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Yamareco

記録ID: 1007044
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

鹿島槍ヶ岳「爺ヶ岳から冷池山荘まで地獄のラッセル3時間」

2016年11月12日(土) ~ 2016年11月13日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
22.8km
登り
2,521m
下り
2,515m

コースタイム

1日目
山行
8:51
休憩
0:00
合計
8:51
9:00
29
一枚岩
9:29
101
石畳
11:10
109
12:59
0
12:59
156
15:35
16
15:51
2日目
山行
8:12
休憩
0:37
合計
8:49
5:20
52
6:12
43
布引山
6:55
7:00
25
7:25
46
8:11
8:37
20
8:57
127
11:04
11:10
31
11:41
95
種池山荘
天候 12日、13日共快晴(稜線では強風)
過去天気図(気象庁) 2016年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
柏原登山口駐車場(8台程度駐車可)
コース状況/
危険箇所等
柏原新道:ひたすら長い登山道。半分くらい雪道。
種池山荘〜爺ヶ岳:積雪約50cm。トレース有り。
爺ヶ岳〜冷池山荘:積雪50cm〜1m、一部1.5m以上。1〜2名分の踏み跡、午後は雪が戯れて膝〜股下までのラッセル。一部胸までのラッセル。要ワカン。要スノーバスケット付ストック。
冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳:積雪約50cm。海老の尻尾、シュカブラ発達中。

