九州最長縦走コース(祖母山、傾山、大崩山)
- GPS
- 82:45
- 距離
- 72.2km
- 登り
- 6,697m
- 下り
- 6,471m
コースタイム
- 山行
- 7:49
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 8:37
- 山行
- 7:46
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 8:55
- 山行
- 12:16
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 13:49
- 山行
- 8:22
- 休憩
- 2:14
- 合計
- 10:36
天候 | 2日目午前中まで小雨、その後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
祝子川温泉からタクシーで延岡駅、特急で大分駅、乗り換えて緒方駅、コミュニティバスで傾山登山口まで1日がかりで戻る予定でした。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
大障子岩の巻き道、祖母山南直下、杉ヶ越尾根、大鋸小鋸と鹿の背(ナイフエッジ)、坊主尾根。危険個所多数。 |
その他周辺情報 | 祝子川温泉10:00〜20:00 510円 延岡駅までのバスは土日祝運航ないためGW中は運航なし 緒方駅からのコミュニティバスは300円 |
感想
九州最大の縦走路、祖母傾大崩山のコースを夫婦2人で歩きました。
4泊5日で計画しましたが、結果的に3泊4日になりました。
歩行距離72辧獲得標高4500m、なにより難所の多さで難しいコースです。
さらに困難にするのがアクセスの悪さと補給箇所のなさ。後半は水場も少なめです。
しかしながら、九州で最も歩きがいがあるからか、チャレンジした人が意外といて、道程で出会った方々のなかにも、歩ききった人が何人かおられました。
初日はするどい急登。標高差1000メートルを一気に登ります。大障子のトラバースや馬の背などはありますが、後半に比べて難易度はありません。天気が良ければ障子岩に登って楽しみたかったです。
アケボノツツジ、アセビなどに迎えられ、小雨も暑さを回避できたと思えばラッキーでした。しかし山小屋で脱いだシャツの臭いは耐え難いものです。
祖母山の山小屋は無料化しています。充実した施設で、電灯やコンセントが使えるのに無料とは申し訳ない感じがします。毛布もたくさん干されており寒い思いはいたしません。
私たちはこの祖母山の山小屋で令和を迎えました。
利用客数は雨で少なく、8人ほどでした。
2日目は、距離は長いが緩やかなコース。とはいえ序盤の祖母山からの下りは激しいところです。小雨が残っており、山頂でのご来光は見られず、祖母山からの下り難所も水濡れで危機感がありました。とはいえ水場も多く、今回の行程では最も悩まないルートです。
尾平越を過ぎた辺りから天候が回復し、終盤は今回の山行ではじめて遠景が見られるようになりました。
この日は九折の避難小屋に泊まりました。利用客数は10名ほどでしたが、テントも4張ほど見られました。
3日目は、難所もあり、行動時間も最長です。難所の大鋸小鋸が後半にあたるので、日の高いうちに通過できるよう夜明け前の出発です。
避難小屋から傾山山頂までは1時間と少し。令和はじめてのご来光をここで見ることができました。また、傾山は概ね中間地点になり、スタートからゴールまでが一望できました。
名残惜しいのですが、時間が押しているので杉ヶ越へ入ります。
杉ヶ越はハシゴ、ロープなどが多く、そしてとても長く、体力を使います。コースタイムで4時間弱もあり、特にがれ場が苦手であったり、荷物が大きい山旅の鬼門です。
まだ体力的に余裕があったことから、順調に下って杉ヶ越大明神へ。杉ヶ越大明神は、お宮がボロボロでした。
杉ヶ越のトンネルまで降りずに、この付近に水場があるのではないかと探しました。全行程通して最後の水場になる重要なものですが、事前に情報を得てきたものの、なかなか見つかりません。
結局、涸れ沢を道路際までおりて水が出ている箇所が見つかりましたが、トンネルまで降りて車道を歩くほうが一般的にはおすすめできるかもしれません。また、本来の水場が他にある可能性があります。我々が今回使った水場はGPXログのとおりです。
新百姓山までの登りは非常にきつく、山と高原の地図のコースタイムが少なめに設定されているのか、予定よりかなり時間がかかりました。コースタイムも古い地図と比べ新しいものは長めに修正されているのですが、まだ間違っていると思われます。以前登ったときもそうだった気がしますが、忘れていました。想定外に時間と体力が削られ、かなりきつかったです。
桧山までいくと、その後は直滑降のきつい下り坂。今まで登った分が台無しになります。そして犬流れ分岐から先は、有名な大鋸小鋸。高山にはないタイプの木質混合系クライムのアグレッシブなルート。アスレチックの不得手や荷物の大きさにより、とにかく時間が食われます。しかしこことこの先のナイフリッジを超えれば、もう安全な道しかないとわかっているので、慌てずにいきます。
