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Yamareco

記録ID: 2066272
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

北アルプス 秋の紅葉 涸沢カール〜奥穂高岳

2019年10月14日(月) ~ 2019年10月16日(水)
 - 拍手
体力度
6
1~2泊以上が適当
GPS
17:21
距離
31.6km
登り
2,155m
下り
2,141m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
5:49
休憩
0:38
合計
6:27
6:47
8
7:41
7:41
5
7:46
7:46
4
7:50
7:50
47
8:37
8:37
4
8:41
8:48
12
9:38
10:03
16
10:19
10:19
42
11:01
11:07
75
12:22
12:22
52
2日目
山行
7:14
休憩
1:50
合計
9:04
8:15
1
8:16
8:16
5
8:21
8:26
30
8:56
9:06
25
9:31
9:52
58
10:50
11:02
17
11:19
11:33
9
11:42
11:48
81
13:09
13:24
3
13:27
13:44
77
15:01
15:11
128
17:19
3日目
山行
1:52
休憩
0:42
合計
2:34
8:40
45
9:25
9:28
6
9:34
9:45
23
10:08
10:10
10
10:27
10:28
8
11:14
上高地バスターミナル
天候 14日曇りのち霧雨、15日曇りのち晴れ、16日 晴れ
過去天気図(気象庁) 2019年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
台風19号により、中央道 大月ジャンクション付近で発生した土砂崩れにより
13日〜 上下線とも通行止めになっていた。圏央道 相模原インター付近でも
通行止めになっていたため、国道16号線経由で圏央道 相模原愛川インターチェンジから入り、東名高速御殿場インターチェンジで降り、富士五湖道路で一宮御坂インターチェンジから中央道に乗り、松本インターチェンジ、上高地に向かった。
復路も16日時点で通行止めは解消されておらず、ほぼ同ルートで帰宅した。
コース状況/
危険箇所等
台風による、登山道の崩壊等は無かったと思われる。特に危険個所等はありませんでした。
その他周辺情報 下山後 小梨の湯(入湯料金600円)にてお世話になりました。
上高地バスターミナル
上高地バスターミナル
帰りのあかんだな駐車場行きのバス時刻表
帰りのあかんだな駐車場行きのバス時刻表
朝靄で穂高連峰上部は見えません。
朝靄で穂高連峰上部は見えません。
見えていたらこのように見える。
見えていたらこのように見える。
横尾キャンプ場 2年前にテント泊しました。
横尾キャンプ場 2年前にテント泊しました。
ザイテン
ザイテン
奥穂高岳 山頂が見えます。
奥穂高岳 山頂が見えます。
北穂高岳 北峰と南峰
北穂高岳 北峰と南峰
山頂まで登山道がくっきりと見えますね。
山頂まで登山道がくっきりと見えますね。
雷鳥5
合計2羽
絶対的な存在感!
絶対的な存在感!
西の空に沈む太陽
西の空に沈む太陽
ファイントラックさん 宣伝用でいかが?
ファイントラックさん 宣伝用でいかが?
左に霞沢岳、正面に乗鞍岳 右に焼岳
左に霞沢岳、正面に乗鞍岳 右に焼岳
山と紅葉のコントラストが素晴らしいでしょ
山と紅葉のコントラストが素晴らしいでしょ
通り過ぎてしまい気が付きませんでしたが
通り過ぎてしまい気が付きませんでしたが
登ってきた人に尋ねられ、50m戻ったらありました。
登ってきた人に尋ねられ、50m戻ったらありました。
苔むした樹林空間
苔むした樹林空間
登山口まで降りてきました。
登山口まで降りてきました。
上高地からの穂高岳はシンボルですね。
上高地からの穂高岳はシンボルですね。
まだ下のほうは紅葉はこれからですね。
まだ下のほうは紅葉はこれからですね。
濃厚な甘さ。運動してきた体にはありがたい。
濃厚な甘さ。運動してきた体にはありがたい。
わさびの風味がなかなか合いますね。
わさびの風味がなかなか合いますね。
グリベルメット デコってみました。
グリベルメット デコってみました。
我ながらセンスあり、かっけー
我ながらセンスあり、かっけー

