天気急変、蛭ヶ岳山頂直下で雷雲襲来の丹沢主稜縦走―コイワザクラ咲く檜洞丸〜蛭ヶ岳〜丹沢山〜塔ノ岳
- GPS
- 27:20
- 距離
- 21.0km
- 登り
- 2,148m
- 下り
- 2,406m
コースタイム
- 山行
- 5:05
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 6:00
天候 | 1日目:晴のち雷雨・雹/2日目:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
八王子06:06(JR横浜線) 町田06:32/06:37(小田急小田原線) 新松田07:21 新松田駅07:30(富士急湘南バス)¥1180(交通系ICカード可) 西丹沢ビジターセンター08:41 復路: 大倉12:40(神奈川中央交通)¥206(交通系ICカード可) 渋沢駅北口12:55 渋沢13:06(小田急小田原線) 町田12:42/13:53(JR横浜線) 八王子14:15 |
写真
感想
せっかくの10連休なので3回は山に行こうと思っていたのに、天気が悪かったり安定しなかったりで結局この休みでの山行は今回限りになってしまった。
去年神ノ川ヒュッテ方面から檜洞丸と大室山を周回してとても良かったので↓、
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1433156.html
今回は西丹沢から檜洞丸経由で蛭ヶ岳へ丹沢主稜を縦走したいと計画した。
丹沢山塊を南北に縦走する丹沢主脈縦走は前に日帰りで歩いたことがあるが↓、
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-740049.html
今回の丹沢主稜は檜洞丸から蛭ヶ岳へのアップダウンがきつそうだし、登山口になる西丹沢ビジターセンターまでのアクセスも時間がかかるので蛭ヶ岳で1泊する計画にした。
それに友人たちと一緒なので日帰りで急いで歩いてしまうよりも山荘でゆっくりした方が楽しそうだ。
計画したこの2日間はちょうど高気圧に覆われて天気も良さそうだったが、ただ上空にまだ寒気が居座っているとのことで気温が上がった午後は天気は崩れてしまいそうだなと思いつつ出発した。
一緒に行く友人3人とはそれぞれの接続駅から小田急線に乗り込み、新松田駅で集合。
新松田駅から西丹沢ビジターセンター(前は西丹沢自然教室だったと思うがいつの間にか名称が変わったようだ。)へ向かうバスはすごく混むとのイメージだったが到着した7:21が、7:20のバスが出発した直後だったからか次の7:30発のバスにスムーズに着席して乗ることができた。
タイミングがよかったのか、それとも今年のGWの連休が例外的に長いので利用者が分散したからかもしれない。
バスの座席では偶然高校生たちの近くに座ったのでその会話が耳に入ってくる。
最初は中学生かなと思っていたのだが、会話から高校3年生と入学したばかりの高校1年生だと分かる。
自分が高校1年生の時といえば初めて自主的に登山をした歳であるが、その時は陣馬山に登るだけで大変だったのだから、その段階でもう丹沢の山に登るなんて、この子はこれからどれだけの山に登ることになるのだろうか、それとも山から離れてしまうのだろうかと思いつつ耳に入ってくる会話が心地よかった。
到着した西丹沢ビジターセンター周辺はキャンプ場になっていて、オートキャンプを楽しんでいる人たちも多い。
上流部で水がきれいなのに河川敷が広いので人気なのだろう。
ただ、上流部でこれだけ河川敷が広いということはそれだけ土砂供給量が多いわけだ。
つまり、丹沢山塊の崩壊度合いが激しいということを表している。
9時には準備を済ませ西丹沢ビジターセンターからツツジ新道を通り檜洞丸へ向かって登りだした。
このあたりの地質は石英閃緑岩で構成されているのでマサ化してさらさらの土になっている。
だから大規模な斜面崩壊も多いのだろう。
ただ水はけはいいので、西丹沢にヤマビルが少ないというのもこの土質が影響しているのかもしれない。
