北アで1,2を争うレア度の高さ? 静寂に包まれた大滝山荘でテント泊
- GPS
- 32:00
- 距離
- 34.1km
- 登り
- 1,732m
- 下り
- 1,727m
コースタイム
- 山行
- 6:42
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 7:15
- 山行
- 5:35
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 6:30
天候 | 8/19 雨→曇り→晴れ→曇り 8/20 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
(以前に利用していた第一駐車場は、上高地交通規制日の観光バス専用駐車場となり、閉鎖されていました) 沢渡バスターミナル⇔上高地バスターミナル:乗合いタクシー/4,200円、バス/片道1,250円、往復2,050円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません この時期の大滝山荘では、ブヨと蚊の大群に襲われます 特に蚊は、服の上からでも普通に刺してくるので気を付けてください 私は、両腕・両足はもちろん、肩や背中を含めて15箇所以上刺されました… |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
春先から、今年の夏はどこを歩いてみようかな?とあれこれ考えていましたが、諸般の事情で休日の行動が制限されることになってしまいました。これまでのように複数日かけて外出することはできず、外出することができても日帰りがメインで、月イチ程度の1泊2日が限度でしょうか。
身体が鈍らないように肥満防止も兼ねて気休め程度に運動していましたが、今回は1ヵ月ぶりの山行、かつ2ヵ月半ぶりのテント泊となるため、体力に自信がありません。今の実力でも可能な場所はどこだろう?久しぶりにヘルメットを被ってみたいけれど体力的に厳しいかな?既に行ったことがある山域で、残したままの宿題を片付けに行くことにしました。
昨年の敬老の日3連休に予定していた常念山脈の縦走では、2泊目は既に利用したことがある蝶ヶ岳ヒュッテではなく、大滝山荘を計画していました。しかし、台風16号の影響で延期することとなり、大滝山荘は9月23日までの営業であったため、残念ながら諦めることになりました。
また、その翌週に歩いた徳本峠超えのクラシックルートでは、W・ウェストンにちなんで嘉門次小屋で岩魚の塩焼きを食べる予定でしたが、夜半からの降雨の影響で霞沢岳アタックが遅れたため、時間切れでこちらも諦めることになりました。
そこで今回は、大滝山荘の利用を兼ねて蝶ヶ岳〜徳本峠をつなげること、嘉門次小屋で岩魚の塩焼きを食べることを目的としたのでした。蝶ヶ岳までは、同じく歩いたことがない横尾から目指すことにしました。
8/19
久しぶりの山行なので、珍しく2時間程度仮眠をしてから予定より少し遅れて自宅を出発。松本のあたりで頭痛に見舞われましたが、単なる寝不足かな?と受け止めながら沢渡に到着すると、これまでに利用していた第一駐車場が閉鎖されていて、少し戸惑いました。
バスターミナルがある第三駐車場に誘導され、期待していたタクシーの相乗りはできず、しかしすぐに臨時バスが発車したので、そんなに遅れることなく上高地に到着しました。ヘルメットの持参率が高く、少し羨ましくなりました。登山届を提出して、出発です。
空梅雨のような梅雨が明け、梅雨に逆戻りしたように悪天候が続く中、19日と20日の天気予報は久しぶりの「晴れ」でした。しかし、河童橋のあたりからポツリ、ポツリと…。
次第に本降りとなり、初っ端から心が折れそうでした。周りの方々がレインウェアを着用する中、しばらくは樹林帯歩きが続くし、西の空が明るかったので雨はすぐに上がるだろうと判断し、ザックカバーだけ装着しました。
徳澤の手前で雨は上がりましたが、何だか体調がよくありません。軽い頭痛に見舞われ、運転中の頭痛が残っているのかな?と思いながら徳澤に到着。徳澤園で休憩しようかどうか迷いましたが、そのまま進みました。しかし、頭痛は酷くなるばかりか息切れも…。今回は厳しい山行になるかな?