装備

個人装備
絆創膏 テーピング ミニハサミ 足吊り漢方薬 整腸薬 登山靴 ザック 登山用ストック ヘッドライト 予備電池(ヘッドライト用)2個 テント フットプリント(グランドシート) テントマット シェラフ ヘルメット ヘルメットケース シェラフカバー グローブ(トレラン用) グローブ(緑) GPSウォッチ 登山マップ(山と高原の地図) 登山マップ(スマホ用) 登山計画書(2部用意 1部は提出用) 方位磁石 湿度温度計 ココヘリ 登山届 控と提出 レインウエアー登山用 ザックカバー アタックザック テントライト(LED)充電型 モバイルバッテリー20000mmAh スマートフォン サングラス 水筒(ナルゲン) 水筒(モンテイン450mm) 2本 水汲みボトル 2リットル ダウンウエアー 登山 高機能用フリース バーナー 五徳 クッカー 燃料タンク大 2つ 山フライパン カトラリー(ステン箸 フォークスプーン ナイフ) タオル 雑巾(テント夜露を拭う) ハイドレーション2L 熊鈴 ストックカバー× テントオプション(テントライト他小物置き) シェラフ圧縮バンド シェラフ収納防水ケース 帽子 冬用帽子 ネックウォーマー カイロ 冬用手袋 着圧タイツ 冬用の黒帽子 Tシャツ・ズボン パンツ替え2枚 靴下 替え3枚 スキー用も用意 ミレー長袖 起毛の登山ズボン ベースレイアー スーパーメリノウール長袖 スーパーメリノウール 半袖 速乾Tシャツ ミラーレス一眼レフカメラ
備考 (持って行って良かった装備)
.皀鵐戰訐宗.后璽僉璽瓮螢離Α璽襦“沼気膨溝気鮟鼎傭紊靴2日目を
過ごしたが、結構な汗をかき、明らかに生地が汗でびしょ濡れ状態になった
いたにも関わらず、すぐに乾き、また嫌な匂いも発せず、3日目に持ち越して
着ていても体臭については、不快な思いを感じなかった。またまた近いうちに
半袖と長袖をもう1セット購入する予定。

感想



(出発前)
お盆休みに続き、秋も北アルプスの紅葉が見たくて計画を立てた。前回、山仲間のしゅうさんと休みがずれていて北アルプス 双六小屋で待ち合わせをして、先行して私だけ北アルプス再奥地の鷲羽岳・水晶岳に登りながら、その後、合流して槍ヶ岳に一緒に登ろうと約束したのですが、台風10号の影響を受けて、やむなく私は下山して
しゅうさんは私が下山途中に登ってくるという悲運な結末となり、またしても、一緒にテントを張ることが出来なかった。

今回は二人で念願のテントを張って、楽しめると思っていたが、出発予定日1週間前くらいに台風19号が発生した。最初から、予報円は小さく、各国のスーパーコンピューターの進路予想も日本の本州、関東当たりに上陸する気配を示し、右に進路を変えて、東北地方を縦断するコースとなっていた。

出発前、毎日のように台風の進路予想や天気予報を確認する日々が続いた。またしても台風に邪魔されることが確実となった前々日あたりから、あきらめムードになった。12日(土)に台風が本州を直撃する予想だったため、11日深夜のハイウェイバスで平湯温泉に向かう予定をキャンセルして12日の11時前後のバスに変更することで決めたが、前日から、JRと私鉄では計画運休の話が持ち上がり、12日午前中の運行を
もって、ほぼ運休が決まった。結果的に12日(土) 11時前後のハイウェイバスは運休となり、しゅうさんとのテント泊はまたしても断念することとなってしまった。

私は3連休+1日有給を取っていた。台風通過でのロス日程を考慮に入れてもう一日プラスして5連休で会社の許可を得ていた。12日11時のバスが運休となり、今度は13日(日)午後11時に変更したが運休となり、次に3時頃の便に変更したがまたもや運休となった。その原因は土曜日の台風通過で中央道の大月ジャンクションで土砂崩れとなり、上下線とも通行止めとなってしまった。

