裏銀座縦走(水晶、鷲羽経由槍飛ばし)
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- GPS
- 27:04
- 距離
- 42.0km
- 登り
- 3,172m
- 下り
- 3,407m
コースタイム
- 山行
- 6:57
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 7:45
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 2:24
- 合計
- 8:14
- 山行
- 8:51
- 休憩
- 2:07
- 合計
- 10:58
天候 | ■25日:雨 ■26日:晴れ(強風) ■27日:晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
▽復路:新穂高温泉〜平湯(バス乗り継ぎ)〜バスタ新宿 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■登山口〜烏帽子小屋:一本調子の急登だが危険個所はなし。■〜野口五郎小屋:大半は緩やかな稜線の登り。当日は北西の強風に悩まされた。■〜水晶小屋:野口五郎岳付近は強風。東沢乗越を過ぎると一部に岩場の急登がある。赤茶色の脆い岩質に注意。■水晶岳:山頂近くは岩場となる。■〜三俣山荘:稜線コースはワリモ岳、鷲羽岳の2ピークで疲れるが危険個所はなし。好天時の鷲羽山頂の見晴らしは一見の価値あり。■〜双六岳:稜線コースは三俣蓮華岳山頂近くの急登でコースを外しやすい。丸山、双六岳へは思ったより急坂がある。■〜双六小屋:双六山頂を少し南に降りると、だだっ広い丸尾根?となる。緩い起伏が急降下に変わると下に小屋が見える。■〜鏡平山荘:初めは右に双六、後ろに鷲羽が見え、稜線に達すると槍穂高連峰が見える。■〜新穂高温泉:林道出合からバス停までの林道歩きがかなり長い。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25000地形図
ガイド地図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
緊急保温シート
着替え
カメラ
GPS
|
---|---|
共同装備 |
非常食
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
|
感想
思えば2009年夏の槍ヶ岳から、alps165ことDr.エモンとコンビを組んでの北ア詣でも毎夏連続10回に達した。今回、主役の槍をパスしつつも念願だった裏銀座を歩いて、これで核心部のメジャールートはほぼ踏破した形となる。台風一過の好天という期待こそ裏切られたが、3日間中2日はまずまずの眺望に恵まれて良い記念山行となった。
【25日】
台風20号のせいで出発を一日遅らせ、仕事場から直接旅立って深夜に信濃大町駅前の旅館に投宿。朝5時過ぎに目覚めると、外は小雨だった。幸先の悪さにがっかりしたが、ともあれタクシーで高瀬ダムへ。相変わらず小雨そぼ降る道を出発した。
トンネルを抜けて吊り橋を渡ると、右手に轟然と飛沫を挙げる滝が見えた。いささかひるんだが、その下流を渡る丸木橋ががっしりしているのに安堵する。薄日が差して天気雨のようになった。程なく名うての急登を警告するブナ立尾根登山口に着き、蒸し暑さに辟易しながら登りにかかった。
木々の葉が雨を食い止めてはくれるが、条件が許せば折り畳み傘を差して歩くようにした。いでたちは宿を出るときに穿いたレインズボンと長袖の登山シャツ。暑くてレインの上着はとても着られないので傘を重宝する。汗だくの苦闘4時間で烏帽子小屋に着いた。
ここでカレーライスを注文して昼食とする。雨がやや強くなってきた。この先は稜線だからレインの上も羽織って出発。そもそも北西の風が吹き募り、いささか寒い。この風では傘が差せないのでフードをかぶって雨をしのいだ。岩場などはないものの、風に吹き飛ばされないように気を付けながら野口五郎小屋に逃げ込んだ。
