針の木雪渓から、蓮華岳〜針ノ木岳〜赤沢岳〜爺が岳周遊
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- GPS
- 53:30
- 距離
- 25.3km
- 登り
- 2,574m
- 下り
- 2,573m
コースタイム
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 7:50
- 山行
- 7:20
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:50
- 山行
- 4:40
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 5:20
7/28;4:40針の木小屋−5:50針の木岳−6:40スバリ岳−8:50-9:20赤沢岳−10:10鳴沢岳−10:50新越小屋−11:50岩小屋沢岳−13:30種池小屋(泊)
7/29;5:40種池小屋−6:40-7:00爺が岳−7:40-8:00種池小屋−10:40柏原新道登山口−11:00扇沢
天候 | 7/27 晴れときどき曇り 7/28 晴れのち曇り、朝方は霧 7/29 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
・タクシー;大町温泉−扇沢;約4000円、所要10分 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・扇沢の登山口には、登山受付所が設けられており、登山届を出すことになる。 ・針の木雪渓は、この時期、標高=約1800m付近が末端で、そこから雪渓を登り始める。 雪質は堅く、軽アイゼンを着けたほうが良い。大沢小屋に4本爪の貸アイゼンあり(500円)。 雪渓は細く上部まで続いているが、標高=2150m付近、上の二股の少し手前より、ペンキ印に沿って夏道を取ることになる。 ・下山後、大町温泉に日帰り温泉施設「薬師の湯」あり。扇沢ターミナルなどに割引券あり。定価は600円、割引券を使うと500円。軽い食事もできる。 |
写真
感想
【山行No414】
※年に1回の、夏の本州への”遠征”。
北アルプスの山々もだいぶ登ったが、残りの山域のうち、前から考えていた、針ノ木雪渓とその周辺に行ってみることにした。
7月26日(木)
・今日は完全な移動日。
朝、四国(新居浜)をJRで出発し、数回の乗り継ぎののち、大町に夕方到着。
今日の宿は、大町温泉の中の、比較的安い宿(かしわ荘)を選んでいる。
7000円程度の宿だったが、食事もまずまず豪華で、温泉もあり、結構いい感じだった。 翌日からの登山に備え、早めに寝る。
7月27日(金)
・扇沢へのバスは、金曜日だと始発は6時過ぎになっている(土日は5時台のバスあり)。
時間がもったいないので、前日に予約したタクシーで扇沢に向かう。
4000円もかかったが、夏山の時間はお金に代えがたい。
5:10-30 扇沢(標高=1430m、気温=20℃)
・すでに登山者が多く、駐車場もかなり詰まっている朝の扇沢。
上空はすっきりした青空が広がっており、周辺の稜線もくっきり見えているので、登山意欲も上々。
針ノ木雪渓への道の入り口には、入山届をだすところが開設されていたので、 登山届を出して出発する。
「熊が出ていますよ」という表示もあったので、熊用の鈴も着けて行く。
・大沢小屋までは樹林帯の道、結構よく整備されており、幸いにも熊には出会わなかった。
6:50-7:00 大沢小屋
・樹林帯の中の小さな小屋。小屋の前で小休止する。
ガイドブック通り、貸アイゼン(4本歯、500円)が置いてあった。
・少し行くと、だんだんと前方に針の木雪渓が見えてきた。
今日は抜けるような青空の上天気で、青空と雪渓の白色とのコントラストが素晴らしい。
・雪渓末端に近いところは小さなお花畑となっており、オオバギボウシ、ニッコウキスゲ、 ウツボグサなど、パラパラと咲いていて雪渓と良い組み合わせとなっている。
7:50-8:00 雪渓末端(標高=約1800m、気温=20℃)
・ようやく雪渓末端に出た。ここから雪渓上に入るが、ほかの登山者も軽アイゼンを着けているので、自分も、今回のために改めて購入した6本歯のアイゼンを着け、さっそく登高開始。
