白峰三山 富士山に続き念願のワン・ツー・スリーを達成
- GPS
- 32:00
- 距離
- 24.6km
- 登り
- 2,564m
- 下り
- 3,249m
コースタイム
- 山行
- 8:50
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 9:55
- 山行
- 8:35
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 9:25
特に北岳山荘から奈良田バス停までは大幅にペースを落としていますので、参考にならないと思います
天候 | 7/25 晴れのち曇り 7/24 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
奈良田〜広河原 山梨交通バス (運賃1,030円+荷物運賃100円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません |
写真
感想
昨年から計画していましたが、日程と天候が合わずにずっと延期になっていた白峰三山。
今回は天気の崩れが少なそうな土日で決行することに。
もともと2泊3日で行こうと思っていましたが、1泊2日に変更したため、2日目の歩行距離が長くなってしまうことが心配でした。
しかもここの所体調不良で、最後まで行こうかやめようか迷っていましたが、このチャンスを逃すと当分行けなくなってしまうので無理をして出発しました。
1日目
広河原へのバスが出る奈良田第一駐車場に午前4時前に到着。
仮眠を取ったり食事をしたりして、5時くらいにバス停に並び始めました。
奈良田のバス停は、芦安と違ってすごい行列が出来ているわけでもなかったので、余裕で始発のバスに乗ることが出来ました。
広河原に到着すると、多くの方が北岳方面へ向かっていました。
私達もトイレを済ませて出発します。
最初の吊り橋を渡り、広河原山荘の脇の登山道から登り始めますが、さすが北岳。すごい人数の人が登っていきます。
ベルトコンベアーのようにノロノロと列になり登ることしばらく。
樺沢二俣方面との分岐で結構人数がバラけ、私たちが進む白根御池小屋方面はガラガラになりました。
濡れて滑りやすい急登を進み、広河原山荘から2時間程で白根御池小屋に到着。
御池は意外と小さかったですが、キレイな小屋で居心地が良さそうな感じでした。
ここで「南アルプスの天然水」を補給し、一気に北岳を目指します。
草スベリはかなりの急登で、結構苦戦しました。
小太郎尾根分岐で少し休憩。
ここからは岩稜帯の道を進みます。
晴れていたらさぞ絶景だったのでしょうが、残念ながらガスで真っ白。
それでも色とりどりの高山植物を楽しみながら歩き、北岳肩の小屋へ。
この辺で少し体調がおかしいな?と思いましたが、ここまでわりと良いペースで来ていたので、肩の小屋ではトイレ休憩だけして先に進むことにしました。
肩の小屋から北岳山頂までの登りは、今までよりは急ではなかったので難なく登頂。
真っ白で何も見えませんでしたが、これで標高第2位の山に登ることが出来ました!感無量です。
記念写真を撮って、しばらく山頂を堪能してから北岳山荘へ向かいます。
八本歯のコルからの分岐までは急傾斜の下りが続き、ようやく北岳山荘へ到着。
ここでお昼休憩を取りましたが、ご飯を食べた後体調が悪化。
kenboさんと、このまま北岳山荘で泊まるか先に進むか相談して、なんとか大丈夫そうなので先に進むことに。
2日目の行程を少しでも縮めるために、今夜は農鳥小屋に泊まることになりました。
ゆっくりめのペースで中白根岳〜間ノ岳を進み、途中ライチョウさんの家族に癒されたりしながら、16:40なんとか農鳥小屋に到着。
農鳥小屋は噂では15時を過ぎるとオヤジさんに怒られるそうですが、そんなことはなく、「すいません。遅くなりました!」と恐縮して話しかけたkenboさんに、オヤジさんは「お疲れ。受付は荷物を置いてからでいいぞ。」と普通に対応して下さいました。
おや?意外と優しい?
後で水を貰いに行ったkenboさんが、「一人1リットルと言われて汲んでいたら、ケチケチしないでもっと持って行っていいと言われたよ。」と驚いていました。
ここに来るまでの道程でも農鳥小屋の(オヤジさんの?)酷評を聞いていましたが、意地悪な感じではなく、ちょっと一言多い武骨な山男という印象を受けました。
噂はあくまで噂ですね。
体調不良で疲れたので、この日はテントに入ってすぐに横になりました。
2日目
昨日とは打って変わって清々しい晴天です!