登り始めはいい天気で、隣を見ると畔ヶ丸の手前の権現山だろうか、円錐形の綺麗な山もところどころ桜の桃色をちりばめながら新緑で輝いている。
このメンバーでの登山は久しぶりになるが、いつもは重い荷物を担いで元気なYcが体調が悪いようで心配だった。
ただ山頂近くのコバイケイソウの群生する平坦地までくるとYc体調も幾分か回復したようで安心した。
見覚えのある祠に挨拶し、檜洞丸の山頂には昼前に到着することができたが、天気の崩れは思ったより早いようで正午前に大粒の雨が降り出した。
昼食もそこそこにして出発し、途中雹も降ってきて驚いたが、臼ヶ岳に到着するころにはそれも止んで一安心した。
臼ヶ岳山頂では先に着いていた女性と雹が止んでよかったですねと言葉を交わした。
向かい側には蛭ヶ岳も姿を現している。
これは積乱雲も遠ざかり、もう雨は降らないかなとYcもザックから一眼レフを取り出して撮影しながら歩くような状況になった。
周囲にはマメザクラが咲いているところも多くまだまだ見頃で、ほっと一息といった感じだった。
が、蛭ヶ岳に向かって最後の岩場に差し掛かるころになると、雷鳴がかなり近くなってきた。
振り返ると歩いてきた檜洞丸方面が真っ暗で、玄倉川を挟んだ南側の鍋割山稜の方面にも黒く低い雲が立ち込めている。
これはかなり危ない状況になってきたなと思う。
が、蛭ヶ岳山頂はもうすぐそこであり、山荘に入るのが一番安全なはずだと急いで山頂に登ることにした。
岩場にはコイワザクラが群生していて、その花弁に雹が当たり始めた。
そして山頂まであと少しという最後の木の階段の直前の灌木帯でとうとう雷雲が襲来。
ひどい雹が降ってきた。
20年余り山に登ってきたが、こんなひどい雹に降られたのは初めてだった。
身体に当たる氷の粒が痛いほどで、隣のYsやTsのザックカバーをみるとみるみるうちに雹が積もっていった。
これは発達した積乱雲の直下にいるということだ。
雷鳴はかなり近いので、周りに何もない山頂部に出る勇気はなく、その場で身を屈めて待機することにした。
灌木に近すぎるのも危ないので登山道上で身を屈めて待機したのだが、こういう状況になった時に灌木帯にいるのも危ないだろうし、灌木帯から出てしまうのも危ないだろうからもう安全な場所はない。
最終的に雹と雷鳴が少し収まった(と感じた)瞬間にしゃがみながら最後の木の階段を上がり、最後は屈みながら山荘に走りこんだが、かなり危険な状況だったと思う。
雷雲が遠ざかるまで鞍部で待機するのが一番だったのだろうが、どのタイミングでそれを判断できるかというのはとても難しい。
山荘に着いて1時間半もすると外も静かになり、関東平野も一望できるようになってきた。
この時間どこか鞍部で雷雲が去るのを待つのが正解だったかもしれないと後から思う。
臼ヶ岳で出会った女性も、檜洞丸に登頂する前から前後して歩いていた親子も蛭ヶ岳山頂直下では出会わなかったので、あの時にはもう山荘内に着いていたのだろう。
数分違うだけで状況はまったく違ったのだと思う。
平野部分には西陽も当たり穏やかな夕方のようだが、奥多摩方面や横浜方面にはまだ黒い雲が立ち込めていて、ときおり雷光が見える。
今回の山行では、蛭ヶ岳からの夕景と夜景、そして朝の景色を楽しもうと蛭ヶ岳山荘を予約したのだった。
ただ今は無事に山荘に到着できただけでも嬉しかった。
翌日は蛭ヶ岳から丹沢山、塔ノ岳を経て大倉へ丹沢主脈を縦走。
ここは何回か歩いたことがあるのだが、何度来ても楽しい縦走路だ。
主稜線部はまだ芽吹いていなかったが、塔ノ岳から先高度を下げていくと新緑が目に眩しかった。
昼過ぎには大倉に到着し、意外に早く帰宅できたのだが、帰宅後荷物を片付けつつFMヨコハマを聞いていると、昨日の雷で丹沢の鍋割山で落雷で亡くなった人がいたことを知る。
心からご冥福をお祈りするとともに、今後どうやったら危険を回避することができるのかと考えることができる自分がここにあることを心から感謝したい。
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