信濃大町から見た金色に輝く鹿島槍モルゲン。
2016年11月12日 06:29撮影 by  iPhone 6s Plus, Apple
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11/12 6:29
信濃大町から見た金色に輝く鹿島槍モルゲン。
07:00 柏原新道登山口出発。
2016年11月12日 06:59撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 6:59
07:00 柏原新道登山口出発。
工事中のため、迂回路を歩かされた。
2016年11月12日 07:01撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 7:01
工事中のため、迂回路を歩かされた。
ケルンを過ぎた辺りで-3℃。その後、気温は上昇し8℃前後まで
2016年11月12日 08:08撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 8:08
ケルンを過ぎた辺りで-3℃。その後、気温は上昇し8℃前後まで
針ノ木岳方面。
2016年11月12日 08:10撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 8:10
針ノ木岳方面。
08:16 ケルン通過。種池山荘まで4.5km。
2016年11月12日 08:16撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 8:16
08:16 ケルン通過。種池山荘まで4.5km。
2016年11月12日 08:34撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 8:34
稜線鞍部に種池山荘が見えてきたがまだまだ遠い。
2016年11月12日 08:52撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 8:52
稜線鞍部に種池山荘が見えてきたがまだまだ遠い。
種池山荘アップ。
2016年11月12日 08:52撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 8:52
種池山荘アップ。
09:00 一枚岩通過。
2016年11月12日 09:00撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 9:00
09:00 一枚岩通過。
09:29 石畳通過。
2016年11月12日 09:29撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 9:29
09:29 石畳通過。
2016年11月12日 10:24撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 10:24
針ノ木岳。
2016年11月12日 10:44撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 10:44
針ノ木岳。
11:10 種池山荘通過。
2016年11月12日 11:10撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 11:10
11:10 種池山荘通過。
2016年11月12日 11:22撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 11:22
今シーズン初の樹氷。
2016年11月12日 11:23撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 11:23
今シーズン初の樹氷。
ようやく目指す鹿島槍ヶ岳が見えてきた。
2016年11月12日 12:01撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 12:01
ようやく目指す鹿島槍ヶ岳が見えてきた。
以外に大きく見えた槍穂。
2016年11月12日 12:13撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 12:13
以外に大きく見えた槍穂。
こちらも意外に大きく見えた八ヶ岳と富士山。
2016年11月12日 12:23撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 12:23
こちらも意外に大きく見えた八ヶ岳と富士山。
空に登っていく感じ。
2016年11月12日 12:45撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 12:45
空に登っていく感じ。
12:59 爺ヶ岳山頂三角点にタッチ。
2016年11月12日 12:59撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 12:59
12:59 爺ヶ岳山頂三角点にタッチ。
富士山と南アルプス。
2016年11月12日 13:00撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 13:00
富士山と南アルプス。
13:21 爺ヶ岳中峰通過。
2016年11月12日 13:21撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 13:21
13:21 爺ヶ岳中峰通過。
爺ヶ岳中峰付近から望む鹿島槍ヶ岳。
2016年11月12日 14:06撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 14:06
爺ヶ岳中峰付近から望む鹿島槍ヶ岳。
2名分の足跡をトレースするも雪が戯れて思うように進まない。
2016年11月12日 14:06撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 14:06
2名分の足跡をトレースするも雪が戯れて思うように進まない。
22kg背負って必死のラッセルを続けるも一向に近づかない冷池山荘。
2016年11月12日 14:06撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 14:06
22kg背負って必死のラッセルを続けるも一向に近づかない冷池山荘。
15:35 冷乗越通過。
2016年11月12日 15:35撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/12 15:35
15:35 冷乗越通過。
ここで後方から追い付いてきたアベックにラッセルを代わってもらう。先行者の跡を歩くってこんなにも楽だったとは…。
2016年11月12日 15:35撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 15:35
ここで後方から追い付いてきたアベックにラッセルを代わってもらう。先行者の跡を歩くってこんなにも楽だったとは…。
冷池山荘〜布引山〜鹿島槍南峰〜鹿島槍北峰。
2016年11月12日 15:35撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 15:35
冷池山荘〜布引山〜鹿島槍南峰〜鹿島槍北峰。
15:51 テントを張る気力も体力も消え失せヘロヘロになって冷池山荘着。即、避難小屋泊りに決定。
2016年11月12日 15:51撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 15:51
15:51 テントを張る気力も体力も消え失せヘロヘロになって冷池山荘着。即、避難小屋泊りに決定。
薄暗い避難小屋での晩飯は尾西の白飯にアマノフーズのビーフシチュー2個をぶっかけたビーフシチューライス。
2016年11月12日 16:54撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 16:54
薄暗い避難小屋での晩飯は尾西の白飯にアマノフーズのビーフシチュー2個をぶっかけたビーフシチューライス。
冷池山荘の夕暮れ。
2016年11月12日 17:10撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 17:10
冷池山荘の夕暮れ。
冷池山荘の夕暮れ。
2016年11月12日 17:18撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/12 17:18
冷池山荘の夕暮れ。
13日05:20 サブザックにアイゼンとアクエリアス0.5L、バラクラバ、防寒グローブを入れて、つぼ足で冷池山荘出発。
2016年11月13日 05:19撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 5:19
13日05:20 サブザックにアイゼンとアクエリアス0.5L、バラクラバ、防寒グローブを入れて、つぼ足で冷池山荘出発。
信濃大町の街明かり。
2016年11月13日 05:39撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 5:39
信濃大町の街明かり。
2016年11月13日 06:06撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:06
2016年11月13日 06:07撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:07
2016年11月13日 06:11撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:11
06:12 布引山山頂通過。
2016年11月13日 06:12撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 6:12
06:12 布引山山頂通過。
06:20 浅間山より御来光。
2016年11月13日 06:20撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:20
06:20 浅間山より御来光。
槍穂。
2016年11月13日 06:25撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:25
槍穂。
2016年11月13日 06:27撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:27
針ノ木〜蓮華岳の稜線の奥に槍穂。
2016年11月13日 06:28撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:28
針ノ木〜蓮華岳の稜線の奥に槍穂。
剱。
2016年11月13日 06:28撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:28
剱。
2016年11月13日 06:30撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:30
山頂まであと一息。
2016年11月13日 06:48撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:48
山頂まであと一息。
06:55 鹿島槍ヶ岳山頂に立つ。
2016年11月13日 06:55撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:55
06:55 鹿島槍ヶ岳山頂に立つ。
2016年11月13日 06:55撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 6:55
例によって山頂には誰もいないので一人タイマー撮影。こんなにアドレナリンが吹き出し感動したの久しぶり。
2016年11月13日 06:56撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:56
例によって山頂には誰もいないので一人タイマー撮影。こんなにアドレナリンが吹き出し感動したの久しぶり。
2016年11月13日 06:57撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:57
槍穂。
2016年11月13日 06:57撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:57
槍穂。
鹿島槍ヶ岳南峰から見る剱・立山。
2016年11月13日 06:57撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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鹿島槍ヶ岳南峰から見る剱・立山。
鹿島槍ヶ岳南峰から見る槍穂。
2016年11月13日 06:58撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 6:58
鹿島槍ヶ岳南峰から見る槍穂。
鹿島槍ヶ岳北峰。
2016年11月13日 06:58撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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鹿島槍ヶ岳北峰。
山頂で一番高い岩にタッチ。
2016年11月13日 06:58撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 6:58
山頂で一番高い岩にタッチ。
布引山から鹿島槍を振り返る。
2016年11月13日 07:25撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 7:25
布引山から鹿島槍を振り返る。
2016年11月13日 07:54撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 7:54
冷池山荘手前ですれ違った男性。02:30柏原新道登山口を出発しここまで来たとのこと。ヤマレコ仲間で会えてうれしかったです。余りの猛者ぶりにリスペクトします!
2016年11月13日 08:08撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 8:08
冷池山荘手前ですれ違った男性。02:30柏原新道登山口を出発しここまで来たとのこと。ヤマレコ仲間で会えてうれしかったです。余りの猛者ぶりにリスペクトします!
08:11 冷池山荘まで戻ってきた。
2016年11月13日 08:11撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 8:11
08:11 冷池山荘まで戻ってきた。
アイゼン付けて…
2016年11月13日 08:37撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 8:37
アイゼン付けて…
08:37 爺ヶ岳向け出発。
2016年11月13日 08:37撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 8:37
08:37 爺ヶ岳向け出発。
08:57 冷乗越通過。
2016年11月13日 08:57撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 8:57
08:57 冷乗越通過。
感動をありがとう。
2016年11月13日 09:00撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 9:00
感動をありがとう。
槍穂。
2016年11月13日 10:45撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 10:45
槍穂。
11:04 爺ヶ岳着。帰りは一部を除きトレースがしっかり出来ていて、ここでアイゼンをはずす。
2016年11月13日 11:04撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 11:04
11:04 爺ヶ岳着。帰りは一部を除きトレースがしっかり出来ていて、ここでアイゼンをはずす。
2016年11月13日 11:04撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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2016年11月13日 11:04撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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雪の剱はいいよね〜。
2016年11月13日 11:05撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 11:05
雪の剱はいいよね〜。
11:41 種池山荘通過。
2016年11月13日 11:41撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 11:41
11:41 種池山荘通過。
柏原〜種池間で唯一の難所。
2016年11月13日 12:02撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 12:02
柏原〜種池間で唯一の難所。
13:16 ケルン通過。
2016年11月13日 13:16撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 13:16
13:16 ケルン通過。
昨晩の強風で落ち葉の絨毯になっていた。
2016年11月13日 13:33撮影 by  DSC-HX30V, SONY
11/13 13:33
昨晩の強風で落ち葉の絨毯になっていた。
14:09 無事下山。
2016年11月13日 14:09撮影 by  DSC-HX30V, SONY
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11/13 14:09
14:09 無事下山。