農鳥小屋からは、昨日通ってきた北岳〜間ノ岳の姿がくっきりと見え、雲海の向こうには鳳凰三山や富士山の姿がありました。
体調不良は昨日よりはよくなっていましたが、大事をとってゆっくりペースで進むことにします。
まずは西農鳥岳を目指します。
小屋からすぐ西農鳥への登りが始まりますが、遠くから見ると結構な登りに見えます。
北岳山荘からだったらこの登り返しはキツいかもしれませんが、農鳥小屋からなら見た目より楽に登ることが出来ました。
さらに進んで農鳥岳。
ここも眺めは最高で、何組かの方々が絶景を眺めながら休憩をしていました。
私達も今まで歩いてきた道をバックに記念写真をパチリ。
これで念願の白峰三山踏破です!
あとは下るのみ。
大門沢下降点からは「キツい」と噂の下りが始まります。
最初はハイマツの中をくねくね下り、やがて樹林帯に入ると道が濡れている所もあって滑りやすくなっていました。
とにかく長い道を延々と下り、やがて川の音が聞こえてきて、危うい橋を何度か渡ります。
いい加減下りに飽きてきた所で、大門沢小屋に到着。
ここでお昼ご飯にしました。
沢の水で冷やされたビールを飲んでご満悦のkenboさん。
小屋番さんから、この先の道はそこまで険しくないと聞いていたけど…大丈夫かな?
昼食を済ませて、奈良田を目指します。
もう後は平行移動かと思っていましたが、意外とアップダウンがあり、今まで以上に危うい橋や、滑りやすい梯子などがあり気が抜けません。
転倒に気を付けながら(1回転んでしまいましたが)下り、ようやくコンクリ―トでできた建造物が見えてきました。
高所恐怖症の人には絶対にお勧めできない吊り橋を渡り、大門沢登山道入り口に到着。
ここから奈良田バス停まで4.3km。
アスファルトの道を1時間くらい歩きます。
途中、第1発電所バス停で係のおじさんに「もうすぐ奈良田行のバスが来るよ」と教えていただきましたが、せっかくなので最後まで歩くことにしました。
30分程テクテク歩いて、やっとゴール!
2日間辛かったけど、歩き切れたので大満足です。
今回は体調不良を押して歩きましたが、今度からはこんなことがないように気を付けます。
色々な意味で、白峰三山は思い出に残る山となりました。
何年も先のことになるかもしれませんが、また同じ道を同じ日程で歩いてみたいと思います。
その時はまた農鳥小屋に泊まりたいな。
北岳山荘のように賑やかではないけれど、トイレさえ我慢すれば絶景のテント場があるので。
もし白峰三山を1泊2日で歩くなら、断然農鳥小屋泊をおススメします!
北岳周辺のトイレ事情…
個人的にキレイだなと思った順。
北岳肩の小屋=北岳山荘>農鳥小屋>大門沢小屋でした。
農鳥小屋の滑り台トイレよりも衝撃的なトイレはないと思っていました、大門沢小屋の方が上でした…
昨年からずっと行ってみたくて、今年の海の日3連休で2泊3日で予定していた白峰三山。しかし、生憎の天気で延期となりました。公式な3連休となると9月の敬老の日までなく、また、その時に好天に恵まれるかどうかはわからないため、決して無理な行程ではない1泊2日とし、2日間とも曇り予報ではありましたが、この度決行することにしました。
前回の四阿山以降、体調が絶不調なkazuruさん。白峰三山は楽な縦走ではなさそうなので、私のみで行く予定でしたが「白峰三山はもともと行ってみたかった。先週に富士山に登ったし、標高ワン・ツー・スリーを達成したいから、どうしても行きたい」と仰います。そこで、全体的にゆっくりめで進み、絶対に無理はしないでダメなら途中で撤退することを条件に、同行していただきました。
7/23
甲府南ICを下りてから奈良田までの30km超の道のりは、初めて通る道でもあって遠く感じました。芦安のように他の車のライトの灯りが見えない中、暗闇の中をナビの指示に従って車を走らせます。西山温泉付近では、カブトムシでも捕まえるためか、虫籠を手にしたお子さんが洞門内の真ん中を歩いていたりと、注意しながら奈良田に到着。3:45時点で、第一駐車場は2台分の空きがありました。あれ?あまり人は多くないのかな?
