天狗山荘〜猿倉

2015年09月11日(金) ~ 2015年09月13日(日)
 - 拍手
体力度
10
2~3泊以上が適当
GPS
18:36
距離
33.6km
登り
4,079m
下り
3,430m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
0:35
休憩
0:00
合計
0:35
距離 2.4km 登り 233m 下り 61m
16:55
35
17:30
祖母谷温泉
2日目
山行
12:03
休憩
1:39
合計
13:42
距離 20.4km 登り 3,418m 下り 1,484m
3:11
187
祖母谷温泉
6:18
52
7:10
7:21
6
7:27
45
8:12
8:22
62
9:24
9:35
157
12:12
12:29
17
12:46
12:53
33
14:27
14:40
13
14:53
14:56
54
15:50
16:00
35
16:35
16:36
17
16:53
3日目
山行
4:30
休憩
0:22
合計
4:52
距離 10.8km 登り 432m 下り 1,912m
4:21
54
5:15
5:18
37
5:55
5:59
47
6:46
6:54
14
7:08
7:09
11
7:20
4
7:24
7:25
13
8:35
10
8:53
14
9:07
9:12
0
9:13
ゴール地点
天候 12日: 晴れ,13日: (午前のみ)曇り稜線は強風、ガス
過去天気図(気象庁) 2015年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー 自家用車
黒部宇奈月温泉駅無料駐車場に自家用車駐車、新黒部から富山地方鉄道で宇奈月温泉、黒部峡谷鉄道で欅平へ
帰路は猿倉からタクシーで八方、バスで白馬駅、大糸線で糸魚川、北陸新幹線で黒部宇奈月温泉駅
コース状況/
危険箇所等
祖母谷から南越峠まで道細く、ヤブ化の進行、足幅の狭いトラバース、倒木によるルート切断など多し。餓鬼山避難小屋は山と高原地図にある標高1826mの場所より東、標高1900mにあり、1826mと思われる場所には避難小屋0.4kmの標識がある。
富山地方鉄道に新黒部駅から乗り込みます。新幹線乗り換え用に新設された駅。
2015年09月11日 14:17撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/11 14:17
富山地方鉄道に新黒部駅から乗り込みます。新幹線乗り換え用に新設された駅。
新黒部駅から振り返ると高架の新幹線黒部宇奈月温泉駅
2015年09月11日 14:17撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/11 14:17
新黒部駅から振り返ると高架の新幹線黒部宇奈月温泉駅
宇奈月からトロッコ列車に乗る。欅平行き最終の一つ前、窓無しオープン車両はガラガラ
2015年09月11日 15:09撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/11 15:09
宇奈月からトロッコ列車に乗る。欅平行き最終の一つ前、窓無しオープン車両はガラガラ
宇奈月に戻る列車は満杯
2015年09月11日 15:46撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/11 15:46
宇奈月に戻る列車は満杯
欅平から祖母谷温泉への林道を行く
2015年09月11日 16:47撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/11 16:47
欅平から祖母谷温泉への林道を行く
川の対岸に祖母谷温泉小屋が見えてくる。橋を渡ればもう直ぐ
2015年09月11日 17:18撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/11 17:18
川の対岸に祖母谷温泉小屋が見えてくる。橋を渡ればもう直ぐ
テン場横にある露天風呂。今日は貸切でした。
2015年09月11日 17:26撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/11 17:26
テン場横にある露天風呂。今日は貸切でした。
未明に祖母谷温泉を出発、唐松岳を目指す。
2015年09月12日 03:15撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 3:15
未明に祖母谷温泉を出発、唐松岳を目指す。
南越峠を過ぎて稜線の道となり、幅のある道らしい道になって来た。
2015年09月12日 05:40撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/12 5:40
南越峠を過ぎて稜線の道となり、幅のある道らしい道になって来た。
ブナの木立が立派
2015年09月12日 05:47撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/12 5:47
ブナの木立が立派
餓鬼山避難小屋
2015年09月12日 07:09撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/12 7:09
餓鬼山避難小屋
餓鬼山への登りにある連続梯子
2015年09月12日 07:47撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 7:47
餓鬼山への登りにある連続梯子
餓鬼山山頂手前、剱岳ではないか。この角度は北方稜線がよく分かる。
2015年09月12日 08:00撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 8:00
餓鬼山山頂手前、剱岳ではないか。この角度は北方稜線がよく分かる。
餓鬼山山頂にて。天狗から白馬方面が重なって見えている。
2015年09月12日 08:13撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 8:13
餓鬼山山頂にて。天狗から白馬方面が重なって見えている。
唐松岳が堂々としている。あそこまでに一度随分下ると分かる。
2015年09月12日 08:13撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 8:13
唐松岳が堂々としている。あそこまでに一度随分下ると分かる。
剱・立山がやはりかっこいい。
2015年09月12日 08:24撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
9/12 8:24
剱・立山がやはりかっこいい。
痩せ尾根の戸渡越え。
2015年09月12日 08:41撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 8:41
痩せ尾根の戸渡越え。
アカモノとシロモノ(シラタマノキ)の混在でしょうか。
2015年09月12日 08:46撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/12 8:46
アカモノとシロモノ(シラタマノキ)の混在でしょうか。
今日初めてすれ違った人。
2015年09月12日 08:47撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 8:47
今日初めてすれ違った人。
紅葉の走り。ナナカマドは実だけが赤い。
2015年09月12日 08:49撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 8:49
