冒険の北鎌尾根と伊藤新道 湯俣から周回
- GPS
- 35:47
- 距離
- 61.6km
- 登り
- 4,299m
- 下り
- 4,265m
天候 | 曇り 晴れ 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
水俣川: 渡渉・高巻きで進む 北鎌沢: 尾根上から150m下で水が出てた 北鎌尾根: 思った以上にホールドが小さく、厳し目な動きが求められる箇所が多かった、巻道が優しいとも限らない 伊藤新道: 細い道で踏み外し注意、赤沢手前は土が濡れてて滑りやすい 湯俣川: 水俣川より水流が強い、3回くらい腰上渡渉で体が浮いた、第1吊り橋の衝立岩はロープが必要 |
その他周辺情報 | GPSロガーを紛失したので一部手書きルート、一部ヤマレコ MAPのルート 晴嵐荘: 小屋前の橋が壊れ、仮橋で営業中、Facebookで営業情報要確認、子供づれが遊びに来ていてかつての賑やかさが戻りつつある その他稜線小屋: 三連休で人いっぱい |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
感想
北鎌尾根-伊藤新道 湯俣から周回
一度は登りたい北鎌尾根、水俣乗っ越しから下って上るのが一般的だが、
自分の性格上、わざわざ東鎌尾根まで登ったのに一旦下るなんて非効率でモチベーションが出ない
そんなワガママだから湯俣から水俣川、天上沢を辿るしかない
昔はワイヤーが付いて整備されてたみたいだが今は荒れて渡渉か藪漕ぎでしか行けない
それだけでは足らず、こちらも廃道の伊藤新道で下る欲張りな計画を思いついてしまった
どれも初見な3日間のバリエーション、
ロマンと冒険を追求したルートに挑戦した
▼1日目 水俣川から北鎌尾根天狗の腰掛まで
夜中に七倉山荘から湯俣晴嵐荘まで黙々と歩く
去年、台風で道が荒れてしまったが迂回路が作れて補修されていた
右岸から小屋に渡る橋は壊れていて川に丸太が二本渡されていた
せっかくなので小屋に寄る、明日からの三連休に向けて営業の準備をしていた
先に進んで吊り橋を渡ったら水俣川へ
渡渉の準備、今回は岩場の尾根と沢を行く、
足元を考えた結果、ガイドテニー+ネオプレーンソックス+ゲイターで行くことにした
これに細身のパンツとストックで水の流れに耐える
旧道は右岸の壁際に付けられている
去年視察で通ったが足場が悪く時間がかかる
なので渡渉で進む、幸い水深の浅い場所は容易に見つけられた
水俣川は日陰のせいか冷たい、この日は気温も低く震えながら進む
途中、ヘツリポイントもあるが無視して渡渉
でも浅いところはヘツリ気味に
しばらく進むと千天出合に到着、ここは川の中を進むのは難しそう
右岸のすぐ上、見えるところに高巻きできそうなところがあるが木が横たわってる
それとは別に斜面を直登する踏み跡とピンクテープ、これに誘われて進むが足元が崩れる急登、
たまらず横に逃げて頭をこえる笹薮に突入、もがいてトラバースして沢地形の降りれそうなところをかき分けて下る、もうヘロヘロ
ほどなくして踏み跡と合流、いい巻きポイントはもっと下にあったようだ
両腕にくっついてきた虫を取り払って進む
ここからは迫力のある滝の連続、でも分かりやすい高巻きポイントがあるので楽勝
苔が付いてて滑りやすそうだが岩が露出してくれてるので滑ることはない
しかし途中の巻道が土砂崩れで崩落、大きな木が何本も倒れて道を塞ぐ
倒れた木に乗っかって渡ろうかとも思うが冷静に考えると危ない、
右岸の崩れた壁を伝って水際をへつってクリア
もうやんなるくらい川を遡っていくとだんだん水量が少なくなり岩がゴロゴロした河原になる、念のため水をくんでおくか
河原を進むと北鎌沢の出合に到着、
ちょうど上高地から入った人達と遭遇する
まだ時間があるし上まで上がっておこう、
北鎌沢に入ると沢の音、水が出てるのでさっき汲んだ水は捨てる
少し登ると分岐、右俣に進むが、水が流れてるのは左俣、水を汲んでおこう
北鎌沢はひたすらに太ももあげて登るものかと思ったら意外と手足を使う、
一箇所デカい岩が出てきて登りあげるのに苦労した、際どめな動きが求められる
ガシガシ登るとまた水が出てきた、さっき汲んだのを捨てる(2回目)
2日前に雨が降ったから豊富なのかな?