芦安だったらバス停に並び始めないと始発便が危うくなりそうな時間でも、静まり返っていました。4:30まで仮眠をとり、食事をしていると第二駐車場に向けて車が数台通過する程度でした。5:00前頃からバス停に並び始めたので、私たちも準備をして並んで乗車。第2駐車場からも乗車してきましたが、バスを1台増便しただけで間に合いました。
広河原に到着すると、芦安からのバスが先に到着しているため、トイレに行列ができているなど、ごった返していました。北沢峠行きのバスに並ばずに多くの方が北岳方面に進んでいくため、北岳山荘のテント場が気になります。準備運動を済ませて出発です。
合戦尾根に似て、ベルトコンベアーのように一列になって進みます。ゆっくりめのペースで進むことにしていましたが、年配の方が早くも転倒して流れがストップするなどしていて、これは少し遅いかな。これからの行程を心配しながら分岐点に到着すると、多くの方はここで休憩、もしくは大樺沢二俣方面に進まれ、私たちが進む白根御池小屋方面はガラガラになりました。
ちょうど良いペースで歩いていると、奈良田で見かけたソロの女性が年配のご夫婦とお話されているのが聞こえてきました。ソロの女性は、農鳥小屋にてテント泊を予定しているようでしたが、ご夫婦は以前に利用したことがあるようで、「到着が15:00を過ぎると怒られる」「小屋から双眼鏡で見ていて「そんな歩き方だから遅いんだ」とケチをつけられる」「女性一人だとたくさん話しかけてくると思うから気を付けて」「客に対する態度ではない。何か言われても無視したほうが良い」などと、農鳥小屋の酷評を伝えています。
噂通りの内容だな…と思いつつ、私たちが北岳山荘泊を予定している中、農鳥小屋を目指す方がいるのは心強い。もし可能なら、今日中に農鳥小屋まで行ってしまえば、明日の行程が楽になるな…。そのようなことを考えながら、白根御池小屋に到着。白馬大池のようなスケールを想定していたので、意外と小さな池に拍子抜けでした。種池・冷池よりは大きいかな。
kazuruさんの調子はまだ大丈夫そうですが、ここの水場で「南アルプスの天然水」を補給し、休憩します。ソロの女性が到着したので、話しかけてみると「今日は天気が良さそうなので、農鳥小屋に17:00に到着できれば」とのこと。「私たちも可能なら農鳥小屋まで進みます。テント場でお会いできたら、少しお話しましょう」と返しました。
先を目指します。草スベリは、結構な登りだったのでゆっくりペースを意識して登りましたが、右俣との分岐手前でソロの女性は見えなくなってしまいました。また、段々とガスが発生してきてしまい、どうやら北岳山頂は真っ白な予感。明日の朝に期待しよう、と気持ちを切り替えて登りました。小太郎尾根分岐でも少し休憩。ゆっくりめではあっても、ここまで良いペースで来れて少し安心しました。
森林限界を超えたのか、ここから先は楽しく歩くことができました。高山植物のお花が所々に咲いていて、今年の開花時期は終わってしまったキタダケソウを見てみたくなりました。
すぐに北岳肩の小屋に到着。テントは2張りありました。ここでトイレを借りました。事前情報からイマイチな感じ…と認識していましたが、比較的新しくてきれいでした。ここで、15:00を若干過ぎてしまいそうでも、農鳥小屋まで行けそうな気がしてきました。kazuruさんに確認すると「朝の空気が澄んでいるときに北岳と間ノ岳を見たいから、北岳山荘泊にしたい。でも、明日のことを考えて、農鳥小屋まで進もうか」と仰いました。
さて、次はいよいよ標高第2位の北岳山頂です。いつか登ってみたかったこと、今年の目標としていたこともあり、登りは全く苦になりませんでした。北岳には、逆方向から登ってくる方が多いのでしょうか、これまでの静かな歩きとは異なり、賑わっていました。みなさん笑顔で記念撮影をして、食事休憩等をしていました。真っ白で残念でしたが私たちも撮影を済ませ、北岳山荘で昼食にすることにしてすぐに出発しました。八本歯のコルからの分岐まではそこそこ急傾斜の下りが続き、登られてくる方は一様に辛そうな顔をされていました。これなら、山頂での笑顔の意味が理解できたような気がします。