装備

個人装備
長袖シャツ ハードシェル上下 タイツ 靴下 防寒グローブ 手袋 ダウン上下 ネックウォーマー バラクラバ 毛帽子 着替え 冬靴 ザック ザックカバー サブザック 12本爪アイゼン ピッケル 朝夕ご飯 行動食 非常食 飲料 コンロ コッヘル ライター 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 GPS ファーストエイドキット 針金 常備薬 日焼け止め 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ナイフ カメラ ポール テント テントマット 冬用シェラフ シュラフカバー
備考 ストックのスノーバスケットを付け替えるのを忘れた。
雪山キャンプなのにシャベル、スノーソー、スノーペグを忘れた。

感想

◇プロローグ
休みの後半は丹沢山と雲取山にでも足を伸ばして行ってこようかなと思っていたところ、12日(土)・13日(日)は日本列島中央に高気圧の中心が居座って広く晴れることを知った。普段、土日は基本的に山に登らないんだけど、11月なら人も少ないだろう、ましてや鹿島槍なんて。うん?鹿島槍?そう、北アルプスでまだ登っていない百名山は3つ。そのうちの一つが鹿島槍ヶ岳。五竜岳はテレキャビン運休で登れないが、鹿島槍ヶ岳には最初からゴンドラなんかないし。それに去年薬師岳山荘で出会った富山の人があんなに楽だった山はないと言ってたし。ついこの前までは11月の北アルプスなんて吹かれりゃお陀仏で怖くて近づけないと考えていたのにまだ雪もそんなに積もってないだろうし冷池山荘でテント泊すればなんとか行けるか、なんていい方に考えちゃって、今回の日本百名山28座目となる山行は後立山連峰の盟主、標高2889m、鹿島槍ヶ岳に決定!

