100円ライターとマッチに泣く…奥駈冬期縦走撤退

2017年03月14日(火) ~ 2017年03月16日(木)

• GPS: 25:17
• 距離: 47.1km
• 登り: 3,095m
• 下り: 3,105m

コースタイム

1日目

• 山行: 4:48
• 休憩: 0:15
• 合計: 5:03

9:22 吉野山観光駐車場
9:28 9:28 吉野山駅
9:38 9:48 金峯山寺
10:44 10:45 吉野水分神社
10:59 11:01 高城山
11:12 11:12 奥千本口バス停
11:21 11:23 金峯神社
11:39 11:39 青根ヶ峰
13:25 13:25 四寸岩山
13:41 13:41 足摺の宿跡
14:18 14:18 二蔵宿小屋
14:25 宿泊地

2日目

• 山行: 6:56
• 休憩: 0:51
• 合計: 7:47

7:29 宿泊地
8:44 8:44 大天井ヶ岳
9:23 9:25 五番関
11:20 11:50 洞辻茶屋
12:10 12:10 陀羅尼助茶屋
12:14 12:14 松清店
13:09 13:13 西の覗岩
13:41 13:56 山上ヶ岳
15:16 小笹ノ宿

3日目

• 山行: 11:32
• 休憩: 0:50
• 合計: 12:22

6:24 小笹ノ宿
7:48 7:48 山上ヶ岳
8:15 8:15 西の覗岩
8:56 8:57 松清店
8:59 9:11 陀羅尼助茶屋
9:33 9:37 洞辻茶屋
11:40 11:45 五番関
13:08 13:21 大天井ヶ岳
14:18 14:18 二蔵宿小屋
16:39 16:39 青根ヶ峰
16:56 17:06 金峯神社
17:12 17:12 奥千本口バス停
17:21 17:23 高城山
17:30 17:30 吉野水分神社
18:25 18:27 金峯山寺
18:39 18:39 吉野山駅
18:45 18:46 吉野山観光駐車場
18:46 ゴール地点

天候

1日目：小雨のちくもり
2日目：吹雪
3日目：吹雪のちくもり

アクセス

利用交通機関：

自家用車

吉野山観光駐車場（桜シーズン以外は無料）

コース状況／危険箇所等

吉野〜二蔵宿小屋までは残雪もありますが夏道
二蔵宿小屋〜標高1500mまでは締まった歩きやすい雪でルートも明瞭
標高1500m以上は吹き溜まりはラッセルの深雪（降雪後は全域でラッセル）で、夏道のトレースは雪崩のリスクが伴うトラバースとなるため危険です。

写真

3/14 8:58

大峯七十五靡の「柳の宿 75」です。
行者はここで垢離をとって修行を始めるそうです。
私は写真をとって修行を始めたため天罰が下りました…

3/14 9:36

吉野山観光駐車場に車を止めて霧雨の中を歩き始めます。
しばらくすると金峯山寺の仁王門が出てきます（改装中）
有名な（国宝＆世界遺産）蔵王堂で山旅の安全を祈願して、お守りも購入します。

3/14 11:01

1座め「高城山」…ただの展望台です

3/14 11:12

おぉ！テンションが上がる名前です(笑)

3/14 11:19

先は長いな…ぼちぼち行きます。

3/14 11:20

金峯神社前の休憩所に登山ポストがありました。
吉野の里はここまでです。ここから先は山道ですね。

3/14 11:20

金峯山寺で買ったお守りを、現代のお守り「ココヘリ」に付けて出発します。

3/14 11:29

天気は良くないですが、吉野の山に入ったという雰囲気が漂います。

3/14 11:38

早くも女人禁制？有名な「五番関」ではないです(笑)

3/14 12:12

舗装林道をしばらく歩く区間があります。
興醒め…

3/14 13:01

霧が濃く、冷たい風が吹き付けるためコケに霧氷です。

3/14 13:20

標高も1000mを超えると残雪が多くなってきます。
今朝方まで雪も降ってたようですが…

3/14 13:40

足摺小屋が見えてきました。

3/14 13:41

足摺小屋は泊れる雰囲気ではありません…

3/14 14:23

今夜泊まる予定の二蔵宿小屋が見えてきました。
あきらかにトイレもあります。

3/14 14:27

が、しかし…
冬季閉鎖中でした(´;ω;｀)

3/14 14:49

どうせテン泊なら先に行こうかとも思いましたが…
こんな時期のこんな時間に登ってるく酔狂な人はいないと思い、魅力的な庇の下にテントを張らせていただきました。

3/15 7:35

二日目です。
ヤマテン情報では今日から-30℃の寒気が入り大荒れとのこと…
昨夜半から暴風雪が始まってます…
中止か？決行か？悩みましたが予備日もあるので泊地を短縮して先へ進むことにします。