・雪渓の雪は堅雪で、アイゼンはまずまず刺さるが、 冬用の12本歯と比べると歯の長さも短いし、とがり具合も良くないので、予想よりはグサっと利く感じがない。無いよりはましな程度だな。
雪渓を渡る風は涼しく、気持ちよく登高を続けてゆく。
周辺の山々も今日は雲をまとっておらず、くっきり見えていて、夏の雪渓歩きの醍醐味を味わえた。
8:40 中間の広場状の部分(標高=約2000m)
・雪渓は途中、インゼル状に狭くなっており、そこを通り過ぎると、傾斜が緩い広場状のところに出た。ここで小休止。
今日は平日だが、下を見ると団体登山者か? 続々と登ってきているのが見える。
雪渓の向こうには、今回の最終目的地の爺が岳が、以外と大きく見えていた。
・広場状のところで雪渓が3つに分かれており、薄いトレースに沿って左俣を進む。
左俣を少し進むと、再び二股状の場所に出た。右はマヤクボ沢への雪渓。
左俣の雪渓はまだ先へと細く続いている感じだが、雪の上のペンキ印にしたがって、この付近より夏道に入った(標高=約2200m付近)
(他の登山者によると、この先、雪渓が薄くなっているので、危ないらしい)
・あとは、夏道沿いに、雪渓を絡みながら登高を続けるが、結構ジグザグの道で、なかなか峠は遠い。
・地図では、途中に水場があることになっていたので期待していたが、
本流には水が流れているが、汚れているようで気持ち悪い。
かといって脇の沢は雪田状となっていて水がでておらず、期待外れで残念だった。 雪田の下を少し掘って、少し水を補給した。
10:40-11:00 針の木峠(針の木小屋)(標高=2540m)
・まずまず予定の時間に峠に到着。
峠の狭い場所に小屋が立っており、時間は早いがさっそく中に入り、チェックインをする。
予約は入れているが、「今日は混みますよ」と改めて言われ、覚悟する。
・小屋に荷物を置いて、さっそく空身で蓮華岳へと向かう。
峠付近からは南の方、槍ヶ岳や北アルプス中央部の山なみも見え、この時間帯にしては展望が良い。
・最初の急な登りを過ぎ、途中の小岩峰を巻いたあたりから、待望のコマクサが道脇にパラパラと見えてきた。
・峠から見えていた前衛峰を越え、蓮華岳の長い頂上稜線に入ると、さらにコマクサが増えてきて、期待して来たかいがあった。
道から外れるのは禁止されているので、道からズームでコマクサの写真を何枚も取る。
これほどコマクサをたくさん見るのは初めてだ。ちょっと感動。
・コマクサ以外に、頂上稜線部の一部には、ダイコンソウ、ハクサンシャクナゲ、 チングルマ、タカネヤハズハハコ、アオノツガザクラ、ミヤマクワガタ、 ハクサンチドリなどを見ることができた。
12:10-30 蓮華岳山頂(標高=2799m)
・長い頂上稜線を歩き、ようやく頂上に到着。
小さい祠と道標があるだけの山頂。
しかし付近にはコマクサが多く、いい感じだ。人気があるのもよく解る。
夏の風に吹かれ、しばしのんびりした。
・頂上より少し先に行くと、珍しい白色のコマクサも見かけた。
・帰りは同じ道を下るが、団体登山者が多数登ってきている。
おそらくコマクサ目当てのツアーだろう。今日は、マイナーな山にしては登山者が多かった。
13:20 針の木小屋着
・いつの間にか登山者が増えて、小屋の周りにも大勢いる。一部は日帰りの登山者らしい。
・さっそくビールを買って飲む(発泡酒 ;500mlで600円)。
今日は上天気で、花も結構見れたし、満足な一日だった。
・小屋は定員100人だが、今日は定員いっぱいの客が入るらしく、割り当てられた部屋は、布団1個に2〜3人という厳しい状態。
結局布団10枚で22人押しこめられた。
(夕方、玄関の靴の数を数えると、100個弱でほぼ定員いっぱいの感じ。)
・夕食は17時からの4回戦マッチ。自分は1回戦だった。
・宿泊客には、水が1Lもらえることになっている。自分は飲み物を結構多く持ってきたので、500mlしかもらわなかったが、ここの水は雪渓から引いてきている水のようだった。
・夕食後もさっさと布団に入って寝る準備をするが、部屋には人が満杯なので、 部屋の窓を開けていても人の熱気で暑苦しい。
イビキもうるさく、なかなか寝付けない夜だった。
7月28日(土)
・今日はメインイベントの、稜線縦走の日。
4:40 針の木小屋発
・朝早く起きて、朝食もパスして出発する。
今日は昨日と異なり、上空も山々も雲が多くてイマイチの天気のようだ。
蓮華岳の肩から出た朝日も、あまり朝焼けを伴わなかった。
5:50-6:10 針の木岳山頂(標高=2810m、気温=15℃)
