極上のスカイライン(宝剣岳〜桧尾岳)
- GPS
- 09:47
- 距離
- 11.4km
- 登り
- 754m
- 下り
- 2,160m
コースタイム
天候 | くもり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
宝剣岳は宝剣山荘から山頂までより、山頂から三ノ沢分岐までの方が危険。千畳敷から極楽平へ上がりそのまま宝剣岳へのルートは安易に選択しない方がいいです。 |
写真
装備
個人装備 |
アンダーシャツ
長袖シャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着(フリース)
雨具
日よけ帽子
ヘルメット
着替え
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料(1.5L)
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
|
---|---|
共同装備 |
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
ツェルト
無線
|
感想
:朝、小雨が降る中4:30にバス待ちの列へ並ぶ。昨日見た天気予報では一日中曇り予報だったが、本当に大丈夫か?と少し不安になる。
5:00 2便目のバスに乗車。始発は5:15の予定だが、長蛇の列を見て出発時刻を早めた模様。バスは今日の下山予定地である桧尾橋バス停を通過し、くねくね道をうんうんうなりながら登り、30分程でしらび平へ到着。この時点でもまだ霧雨だ。左線側の宝剣号が降りてきた。山手線か?と思わせる程のすし詰め状態でロープウェイは出発。ガスが立ち込める幻想的な山肌を眺めながら高低差950mを7分半で駆け上がる。今日は桧尾岳から登山口までの高低差1500mを4時間かけて下る計画を立てているが、時間が押して来たら下りもこいつのお世話になりましょう(^^)。
そんなことを考えている内に空が一気に晴れた。雲上へ出たのだ!車内から一斉に歓声が上がる。気分が一気に高まる。
6:00 ロープウェイを降り、雲海を眺めながら朝食。『タンメンとタンタンメンのどっちにする?』「タンタンメン!」とほんわかな会話をしながら、お決まりの味付きゆで卵を中央に落とし、赤飯おにぎりと一緒にいただく。
一気に高度を上げてきたので、ここで30分程ゆっくりするのが通例。
6:45 外に出る。真っ青な空にくっきり浮かび上がる稜線が今日も綺麗だ。登山を始めて2年余り、100回目はどんな山行になるのやら?
千畳敷に咲く花々の写真を撮るために立ち止まり、後ろから人が寄ってきては道を譲りをしながらゆっくり歩を進める。「登山は先を争うスポーツではない」という竹内洋岳の言葉を思い出す。カールの途中から振り返ると富士山が頭を出していた。今年もあの山頂へ立っているのか? ※今年は5合目までの富士散歩を2週間後に計画中。
一時間弱で乗越浄土へ到着。すこぶる順調である。右は昨年歩いた伊那前岳方面の稜線、正面は中岳方面、振り返ってカールの向こう側には南アルプスの峰々と富士山、そして今日の縦走路を確認する。
靴ひもを締め直して宝剣岳へ挑む。山頂を右に巻くように立ち入り制限の緑ロープが張られている。鎖場が何ヶ所か出てくるが、登りでは特に必要ない。朝早くだったからか、山頂には数人しか居ない。3m程出っ張った岩をよじ登り、直径50cmの小さな山頂に立つと、さすがの高度感に肝が冷える。
しかし、今回は100回記念山行なので、得意のフライングポーズを決めておかねば。
涸沢岳の尖った岩や、便石山の像の背よりも安定感がありそうな岩にお腹を載せ、飛ぶ!
カメラマンからなかなかOKが出ない(>_<) もうえーやろ?(笑)
山頂に上がってきた別のパーティから「ヘルメット被ってるってことは、これから空木方面へ行くんですか?」と聞かれる。きたきたこの質問と思いながらこう切り返した。『ヘルメットを被らなくてもいい場所なんてありませんよ。山に行くときにヘルメットを被るのは、車に乗ってシートベルトを着けるのと同じですから(^^)』。私は500mの山でもヘルメットを被ります。
さて、ここからは初めて臨むコースである。山と高原地図に「危」と書かれた宝剣岳南稜を下り始めると、南側から危なっかしい足取りで登ってくる人が何人もいる。足を踏み外せば東側の谷へ1000m以上滑落する危険ポイントだ。我々も足の置き場に注意しながら慎重に進む。途中綺麗な高山植物が緊張した心をポッと癒してくれた。
三ノ沢分岐で老夫婦と息子さんの3人組に会う。これから宝剣岳へ行ってくると言う息子さんに、お母さんが無理しないでねと何度も何度も声をかける。何歳になっても親は親なんだね(^^)
ここから延びる三ノ沢岳までの稜線も両側が切り落ちた綺麗な形をしており、次は是非来てみたい!と思うほどであった。
サギダルの頭を迂回し、千畳敷が臨める場所に出た。つい2時間ほど前は数百m下にあった雲海は、今にもホテルを飲み込みそうな高さまで上がってきていた。極上のスカイラインに挑む我々も、あと数時間でその雲に飲み込まれてしまうのだろう…
9:22 極楽平到着。ここまでは予定時刻通り。
まっすぐ南へ延びる稜線を登り返して島田娘へ。空気が薄く、思うようにスピードが出ない。そうこうしている内にガスが上がってきた。