最後の判断として、自家用車で行くか検討した。
行くか行くまいか? そして、日曜日の朝から台風の被害状況がテレビで放映されるようになり、長野県では千曲川が氾濫しそのほかの地域の河川でも大きな被害が放映されている中で、こんな時に行くのはどうなんだろう?と良心の呵責に苛まれながらも前々から、この日のために、持久力アップを目指して、5週連続 土曜日の晩にハーフマラソンを走り体力強化に取り組んでいたし
計画・準備も万全にしてきたので、せっかくだから有給休暇を取り、現地に行くことに決めた。

まずマイカーで行くためには、道路状況をネット上で、埼玉県・山梨県の飯能・秩父の県道ルートの状況を確かめたが雁坂トンネルや他の県道などで通行止めになり、一般道では道路が寸断されていることが判明した。大月ジャンクションが通れないが、その先の中央道は通行できるということで、東名高速を使って御殿場インターで降りて富士五湖道路で河口湖を経由して、一宮御坂インターから入り、中央道で松本インターで下車するルートにした。

折りしも、この日はラグビーワールドカップ 日本対スコットランド戦、決勝トーナメントに行けるかどうかの大一番を控えていたため、この試合を見送ってから、現地に向かうことにしていた。結果的に日本が歴史的大勝利をあげて、初の8強となり、決勝トーナメントに駒を進めることが決まったことを見届けて出発した。

出発は22時30分くらい、八王子から国道16号を走り、圏央道 相模原愛川インターから入り、東名御殿場インターで降り富士五湖道路で河口湖を経由して予定通り中央道に入り、順調に松本インターで降り、あかんだな駐車場に到着した。
到着時間は4時過ぎ、1時間弱仮眠を取り、いざ行こうとしたが、眠くてだるくて、うだうだしながら、あかんだな駐車場を5時50分に出発し、上高地バスターミナルに6時30分頃到着した。トイレはあかんだな駐車場の切符を販売している建屋内で済ませていたので上高地到着後、まもなく出発することが出来た。

(初日)
上高地バスターミナルには、さずがに登山客はまばらでした。
出発時 雨は降っていなかったが、空は白いガスが立ち込める天気模様でした。
前後を歩くものはおらず、河童橋を渡ったところで、穂高連峰を見上げたが白い雲がかかっていててっぺんの岩峰は見えませんでした。今日は、あいにくの空模様とあきらめ、足早に横尾キャンプ場を目指すことにした。
とにかく、ただひたすら歩くのみ、すれ違う登山客、上高地に向かう登山客はまあまあいたが、横尾に向かうものは少なかった。

横尾キャンプ場には9時40分くらいに到着、ここには自動販売機が存在する。喉が乾いていたがまだコーラを飲むほどではないので買わず、トイレで用を足し、行動食を少しお腹に入れていたら、若い男女が登山客にアンケートを取っていた。
アンケートの内容は、登山道の状況で歩きやすいか?などについてでした。私には聞かれませんでした。一見、わたくし気難しそうな顔をしているのでしょうか(笑) 避けた?ちょっと天気模様があやしかったので、上だけレインウエアを着た。
涸沢に向けて出発、吊橋を渡って登山道を進んでいきます。ここから涸沢に向けて歩くのは2年ぶりです。2017年秋に横尾キャンプ場でテント泊して以来2回目になります。上高地から横尾までは11.5辧緩いアップダウンの勾配がある程度で、標高も数十メートル高いだけ歩道も比較的広く路面の凹凸も少なく歩きやすいです。横尾から涸沢までは約6.5辧標高差では1480ⅿから2150ⅿまで約700ⅿ程上昇しなくてはならない。ザックの重さは軽量していないが、前回夏よりは少し食料は減らしたつもりそれでも15坩幣紊漏亮造砲△襦おそらくは18圓らいと思われる。

しばらく歩くと、記憶に新しいエリアに辿り着く、左手に屏風岩が見えてきて、その眼下の裾野は黄色く色づいた紅葉で満開になって、登山客を迎えてくれています。ちょうどこの辺りが紅葉のピークなのかもしれない。天気が良ければ、大いに感動するのだが。沢は台風の影響か、比較的、水量が多かった。