紅葉の走り。ナナカマドは実だけが赤い。
大黒鉱山跡
2015年09月12日 09:22撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 9:22
大黒鉱山跡
大黒鉱山跡から10分くらいで水場下るの標識。非公認地だがテン泊も可能。
2015年09月12日 09:35撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/12 9:35
大黒鉱山跡から10分くらいで水場下るの標識。非公認地だがテン泊も可能。
唐松頂上山荘が見えた。未だ大分上にある。
2015年09月12日 11:04撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/12 11:04
唐松頂上山荘が見えた。未だ大分上にある。
リンドウ咲いた。
2015年09月12日 11:05撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/12 11:05
リンドウ咲いた。
鎖場、ガレ場、トラバース有りで、疲れても来てなかなか標高が上がって行かない。
2015年09月12日 11:44撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 11:44
鎖場、ガレ場、トラバース有りで、疲れても来てなかなか標高が上がって行かない。
唐松岳から不帰、天狗、白馬岳と重なる眺め
2015年09月12日 12:47撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 12:47
唐松岳から不帰、天狗、白馬岳と重なる眺め
ここは不帰2峰南峰。3峰から2峰南峰、北峰、1峰と登り下りしてキレットに行く。
2015年09月12日 13:29撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 13:29
ここは不帰2峰南峰。3峰から2峰南峰、北峰、1峰と登り下りしてキレットに行く。
2峰下りの鎖場
2015年09月12日 13:40撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 13:40
2峰下りの鎖場
2峰-1峰間のコルから1峰方面
2015年09月12日 14:18撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 14:18
2峰-1峰間のコルから1峰方面
下って来た2峰の岩壁
2015年09月12日 14:19撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 14:19
下って来た2峰の岩壁
天狗の大下りの稜線にガスが架かり始める。
2015年09月12日 14:35撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 14:35
天狗の大下りの稜線にガスが架かり始める。
ブロッケン出現
2015年09月12日 15:37撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 15:37
ブロッケン出現
西に太陽、東に稜線から立ち上る霧、自分の影が霧のカーテンに写るように立つとブロッケンが出来ると、大変良く理解できた。
2015年09月12日 15:37撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
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9/12 15:37
西に太陽、東に稜線から立ち上る霧、自分の影が霧のカーテンに写るように立つとブロッケンが出来ると、大変良く理解できた。
天狗の頭に到達。テン場まであと少しだ。
2015年09月12日 16:36撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
9/12 16:36
天狗の頭に到達。テン場まであと少しだ。
テン場のある天狗山荘に着いた。
2015年09月12日 16:50撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/12 16:50
テン場のある天狗山荘に着いた。
夜明け前に鑓ヶ岳に到着。風が強く、暗雲漂っている。
2015年09月13日 05:15撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
9/13 5:15
夜明け前に鑓ヶ岳に到着。風が強く、暗雲漂っている。
白馬岳方面は暗く、怖い雰囲気。強風と、風上の雲の厚さからエスケープを決めた。
2015年09月13日 05:15撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/13 5:15
白馬岳方面は暗く、怖い雰囲気。強風と、風上の雲の厚さからエスケープを決めた。
朝日輝く一瞬。この後太陽は上の雲に隠れて行く。
2015年09月13日 05:28撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
10
9/13 5:28
朝日輝く一瞬。この後太陽は上の雲に隠れて行く。
天狗方面も一瞬のモルゲン
2015年09月13日 05:31撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
9/13 5:31
天狗方面も一瞬のモルゲン
鑓温泉へ下ります。
2015年09月13日 05:38撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/13 5:38
鑓温泉へ下ります。
大出原の斜面を下る。稜線を外れると穏やか。
2015年09月13日 05:55撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/13 5:55
大出原の斜面を下る。稜線を外れると穏やか。
雪渓の向こうに鑓温泉小屋が見えたが、霧に隠れた。
2015年09月13日 06:40撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/13 6:40
雪渓の向こうに鑓温泉小屋が見えたが、霧に隠れた。
鑓温泉下にまだミヤマキンポウゲが咲き誇っている。
2015年09月13日 07:03撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/13 7:03
鑓温泉下にまだミヤマキンポウゲが咲き誇っている。
林道まで下りて来た。猿倉の小屋までもう直ぐ。
2015年09月13日 09:05撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/13 9:05
林道まで下りて来た。猿倉の小屋までもう直ぐ。
2年ぶりの猿倉荘に到着
2015年09月13日 09:12撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/13 9:12
2年ぶりの猿倉荘に到着
新幹線で黒部宇奈月温泉駅へ。リッチだって? 糸魚川から新幹線で14分、\1530だが、在来線は魚津-新魚津乗り替えで\1590か滑川経由で\2100でどちらも2時間以上かかるのだ。
2015年09月13日 13:06撮影 by  uTough-6020 , OLYMPUS IMAGING CORP.
7
9/13 13:06
新幹線で黒部宇奈月温泉駅へ。リッチだって? 糸魚川から新幹線で14分、\1530だが、在来線は魚津-新魚津乗り替えで\1590か滑川経由で\2100でどちらも2時間以上かかるのだ。