稜線は尾根芯ではなく、少し東側をトラバースするルート。ザクっとえぐられた西千畳敷と、その向こうの三ノ沢岳までの稜線を眺めながらボチボチ下る。
P2711へ登ったあとは急な下り坂だ。ここでこの稜線にきて初めての登山者とすれ違う。ここは千畳敷や乗越の喧騒から隔離されたとても静かなルートである。
2931mの宝剣岳から2728mの桧尾岳までは多少のアップダウンを繰り返しながらも下り基調の歩きやすいルートかと思っていたが、濁沢大峰への登り返しは想像以上にキツく、ここが桧尾岳であってくれ!と心の中で叫んだ。
ピークに立つ立派な桧(?)の柱には道標が付いておらず、申し訳なさげにマジックで『濁沢大峰』と小さく書かれていた(笑)
2724mの濁沢大峰から2536mのコルまで200m足らずの下りは鎖場が点在する危険箇所。先ほどの登りで足元がフラつくなか、気を引き締めて慎重に進む。
森林限界を下回る高度まで下がると、そこは一面の花畑。伸びきった松の枝をかい潜りながら再び高度を上げていく。
12:13 少し時間が掛かったものの、何とか桧尾岳へ到着した。辺り一面ガスガスで『なんにも見えねぇ〜!』。先ほどの濁沢大峰と同じ木の柱に、『桧尾岳山頂』の立派な彫刻文字と、北を指す道標には『至駒ヶ岳』、南は『至空木岳』の文字。
さて、どうする?思ったより時間が掛かったのと、結構な疲労感。更に先ほどすれ違った2人目の若い登山者の『桧尾尾根を下るんですか〜。なかなか興味深いコースですが、僕は年パス買っちゃったので、桧尾岳で折り返してロープウェイで降ります(^^)』という言葉が脳裏によぎる。今回の登山計画書にもそのエスケープ案が記載してある。引き返した方が、尾根を下るより時短できるのである。
休みながら数分間自分の中で問答を繰り返す。。。
今の体調なら、この高度で行動するより尾根を下った方が安全だ!下り始めてダメなら、避難小屋まで登り返すか、途中でビバークしよう。
ということで、桧尾尾根へ。
しかし、『←桧尾避難小屋』と書かれた道標は北を向いている。そのまま稜線の西側には明瞭な踏み跡が延びている。。。
んん?と思っていたら、東向きの道標が出てきた。下り始めたら今日一番のお花畑が現れた。
旧避難小屋?の石積みを横切り、少し登り返したところにかまぼこ型の屋根を載せたおしゃれな外観の避難小屋が姿を現した。反対側に回って玄関を開けると、そこは20畳程の広さで、『おーー!』とうなるような綺麗な板張りの部屋になっていた。北側の壁にはシュラフとマットが4組。南側の壁にはガスカートリッジ、コンロ、そして詰め替え用ファブリーズが3袋(笑)。確かに何日も風呂に入れないと臭うからな~。靴を脱ぎ、背伸びをして少しくつろぐ。お風呂があったら今日はここに泊っていきたいなぁと思う快適さだ。
朝食に「タンタンメン!」を戴いたので、お昼は『タンメン』である。お決まりの味付きゆで卵を中央にダイブさせ、おにぎりと一緒に暖かいスープをお腹の中へ流し込む。至福のひと時である。
30分程くつろいだかな。さて、ここから長い長い激下りの始まりである。
ダケカンバ、ブナ、松、と植生がどんどん変化していく一見楽しそうなルートだが、足元は濡れて滑りやすい根っこ地獄。傾斜が緩くなった辺りがシャクナゲのピークと呼ばれる場所だ。これ全部咲いたら綺麗だろうな。
他にもギンリョウソウの蕾があったり、毒々しいきのこがあったりと、先ほどまでのスカイラインとは別の風景を楽しみながら、14:50に赤沢ノ頭へ到着。先ほどのシャクナゲのピークからここまでは、コースタイムより25%も速い!だって、空気が濃い〜いから体も動く(^^)
この先は更なる急斜面が待ち構えていると思っていたら、しっかり整備されたふかふかの登山道になっていました。整備してくれた方々に感謝しながら、順調に飛ばす。ここまでくればバスには間に合う♪
先程までの下りで無理をしたのか、右足小指が痛いとKOZが立ち止まる。擦れて真っ赤になっているが、ずり剥けてはおらず、靴ひもを調整して再出発。ゆっくりでいいからね(^^)。少しペースを落とし、鳥の声に励まされながらボチボチと下る。そういえば、ここのウグイスは『ポー、ポテチ!』って鳴いてた(笑)
遠くに登山道路が見えてきた!
しかし、下れど下れどなかなか登山口は現れない。
沢の音がだんだんと大きくなってきた。高度計を確認する。あと50m!バスの音だ!
下山客を迎えに行く空のバスが、うなりをあげて登山道路を駆け上がっていった。
16:17 桧尾登山口へ到着。お疲れ様でした。
大カーブを左に曲がると『K19 桧尾橋』バス停だ。
靴ひもを緩める間もなく、バスが降りてきた。「2人乗れますか?」『空いてる補助席を使ってください』。昨年は北御所登山口から立ったままバスに揺られたが、今年は座れる(^^)
こうして、今年も無事に夏の中央アルプスを楽しむことが出来ました。さて、次回はいよいよ空木〜桧尾〜宝剣〜木曽駒縦走ですねぇ。
ここまで長文にお付き合いいただき、ありがとうござます。
2年前に富士山の練習として初めて訪れてから、今回で5回目の千畳敷。毎回青い空を見上げながら乗越へ登れるこの場所が大好きです。
『年パス』ポチろかなぁ?(笑)
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する