横尾に到着し、ベンチに座って10分ほど休憩しました。何となく回復したので、先に進むことにします。ここまでにたくさんのヘルメットを見て、北穂高小屋泊に変更しようかとも考えましたが、今日の体調では涸沢からの登りが厳しそう。当初の予定通り、まずは蝶ヶ岳を目指しましょう。
分岐で蝶ヶ岳方面に進むと、親切なご年配の女性から「お兄さん、槍ヶ岳はそっちじゃないわよ!」と声をかけらました。横尾大橋を渡らないのであれば、槍ヶ岳方面に進む人は99.9%以上なのでしょう。「蝶ヶ岳に行きますので」と答えると、珍しいものを見るような顔をされてしまいました。
いきなり急登が始まります。雨が上がったばかりのせいか湿度が高く、大量の汗が噴き出ました。このおかげか、頭痛が治まって覚醒してきた頃に槍見台に到着。勿論、こんな天気では真っ白で何も見えず、稜線に期待して先に進みました。
傾斜は急でしたが、標高2,000mを超えたあたりで風が抜けるようになって楽になりました。また、階段や梯子以外にも、見晴しの良さそうな場所には休憩用のベンチが設置されるなどきちんと整備されていて、歩きやすい道でした。
しかし、久しぶりの山行につき、体力の低下は顕著でした。頭で描いていたイメージに身体がついていかず、テント泊を始めて以降、一番ゆっくりとしたペースで登ったと思います。1kmごとにあったカウントダウンは、精神的に救われました。今回の計画では、横尾から稜線に登ってしまえばあとは明日のゴールまで楽なはずなので、頑張ろう。
森林限界を抜けると稜線が見えてきて、ヤル気が湧いてきました。稜線に到着し、後ろを振り返ると、槍穂は雲に覆われてしまっていました。5分ほど粘りましたが、諦めて先に進みました。
この界隈(蝶槍〜蝶ヶ岳ヒュッテ)は、とても歩きやすくて、お気に入りです。横尾から稜線まではマイナーゆえに、1名の若者に抜かされ、1名の女性、6名の団体を追い抜き、4人の下山者とすれ違っただけでしたが、一気に縦走者が増えて賑やかになり、自然と心も弾みます。
久しぶりの北アルプスを楽しみながら、のんびり歩いて蝶ヶ岳ヒュッテに到着。スタッフさんに大滝山荘でビールなどを購入できるかどうか確認しました。
蝶ヶ岳山頂では、多くの方が槍穂の雲が切れるのを待っていました。槍ヶ岳だけ雲が切れることがあっても半分だけで、全体が綺麗に見えることはありませんでした。すぐ下のテント場からは楽しそうな笑い声が聞こえてきて心が揺らぎましたが、ここまで来たからには、あと1時間程度頑張って大滝山荘に進むことにしました。
三股との分岐で大滝山方面へ。大滝山までは、距離は短くてもかなりのアップダウンがありそうでした。普段はお花に興味がないくせに、この日はなぜかお花畑で癒されて、下ります。登り返しではたくさんの猿に出迎えられました。登り終えると池があり、体形からしておそらくサンショウウオがたくさん生息していました。
池を渡り、再び登って稜線に出て冷沢との分岐を過ぎると、大滝山北峰に到着。なんだかテント場らしき感じがして、ここにザックをデポして110m離れた大滝山荘に進もうかと思いましたが、違うと嫌のなのでそのまま進みました。
大滝山荘に到着すると、人の気配がありません。しまった、小屋番さんは外出中かな?大きな声で「ごめんくださ〜い」と言うと、裏手で作業していた小屋番さんに出迎えられました。
テントの受付を済ませ、蝶ヶ岳ヒュッテでは購入できない大滝山のバッジを購入しました。飲み物は常温を覚悟していましたが、小さな冷蔵庫できちんと冷やされているようで、安心しました。
やはりテント場であった北峰まで戻り、テントを設営します。ここでブヨの大群に襲われ、設営に手間取っているうちに直射日光でクラクラになり、何度も立ちくらみをしながらようやく設営を終えました。
槍穂の雲が切れそうだったので、ブヨと格闘しながらカメラを片手にしばらく待機していると、大滝山荘泊という8名の団体さんが通過しました。しまった、あの冷蔵庫では、冷えたビールがなくなるかもしれない…。慌てて大滝山荘に向かうと、まだ在庫に余裕がありました。テント場ではブヨに襲われるし、テントの中は暑すぎるので、ここでお疲れさま会をすることにしました。
団体さんは、某登山用品店の登山学校(名古屋校)の中級とのことで、皆さんとても仲が良さそうでした。部屋の準備ができるまで少しお話をさせていただき、団体さんがいなくなって以降は小屋番さんとお話していました。
ここで、腕が痒いな〜と思って確認すると、いつの間にか蚊の大群に襲われていることに気が付きました。比較的大きな蚊で、服の上からでも平気で刺してくるので、今度は蚊との格闘が始まりました。どうやら山荘の前にある池が原因のようです。
ちょうど曇ってきたので、もうテントに戻っても大丈夫かな?テントに戻ってひと眠りすることにしました。夕方に目を覚ますと、外から小屋番さんの声が…。夕食の準備の合間に蝶ヶ岳ヒュッテと無線で連絡をとりあっているようでした。外に出ると、ガスで真っ白。仕事の邪魔をしてはいけないので、売店は何時までか確認すると「22:00くらいまでならウトウトしているだけだから大丈夫ですよ」と返事をいただき、再びテントへ。
目を覚ますと、22:30でした。よほど疲れていたのでしょうか?消灯時間はとっくに過ぎていて、小屋番さん以外にも団体さんにも迷惑がかかるので、ビールを諦めて遅い夕食にしました。