時間をかけて鋸を通過したあとに控えるのが、一般登山道としては最大級の危険箇所です。鹿の背とか夏木山のナイフリッジとか言われていますが、天然の足場がなく、下手をすると数十メートル異常は滑落する両側に切り立った岩場です。幸いロープと足場が打たれているのですが、ロープも今回は新しかったものの、人が少ない山だけに古いこともあります。足場はいつ打ち付けられたかわからないほど古く、そしていつ壊れてもおかしくないほど細いものです。私はたくさん山を歩いてきたつもりですが、たかが3mほどしかないこの区間に最も恐怖を感じます。
ここを超えればすぐに夏木山。その後はなだらかな尾根。安心感が違います。このあたりは水場も何もないので、ビバーグする場所を探してそこで寝るしかありません。
4日目は、大崩山系の稜線を歩き、メジャーな尾根を下るわかりきったコースです。大崩山の稜線は、けして人の多いコースではありませんが、植生が貧相でわかりにくくなりにくいところです。
鹿納山の手前のバリエーションルートに誘導されかけたり、鹿納山から大崩山までの元バリエーションルートで誘導が少なかったりしますが、それでも3日目と比べれば(最後の尾根を除いて)楽しく歩ける感じです。
最初のアクセントとなる五葉岳は傾山と同じく今回のルート全体が見通せる山でした。鹿納山、鹿納坊主は、坊主へ登るのに少しがれ場がありますが、ここまで歩いてきた身からすれば楽しいだけで、ここでの展望もなかなかでした。権七小屋谷の水場へ下るのを忘れて通過してしまいましたが、前日の杉ヶ越での給水で最後まで間に合いそうなのでそのままいきました。GWだからか、かなり人が多く何度か道も尋ねられました。こんなところまで、ろくな地図を持たずに来ている人が多くてびっくりしました。
大崩山の山頂付近からはどっと人が増えます。ここからは銀座大通り。控えめな山頂を踏むだけ踏んで、あとは涌塚コースか坊主尾根から降りるだけ。今回は時間が短いうえ、下りにおすすめと言われる坊主尾根を選びました。大崩山は危険箇所が多いことで有名ですが、登る人が多い分、しっかりコース整備されていて安心感はあります。坊主尾根で問題になるのは、象岩のトラバースぐらいでしょう。ここだけは設置されているワイヤーに頼りきりになりますし、滑落したら一巻の終わりです。とはいえ山なれしていない人もくるし、お年寄りもくるなかでのたまの死亡事故。私としては3日目のほうがよほど怖い。
GWで大量に人がいましたが、幸い時間帯からかコース選びが正解だったからか、登ってくる人がおらず、多少渋滞にはつかまりましたが順調に降りられました。前半は緊張感、後半になれば膝を殺す急下り、でも最後は川で足と顔を洗うことと、そのあと温泉に入ることばかり考えていたような気がします。最後の最後で渡渉に悩みましたがクリア。当初予定で泊まる予定だった山小屋は相当混み合いそうで、4日目に下ることにして正解でした。
登山口で知人と合流して、温泉やクルマの回収まで手伝っていただいて、さらに泊めてご飯までごちそうになってお世話になりっぱなしでした。タクシーで延岡へ戻り、大分市経由の電車とバスで1日がかりで回収するつもりだったので、大変助かりました。いつか恩返ししなくては。
九州の山は標高が低く、長く歩き続けられる稜線は稀です。今回のルートもアルプスなどと比較して、人の気配の薄い区間が多く整備が行き届かないところが度々あります。そこが魅力でもあるのですが、同じ距離を歩くとしたら整備の悪い道は大変です。そして、どうしても中心部に危険箇所が集まっています。登山口下山口のアクセスも非常に悪いところです。当然、営業小屋なんてありません。
アルプスの似たようなボリュームの山を歩くのと比べ、苦労の多い行程になります。しかし九州の山々を日頃登り続けている人ならば、いつかこのルートに気づいて、いつかは歩きたい、もう歩いたという人がたくさんいるはずです。我々も同じでしたし、期待どおりの最高の山行でした。九州の山にたくさん登っている方々には、一度挑戦していただきたいですね。
補足
脊梁山地であれば、今回より長いコースがとれるのではないかと思い、試しにコースを作ってみました。
https://www.yamareco.com/modules/yr_plan/detail-796832.html
今回のコースのほうが若干長いかもですね。実際歩いたらわかりませんが。
水とアクセスさえなんとかなるなら、こちらも歩いてみたいですね。
市房山方面の尾根は登山道がないようで、無理やり歩けないことはないですが、その後の二ッ岩〜市房山が崩落により通行止めになっていることから、つなげるのは厳しそうです。
コメント
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お互いに大冒険でしたね。アケボノツツジにはまだ早い頃でしょうか。
最近このあたりの山の情報を得ていないので想像ですが、五葉岳から夏木山の尾根は丸みを帯びており、歩けなくなるほど崩れることはないと思っていました。
しかし、夏木山から新百姓の間は以前からかなり危険なので、どちらにせよ迂回は賢明だったかもしれませんね。
杉ヶ越から傾山は日帰りでいってみてはいかがでしょうか。
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