秋の父子南ア・白根南嶺百高山周回ツアー(奈良田〜大門沢小屋〜広河内岳〜大籠岳〜笹山〜奈良田)
- GPS
- 18:36
- 距離
- 28.0km
- 登り
- 3,267m
- 下り
- 3,286m
コースタイム
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 4:43
- 山行
- 12:56
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 14:13
天候 | (初日)曇り・朝方小雨、のち時々晴れ (二日目)ほぼ終日快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・大門沢小屋からの登路、暗い中を歩く場合、最初の顕著な涸れ沢の徒渉点で沢筋に引き込まれぬよう注意(黄色のペンキマーク・赤テープあり。我々は赤テープ見逃し、涸れ沢を20分ほど誤って登ってしまい引き返し…) ・大門沢下降点から白峰南嶺の縦走路、今シーズンは農鳥小屋のおじさんが道迷い防止のため、多数の黄ペンキ&赤テープでマーキングして下さり、ほとんど迷いやすい区間なし(強いて言えば、笹山北峰手前のハイマツ帯が若干歩きにくいぐらい)。コースタイムもそこそこ短縮でき、有り難い限り(それでも、踏跡は細い区間が殆どで、ガス・荒天時はマーキングやケルンを外さぬよう通行注意) ・笹山南峰からダイレクト尾根の下降路、特に前半は急斜面の下りが続き、スリップ注意。 |
その他周辺情報 | ・駐車場の上方に奈良田の里温泉あり、日帰り入浴可(午後7時まで;最終入館18:30) ・我々は甲府市内の病院立ち寄り(救急外来:虫刺され箇所のチェック)の後、甲州道を石和温泉方面へ少し走った地点の日帰り温泉「源泉湯・燈屋」(ともしびや)にて入浴・夕食・休憩〈大人930円、深夜0時閉館;食堂は22:30ラストオーダー/源泉かけ流し/仮眠できる「寛ぎルーム」あり/土産品の販売コーナーはナシ〉。東京方面へのお帰りは一宮御坂ICより。 |
写真
感想
暑かった夏山シーズンも終わり、はや秋風の吹く季節。北海道からは初雪、アルプスの山々からも紅葉前線スタートのニュースが入り、当方も山歩きの虫が盛んに蠢くものの、折角の9月の3連休×2も予報がパッとしません。他のヤマレコご同輩諸氏と同様、悶々とした日々を送っていたところ、秋分の日が久々の晴れ予報!この好機を逃すまじ、と貧乏暇アリ(!?)のムスコを日当付き!で誘い出し、金曜深夜より愛車を飛ばしお初の南ア・奈良田へと向かいます。今回のターゲットは知る人ぞ知る白根南嶺の日本百高山3座(広河内、大籠、笹山)。ムスコも職場の同僚に「今回はどこ行くの?」と聞かれ、まともに答えられなかった、と苦笑。やはり、白根三山のようなメジャーな山を行程に加えるべきだったか、と反省するも、お互い自由に使える時間の少ない勤め人の身とて、背に腹は変えられませぬ…。
奈良田には土曜の午前2時過ぎ到着。さすがに三連休ということで、第1駐車場はこの時点で既にほぼ満車。奥の方に辛うじてスペースを見つけ、車内でシュラフに潜り込み仮眠、小雨がパラつく状況に、当初予定より出発を遅らせることにして二度寝を決め込み、午前6時半過ぎに起床します。バス停脇のトイレに行くと、既に広河原行き始発バス(05:30)が出発したはずが、また登山者を乗せて07:00過ぎ戻ってきてしまいました。途方に暮れた感じの乗客のお一人に聞くと、どうやら林道の途中で2mサイズの大きな落石があり、バスが通れずに引き返した由。これから工事車両が石を撤去し、1時間後を目途に運行再開見込みのようですが、皆さん広河原から北岳あたりの主稜線まで登られる予定が、大幅に計画修正やむなしでお気の毒…。当方はバスの動きと関係なく、初日は大門沢小屋までのノンビリハイク。やれやれと一息ついたものの、始発バス組の中には広河原→農鳥→大門沢のルートをひっくり返す方も出てきて、今日の大門沢小屋は激混みかも、と思い直し、爆睡中のムスコ殿を叩き起こし、そそくさと朝食を済ませて08:30いざ出発です。