丹沢の山小屋並みというか、北アとしては小ぢんまりした山小屋という印象だった。ありがたいことに乾燥室は完備されていたので、濡れたレインウェアや手袋などを干す。食事はうれしい誤算で量は少なめながら各種のおかずが付き、手間をかけていると感じた。
Dr.は例によって食事の前も後もひたすら眠っている。こちらも早めに羽毛布団?をひっかぶった。相変わらず雨音が続き、強風でそれが増幅される。テレビの予報は曇りのち雨。時には雷も鳴る荒れ模様の天候に心が沈んだ。
【26日】
朝食を終え、ふと外を見やるとガスが薄れてきた。程なく視界が広がって、明るい朝日が小屋全体を包み込む。カメラ片手に飛び出し、美しい山の朝を写真に納めた。昨年歩いた燕岳から大天井岳、西岳に至る表銀座コースが一望の下。富士山のシルエットも見えている。
ただし、風は相変わらず強い。小屋の人によると、野口五郎一帯はもともと風が強いのだとか。時おりよろめきながら遥か右前方に望む次の水晶岳を目指した。風を抜きにすれば、気持ちいい稜線漫歩のコースだ。
「東鎌のある表銀座の方が険しかったね」などと話していたら、ロープのある岩場が現れ、水晶小屋に向けてきつい登りとなった。遠くからも目立つ赤く脆い岩の多い区間は、植生も入らない荒涼とした景色。東側は深く切れ落ちている。小屋には9時近くなって到着した。当初、ヤマプラで作成した計画書より50分ほど遅い。あわよくば雲ノ平立ち寄りも――という目論見はついえた。そもそも計画書のタイム設定はあまりに早すぎるようだ。速度設定はきちんとしてあったのだが、何か間違えたのだろうか。
水晶小屋でコーヒーブレイクとし、リュックをデポして水晶岳へ向かった。ふと北の方を見ると遠く水面が輝いている。カメラをズームすると、この先遥か読売新道伝いにある黒部湖だと分かった。あいにく今、頂上は雲に隠れてしまっているが、反対の南側では雲ノ平が一望できた。「秘境雲ノ平は定年後の楽しみにとっておこう」ということで衆議一決し、狭い頂上に短時間滞在しただけで水晶小屋へ折り返した。
さて、帰りも雲ノ平が雲の割れ目から姿を見せたのでカメラを取り出したのだが、あろうことか電源が入らない。もしや電池切れかと思ったが、家を出る前にフル充電しており、3日やそこらで電池切れになるはずがない。故障だ。呆然としつつガラホを取り出して一応写真に納め、悄然として小屋に戻った。
小屋で昼食と思ったが、Dr.がまだ早いと言うのでワリモ岳へ進発。またも西風が募りだし、腹が減ってもとても休憩どころではない。風陰のない山腹で休憩地点探しに難渋したが、ワリモ山頂直下でやっとハイマツの陰を見つけて昼食とした。味噌汁を付けるつもりだったが、Dr.がいらないというので野口五郎小屋のおにぎり2個だけで昼食とした。
ワリモの山頂は登山道から20mも登れば着くところにあるが、おりしもハイになってやかましいオバさまが登頂中だったこともありパス。最後のひとアルバイトで鷲羽岳山頂に到着した。
もともと立派なピークだとは思っていたが、想像以上の眺望に恵まれた山頂だった。ここまで歩いてきた野口五郎からの裏銀座はもちろんのこと、水晶から赤牛、南は三俣蓮華から双六と、360度の絶景が広がる。ただし、奥ゆかしい?槍穂高連峰だけは山頂を雲に覆われて姿を見せない。「見えるまで待ってみよう」というDr.の提案に従って大休止とした。足下には今夜のお宿・三俣山荘が見えているから焦ることはない。
待つこと約1時間、結局、槍ヶ岳が穂先を見せることはなかった。実は壊れたカメラがこの時だけは復活していたのに、残念ながら活躍することはできずじまい。諦めて下り始めたのだが、その時になって槍穂高の雲が離れ始めた。
カメラを構えたきり動かなくなったDr.を置き去りにして、カメラのない当方は宿へ。ついに槍が全身を現し、非常に悔しい思いをした。対照的にホクホク顔のDr.は意気揚々と三俣山荘へと歩み入った。