本谷橋という吊橋が見えてきた。前回来たことを思い出せる景色。
ここは天気が良ければ、紅葉を眺める絶好の休憩地。何枚か吊橋を入れてシャッターを切り、そして、吊橋を渡ると、男女のカップルが、下山してきて、私にリアクションを見せるように、男性が、沢の水をかぶる、そして女性がそれに続きかぶり、「冷たーい、でも気持ちいい!」と叫びながら私の反応を確かめるような表情で視線を向けてきた。私からは、「頭を濡らしたら風邪を引きますよ!」と話しかけた。
すると「大丈夫です。お気を付けて!」と明るい笑顔で声をかけてくれた。
一人旅だと、このようなちょっとしたきっかけで話しかけたり、話しかけられたりする。山って不思議なところで人の心を大らかにそして寛容な心にさせてくれるとつくづく感じた。

しばらくすると、傾斜も多少きつくなりはじめ、その頃から霧雨が降ってきた。
台風が来なければ多くの登山客が数珠つなぎに登り、道を譲ったり、譲られたりであろう登山道は私を含めて前後2-3人程度で静寂に包まれた空間になっている。
湿度で服の中が湿っていく感覚になる。 レインウエアの手首の袖から水が浸入するとちょうど肘部分に水が溜まったような感覚となり、冷たさを感じた。

マップを見るとこの辺は、涸沢という沢があって、右手の山の斜面は一面黄色く染まってきれいなところのはずだが雨で横を振り向く余裕もなく、ひたむきに上え上えと登っていくと、涸沢カール手前のヒュッテの道標が見えてきて、涸沢小屋と涸沢ヒュッテとの分岐にぶつかり、左手の方面に進むと涸沢ヒュッテが見えてきた。 雨でびしょ濡れとなったので小屋泊まりで濡れたものを乾燥させたい気持ちもあったが、テント泊にした。テント受付をしようとテント場に向かったが、歩いていくと入り口が閉まっており、引き返してヒュッテ宿泊の受付まで戻り、テント受付を行った。
テント幕営料1000円、コンパネ板代500円 合計1500円、このコンパネが重要なアイテムになる。涸沢は岩を敷き詰めて平らに整備されているとはいえ、ゴツゴツ、凸凹しているので、このコンパネを敷くことにより、平らなベースとなるので借りることをおすすめする。

雨が降りしきる中、テントを立て、濡れた体が冷えてきたので着ているものをすべて脱ぎ捨て、スーパーメリノウールに着替えたらとても暖かくなった。必要なものを見つけやすくするため、ザックの中身をすべてテント内に出し広げた。
テントの前室を作りたいのだが、涸沢のテント場は岩場が多く、ペグが刺さらないのでテントのチャックの先端にカラビナを付け、ペグハンマーを取り付けて、柄の部分を岩と岩の間に挟み込ませて固定して前室を作った。
雨も止まず、かなり疲れも溜まっていたので、とにかく英気を養うため、しばらくの間、寝ることにした。夜になると、雨が止み星空も見えてきた。初日はミートソース系のレトルトに茄子と細かく刻んだハムを混ぜしっかりと炒め、パスタの上にかけて頂いた。とても旨かった。生卵を2つ持参していたので、ゆで卵を2つ作り、晩のうちに1つ塩を振って頂いた。緑黄色野菜 プチトマトを5つ持参していたので、これも疲れた体を回復させる食材としてすすんで摂取した。
今日は雨が降るだけ降ったほうが翌日天候が改善する可能性が高くなると思った。
睡眠不足と疲れを癒すために早めに就寝した。

(二日目)
朝、目が覚めると一番の気かがりは今日の空模様。前日は夜遅くまで雨が降り続き、楽しみにしていた涸沢カールの紅葉を鑑賞することが
出来なかった。でも、逆に期待が持てると感じたのは、今朝の涸沢は風は強め、まだ周囲は暗かったが、空を見上げると、半分は雲、半分は星空だったのでこれはモルゲンロートが見られるという期待で心が弾んだ。
涸沢ヒュッテのテラスには、そのショーを眺めようと20人ほどのお客さんがカメラやスマホを片手に待ち構えている。
やはり、このテラスが、障害物なしに奥穂高岳、涸沢槍、涸沢岳、北穂高岳、常念山脈、屏風の頭など360度のパノラマを見渡せる唯一の
場所かもしれない。