・今回のコースの最高峰に到着。
だが、山頂部は雲に覆われており、期待の展望はなかった。
しばらく待ってみたが、わずかに立山、黒部湖が見える程度。
小屋から写真目当てで登ってきていた人たちも、残念そうに下ってゆく。
・ここからいよいよ、種池小屋までの縦走路に入る。
縦走する人は意外と少なく、霧の向こう、テント装備の2名が先行しているのみ。
・霧が濃く展望がないので、足元の花を写しながら進む。
針の木岳山頂付近で、ミヤマオダマキ、ヨツバシオガマ、イワオオギ、イワギキョウなどを見ることができた。
6:40-50 スバリ岳
・ここもあいにくと、濃い霧に覆われて展望なし。ひょっとして霧雨になるのではないか?というくらい霧は濃い。
・スバリ岳からは吊尾根状の緩い鞍部を進んでゆく。
最初は霧で何も見えなかったが、鞍部付近にいたると、雲の下に出て、少し展望が開けてきた。
・赤沢岳までの吊尾根状の稜線で、計2回 休憩をとる。最初のコル状のところには、コマクサが結構咲いていた。
吊尾根状の稜線を進んでいると、ようやく西側、黒部側沿いの上空に青空が出だして、天気は回復傾向のようだ。眼下に黒部湖も見えてきた。
進むにつれて雲は薄くなり、青空が広がって、日差しも出てきた。なかなかいい感じだ。
8:50-9:20 赤沢岳山頂(標高=2677m、気温=23℃)
・急なガラガラの道を一登りすると、今日の中間点、赤沢岳に到着。
天気はもう、すっかりと回復して、上空には青空がずいぶん広がってきたし、黒部渓谷の向こうには、立山連山、それに少し霞みがかかっているが、剣岳の雄姿も見えてきた。
立山は室堂側から見ると小さな山体だが、この東側から見ると、なかなか大きな山体をしていて、でっかい山だと分かる。
立山や剣岳の東面を覆う雪渓の雪の量が結構多い。
山頂にいた人に聞いても、今年は雪の量が例年より多いそうだ。
雪をまとった夏山は、なかなかに美しい、飽きずに何枚も同じような写真を撮ってしまう。
・立山、剣岳のほか、この赤沢岳の山頂からは、遠く五色が原、薬師岳あたりも見え、雄大な景色に時間を忘れて、のんびりと 山頂のひと時を過ごすことができた。
10:10-20 鳴沢岳(標高=2640m)
・赤沢岳からいったんコルに下り、再び一登りすると鳴沢岳に到着。
ここからは、後立山主脈の展望が良く、鹿島槍、五竜岳、唐松岳あたりを見ることができた。
・ここではAUの携帯が通じたので、家にメールする。
(針ノ木小屋、種池小屋とも、AUの携帯は通じなかった)
10:50-11:00 新越小屋
・鳴沢岳から少し急な下りを下ると、こじんまりした新越小屋に出た。
今日は目的の種池小屋が大混雑と事前に聞いているので、新越小屋に泊まる案でもよかったが、事前の電話では、新越小屋も今日は予約でいっぱいらしい。
・さてこれから、今日最後のピーク、岩小屋沢岳への登りが始まる。
新越小屋の手前、それとその先は、比較的花が多く、ゴゼンタチバナ、フウロソウ、クルマユリ、ミヤマキンポウゲなど、お花畑というには小規模だったが、これまでの岩尾根の稜線に比べると、花を多く見ることができた。
・しかし、今日も行動6時間を超え、さすがに足に疲れが出てきた。
あと一ピーク、と思うが、足が重くてペースがあまり上がらない。
天気が良くなってきたので、日差しも強く、汗をだらだらかきながら、最後の登りを登る。
11:50-12:00 岩小屋沢岳(標高=2630m)
・ようやく今日最後のピークに到着。
ここにはトンボが多く、夏を飛び越して秋が近いような感じさえした。
・岩小屋沢岳からは種池小屋までだらだらと長い下りが続くが、
途中には結構、花が多く、ヨツバシオガマ、ゴゼンタチバナ、アキノキリンソウ、クルマユリ、ホソバヤマハハコ、フウロソウ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、モミジカラマツ、レイジンソウ、コイワカガミなど、これまでの岩尾根には少なかった花たちを、多く見ることができた。
・そろそろ種池小屋か?と思ってまえを見ると、手前のコルにいったん下って、そのうえに種池小屋がそびえている。
・コル付近は、キヌガサソウが多かった。それと、歓迎しないが、熊のフンらしき、 黒くて大きなフンが何ヵ所も落ちていた。
13:30 種池小屋着
・結局、コースタイム8時間のところ、9時間弱でようやく到着したが、
まあ、最近の自分の体力を考えると、こんなものかな?