既にこの時点で当初予定より1時間半遅れですが、幸い朝方の小雨・ガスも晴れ、時折薄日も差す上天気。広河原に通ずる開運隧道の手前でバスが行列を作り、安全確認のため待ちぼうけ状態の乗客各位の恨めしげな表情を横目で見ながら、ハイカー皆無の簡易舗装の道を父子で大門沢へと歩きます。巨大な堰堤工事区間前後で超立派な吊橋を渡ったり、迂回のため高巻きさせられたりと結構汗をかく頃、沢沿いのステキな登山路に入ります。雨後のため水量豊富な沢の野性味溢れる吊橋をオッカナビックリ渡ったり、小尾根を乗越したりしながら順調に高度を上げ、そろそろお腹が空いてきた午後1時過ぎ、初日のお宿・大門沢小屋に到着です。
展望絶佳のテン場の方は早くもほぼ「満員御礼」状態ながら、小屋の方は幸い混雑もさほどでなく、二人分のスペースに一人数枚の敷布と毛布を与えられる上々の待遇です。うどん昼食を済ませ、しばしお昼寝の後、夕方再び起き出してレトルト夕食。さすがに沢沿いのロケーションだけあり、美味しいお水がタダで無尽蔵に使えるのは有り難い限りです。炊事場でちょうど隣にやって来たテント組の若者3人パーティに話を聞くと、やはり始発バスが遅れたため行程変更、今日はやむなくここへ泊まった後、明日頑張って白根三山越えの予定の由。奈良田が標高800m、広河原は1,600m弱ですから、差し引き1,000m近く余計に登らされることになり、思わず同情するも、まだ若いから大丈夫!と激励。当方はと言えば、午後は殆ど何も運動していないのに、よくこれだけ食べられるものだと変に感心しつつ、1本500円のしっかり冷えたビールも頂いて、午後7時前早々に就寝。遅い時間に着いた登山者もおられたものの、8時の消灯前にはピタッと寝静まられ、さすがこのエリアは気合の入った、礼儀正しいハイカーばかり、とまたまた感心しながら深い眠りに落ちます。
2日目、東の空に天の川やオリオン座など冬の星座がキラキラと輝く中、午前2時半過ぎ起床。昔ながらのボットントイレにヘ電を落とさぬよう気を付けつつ用を済ませ、コーヒーと棒ラーメンを炊事場で手早く作り、またも熟睡状態のムスコを叩き起こします。朝食と片付けを済ませ、降るような星空の下、予定より早めの午前3時50分前に小屋出発。この日は長い行程だけに、上々のスタートです。ところが、寝起きでボーッとしていたせいか、ヘ電とLEDライトでルートを追ううち、大門沢支流の南沢をまたぐポイントで涸れ沢上の地形に引き込まれ、約25分のムダなアルバイトをする羽目に。途中、ちょっとおかしいぞ、と思い始めた辺りでようやくGPSの電波が入り、現在地が分かって道迷いに気付き、急遽引き返すことに。ところが、今度は少々下り過ぎて正規の道を通り越し、後からやって来たパーティのヘ電を頼みに、やっとのことで正規ルートへ復帰するという体たらく。沢沿い・樹林帯のナイトハイクの落とし穴に嵌まった思いですが、道迷いのポイントをよく見ると、ちゃんと進行方向に赤テープが付いてました。この後、稜線に出てからも破線ルートが続くだけに、明るくなっても気を緩めず、マーキングを見落とさぬように、と自戒します。
ということで、折角予定より早めに出発したものの、かれこれ1時間近くのロスタイムで初っ端からテンションだだ下がり。後発パーティにも次々追い越され、絶好の快晴にも拘わらず、二人揃ってなかなかペースが上がりません。次第に鮮やかさを増す紅葉に背中を押されながら、つづら折れの斜面を登り詰め、何とか強風吹きすさぶ主稜線上の大門沢下降点に到着したのは09:10過ぎ、当初予定より約1.5時間遅れです。長い登りで朝食のエネルギーもほぼ使い果たし、このペースだと明るいうちの下山も、奈良田の温泉入浴も絶望的…ということで気ばかり焦り、父子でコンビニおにぎりやチョコを頬張りつつ、そそくさと最初のターゲット、広河内岳へ出発します。
ここからの白根南嶺歩きが本日のハイライト、快晴で視界も良好、有り難い限りです。確かに踏み跡は農鳥へのメインルートに比し薄いものの、今シーズンに入って農鳥小屋の名物おじさんが黄ペンキや赤テープで“これでもか” というぐらい丁寧にマーキングを付けて下さり、進むべき方向は窮めて明瞭です。加えて、登るにつれ四周の大展望も次々開け、遠く笊ヶ岳に繋がる眼前の巨大恐竜の背のような白根南嶺のステキな稜線に加え、塩見〜荒川と伸びる骨太の南ア主稜線、右手には先月お世話になった中アの長大な山脈、そしてトドメは左手の雲海の彼方、孤高にそびえ立つ霊峰富士と、遮るもののない大パノラマに、父子揃ってテンションもスピードもアップ。特に登りでは調子の出なかったムスコも、前方を行く男性ソロの方を追って快調に歩を進めていきます。