案の定、東の空、屏風の頭の早稲田尾根の上からの陽の光が涸沢小屋の上部、斜面を黄色く照らし始めモルゲンロートのショーの始まった。
少し白い朝靄がかかってはいるが、少し位は仕方が無い、2年ぶりにこのショーを拝むことが出来て本当に幸せでした。

朝食はレトルトのカレーと昨晩作った茹で卵と春雨スープ。レトルトのカレーは複数パックで単価の安いものは買うべきではないと反省している。
やはり、十中八九、複数個入りのレトルトカレーは美味しくないという定説は間違いない。
登山は体力勝負。体が資本なので、食べなければ、荷物を背負って歩けない。やはり、食欲は山登りにとって、もっとも大事な要素だとつくづく思う。
やはり、朝、食欲が出ないとアゲアゲの気分にならないので、やはり一杯のカレーでも妥協は許されないと感じた。
次回は、安いカレーを卒業し、舌がうなるほど美味しいカレーのレトルトを持参したい。美味しいカレーのレトルトの情報提供は歓迎したい。

出発予定は6時を想定していたが、ぐずぐずしてしまい8時になってしまった。
実はこの2時間の遅れが、後の行動に悪影響を及ぼしてしまうのだが、それは後述します。

奥穂高岳に向けて、出発した、周囲を見ても、奥穂を目指す人は誰もいないようだ。ほとんどの人が涸沢から上高地に下山していく人ばかりのようだ。
穂高山荘へと繋がるザイテングラートは涸沢小屋の左脇から登っていった登山道の先に現れてくる。
ザイテングラートは、特に上級者向けというわけではないが、岩場の急登として、以外と滑落事故の多発する難所と言われている。
単独行での山登り、しかも平日で前後の登山客もいない中、不安にならないと言ったら嘘になる。

ザイテングラートに取り付く前の山道は北穂高岳を登ったときもそうだったが、急登の岩場の斜面を登っていく。涸沢カールを背にして登り、標高を上げていくごとに涸沢ヒュッテの建屋が小さくなっていく眺めとなる。
とても天気はよいのだが、前を行く人、後ろから来る人、すれ違う人は誰もいない。こんなにも紅葉が美しいのに、台風が去ったあと、ツアーバスが運休している便が多いと、このような閑散とした雰囲気になるのだろう。逆に自分にとっては涸沢カール独占というメリットもある。二人組の女性が、会話をしながら左手から登ってくるのが見えた。涸沢ヒュッテとテント受付小屋の間から道が伸びているパノラマコースから登ってきたんだということが理解できた。その二人は軽装備で歩いていたので奥穂高岳をピストンなのかなあ?と思いきや、私が登ってきた道との合流点から下降して行った。 ちょっとした散歩をするには良いコースなのかもしれない。

山の斜面を右から左に横切っていくとザイテングラートの取り付きに辿り着くのだが、その途中の山の斜面を歩いているのは自分だけと思った瞬間、子供の頃に体験した「やまびこ」を急にやってみたくなり、スマホ動画を再生しながら、「ヤッホー」と2回叫んだ。少しだけやまびこになっているのを感じた。誰もいない中で大声を出し、すっきりした気分と童心に帰れたことが楽しかった。

ザイテングラートの取り付きに辿り着くと、ここからがスタート地点というのがわかるくらいの岩が累々と積み重なるのがわかります。目の前に岩尾根がそそり立って出迎えてくれる感じです。ちょうどその場に着いたときに私と同年代のご夫婦が休憩をしていて、どちらまで行かれるのですか?と聞かれたので、奥穂高岳を経由して、岳沢から上高地に下りると話しました。奥穂から更にその先に進むことに少し驚かれ、せっかく明日晴れるのに下山しちゃうのはもったいない的な表情をされた。
その方たちは、昨晩、涸沢に辿り着くまでに雨に濡れて疲れてしまったので、明日は天気が晴れということで今日は穂高岳山荘でゆっくり過ごし翌朝、奥穂高岳山頂でご来光を見て、岳沢から上高地に下山するのだと聞いた。
その話を聞いて、自分もせっかく来たのだから穂高岳山荘で一晩過ごして、ご来光を拝むのは滅多に味わえない感動が待っているなと考えるようになり、どうしようかなあと悩みながらのザイテングラートでした。