3/15 8:21

もはや奥駈道は見当たりません(笑)
時々出てくる道標や赤テープが道の存在を示しているだけです。

3/15 9:22

五番関の「女人結界門」です。
男女差別を嫌う方が「女」の文字を壊してしまったようですが…
これでは「人結界」で人は入れません(笑)
どうせなら「人」まで壊して「結界門」にしたほうがスマートだと思いました。
そもそも…こんな日に入る人は居ないと思いますが…

3/15 10:18

今日も地図とコンパスがないとどうにもなりません…
さらに勝手が分からないテリトリー外の山域…
暴風雪にルートファインディングでスピード上がらず…(´;ω;｀)

3/15 10:41

ツボ足もずいぶん深くなり、歩きにくくなってきてます。

3/15 10:52

夏道の赤テープを辿ると…
こんな素敵なトラバースに導かれます（爆笑）
アイスバーンに雪が薄っすら下は谷…(´;ω;｀)

3/15 11:16

赤テープに加えて黄色テープとKobo trailってテープが出てきます。
稜線と尾根を間違えてない安心感はありますが…

3/15 11:23

洞辻茶屋です。ここはドコモの電波が入るようなので最終報告を入れます。
この先の遭難は定時連絡の入らない3日後以降の捜索になります…

3/15 12:11

陀羅尼助茶屋です。
廃墟のような雰囲気は昭和の香りです。

3/15 12:23

顔だけ出した役小角様
あやうく踏みかけました…

3/15 12:57

荘厳な雰囲気に身が引き締まります！
その前から寒さで身が締まってますが…

3/15 13:08

西の覗です。
ガスで何も見えません…

3/15 13:32

告げられても…
私に読解力はありませんので素通りさせていただきます。

3/15 13:38

誰も来ないのは分かってる…
こじ開けて中に入りたい気分です。

3/15 13:49

山上ヶ岳山頂です。
三角点があるはずですが…

3/15 14:45

山上ヶ岳を越えるとヒザ上下程度のラッセルが始まりました…
こうなると、スネ程度の場所を求めて南斜面を歩きたくなるのですが…ルートミスします(笑)

3/15 15:17

二日目は行者還避難小屋に泊まる予定でしたが、短縮して小笹ノ宿避難小屋（右側の建物）に泊まります。
ずいぶんと時間がかかりました。

3/15 15:29

小笹ノ宿避難小屋の中はこんな感じ…
とてもきれいとは言えませんが…外よりはマシです。
日が暮れた頃、日本昔話の「牛鬼」を思い出してしまいました。
夜中に誰か入ってきたらどうしよう…( ´艸｀)

3/16 6:23

三日目の朝です。
大変な事態が発覚しました。
火器が全滅で暖を取るどころかお湯が作れません。
今日中に八経ヶ岳を越えられればいいですが、昨夜からの降雪では行者還も行けるかどうか…
撤退決定です！

3/16 7:42

霧と強風でストックにエビのしっぽができそうです。

3/16 7:49

大峰山寺まで戻ってきました。
ラッセルしてるので、ずいぶん時間がかかりました。

3/16 7:51

ここもラッセル天国…

3/16 7:58

宿坊街です。
夏になれば賑わうんでしょうね！
千と千尋の神隠しみたいです。

3/16 8:04

「此の水は呑ません」…
その前に飲めません(´;ω;｀)

3/16 8:18

昨日よりも見通しは良さそうなので「西の覗」を覗いてみました。
突風が刺激的ですが、ガスの切れ間から見える眺めは絶景です！

3/16 8:43

「下山道」って看板にやられました…(´;ω;｀)
地獄のトラバース！流石は行場です。
この後はもっとすごい場所を通過させられるのですが、写真など撮れるはずがありません(笑)

3/16 8:58

陀羅尼助まで戻ってきました。
風を防げる場所へ来るとホッとします。

3/16 9:14

吉野方面は時々視界が良くなりますが…遠いな…

3/16 9:22

こんな風景に励まされながらガンバって歩きます。

3/16 9:28

けっして天気がいいとは言えませんので気は抜けません

3/16 9:34

洞辻の社前にトンボのおもちゃがぶら下げてありました。
凍てついて絵になります。

3/16 9:38

まだまだ標高は1500m…先は長いな…

3/16 9:47

霧氷で神秘的な風景なのですが…写真じゃただの樹林帯ですね(笑)