感想

黒部峡谷の欅平から後立山の稜線へは白馬岳への清水尾根と唐松岳への餓鬼山ルートの二つの登路があり、どちらも長大な健脚ルートである。清水尾根は2010年の7月に登ったが、餓鬼山ルートに今回挑戦した。あわよくば清水尾根から欅平に戻って来ようと考えていたが、最終日天候判断で猿倉へとエスケープする結果となった。

11日: 金曜日午後休にして北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅の駐車場までドライブ、新黒部駅から富山地方鉄道で宇奈月温泉へ。下校する小学生がランドセルに熊鈴を付けていてジャランジャランと車内を歩く。宇奈月から黒部峡谷鉄道のトロッコ列車で欅平へ。30分余り歩いて祖母谷温泉小屋へ、露天風呂付きのテン泊である。

12日: 未明に祖母谷温泉を出発、祖母谷、祖父谷の橋を戻って南越沢の山道に入る。いかにも通行量の少ない細い道で、藪が被った場所、足幅だけのトラバース道が多く、倒木で寸断されたルートを見つけるにも暗闇では骨である。

南越峠に達して稜線の道になるとはっきりした迷わない道になった。ここから上は唐松頂上山荘の方から刈り払いに来ているらしい。避難小屋を経て餓鬼山に達する。ここで初めて唐松岳が堂々と聳えるのを眺め、背後に剱、立山も良く見える。ここから大黒銅山跡まで250mほど下りて、唐松岳へと標高差800mの「馬鹿下り」を登る。このルートは唐松岳という一つの山に登る道なのではなく、餓鬼山というひとつの立派な山を越えて唐松岳に達する縦走路なんだと実感した。ここの後半で少し疲れを感じてペースが落ちた。どうも腸の調子が少し良くないようで、水を飲んでも吸収が遅く、疲れを誘発した感じである。正午までに唐松岳に着きたかったが少々遅れた。

 頂上山荘と唐松岳山頂の間だけは銀座にいるような人口密度だったが、不帰への道に入ると再び静寂の一人旅に戻った。唐松山頂から不帰キレットを越えて天狗の大下りに至るまで、「破線」の道になっているが、奥穂-西穂間や槍穂の大キレットのように延々と鎖場や三点支持の必要な岩場が続くのではなく、散発的である。核心部は二峰の南峰-北峰間と一峰の周辺位か。唐松に向かう人たちとは時々すれ違う。僕と同じ方向、北へ天狗を目指す登山者は、僕が二峰北峰にいる時に3人一峰に取り付いてるのが見えた。僕より後は多分もう誰もいない、そういう時間帯だ。先を行く人には、普段なら追いつくペースかと思われたが、僕の方がヘロヘロペースになっていてむしろ引き離されてしまった。二峰、一峰と登り下りしてキレットに達し、標高差300mの「天狗の大下り」のガレを、これで最後と孤独の辛抱登り、太陽が大分西に傾いて来たがまだ日没には余裕はある。風が西から吹き、稜線の東斜面から巻き上がる渦に霧が立つ。その霧に自分の影が映る様に稜線に立つと、そこに出来るのがブロッケン、発生条件が大変良く理解できるシチュエーションだった。