烏帽子や野口五郎の小屋と比べると、水晶小屋やこの三俣山荘は「都会的」に洗練されている印象だ。玄関入って右側すぐの部屋の下段をあてがわれ、Dr.はすぐにお約束の眠りについた。こちらはそう簡単に眠るわけにいかず、外の景色などを眺めるうちに夕食タイム。野口五郎に比べるとずっと人数が多く、小学生を連れたパーティーも二組あった。
食後、Dr.が再び布団にもぐりこんだ後に外から「月が見える!」という声が上がった。この月のせいで晴れても天の川の絶景が望み薄であることは調べがついている。叫びはそうではなくて、大天井岳の脇から昇る月がとても大きく見えることへの感動が原因だった。この時だけ奇跡的にカメラが息を吹き返し、撮影することができたが、これを最後に二度と電源が入ることはなかった。
【27日】
4時45分に電気がついた。外はまだ暗い。テレビの天気予報は富山地方の情報として曇りのち雨。簡素な朝食を食べ、雨が降り出さぬうちにと出発した。三俣蓮華岳への道は重ったるいガスに覆われている。ただ、つねづねイカサマだと思う天気予報は、昨日と打って変わって晴れ間も出ることを示していた。
深いガスの三俣蓮華山頂に至る直前のガレ場でDr.がルートを外したが大過はなく、そのまま丸山、双六へと尾根を辿る。いつものペースで歩いて行くと、ライチョウが道端のハイマツから姿を現した。計4羽。カメラを構えるDr.に対し、当方はガラホを構えるかしかない。結局、写真は撮りそびれてしまった。
Dr.いわく「なだらかな山頂」の印象を裏切る急坂をあえぎ登って双六山頂。ここも深いガスに包まれていたが、下り始めて5分もするとサーッと雲の帳が裂けはじめた。まず右手の双六南陵が姿を見せ、双六山頂、さらには鷲羽岳までがすっかり姿を現した。
絶景を堪能しながら坂を下り、双六巻道分岐付近でさらに撮影タイムの休憩。こちらも仕方なくガラホで写真を撮りまくる。鷲羽岳の端正な山容が印象的だった。
双六小屋の前でコーヒーブレイク。湯を沸かして持参のコーヒーを飲んだ。絶景をめでつつ飲むコーヒーは、たとえインスタントでも格別だ。台風に耐えて立山から縦走中だという成蹊大学生の一団に挨拶し、弓折乗越へと向かう。晴れてくれたのはいいが、暑い。
稜線に達すると、しばらく山に隠れていた槍穂高連峰が姿を見せた。ただし、山頂は雲の中。チラチラ見ながら歩くうちに砂浜みたいな花見平を過ぎ、槍穂高の絶景ポイント?に達した。ようやく穂先から雲が離れ、一瞬、槍ヶ岳の全身が見えた。しばらくは見え隠れする槍の撮影タイムとなる。結局、完全には雲が離れず、穂高の方は依然雲の中だったが、まあ良しとすることにしよう。この間、登山道脇で砂浴び中の雷鳥1羽を撮影することもできた。1.5mほどまで近づいたが逃げようともしなかった。
弓折乗越で一休みして、急勾配で鏡平へと下る。双六付近から明らかに人影が増えた。やはり裏銀座ルート北部に比べると歩く人が多い。前方の槍ヶ岳は相変わらず雲から出ては隠れを繰り返している。なんとか鏡平の鏡池に着くまで見えていてほしいものだ。
昼食休憩するつもりだった鏡平山荘の前は大勢のハイカーでベンチが埋まっており、そのまま鏡池へ直進してそこのベンチに腰を据えた。非常食を兼ねて持参したフリーズドライ食品で昼にする。槍ヶ岳は食事をしながら待つうちに、何とか半分程度顔を出してくれた。ただ、鏡池に映る「逆さ槍」は角度の関係かどうもうまく撮影できない。
槍が全身を見せるのを期待しながら結局1時間の大休止を取り、ラストコースに出発。下山にもかかわらず晴れ&無風で暑い。ここを通るのは3度目だが、過去2回はいずれも往路。下ってみると実に長く感じた。低木の中を延々と歩いて沢を渡り、やっと林道出会いに到着したものの、新穂高温泉までまだ優に1時間以上かかる。後で地図を見ると、下り基調とはいえ前2日分と同じくらいの距離を歩いていた。これでは疲れるわけだ。新穂高では定宿化しつつある深山荘に直行し、気持ちよい温泉に飛び込んだ。
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