ザイテングラートは少し高度感を感じるところはありますが、バランスを崩さない限りは滑落する危険性はありません。一箇所、登りと下りが梯子で交差して、どちらか一方側が待って、やり過ごすところがあります。でも、そこも高度感はなく問題なく通過できるところです。そこで、小屋泊でヘルメット姿のパーティ数人が下山してきて、テント泊ですか? どこまで?と聞かれたので上高地までと答えると、重そう! めちゃきつそう! せっかく登って下山するなんてもったいないですねと言われました。あまりに重い重いと連呼するので、おもわず「重い重いと言われると余計にずっしりと重く感じるのでやめてくれません?」
と話したら、彼らは謝りながら、大笑いして「軽い、軽い」と連呼してました。「おっせーよ」思いながら上え上えと進み穂高岳山荘に到着。先程、山頂手前ですれ違った方も、今日の眺めはサイコーでしたと語って涸沢からのピストンで下山していった。

穂高岳山荘前には多くの登山客と思いきや、誰もおらず閑散としていました。山小屋の若いスタッフ2名くらいが、山小屋仕事をこなしていました。
喉が渇いたので小屋の中に入り400円のコーラだけ購入。
ザックだけ壁際にデポして、一眼レフカメラだけをもって、涸沢岳の山頂に向かいました。穂高岳山荘は2983m そこから涸沢岳3103m 約100m高度をあげるだけなのに少しハァーハァーします。酸素が薄いのかなあと感じました。
涸沢岳山頂から降りてきた方が声をかけてくれた。
「山頂は風が強く、山頂は白いガスで覆われていますが、少し時間をあけて待っていると槍方面がさあっと晴れて素晴らしい景色が見えますよ」とのことでしたが、私が着いたときは北穂高岳が見えるのみでした。あらためて北穂高岳方面を眺めると高く尖り険しいと感じた。いつか技術が伴ったら、縦走したいと思いました。

涸沢岳を降りて、穂高岳山荘から、奥穂高岳山頂へと続く、最初の垂直に近い岩壁取り付きを眺める。梯子が2つ、鎖も見える。案外心理として、多くの登山客が数珠つなぎで渋滞気味で登っていると不思議と高いところでも怖がらず大丈夫と思えるのだが、本日、登山客はまばらで、おまけにテント泊装備で重く、できれば梯子、鎖は避けたい。

穂高岳山荘泊りで奥穂と前穂をピストンして涸沢経由で上高地に下山するルートが安全・安心なのでどちらにするか少し悩みました。
また、時間は12時を過ぎたところ、時間的には上高地まで下山するのは厳しいと思ったが、奥穂山頂以降は下り基調だからと少し楽観ムードにもなったが、初めてのルート、吊り尾根や重太郎新道がそうやすやすと簡単に下山させてくれるわけはない。
そう考えると、朝のグズグズした2時間余りを無駄に過ごしたのが悔やまれ、もったいなかった。

奥穂高岳に向けて、二人のカップル 男性が女性にハーネスを付けて梯子など、引っ張り上げるように登らせている。こんなところでハーネスを付けるの? 付けなければ登れない?なんて考えると、またしても変な恐怖心が沸いてくる。
先程、ザイテンで一緒に登ってきたご夫婦に奥穂高岳のこの垂直の取り付きは登ったことがあるか?聞いたところあるとのことでした。以外と見ているほど怖くないこと、2か所の梯子をクリアして、鎖場をクリアしたらあとは、上まで続く登山道を登るだけと解説してくれました。

いつまでもグズグズしていると遅くなるので、お礼をして、出発しました。
やはり、ザックは重かったが、2つの梯子と鎖場、なんら問題なく、垂直部分はクリアした。残雪時、滑ったら一巻の終わりということは理解できた。そのための滑落ネットがついているのを確認した。上から滑ったときにこのネットに引っかかれれば助かるというのが頷ける。