豊富なマーキングに導かれて順調に岩稜を登り詰め、最初の百高山ターゲット・広河内岳にコースタイムを15分ほど短縮し到着。南ア南部の展望も更に開けますが、風も相当に強く、証拠写真を撮り早々に出発。ここから暫くはなだらかな稜線歩きが続き、周囲の草紅葉もステキで、大展望を楽しみながら快適に歩を進めます。途中、軽食・ゼリー休憩を挟みつつ、次の百高山・大籠岳にあっさり到着。ここからは、これまで農鳥や間ノ岳に隠れて見えなかった日本第二位の高峰・北岳も峻険な山容をしっかり現してくれ、7月にそのピークを極めた息子も大喜びです。当初計画からの遅れも約1時間に縮まり、おにぎりでパワー補給して勇躍次のピークへ出発。細かいアップダウンを繰り返しつつ幅の広い尾根を辿り、だだっ広い白河内岳にお昼前到着。この区間はコースタイムを約半分に短縮、このペースなら奈良田の日帰り入浴も夢ではなさそうです。
休憩もそこそこに、左前方に姿を現した笹山方面へ下っていきます。この辺りはゴロゴロした岩を伝い歩く感じのルート、広い稜線で進行方向も分かりにくく、マップ上でも「道迷いポイント」とされていますが、相変わらず豊富なマーキングが助けとなり、快調に歩くことができます。やがて標高がやや下がり、樹林帯の中の道に入ると、ハイマツや灌木で若干歩きにくく、マーキングも心なしか疎らな感じにはなりますが、ルート周辺の素晴らしい紅葉に力を得て、笹山への歩を進めます。やがてルートは尾根の右側を巻き気味に登る道に転じ、樹林帯を抜けると前方を行くムスコが「山頂が見えた!」と快哉を叫びます。登り着いた笹山北峰(日本百高山)には何と複数の登山者がおられ、ここはチャンスとばかり、父子での記念撮影をお願いします。気のせいか、個々の山体がぐっと大きくなった感じの南ア南部の3,000m峰の俊英たちもズラリ顔を揃え、少し後方に退いた塩見や白根三山に代わって、ほぼ真横には堂々たる蝙蝠岳が存在感を示してくれます。富士山も雲海に没することなく健在で、居合わせたハイカー各氏共々、午後1時を過ぎてなおこの大展望を見せてくれた笹山や白根南嶺に大感謝です。
山頂で居合わせたお一人は早朝からダイレクト尾根を登ってこられた由、聞けばルートは明瞭ながら、距離もあり結構しんどかったとのこと。気合いを入れ直し、北峰に比して展望も山容も地味な感じの笹山南峰(山梨百名山)で証拠写真を撮って、いよいよ標高差2,000m弱の長大なダイレクト尾根の下りにかかります。この時点で当初計画からの遅れは20分強に縮小、明るいうちの下山も十分視野に入ってきました。分かりにくい尾根上の分かれ道もGonpapaさんが付けて下さった赤テープにうまく誘導されて通過、小ピークで最後のおにぎりを頬張り、急斜面を慎重に、かつガシガシと下っていきます。やがて勾配もやや緩くなり、親子で軽口など叩きながら快調に歩を進めるものの、やはり大きな標高差は侮り難く、未明からのロングウォークで蓄積した疲労も出て、次第に二人の口数も減っていきます。それでも、この後次々と見舞われるトラブルには思いも及ばず、最後のお楽しみ・フルーツ缶と温泉入浴を心の支えに、疲弊した両脚を前に進めていきます。
下山を始めてから1.5時間ほどのところで、前方を行くムスコが大きな声を出してストップ。聞けば、蜂のような虫に腕を刺されたそうで、盛んに痛みを訴えています。小生が見たところ、蜂にしては小さい虫で、アブではないかとも思いつつ、まずは2度目のアタックを避けるべくムスコに長袖のシャツを着せた後、その場を離れて傷口から小生が血を吸い出し、アルコール消毒して絆創膏を貼る応急処置を施します。その後も腕の痺れを訴えるムスコを励ましつつ、下山後は直ぐに病院へ向かわねば、これで日帰り温泉も夢のまた夢、と少々テンションダウン。気ばかり焦った影響か、今度は小生が何でもない緩斜面でプチ転倒、運悪く右手親指を突き指気味に打ち、スマホの画面にもヒビが入ってGPSが利かなくなります。最初は軽傷だろうと高を括っていたものの、次第に腫れと内出血が拡がり、痛みも出てきて「これはオヤジの方が重傷かも…」とムスコに同情される始末。「歩きやすいルートと大展望に浮かれ過ぎて、山の神の怒りに触れたかも…」と2人して反省しつつ、残りの長大な下り斜面を慎重に下り、何とか明るいうちに下界の見える取水管上部の分岐に到着。ここから長いつづら折れの階段状の斜面を鉄パイプに導かれて下り切り、ムスコのスマホの助けを借りて下山通知のメールを発信、長い吊橋で奈良田湖を渡り、ようやく薄暮の中、出発点の駐車場に帰り着きます。