◇1日目 
長丁場であることと日出時刻を考慮し03:00に目覚ましをセットするも眠気がとれず20分程ベッドでうだうだ。ようやくやる気が出て出発準備にかかり、04:00金沢出発。北陸自動車道〜糸魚川街道〜県道扇沢大町線を通って06:50柏原新道登山口着。
自分の車で2台目。すぐにもう1台駐車する。男性2名は爺ヶ岳までの日帰り。
今回のリュックもパリセード80だが、山小屋に水がないことを考慮して水2.5Lとアクエリアス2.5Lの計5kg、それと雪山装備としてアイゼン、ピッケル、モンベル♯1等で総重量は22圈E然重さに比例して、柏原新道登山口〜ケルンまでのCTが1時間20分に対し1時間16分。ケルン〜種池山荘までのCTが2時間30分に対し2時間44分。

07:00 柏原新道登山口出発。
針ノ木岳方面には稜線にガスがかかっていたが標高を上げていくとともに消える。種池山荘手前にV字渓谷があり、雪崩落石の巣みたいなところを通る。ここさえクリアしてしまえば他は長くて辛いだけの道。薬師岳山荘で出会った富山の人の言ったことは大ウソだったことはこの時点で見破っている。
種池山荘周辺の木々は樹氷に覆われ、また後立山連峰の稜線に出たことで、ここからは槍穂、八ヶ岳、南アルプスが一望でき、今年の夏の貸しを全て取り返した。

種池山荘から爺ヶ岳までは土曜日ということもあり、日帰り登山者が大勢いてトレースもしっかり有りよかった。
しかし、爺ヶ岳の先に進む人は誰も居らず、爺ヶ岳山頂から冷池山荘方向に伸びている足跡はわずかに2つ。この先の地獄を知らない自分は当然その足跡を追って先に進む。爺ヶ岳中峰辺りからだろうか、先行者の足跡を踏むも膝上あたりまで踏み抜くようになり、挙句の果ては22kgのリュックを背負ったまま胸のあたりまではまり込んで身動きがとれなくなった。ピッケルの代わりにストック2本を束ねて両手で掴みラッセルラッセル。全くワカンがないと進めたもんじゃない。かといって引き返す元気もなく、ここでテント広げてビバーグしようか真剣に悩んだ。
時間は15:00を過ぎるもまだ冷池山荘に辿り着けなかった。あれだけはっきり見えているのにいつまで経っても辿り着けないのって、いやになる。15:35ようやく冷乗越に到着。人の声が聞こえ振り返ると二人連れがすぐ後ろに来ていた。それであとわずかの距離だが自分の後から来た男女二人組に先行してもらい後を付いていくことに。たった二人が先に踏んでくれるだけなのに道が出来て足運びの楽なこと、楽なこと。つくづく人跡未踏の地を初めて歩くことの大変さを痛感。
15:51 冷池山荘到着。避難小屋の前にテント1張り。しかも若い女性。確か自分が追っていた足跡は自分と同じくらいの大きさだったが…。ここまで誰ともすれ違わずに来て、ここに女性1人ということは、あの足跡は前日のものだったのか?
さて避難小屋の方だが、越後駒や屋久島の高塚小屋のような木の床の快適な避難小屋を想像していたが、とんでもないところだった。なんと床はコンクリート打ちっぱなし。窓もなく真っ暗。しかもトイレが同室。ここは刑務所かって感じ。いや刑務所よりも劣るだろう。でも地獄のラッセルでヘロヘロの自分には外でテントを張る元気なし。仕方なく泊めていただくことにしました。
この時は当然、明日は鹿島槍ヶ岳に登らず、なんとか爺ヶ岳まで辿り着いて午後3時くらいまでに無事下山することばかり考えていた。しかし暖かいビーフシチューライスを食べ、暖かいシュラフに包まっていると元気が回復してきて、せっかくここまで大変な思いをして来たのだから、たとえ帰りが遅くなっても鹿島槍に挑戦してやろうという気になるから不思議だ。目覚ましを04:00にセットして早い眠りにつく。

◇2日目 
夜中なんどか風の咆哮で目が覚める。外は相当風が強そう。03:50起床。直ぐに登山用の衣装に着替え、ハードシェル上下で身を包む。朝食は昨日出発時にセブンイレブンで買った秋鮭おにぎりを沸かしたお湯にぶち込みほぐしたところで更に鮭茶漬けの素を入れて作った本格的鮭茶漬け。なかなかイケタ。