北岳山荘に到着すると、テント場はまだ選び放題でしたが、山荘泊の場合は現時点で「布団1枚で2人」となっていました。これからどんどん混んでくるのでしょう。昼食を済ませて出発しようとした矢先、アクシデントが発生。「実は、北岳肩の小屋あたりから変だったの」とkazuruさんが体調不良を訴えてきました。えぇっ!?これには驚くとともに呆れてしまい「どうしてもっと早く言ってくれなかったのですか?」と本気で怒りました。今から広河原に明るいうち下山して、奈良田行の16:40発最終バスは出てしまっているからタクシーを利用するか、北岳山荘で泊まって安静にして、明日の様子次第で広河原に下山か予定通り奈良田ゴールを目指すか。どちらを選択するか迷っているうちにも、どんどんとテントの数が増えていきます。ここで泊まるなら、早くしないと良い場所がなくなってしまいます。
kazuruさんに確認すると「今日、ここで泊まると明日が長いんだよね。農鳥小屋まで行くと、奈良田へ下山するしかないしね」と、まだ白峰三山を歩くことに拘っていました(あとで、農鳥小屋から奈良田まで下山するよりも、戻って広河原に下山した方が早いと知ります)。「一応、標高3,000m級の山ですよ?そんな呑気なことを言っている場合ではないでしょう?」とさらに怒ると、しばらく考えたのか「休憩して少し落ち着いたから大丈夫だと思う。農鳥小屋に進んで、早く休みたい」と仰います。う〜ん、どうしよう。この先は、そんなに急な登りは無さそうだし、kazuruさんの言葉を信じて、大幅にペースダウンして進むことにしました。
中白根山を目指して、ユルユルと登ります。中白根山に着くと、これから進む方面のガスが出たり消えたりを繰り返し、間ノ岳がうっすらと見え隠れしてテンションが上がりました。しかし、再びアクシデントが発生。kazuruさんが立ち止り、苦痛に顔を歪めます。「北岳山荘に戻りましょう。テントでよく眠れないと困るので、山荘泊にしましょう」と申し出ると「北岳山荘は混んでいて余計に眠れないよ。農鳥小屋でゆっくり休むよ」と強気の発言。どうしても奈良田まで行きたいのかな?空を見上げると、雨は降らなさそう。農鳥小屋の小屋番さんに噂通りに怒られてもいいから、無事に到着しよう。
さらに間ノ岳までユルユルと登ります。ガスが発生していたこともあり、雷鳥さんが出ないかな?北岳肩の小屋あたりから期待していました。ここで、ようやく雷鳥ファミリーと今年初のご対面。4羽の雛はまだ小さく、お母さんらしき親鳥とともに行動を共にしていて心が癒されました。さらに進むと、また別の雷鳥ファミリーとご対面。今度は6羽の雛がいました。合計10羽の雛たちよ、無事に育ってね。
北岳山荘からのピストンでしょうか、半数近くの方が水も雨具も持参していない手ぶら状態で歩いていて、少し驚きながら間ノ岳に到着。これにて、標高のワン・ツー・スリーを達成することができました。間ノ岳からは、これまで歩いてきた北岳方面は真っ白で何も見えませんでした。しかし、これから進む農鳥小屋方面はちょうど晴れていてきれいに見え、この日一番の眺望を楽しむことができました。ここでお会いした男性に「農鳥小屋で親父さんに「ここで泊まれ」と言われたが、北岳山荘まで進むことにした。北岳山荘は予約なしでも大丈夫だから」と仰っていました。