3/16 10:24

ここが地図に載ってない30mの鎖場です。
まだ雪は緩んでないようなのでクライムダウンしましたが、午後からだとロープが欲しいところです。

3/16 10:30

下から見るとこんな感じ…
一部クサリが出てました。

3/16 10:34

遠く見えるのは大台ケ原でしょうか？

3/16 10:53

猿の腰掛が見事です。

3/16 11:44

女性必見！
女人結界の裏側です(笑)

3/16 12:18

奥はまだ雪が降り続いてます…
撤退が正解だったと確信しました、

3/16 12:30

小動物の寝床のようです。
何でしょう？

3/16 12:56

ときどき晴れ間が♡

3/16 12:56

日差しがあると元気が出ます(笑)

3/16 13:19

本日、最後の山場！まさに山場！あとは下るだけ！
って思うのが心にダメージを…
小さなアップダウンがボディーブローの如く効いてきます(笑)

3/16 13:38

あの稜線の向こうに吉野の里が！

3/16 14:10

二蔵宿まで戻って来られました！
ここに着くのが3時過ぎならば非常用食料でビバークする予定でしたが、なんとか帰れそうです。

3/16 14:30

林道に出ました！
ここからは古道とオサラバして舗装林道を歩きます！
なんてったって登山者ではなく遭難者ですから！

3/16 15:22

高野から龍神の山並みでしょうか？
グラデーションになってきれいです。

3/16 15:41

山上ヶ岳方面は相変わらず…

3/16 16:33

おぉ！今回の行程図そのままだ…
タイトルを大峯奥駈道から吉野古道に変えなきゃ( ´艸｀)

3/16 16:39

往路で見過ごしてしまった青根ヶ峰に寄りましたが、なんとも地味な山頂です。

3/16 17:00

吉野の里に帰ってきました。

3/16 17:35

中千本まではまだまだあります…

3/16 17:52

あ〜日が暮れます

3/16 18:24

夕暮れ時に金峯山寺に到着です。
蔵王堂がライトアップされて綺麗でした。
お礼の挨拶をして岐路につきます。

撮影機器：

iPhone 5 Apple

iPhone 7 Plus Apple

感想

やまさん

昨年の秋に台風でチャンスを逃した大峰奥駈道の縦走ですが、人生の分岐休暇中に行くぞ！って決めたのもつかの間、こずかい稼ぎの合間を縫って連休が取れるのが三月上旬…
残雪期ではありますが、所詮は奈良県の雪と高を括ってました…

しかし、行ってみてビックリ！積雪期状態です。
まさか内陸南部…むしろ太平洋側の山脈に位置する奈良県の山で3月にラッセルさせてもらえるとは…
もっともこの程度の誤算なら逆峯は達成できたでしょうが…

撤退の原因は二日目の夜、ライターの調子が悪くなり夕食を済ませた後に作ろうと思った翌朝分のお湯が作れませんでした。朝になったら復活するかと期待して懐で温めて寝たのですが一向に火がつきません(◎_◎;)
マッチは線香花火のようにシャカシャカと散って消えてしまうだけ…
この先の二日間は標高が上がるだけなので寒波が来ている明日に暖かくなるとは到底思えません…ここでも氷点下10℃を下回ってるのに…
今年はラッセルでの行動距離が短くなることを嫌というほど体験しています。
これ以上の続行は死にに行くようなものだと撤退を決めました。

しかし下山も楽ではありません…
20食分の食料が二日でどれだけ消費できたでしょうか？前夜に雪から作ったなけなしの水も捨てられません(´;ω;｀)
たぶん入山前の20�埃紊僚杜未畔僂錣蠅覆い任靴腓Α�
ラッセルを伴う12時間/22�劼療餌牴嫉魁腸罎覆�ら感心しています( ´艸｀)

翌日、バーナーの点火装置、ライター、マッチ全てをチェックしたところ、なんの問題もなく着火できました…
とても不思議ですが…修験道の祖「役小角」に召されず追い返されたように感じます。
人間界でもっと修行を積めと…

コメント

takenakano

残念でしたね。
やまさん、お帰りなさい。
この時期に大峯奥駈けをやられると聞いて心配もしていましたが、残念ながら撤退でしたか。
ライターは２個持てという教訓かも知れませんね。
でも、もしかすると２日目で火が使えなくなったというのは役小角の思し召しかも知れませんね。あの先には夏場でも厳しい鎖場や、急峻な岩場や危険なトラバースもあり、山上ヶ岳の比ではありません。総登攀高度からするとヒマラヤにも匹敵するルートです。役小角以来、たぶん冬季歩いた人間はいないのではないでしょうか？
一度無雪期に歩いてからでないと無謀かと。
しかし２０食分の食料を持って行ったとは？遭難覚悟？
いずれにしろご無事で何よりでした。