小屋に入ると、さっそく缶ビール(500ml、750円)を買って、小屋の前でゴクゴクと飲み干す。さすがにちょっと疲れたな、今日は。
・この小屋も、数日前に電話で予約を入れた際、「混んでいるからお断り」と言われたのを、無理に停めてもらうことにしたので、今日は混むことを覚悟の上。
・割り当てられたのは、布団8枚敷きの部屋。相当混むか?と思っていたが、結局 その部屋は8人しか入らず、布団1枚に1名と、昨日よりゆったりしてたほうだった。
それでも玄関の靴の数を数えると200個弱はあり、ほほ定員いっぱいのようだった。
・夕食は3回戦まであり、自分は1回戦。早々に夕食を終わると部屋に戻り、ラジオを聞きつつのんびりとした。
今日は昨日ほど人いきれで暑苦しくはなく、よく眠れた。
・ここも、針の木小屋と同様、宿泊客には水1Lをくれることになっている。
今日は暑くて、行動中に1.5Lを飲んでしまったので、さっそく水をもらって飲む。まずまず冷たくておいしい水だった。
ここの水は、下の沢からポンプでくみ上げているらしい。
7月29日(日)
・今日は下山、移動日だが、時間の余裕があるので、近くの爺ヶ岳へと朝のうちに登る予定。
5:40 種池小屋発
・朝食後、さっそくカメラと飲み物だけもって出発する。
今日は昨日よりやや雲が多く、針の木岳あたりも雲に隠れているし、朝焼けもなかった。
6:40-7:00 爺ヶ岳(中央峰)(標高=2689m)
・何十年ぶりかに爺が岳に登頂できた。
ここからは少し霞みがかかっているが、鹿島槍ヶ岳の姿が大きい。
鹿島槍も何十年も登っていないので、そのうち登りに行こう、と思う。
今回の縦走路の方を振り返ると、針ノ木雪渓が、結構遠くに見える。
自分でも結構歩いたな、と思え、充実した山行の達成感がこみ上げてくる感じ。
・爺が岳の中央峰と南峰との間のコルには、ここにもコマクサがパラパラと咲いていた。
・今日は日曜日のせいか、爺が岳も登山者が多い。
中央峰で出会った人と少し話を交わしてみると、深夜1時に扇沢を出発して、今日は鹿島槍をピストンする計画とのこと。・・ 若い人たちだったが、自分にはまねができない、凄すぎる計画だ。
7:40-8:00 種池小屋(気温=20℃)
・荷物を背負って、そろそろ下山にかかる。
柏原新道は、よく整備されていて歩きやすかった。
今日は上空は薄曇りで、日差しもなく、歩きやすい。
それにしても日帰り登山だろうか?続々と人が登ってくる。200人はいたようだ。
鹿島槍ねらいだろうか?さすがに人気の山域だな、と思う。
・1900m付近のケルンのあるあたりから、扇沢のターミナルが見えだし、そろそろ 今回の山行も終わりに近づいた。
11:00 扇沢ターミナル着
・ここからは、バスで大町温泉に移動し、大町温泉の日帰り温泉施設「薬師の湯」に入って、3日間の汗を流した。
・その後は、信濃大町駅に出て、15時過ぎの特急で帰路に着く。
四国(新居浜)に着いたのは、夜も22時を過ぎていた。
※ この2年ほど、雨にたたられて、充実した夏山登山ができていなかったが、今回は、天気と展望に恵まれ、充実感のある山旅を満喫できた。
bergheilさん、おはようございます。
愛媛新居浜から北アルプス針ノ木方縦走、お疲れ様でした。
アプローチだけでも大仕事ですよね。
今回は天候にも恵まれ、素晴らしい山旅ですね。
高山植物も今は盛りと咲き誇っている北アルプス、やっぱりいいですね。白いコマクサにもめぐり会えてラッキー
kusmmkさん こんにちは
コメントありがとうございます。
この2年ほど、北アルプスの夏山登山は天気にあまり恵まれず、不完全燃焼の感じでしたが、今回は夏山らしい天気が続き、充実した山行でした。
夏の雪渓歩きなどは、四国では味わえないものなので、高い交通費を払っても、行ったかいがありました。
先日はコメントを有難う御座いました。
私はまだ西ノ冠岳を登ってないので、紅葉の時期にでも登れればと思っています。
針の木雪渓は私も行ってみたかった場所の一つです。しかしこんなにも多種の高山植物が一度に見られるとは思っていませんでした。
ところで山小屋ではヒサンでしたね。私は三千メートル峰へ登る際は、平日に行っていました。
黒部アルペンルート沿いでは、黒部渓谷下ノ廊下しか歩いたことはありませんが。
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