農鳥小屋まで下ります。若干ザレてはいるものの、比較的歩きやすい道でしたが、それでもゆっくりと下りました。途中で、男性2人組に追いつかれました。「農鳥小屋泊ですか?」と尋ねると、「その予定だよ。15:00を過ぎてしまったから怒られるかな?でも、さっき遅くなると連絡したら「遅くなると雨が降る可能性が高くなるから早く来い」と言われたよ。この分だと到着が16:00を過ぎてしまうけれど、たぶん大丈夫かな?」と、噂通りのお返事でした。そして、しばらくの間、私たちのゆっくりペースに合わせて進むので「お先にどうぞ」と道を譲ろうとすると、「2人よりも4人で怒られた方が、怒りの矛先が分散されるから。親父さん、双眼鏡でこちらを監視しているぞ」と笑いながら仰るので、「先に到着して、テント泊の2人が向っていることを伝えてください」とお願いしました。
予定よりも大幅に遅れて、16:40に農鳥小屋に到着。先ほどの男性からOKサインをいただいて、親父さんを探します。ヘルメットを被っている男性がその方でした。噂通りに遅く到着したことや歩き方について怒られるかな?と覚悟して挨拶すると「お疲れ。よく来たな。テント場は向こうにあるから、まずは重たい荷物をおいてきな。受付はその後でいいぞ」と、あまりにフツーの対応で拍子抜けでした。その後、受付を済ませ、注意事項を伝達されました。
特筆すべきはお水についてでした。「少し離れた場所にある水場が復旧中で使えない。1人1Lまでなら、17:00までに取りに来れば分けてやる。朝は分けてやらないぞ」と言われ、すでにタイムリミット寸前だったので、慌ててテント場まで戻ってプラティパスを持ってきて、水を入れました。それを見ていた親父さんが「なんだよ、ケチケチしないで満杯に入れていいぞ。大切な水がないと困るだろう?」と、予想外のお言葉に驚きました。1mlでも多く入れたら怒るために見ているのだと思っていたからです。この時、確かに口が悪くてひと言多いかもしれないが、実はものすごく登山者想いの人なのだな…と妙に親近感が湧きました。
その後、テントを設営してから飲み物を購入しに行くと、水を貰いに来た男性が「17:00を過ぎているぞ。もう分けてやらない…とは言わない。でも、本当は17:00までだからな」と注意されていました。時間厳守ですね。これを上から目線と感じるか、時間を守らなかった自分が悪いと感じるか。農鳥小屋との相性は、このようなやり取りで判断することができます。
途中でお会いしたソロの女性は到着せず、テント場は私たちを含めて6張りでした。小屋泊も10名いない程度。北岳山荘泊だったら、遅くまで賑やかだっただろうな…。食事を済ませ、すぐに寝ました。
7/24
kazuruさんの体調を考え、いつもよりも30分遅く起床。食事と荷物整理を済ませて外に出ると、昨日とは打って変わって絶景が目の前に広がっていて、親父さんが小屋泊の方を中心に周辺の山々の説明をしていました。「みんなこの小屋を通過してしまうんだよ。北岳山荘の方がきれいだけれどいつも混雑していてのんびりできないし、大門沢小屋は奈良田まで近いけれど富士山しか見えない。写真を撮りたいならここが一番なのに、何で泊まらないのかなぁ」とぼやいていました。
一番の原因は酷評であるし、特に北アルプスの山小屋を経験してしまう・しか知らないと、トイレが規格外であったりしてここは何かの罰ゲームのように感じるかもしれません。しかし、そもそも山小屋とはこのようなモノで、登山者の安全をきちんと考えている個性的な親父さんがいるだけ、と割り切れれば、白峰三山縦走時は農鳥小屋泊をお勧めします。
農鳥岳を目指します。まずは西農鳥岳までの登りです。かなりの急登なのでうんざりされる方が多いようですが、北岳までの登りと比べれば、苦ではありませんでした。わりとあっさり西農鳥岳に到着。遠くから見て「あれが白峰三山だよ」と指摘する方の多くは、西農鳥岳を農鳥岳と思い込んでいることでしょう。このあたりは西側を巻いて進むこともあり、塩見岳方面が良く見えました。自宅からのアクセスが大変だけれど、長期休暇が取れたらあちら方面に縦走してみたいなぁ。そして、農鳥岳に到着。