2:00頃に目を覚まし、星を見に外へ。まだガスで真っ白で、星はおろか、安曇野方面の夜景すら見えませんでした。でも、風が吹いてきたので朝の眺望は期待できそう。この時に2匹の蚊に侵入され、10分ほど格闘しました。
8/20
いつもより少し遅めの3:50起床。朝食を済ませ、荷物を整理してテントを撤収していると、蚊の大群に襲われました。日中はテント場に殆どいなかったのにな…。テントの撤収に手間取っていると、団体さんが朝日を見にやってきました。
予想通りガスが切れて、焼岳から常念岳まで綺麗に見ることができました。ここまで綺麗に見えたのは久しぶりだったので、のんびりと眺めていたかったのですが、蚊との格闘は続き、さらには明るくなるにつれてブヨが襲ってきたので、出発することにしました。
小屋番さんに売店の時間を確認しておきながらビールを購入できなかったことをお詫びして、南峰に到着。北峰からは見えなかったジャンダルムや乗鞍岳が見えました。同時に、大滝槍見台まで結構なアップダウンがありそうなことがわかりました。
少し際どい崖沿いを下り、樹林帯に入ると、北アルプスなのに八ヶ岳や奥秩父のような道となりました。下り基調の緩やかなアップダウンが続き、ひどい泥濘状態の箇所が多数あり、靴がドロドロになってしまいました。ここでもカウントダウンがあり、やはり精神的に楽でした。大滝槍見台まであと1kmから先はそこそこ傾斜が急な登りが続きました。
まるで櫓のような大滝槍見台に到着。高さは4〜5mはあるでしょうか。丸太の梯子は表面の皮が剥けていたので、濡れているときは滑りやすそうでした。少し霞んできてしまいましたが、まだセーフ。蝶ヶ岳と常念岳が見えなくなった代わりに、燕岳が見えました。
大滝槍見台を後にし、これまでと同じような道を進みます。「この道(中村新道)は長い」との情報を得ていましたが、確かにその通りでした。それでも、大滝槍見台手前のような登りはなく、順調に進むことができました。
途中にある見晴しでは既にガスが湧いてきてしまっていて、明神岳はイマイチでした。霞沢岳アタック組はガッカリしているだろうな…。また、途中でトレランの男性とすれ違いました。この先ドロドロだけれどあの靴で大丈夫かな?靴の中に泥が入ってしまうと思うが…。
さらに進んで徳本峠小屋に到着すると、若いスタッフが私の靴を見て「やはり、ドロドロになりますよね?」とひと言。どうやら先ほどのトレランの男性を心配していたようでした。ブタさんの富子とこたろうを確認して、休憩するために表に回ると、テントがたくさんありました。霞沢岳にアタックしているようです。
小屋番さんに挨拶すると「昨年の秋に来ましたよね?」と言われました。驚いて「昨年の10月の第1週に来ました」と返すと「声と語り口に特徴があるから覚えていたよ」とのこと。その微妙な覚え方に対して素直に喜んで良いかどうか微妙でしたが、話が弾んでしまい、ついついビールを購入して予定よりも長居してしまいました。少し反省。でも、これで餓鬼岳から常念山脈がつながりました。
また訪れることを約束して、出発です。あとは明神へ下るだけ。1時間と少しで明神館に到着し、嘉門次小屋を目指します。まだお昼前だから一般観光客はあまりいないだろうし、登山者でも槍ヶ岳組は到着していないはず。
岩魚を焼くのに40分程度かかるそうで、タイミングが悪いと1回転分の40分、大混雑の場合は2回転分の80分待ちになるとのことで、ドキドキしながら嘉門次小屋に到着すると、まだ空いていて、5〜10分程度の待ち時間でした。
早速注文して、いただきました。「硬さ」を理由に頭と尻尾を残す方が多い中、提供時に「全て食べられますので」と言われました。その通り、とても柔らかく、塩分の補給ができ、さらには1年間待ち侘びたこともあって、最高においしゅうござました。
食後には、W・ウェストンから贈られたという有名なピッケルを見物させていただき、穂高神社奥宮でお参りを済ませ、上高地に到着。ゴールとなりました。
蝶ヶ岳ヒュッテの人気が高すぎて、通過されてしまう大滝小屋。北アルプスの営業小屋の中で、その営業期間の短さから「レア度が高い」「利用難易度が高い」と言われているようで、とても楽しみにしていました。また、その人気度の低さから、もっと質素なサービスを覚悟していましたが、テント泊であれば蝶ヶ岳ヒュッテと大差なく、隠れ家的に利用することができました。蝶ヶ岳ヒュッテから1時間程度であるし、喧騒を離れて静かな宿泊を希望するのであれば、大滝山荘が断然おススメです。
ただし、ブヨと蚊の大群と格闘することになるので、折れない心を持つか、時期を選ぶ必要があることをお忘れなく・・・。
kenboさんこんばんは。
この土日でkenboさんのこのレコを参考に同じルートを歩いてきましたので報告とお礼にコメント致しました。蝶ヶ岳の賑わいから一転中村新道は激渋で良い道でした(^^)
ありがとうございました
私の「思い出」としての記録が参考になりましたでしょうか?
蝶ヶ岳から徳本峠まで静かですよね。
あまりにも静かなので、熊鈴をリンリン鳴らしながら歩きました。
大人気の北アルプスの中で、危険箇所は特になく、のんびり歩くことができる点でとても気に入りました。
いつか逆回りをやってみようと思っています。
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