 天狗の大下りを登り切って標高2700mに達すると緩斜面になってだらだらと登って2800mの天狗の頭、そして100mを緩く下って天狗平、天狗山荘のある今日のねぐらに着いた。ほっとした。長かった。本日歩行距離は20kmを越え、累積獲得標高は3100mに達していた。

13日: 起床して夜空を仰ぐと、星は見えるがしばしば霧が視界を塞ぐ。天気が良ければ白馬岳から清水尾根を下って欅平へ戻りたいのだが、天気予報は長野側が曇りのち雨、富山側が朝から昼まで雨と微妙である。ともかく白馬岳を目指して歩いてみることにする。

 天狗山荘のテン場から稜線に上がっていくと、風が強い。西から強く吹き付け、飛ばされるほどではないが、まともに風上に顔を向けられない強さ。辛抱して鑓ヶ岳に達して北の方が見えてくると、白馬岳はかろうじて見えているがガスに取り巻かれている。西の方、立山連峰方面は黒い雲に覆われている。そちらでは雨になっていて黒部の谷を渡って吹き上がってくることでこちらでは雨になっていないと考えられる。この先稜線を進んでガスに突入すると、風だけでも濡れるしいつ雨になっても可笑しくないと思われた。そしてこの風がどうにも辛い、ということでエスケープの決断をした。

 鑓ヶ岳から引き返して鑓温泉への分岐に戻り、大出原の坂を下りる。稜線を離れると途端に風は収まって穏やかな山歩きになる。下から見上げる稜線は一貫してガスがかかるようになった。鑓温泉でまた高人口密度になる。鑓温泉からは下る登山者が多く、のんびりペースのグループの割合が多いので、抜かせてもらいながらひたすら歩いて、朝9時過ぎには猿倉荘に到着。バス停を捜すまでもなく、直ぐにタクシーの運ちゃんがやって来て乗らないかと。乗客5人集まって皆八方までと言うので僕も八方まで、八方の湯前で下してもらった。バスなら930円が1人600円で済み、10時には湯につかる人になっていた。

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コメント

実はこっそり狙ってたんですよ・・・
Nishidenさん、祖母谷温泉からの縦走、おつかれさまでした。

計画を拝見し、実は自分も金曜日休みだったので計画に相乗りさせてもらおうか・・・と随分悩んでいました。
日曜日の天気予報がどうにもイマイチな感じだったので日帰りで八ヶ岳に逃げてしまいましたが。

唐松を裏側から登るというのも新鮮だし、当初の計画の通り白馬から清水尾根を周って戻るというのも理想的ですね。
そのうち機会があったら行ってみたいと思います。

不帰キレットの2峰北峰の写真を見て緊張感がよみがえりました。
それと鑓温泉下のミヤマキンポウゲ。
去年の同じ時期に同じようにミヤマキンポウゲを見て違和感を感じたのを覚えています。

話はそれますが、tekapoさんのレコのコメントでayuhoさんの結婚パーティー?の話を知りました。
ぜひよろしくお伝えください。
2015/9/14 20:14
Re: 実はこっそり狙ってたんですよ・・・
あれ、Sanchan、ちと残念。

欅平から登るのに朝一のトロッコだと9時くらいになっちゃうので避難小屋までしか行けない。1日で稜線に上がるために金曜日に祖母谷温泉まで入ったんですよ。
稜線の泊まり場も水場のない唐松より天狗にしたかった。
金曜休みで丸々3日使えれば餓鬼山-清水尾根周回も大分無理なくなりますね。健脚コースの範囲内ですけど。次の機会にぜひどうぞ。

ayuhoさんの件承知しました。登山家と空手家の異分野アスリートのカップルです。どんな彼氏か楽しみ。
2015/9/15 6:21
なんともハードな二日目
二日目の累積標高3000mですか・・・
おまけにキレット越えですもんね。
nishidenさんがヘロヘロになるなんて聞くだけでハードさがわかります。
普通の人ならこんな行程は思いつかないでしょうねぇ〜
でも、チャレンジしてみたい気持ちも少しはあったりして・・・
2015/9/14 23:50
Re: なんともハードな二日目
祖母谷から天狗平まで14時間近くかかっちゃいましたからね。標準コースタイムから1時間しか縮めてません。
体調も万全ではなかったようですが、こういう難コースのコースタイムは誤差が大きいという気がします。コースタイム基準が想定しているレベルの人だと歩き切れないところですから。
ナイトハイクではペースが上げられない整備状況だったこともありますね。
2015/9/15 6:38
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