黙々と登っていくといつのまにか左俣を選んでしまったみたいで細くなる
計画では右俣を選び続ける、だったが、
左俣は藪や崩れる足元で余計な苦労が、たまに右にトラバース、
尾根に出るとコルをこえていた、天狗の腰掛けまで行こう
草木に覆われさた細い尾根道を登ると今日のテント場に到着、先行していたソロの人と自分の二張、装備を乾かしてのんびり
ガスに包まれていたが夕方になって晴れてきた
独標が見えた、反対側には立山が見える
今日は満月で月明かりがすごい、明日はいい天気になりそう
▼2日目 北鎌尾根から西鎌尾根、三俣山荘
3時起床、朝飯作って食って2度寝、食後ゆっくりすることで消化吸収が良くなる、お湯を飲むのも大事、胃腸の動きが活発になる
一眠りしたらさっさと撤収して明るくなってきた5時に出発、初見のバリエーションルートなので明るくなってから行きたい
ソロの人とほぼ同じペースで進む、独標までは細い道、慎重に進む、自分が先行させてもらう
独標は西側の下を巻く、転んだらアウトなので慎重に
北鎌尾根は西側の巻が多かった、ただ巻き道が正解とは限らない
右に左に迷ったりもしながら尾根上が楽だったりするので、
観察しながら考えながら無理せず進むことが大事、
自分の頭の中を制御する冷静さ、余裕を持つ心、が必要だと強く感じた
尾根から突き出た岩場をまたぐと槍が見える、思わず叫ぶ
尾根に登り返して槍、進む道の全景が見えた、ここで写真を撮りながら一休み
しばらくは下り、滑らないよう慎重に、
そして上り、中間部は尾根上を伝っていく、ここでソロの方と先行を交代
しっかりしてるホールドを探して進む、高度感があるので緊張する
まだ自分が先行して進むと巻き道が現れる
ここはだいぶ下に降りる巻き道でその先は厳しいらしい
ホールドがしっかりした尾根上をまだ進むがキツイ動きが要求される
そしてまた明瞭な巻き道、ここは巻いておく
再び槍の姿が見えたら尾根上を目指してガレ場を登る
尾根上で安全地帯に到着、さらに一段上がって北鎌平らで休憩
せっかくなのでどん兵衛を食べて休憩
よーしいよいよクライマックスだ
ゴロゴロ岩場を登っていくと穂先は近いのレリーフ、ここからエントリー
ホールドはしっかりしてる、集中して登る、夢中になって登る
きわどい動きの岩場は清く諦めて安全な箇所を選んで進む
そして木の杭が見えて、そこまで上がると山頂の人たちが見えた
よしっ!終わりだ、ささっと登って山頂の祠にたどり着いてゴール!
槍きりました!
同時に進んだソロの方を20分くらい待って、登頂を見届ける
お互いの労をねぎらって下る、さすがに人が多く少し時間がかかる
槍ヶ岳山荘でソロの方とはお別れ、ありがとうございました
腹ペコで山荘飯が食べたくなるが今回は無補給、あくまで自分の力でやりきりたい
そのために重い荷物で準備してきた
山荘に頼る登山は自分にはまだ早い
さあ今日は三俣山荘まで行こう、西鎌尾根を行く
槍を目指す人とすれ違う、今日はいい日だ
天気も最高、風も弱い、動きやすい気温
今日この日に山に来れたことに感謝
西鎌尾根は整備されていて難しいところもキツイ登りもない
春のオートルートで見た景色が懐かしい
途中、迫力ある硫黄尾根と硫黄沢を眺める
明日は硫黄沢の下流に向かう
縦沢岳を登って双六小屋に下って
三俣山荘までゆっくりとぼとぼ歩く、
2日間のバリエーションルートで足も膝も痛む
時間をかけて三俣山荘到着、
テント場はすでにいっぱいでなんとかマシな場所にテントを張る
のんびり飯を食べて就寝
▼3日目 伊藤新道から湯俣川
テントを片付けて山荘で諸々準備してスタート
鷲羽へ進んで分岐から伊藤新道へ
踏み跡は明瞭、トレイルは細く滑りやすいので慎重に進む
途中崩落もあったがトラロープに助けられる
鷲羽岳下のトラバース道を過ぎたら歩きやすい普通の登山道に
展望台に到着すると硫黄尾根の向こうに槍が見えた
なかなか見れない景色だ
ここから本格的な下り、日陰は濡れてて滑りやすい
迂回道の標識発見、素直に迂回する
急坂だがトラロープがあるので楽勝
崩落斜面は倒木を伝って行くと踏み跡に合流できる
目印の緑ホースを通過したら赤沢に下りる
渡渉の装備に変えて降る
湯俣川との出合いで高巻きか渡渉か迷ったが渡渉を選択、
一旦対岸を渡って岩場をこえたところで大きな岩を繋いで飛び乗る
すぐそこは激流なのでミスは許されない、いきなりの緊張ポイント
なんとか渡り切ってホッとする
振り返ってみると高巻きでもいけたみたい、足場はどうなってるかわからないが
その後も順調に渡渉しながら進む、
3日以上晴れたので水は少な目のようだが1箇所腰上まで浸かってやばかった
エイやで対岸の浅瀬に足をつけてなんとか渡る
ワリモ沢出合で先行の2名パーティに追いつく、ここで早めの昼食にした
更に渡渉を繰り返すと左岸に大きな岩が、下からは水流が強くてむずそう
高巻きで砂の斜面を登るがかなり上まで行ってしまいそう、降りれるか?