サーマレストネオエアXサーモとモンベル♯1、そしてシュラフカバーを素早く収納し、アルコールストーブも片付けてパッキング完了したリュックを避難小屋の片隅にデポし、サブザックにアイゼンとアクエリアスの入ったナルゲンボトルを入れて、ヘッドランプを点灯し05:20出発。空は満天の星。テントの女性はまだ出発していない。10分程前に出発した二人のヘッドランプの明かりが見える。風は10m/sくらい。夜中は20m/sは吹いていたので大分治まったか。雪は固く締っており、つぼ足で十分歩ける。昨日以前の先行者が1人はワカン、もう1人が12本爪アイゼンで登ったことが分かる。06:12 布引山通過。先行していた二人はここで写真を撮っていたので先に行かせてもらう。この日の鹿島槍の日出は06:11のはずだったが、まだ太陽は顔を出していない。鹿島槍ヶ岳山頂に向かう途中、浅間山横から昇る御来光を拝む。久々の御来光。やっぱ神々しいわ。思わず手を合わせ家族の健康安全を祈る。
久しぶりにアドレナリン大放出、気分はHi。06:55 鹿島槍ヶ岳南峰頂上に立つ。やったー諦めないで良かった。剱・立山どーん。槍穂もバッチリ。
08:11 冷池山荘帰還。山荘手前で単独行者とすれ違う。大型リュックのまま鹿島槍に登ろうとしていたので山荘にデポしてきたらよかったのにと声を掛けたら、いつでもどこでもビバーグできるように担いでいるとお答えになった。そして今朝02:30に柏原新道登山口を出発してきたとのこと。いやー参りました。完全リスペクトしちゃいます。
08:37 冷池山荘出発。
さあ、本日のメインイベント。地獄のラッセルをした爺ヶ岳への登り返し。昨日つぼ足のつま先では蹴っても刺さらない雪壁に何回も苦労したので、小屋出発時に初めて12本爪アイゼン装着。自分の後、男女2人とさっきすれ違った単独行者の3人が踏んでくれたのですっかり立派な道になっていて、昨日とうってかわって足は軽かった。それでも夜中の強風で何箇所かトレースが消失しており、アイゼンは役に立った。
11:04 昨日より30分短縮して爺ヶ岳着。ここでアイゼンを外す。そして14:09 柏原新道登山口に無事下山した。

◇エピローグ
今までの登山で最も過酷な登山でした。もう2度と登りたくない山第1位!
でも、初めて5月の北穂奥穂に登った時並のアドレナリン大放出を味わい、超感動した山でもあります。



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コメント

22kg
クロユリさん、こんにちは!
22jg背負ってラッセル 気合い入っていますね〜
天気も良くて最高でしたね
2016/11/17 0:49
Re: 22kg
ni-shiさん、いつもコメントありがとうございます。
いやー大変な山でした。鹿島槍は夏場の五竜ー鹿島槍のテント泊縦走で狙ってたんですが、とんでもないですね。するなら夏場の小屋泊です。今回も初冬期の北アルプス舐めてました。気合だけじゃあかんかったですね。ワカン、スノーバスケットがなかったおかげで3倍くらいしなくていい苦労しました。
2016/11/17 8:22
ありがとうございましたm(__)m
冷池山荘近くでお会いしたmocomocomocoと申します。写真、のせて頂きありがとうございます‼(^w^)
クロユリさんのトレースのおかげで自分はとてもスムースに歩くことができ、大変助かりましたよ‼ありがとうございましたm(__)m
クロユリさんのビーフシチューライスに鮭茶漬け、大変おいしそうです(*´ω`*)
自分はマルタイラーメンの残り汁に鮭おにぎりをぶっ混んで雑炊にして食べてます。とても温まります( ´∀`)
あ〜テン泊したくなりました(笑)
クロユリさんのヤマレコ、今後参考にさせて頂きます‼
2016/11/19 21:14
Re: ありがとうございましたm(__)m
mocamocomocoさん、コメントありがとうございます。
鹿島槍日帰りお疲れ様でした。自分の写真もアップしていただき、恐縮です。
自分もマルタイラーメンよく持っていきますが、最近、夕飯は尾西の白飯1個にアマノフーズの牛とじ丼の素2個かシチュー系2個をぶっかけ、朝はそーめん系かリゾット系で簡単に済ますパターンが多いです。
長野に住んでると回り中、山・山・山でいいですね〜。うらやましい!
これからもよろしくお願いします。
2016/11/20 7:52
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