農鳥岳からは、間ノ岳、北岳がきれいに見えました。鳳凰三山から見た北岳はのぺぇ〜っとした山というイメージでしたが、こちらから見ると尖がっている山であることを知りました。山頂のすぐ下にはテント跡があり、ここに設営したくなるのも頷けました(もちろんこの場所はテント禁止です)。
さて、あとは無事に下山するのみ。眺望を楽しみながら進んで、大門沢下降点に到着。本当は少し先に見える広河内岳までピストンしたかったのですが、kazuruさんに体調不良を理由に却下されてしまいました。これからの激下り?に備え、鐘を鳴らして遊びながらひと休みして、下山開始。まずはハイマツの中を蛇行しながら下るような感じで、道が渇いていてすべりやすかったです。森林限界を過ぎて樹林帯に入ると、今度は道が濡れていてすべりやすく、転ばないように下ります。所によってお助けロープが設置されていたりと整備されていますが、とにかく長く感じました。
沢の音がだんだん大きくなってきて、河原が見えてくると、その脇をひたすら下ります。標高が約100m下がるごとに標高を示すプレートがあるので、何の目印もない中を黙々と下るよりは気分的に楽でした。まだかな?まだかな?と時計と睨めっこしながら進み、大門沢小屋に到着。ここで昼食にしました。
豊富な水が注ぐバケツの中に冷えたビールを発見し、思わず唾をゴクリ。昨日の農鳥小屋は冷えていなかったので飲みたいなぁと思っていると、小屋番さんから「ここから奈良田までは、ここまでのように歩きにくい道ではないから飲んでも大丈夫だよ。駐車場に着く頃には、酔いは醒めているよ」と悪魔の囁きが…。誘惑に勝てず、購入してしまいました。
昼食を済ませて、奈良田を目指します。小屋番さんの話とコースタイム的に横尾〜上高地程度と予想してみましたが、甘かったです。しばらくは、これまでと同じような道が続きます。また、緩やかなアップダウンや少し緊張を強いられる渡渉(ロープを掴まないとドボンしそうな、整備されているのかいないのか不明な橋など)を強いられ、ビールを飲んだことを後悔しました。
それでも転倒に気を付けながらぐんぐんと下り、コンクリ―トでできた建造物(早川水系発電所取水口)が見えてくれば、下りの終了はもうすぐ。斜めに傾いた吊り橋(定員1名?)を渡って取水口の脇を通過し、さらに2本の吊り橋を渡って大門沢登山道入口に到着。ここの標識に「第1発電所まで2.2km、奈良田バス停まで4.3km」と書かれてあり、ラストスパートに向けて気合いを入れます。
しかし、この先はずっとアスファルト歩きとなるので、疲労が蓄積されていきます。それでもテクテクと歩いて第1発電所バス停に到着した時、マイカー規制の見張りのおじさんから「奈良田に車をおいてあるなら、もうじきバスが来るよ。乗るかい?」と声をかけられましたが、「せっかくなので歩きます」と答えると「あと30分だから頑張れ!」と励まされました。途中でバスに抜かれて、奈良田に到着。ゴールとなりました。
南アルプスの山々はほとんど登ったことがなく、緑が多くて初級者でも優しいイメージでした。しかし、北岳から先、特に間ノ岳のあたりから農鳥岳までは、北アルプスかと思えるくらいの岩稜帯歩きが続き、とても面白かったです。白峰三山は2泊3日のイメージでしたが、1泊2日でも十分であることが分かったので、大門沢下降点からの下りは若干うんざり気味でも、また歩いてみたいと思います。
最後に、やはり体調不良であったkazuruさんの申し出は断るべきであり、最低でも北岳山荘から広河原への下山を決断するべきでした。私のせいでkazuruさんにはこれまでに何度も危険な経験をさせてしまっているにも拘らず、同じようなことを繰り返しています。下手をすれば命にかかわることになりかねませんので、もっと慎重になろうと思います。
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