山頂手前で、雷鳥との出会いがあった。反対方面から来る人に雷鳥がいますよ!と話しかけると本当だ!雷鳥いますね。と、その方が、こっちにもいますよ!って教えてくれました。雷鳥はこちらを気にしながら、クゥーン・クゥーンと鳴きながらつがいで歩き回っていました。
そのあと、女性がこんにちはと挨拶してきて、どちらから?と聞かれたので、涸沢から上高地にと答えると、えっタフだなあって驚かれました。逆に、無茶しているのではないかと不安をよぎります。登り始めから約30分後、奥穂高岳山頂に到着した。今シーズン日本百名山 槍ヶ岳に続いて2つ目登頂しました。

前穂高岳方面はガスがかかっていて、どれが前穂高岳かはわかりずらい、槍ヶ岳方面もガスが立ち込めていてその姿は見えない。唯一拝めたのはジャンダルムの姿である。ジャンダルム(フランス語で武装警察官や憲兵を表す)の山容は存在感半端ないと感じました。いつか、このジャンダルムのてっぺんに立つことがあるとしたら、しっかりとクライミング経験を積み、難易度順に岩場をクリアしてから、チャンスがあったらここに来たいと思いました。

奥穂高岳山頂には誰一人いなくなってしまったため、「奥穂高岳3190m」を自撮りで撮影して前穂高岳に向かいました。前穂高岳山頂に向かう紀美子平までの吊尾根ルートは、白丸目印を見逃さないように歩くこと、数か所、踏み跡が不明瞭で
進行方向がわからないところがあるので慎重に歩きながら進みました。誤ったルートを辿って岩棚に乗ってしまったり稜線に出ないように注意を払いながら進みました。山道は狭い個所はあるものの、足を滑らさないように歩けば問題はありません。

前穂高岳と紀美子平との分岐に到着したが、時間は15時を過ぎていた。ここまで来ると、さすがに登ってくる人はなく進行方向に向かう者も誰もいない。ここに荷物をデポして前穂高岳山頂に登った場合、往復で1時間、紀美子平から岳沢キャンプ場まで2時間と計算すると18時になってしまい、下山で戸惑ると日没の可能性も出てくる。重太郎新道は垂直なところが数多くあり、梯子が連続するところもあるので、身の危険を考え、前穂高岳山頂を目指すのはあきらめて、次回にとっておくことに決めた。とにかく岳沢キャンプ場に辿り着くことを目指すことにした。

紀美子平から、いきなり、長い長い鎖場が登場する。あのご夫婦が話していたのですが、紀美子平をクリアすれば後は下へ下へと下っていくだけと。鎖を補助的に使いながら、岩を一歩一歩下っていくのがセオリーとはわかっているが、この場は鎖を跨いで、鎖をしっかりと手でホールドしながら、懸垂下降するようなイメージで足の置き場を確かめながら下へ下へと降りていく。もちろん、鎖だけに体重を預けるのはよくないとわかっているが、仕方がない。標高を確かめながら、長い鎖場は何箇所かクリアしていくと、今度は梯子が立ちはだかってくる。
この重太郎新道は、難易度は低いが、滑落事故が多いのは、油断や疲れによる不注意で転滑落するような事故が多いと聞いている。ここの下山を体験して、その理由が理解できた。単独行でしかも、後続者がいない、すれ違う者もいない中で、怪我したらまず助からないので、これまでにないほど、緊張感をもって、慎重に慎重に進んでいった。山仲間のしゅうさんと一緒なら、心強いのだが、いつも台風に
邪魔されて、一緒に山に行くことが出来ない。

ある程度、下ってきた。眼下に山小屋が見えてきた。これなら日没前に山小屋に到着できると思ったがなかなか下りのルートが手ごわくて、ペースが上がらない。上高地に下山なんて無理なことがわかった。
夕日が美しく、紅葉の山の斜面を照らし光り、なかなか幻想的な光景だ。ただ、西の空、西穂高岳方面に太陽が沈んでいくところで、早くしないと暗くてテント設営が大変になる。疲れもピークなので、小屋泊りもしちゃおうか考えてしまう。
重太郎新道下部、滑落事故多発地点なる標識があった。下に行けども行けどもペースを上げられない理由は、重太郎新道の下山ルートが急だからというのをあらためて体感した。そして無事に日没前に下山することが出来た。奥穂高岳から岳沢キャンプ場までのルートには、水場は一切ないので涸沢で水を2リットル背負ってきてよかった。