急いで靴を履き替え、車を甲府方面へ走らせながら、ムスコがスマホで診療してくれる救急病院を探しますが、「連休で開いている病院も少なく、ウチの管轄外…」など次々とたらい回しに遭い、甲府市郊外に入ってもまだ行くべき病院が見つかりません。ふとカーナビの画面を見ると、すぐ傍に「山梨大附属病院」の表示発見。飛び込みで病院に車を乗り入れ、何とか救急外来の受付に辿り着いて、程なく当直医(小児科の医師)の診察を受けると、「大丈夫、問題ないですね。この程度なら救急センターに連絡し、2次救急病院で見てもらうように」とのこと。ホッとしつつも、こちら素人は深刻さや対処方針が分からないので、どうしても保守的に対応するしかないし…と独りごち、これ以上、当直医の先生の手を煩わせるのも申し訳ないので、小生の方は帰京後にかかりつけ医の診療を受けることにします。取りあえず安心して「2日間風呂に入っていないので、温泉へ行こう」と元気復活のムスコに近くの深夜営業の日帰り温泉を調べてもらい、石和温泉方面の「源泉湯・燈屋」へ。源泉かけ流し、食堂も遅くまでやっていて、寛ぎスペースもあって大変助かります。「中央道渋滞30km超」のニュースに嫌気し、疲れも溜まっているのでここで遅い夕食を済ませ、2時間ほど仮眠して夜半過ぎに出発。小仏渋滞はまだ10kmほど残っていましたが、午前2時過ぎ、無事自宅に帰り着きました。
秋の長雨の合間、貴重な真っ晴れを当てた上、予想外に歩きやすかった白根南嶺の山々を踏破できたのは幸いでしたが、やはり2日目の強行軍が祟ってか、登りの道迷い、下りの虫刺されにプチ転倒・指の負傷・スマホ破損とトラブル続きで、「好事魔多し」を実感したツアーとなりました。指の方は休み明けに行きつけの整形外科で受診し「単なる捻挫」で骨に異常なし、スマホも「割れない」丈夫な機種(!)に変更し、それなりの出費ではありましたが何とか事なきを得ました。その後も台風や長雨でなかなか山歩き日和には恵まれませんが、紅葉前線もそろそろ2,000m級の中・低山に降りてくる時期、また好天を狙って錦秋の山歩きを楽しみたいものですね!
長文・駄文のレコにお付き合い下さり、有難うございます。ヤマレコ諸兄の垂涎の紅葉山行記録も、楽しみに読ませて頂きます!
コメント
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こんばんは。
白峰南稜、豊富なペンキとピンクテープで、本当に助かり、実践並みのルートになりましたね。
ダイレクト尾根下山時に、色々なアクシデントに遭遇し、大変でしたね。重症ではなくて良かったです。笹山からの下山時の道迷いし易いところに付けたビニールテープ、お役に立ている模様で何よりです。
私の方も、百高山にチャレンジ中で92座になりました。残るは、北ア2座、南ア2座、中ア4座ですが、秋雨前線が停滞中で、偶に陽射しがあるときは所用があり、9月は全く山に行けなくてイライラが募っており、10月上旬に中ア2座をハントできたらなと思っている所です。お互い、頑張りましょう。
Gonpapaさま:当方の駄文・乱文レコに早速のメッセージを頂戴し、恐縮至極です。ダイレクト尾根の下りでは、貴殿のレコ記事や付けて下さった赤テープがとても頼りになり、夕闇が迫る中、道迷いもなくスムーズに下山することができました。当方も百高山の残りが12座となりましたが、多くが槍〜穂高の大キレット前後で、足腰がしっかりしているうちに踏破せねば、と若干の焦りも覚える今日この頃です。。
今年の紅葉は出足も早く「当たり年」のように思えますが、このところ週末のたびに悪天・荒天続きで、なかなか泊まりがけツアーのチャンスに恵まれませんね…。折角の秋山シーズン、また10月の好天の下、名山・高山歩きを安全に楽しみましょう!
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