やまさん

Re: 残念でしたね。
たけさん　心配かけてすみません
おっしゃる通りで…無謀でした。
ロープを持っていかなかったことも少々後悔していました。
無雪期の偵察登山が必要だと改めて感じましたが…冬期はピークを繋ぐ稜線歩きになるので奥駈ならぬ奥崖ですね…
今回の核心は大普賢岳〜釈迦ヶ岳かな？と思ってました。ここの通過に3日くらいは覚悟して食料計画をしたのですがこのざまです…(笑)
しかし、今回はいろいろ学べて満足しています！役小角様に感謝ですね
ここへ導いてくれた、たけさんにも感謝してます！
ありがとうございました。

takenakano

Re[2]: 残念でしたね。
やまさん、覚悟の上の奧崖でしたか。
大峯奧駈けは無雪期でも巻き道はほとんどない修行の道です。
核心部は釈迦ヶ岳と地蔵岳(3つあるが葛川口の先の山)だと思います。
積雪期は難易度が非常に高くなると思いますが、水の心配がなくなるのが唯一のメリットですね。
いつか無事完歩されることをお祈りしています。
あれほど大変な山行でしたが、今度は順峯で行ってみたいと思っています。

やまさん

Re[3]: 残念でしたね。
たけさん　いろいろアドバイスありがとうございます。
逆峯は無雪期にやってみて、積雪期は前鬼までで充分かなって考え直しました(笑)
大峰山脈の懐の深さは人を引き付ける魔力がありますね
だから1300年も続いているのでしょうけど…

nao &るー🐈

なるほど
すべてお導きのまま・・・としか言いようがないですね。

それにしても奈良は岐阜より暖かいから大丈夫だと思ってたけど、奈良の山にもこんなに雪が積もるんだと驚いた〜
今年のキーワードは「ラッセル」だね

やまさん

Re: なるほど
なおさん　こんばんは
今年はラッセルの当たり年ですね(笑)
ですが、白木師匠が言うように登山キャリアでとても貴重な経験を積めているってことですから有り難いことです！
しかし、奈良の山奥がこんなに雪深いとは…
こちらも勉強になりました。

ytomei

感服します
この難ルートにトライするという事に男意気を感じます。ここで使う漢字は、男ではなく、漢でしょうね。私はつねにライターの予備として火打ち石を持っています、冗談でなく、ホントですよ。

やまさん

Re: 感服します
とめさん…マグネシウムの火打石でしょ？
一度、安全な極低温下で試した方がいいですよ。
今回もライターの石は火を飛ばしていましたが炎が見られなかった…
ガスにも問題があったのかもしれないので-20℃対応のガスを買ってきたよ(笑)
二度と積雪期テン泊にジェットボイルは持って行かないけどね！

ytomei

Re[2]: 感服します
マグネシウムと、石式の防水オイルライターを両方持っていきます。
マイナス１５度くらいなら問題なく使えますよ。ライターが死んでも、マグネシウムで今日までなんとかなっていますよ

やまさん

Re[3]: 感服します
とめさん、たぶんジェットボイルがダメだと思います。
次からはちゃんとプリムスを持っていきます(笑)
雪山の師匠からはライターは三つ持ってけ！と言われちゃいました…

ルピモさん

御嵩発山歩き(♂)
やまさん。お疲れ様です。
秋に続き天候に恵まれない山域なのかな？
無理して何かあってはいけないので、引き返す勇気も必要ですね。
でも、やまさんらしい山行で、読んでいて楽しかったです。
特に昔話はその通りですね！良く寝るなっと思いました。
もちろんリベンジしますよね！
所で全行程のどの程度まで進んだのでしょうか？

やまさん

Re: 御嵩発山歩き(♂)
御嵩さん　こんばんは
全行程（約90km）の4分の1で引き返しました。核心部はまだその先です…
引き返しているので歩行距離は半分の45kmです(笑)
リベンジしたいのはやまやまですが、おいそれとリベンジできる山域ではないので…いずれチャンスがあればって感じです。

ベッカム

奈良県は樹氷で有名どころ有り
冬に明神平というところに行って
そり遊びをした覚えがあります。
修行お疲れ様でした。

やまさん

Re: 奈良県は樹氷で有名どころ有り
ベッカムさん　こんにちは
今年の冬期登山の集大成って感じの山行になってしまいましたが…
当初の予定では残雪期だったのです！
ですから装備は残雪期仕様だったので寒かったです(笑)