岳沢キャンプ場は、山小屋手前にキャンプ場がある。テント受付前にテントを仮設営してから、受付を行った。テント場と小屋がかなり離れている。ただ離れているだけではなく、大きな石がゴツゴツとしている沢を渡らなければならない。

ここまで一人で頑張ったことを労うため、500円と高めだが缶ビールを購入。
もう気力も体力もフラフラになっていた。途中になっていたテント設営を完了させ、荷物の整理を行ってからビールを飲んで、ぐったりと横になって、ひと眠りした。
夜中、0時頃、目が覚めて、トイレに行こうと山小屋に向かったが、やっぱり小屋まで歩くのは難儀だった。転びそうになるので逆に目が覚めてしまう。テントに戻って、バーナーでお湯を沸かし温かいスープを飲みながら、星空を眺めながら、また眠りについた。

(最終日3日目)
朝、目が覚めた。今日の朝ご飯は、レトルト卵丼とシチュー、モンベルのふっくら艶やかご飯100281円。新潟県産のうるち米をアルファ化させたいわゆるアルファ米だ。当然、普通に炊いたご飯よりうまくはない。100弔箸聾世─⇔未和腓めのお茶碗大盛1杯分あるのでいつも、残してしまわないか、不安になる。でも、自分なりに残さない食べ方としてカレーにしても、卵丼にしても、かける前に、まずはご飯だけで、一スプーンづつ、お米本来のおいしさを感じながら、味わって食べるようにすることで量が減る。減ったところでレトルトをかけて食べると
全部、食べきるんです。 (くだらないでしょ?)

朝起きてみて、あらためて周囲の景色に驚いた。こんなにも素晴らしい景色に囲まれたキャンバスは無いと思った。向かって左に西穂高岳、奥穂高岳〜前穂高岳に続く吊尾根をバックに、振り返って正面奥に乗鞍岳右に焼岳、左に霞沢岳とそして小屋を囲むように色づいている紅葉の景色が素晴らしく感動しました。ミラーレス一眼レフで、何枚もシャッターに収めさせていただきました。

朝、岳沢キャンプ場を8時40分に出発、10時30分に河童橋を左折して、小梨森のリゾートに向かって歩き小梨の湯に10時30分頃到着して、お風呂を入ろうと受付に行き、お風呂いいですか?と聞くと12時から入浴開始と言われた。ただ、女性のスタッフが、髭ぼうぼうの身なりを見て、気を利かしてくれて「でもお湯の温度はもうちょっとで沸くから、大丈夫かな」と言ってくれて、フライングですが、許可を頂いて入浴させてもらうことが出来た。 さっぱりと汗を流し、温かいお湯に浸かり、生き返った気分になりました。小梨の湯様 女性のスタッフの方々、どうも有難う御座いました。河童橋付近に戻ってきて、お土産を品定め、急遽2日間お休みを頂いた会社と、理解ある家族にお土産を購入。そして、濃厚なソフトクリームと温かいわさび豚まんをがっつりと頂き、お腹を満たしました。あらためて、河童橋から穂高連峰を眺め、自分はあの穂高を縦走してきたんだなあと感慨深げに密かに感動するのでした。

下山途中、すれ違った方に情報収集した通り、いまだ、中央道は大月ジャンクションで通行止めとなっており往路と同様、東名高速 御殿場経由で帰宅を余儀なくされた。家に着いたのは20時頃でした。

今度こそ、山仲間のしゅうさんと北アルプスに一緒にテント泊したいのだが、また台風に邪魔されるだろう。一緒に行けるのはいつのことだろう?

最後に山友のしゅうさんをテント泊に誘い、少しづつ、道具を揃えていったしゅうさん私と同じ道具を何故か揃えているテントもファイントラック、クッカーもSOTO、バーナーもSOTOここまでは、私の持ち物を知ったうえでまったく同じものを購入している。そして、ヘルメットまでも、メーカー・デザイン・カラーまでも
まったく同じものを購入している。
これは知らなかった上での事件だが、ここまで同じものを持っていると
正直、気持ち悪いのでヘルメットはかっこよく、デコって世界に一つのデザインに
仕上げた。




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