一旦戻って大きな岩の上から頭をこえる笹薮漕ぎで行くことに、
少し進むと踏まれたあとを発見、辿ると岩を通過して河岸に出た
その後の渡渉でまた腰上まで使って流されそうに、
ストックを一本折りながらもなんとかクリア、
そして、この辺りでGPSロガーが無くなったことに気づいた
20分くらい探すが見つからない、仕方ない
さらに進むと最大の難所、衝立岩が出てきた
岩の反対側は下の方が崩れてえぐれている、つまり90度をこえている
岩の上の木を支点にして懸垂下降、トラロープもあるけどこれに全体重は預けられない
20mロープでギリギリだった
ほっとしてロープを片付けて岩場を進む
また腰上まで浸かりそうな渡渉、しかも流れが早い
岩にロープをかけてトライするもまた流されかける
なんとか対岸の平らな岩にしがみついて体を横にゴロンと打ち上げた、ギリギリ笑
もうそこからはリスキーな渡渉はよそうと言い聞かせ進むがまあそれなりに深いところはある、慎重に見極めていくしかない
一度右岸の岩にぶつかりオーバーヘッド藪漕ぎで乗り越える
藪漕ぎポイントは踏め跡が見つかるとほっとする
緊張の連続でもう勘弁してほしい
足元に硫黄の白い水溜が出てきた、噴湯丘が近い
温泉の吹き出しをこえてまだ渡渉も続く
ふと見覚えのある場所にたどり着いたことに気づいた
去年視察に来たポイントだ!
土手の上がれば噴湯丘が見えるはず!と勢いよく登るが見当たらない
まだ先かーと思いながら目を凝らすと壁の色と同化してた噴湯丘発見!よっしゃー、やったー!と思わず叫ぶ
緊張から脱したのと達成感でテンションが最高に上がる
厳冬期ニペソツ山をこえる叫びだった笑
少し進むと温泉を求めてきた人たちと出会ってホッとする
ちなみにいつも入ってる釜の形をした温泉ポイントは川の流れのせいで砂で埋まっていた
楽しみにしていたのに残念、
吊り橋を渡って湯俣川にお別れ、厳しくも美しい川だった
晴嵐荘に寄って帰還の挨拶、
意外に人が多く、小さな子連れも、みんな楽しそうで自分も幸せな気持ちになる
あとはとぼとぼと七倉まで歩いてゴール
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こだわってルートを考えて、偵察もして、装備を準備、計画、トレーニングもして
余裕を持てて進めるところもあれば、ギリギリのところもあって
これ以上ないアドベンチャーと充実した山行だった
また、過去最高の一番の体験を更新した、これだから山はやめられない
しかし、夏の冒険アイデアはこれで尽きてしまった
また新しい冒険を探してしらばらくはのんびりハイキングしよう
YOMOYAMAさん、どうもお久しぶりです。
北鎌尾根を登って伊藤新道を湯俣へ下りる⁉とんでもない計画を思いつき、また実行されましたね。
質問ですが、フォトNo.204の懸垂では何mのロープを持っていかれたのでしょうか?
また、フォトNo.208では腰上まで水に浸かってギリギリの渡渉、この時のロープも気になりました。
自分もいつか伊藤新道を歩いてみたいので、大変興味深くレコを見させて頂きました。
どうも有り難うございました。
hareharawaiより
お久しぶりです!
いっぺんにやると岩と沢の両装備が必要なので軽量化に悩みました。分けてやっても十分楽しいと思います。伊藤新道は2人以上で行った方がいいですね。
ロープは20mで衝立岩はギリギリでした。渡渉は危険を感じた時に手繰り寄せて元の岸に戻れたらと思って使ってます。もっと上流に張りたかったのですがいい場所がなく写真の感じになりました。この辺りは素人です笑
あとは最悪少しの泳ぎで対岸に辿り着けそうなとこを選びました。
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