ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 215353
全員に公開
アルパインクライミング
剱・立山

源次郎尾根からの剱岳

2012年08月11日(土) ~ 2012年08月13日(月)
 - 拍手
GPS
50:04
距離
18.2km
登り
2,187m
下り
2,183m

コースタイム

【8月11日】
 6:10〜17ケーブルカー−6:20〜7:10高原バス−7:35室堂−7:47ミクリガ池
 8:20〜25雷鳥平−9:51〜10:01別山乗越−10:18〜10:20剱御前−10:36別山乗越
 11:20剣山荘

【8月12日】
 4:00剣山荘−4:30〜35雪渓出合(アイゼン装着)−4:56〜5:02源次郎尾根取付き
 7:45〜54一峰−8:29〜9:00二峰(懸垂下降終了)−10:03〜30剱岳山頂
 10:43〜11:08カニのよこばい(渋滞)−11:50〜12:00前剣−12:42一服剣
 13:06剣山荘

【8月13日】
 6:28剣山荘−6:54〜56剱澤小屋−7:50〜57別山乗越−8:50雷鳥平−9:25ミクリガ池
 9:37室堂−10:00〜50高原バス−11:00〜07ケーブルカー
天候 8月11日:曇り
8月12日:快晴時々ガス
8月13日:暴風雨
過去天気図(気象庁) 2012年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス 自家用車 ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
 北陸自動車道 立山ICで降り、右折して県道3号線(途中から6号線に)を南進し、
道なりに20kmほど走ると立山駅に到着。駅周辺に無料駐車場があります。
(一番近い駐車場は、枠外に止めてある車が多く、通行の邪魔になっている車も。)

 立山駅から室堂まではケーブルカーと高原バスを乗り継いで行きます。往復料金は
4190円ですが、JAFの会員カードを提示すると10%割引で3780円です。
(高原バスは、10kgを越える荷物は別途300円が必要となります。)
コース状況/
危険箇所等
 登山ポストは、室堂ターミナル内の1Fと2Fの途中の階段踊り場にありました。

<室堂〜雷鳥平>
 よく整備された遊歩道です。石畳のコースでアップダウンがあります。

<雷鳥平〜別山乗越>
 ルートは明瞭。ずっと急登が続き、ザレた部分もありますので、注意して歩き
ましょう。

<別山乗越〜剱御前>
 ルートは明瞭。岩場もありますが、途中、お花畑がありますので、のんびりと歩く
ことをお勧めします。剱御前から剣山荘上部のくろゆりのコルまでのルートが破線
で描かれていますが、見た限りかなり危険そうですので、ピストンしたほうが良いと
思います。

<別山乗越〜剣山荘>
 ルートは明瞭。途中、4ヶ所雪渓のトラバースがありますが、ステップも切られて
いるので、アイゼンは不要。但し、端はかなりツルツルに凍っていますので、最初と
最後の一歩は注意して下さい。

<剣山荘〜源次郎尾根取付き>
 しばらくは草の間の急な下りで、足元は岩がありますので、滑らないように注意
して進みましょう。草がなくなると急なガレ場となりますので、注意して下さい。
雪渓はかなり滑り易い状態ですので、アイゼンは必須です。今年は雪が多いようで、
割れている部分はありませんでした。

<源次郎尾根取付き〜剱岳山頂>
 雪渓の下りはかなり固いので、アイゼンは必須です。取付き以降、草付きから樹間
の木の枝の間を掻き分けながら進むところも。このコースの肝となる部分は下部の
2ヶ所の3mほどの岩場の登りと、懸垂下降か?踏み跡はしっかりとついているので、
間違えるところはないと思う。高度感はあるが、周りの景色を楽しみながら軽快な
岩稜歩きができる。懸垂下降以降、ずっと山頂が見えているが、この間は非常に長く
感じる。最後は、ルートは色々あるので、自分が登れるルートで進むと、山頂広場
に飛び出る。

<剱岳山頂〜剣山荘>
 ルートは明瞭。鎖場多く、各所で渋滞が発生。カニのよこばいの一歩目を見つける
ことができると足はすんなりと下ろせるので、後は鎖を頼りに通過できる。
(ここを前向きに下ろうとチャレンジしていた女性がいたが、結局渋滞をひどくして
いただけ。同行の男性がしっかりと指示できればこんなことにはならないのだが。)

<剣山荘〜剱澤小屋〜別山乗越>
 ルートは明瞭。途中、何ヶ所かで雪渓のトラバースがありますが、ステップも切ら
れているので、アイゼンは不要。但し、端はかなりツルツルに凍っていますので、
最初と最後の一歩は注意して下さい。


 剣山荘には温水シャワーが設置されているので、下山後に温かいシャワーを浴びる
ことができ、お勧めの山小屋です。

 下山後の温泉は、立山駅から車で7分ほどのところの「グランドサンピア立山」
へ。温泉とランチがセットになって1600円のコースはお勧め。温泉は肌がツルツル
になり、山から下りてきてナイフとフォークを使ったランチは和食と洋食から選べ、
フリードリンクまでついている。
予約できる山小屋
室堂
これから向かう先は雲の中
2012年08月11日 07:31撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 7:31
室堂
これから向かう先は雲の中
別山乗越に向けて急登を登って行きます
2012年08月11日 08:38撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 8:38
別山乗越に向けて急登を登って行きます
雄山と浄土山
2012年08月11日 08:46撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 8:46
雄山と浄土山
剱御前小屋に到着
2012年08月11日 09:51撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 9:51
剱御前小屋に到着
剱岳が見えました
2012年08月11日 09:54撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/11 9:54
剱岳が見えました
私だけ別行動で剱御前山へ
2012年08月13日 19:51撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/13 19:51
私だけ別行動で剱御前山へ
剱御前山頂上
2012年08月11日 10:07撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/11 10:07
剱御前山頂上
剱御前山三角点
2012年08月11日 10:18撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/11 10:18
剱御前山三角点
剱岳の山頂は雲の中
2012年08月11日 10:18撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/11 10:18
剱岳の山頂は雲の中
剱岳がやっと見えました
2012年08月11日 10:47撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/11 10:47
剱岳がやっと見えました
剣山荘に到着
2012年08月11日 11:20撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 11:20
剣山荘に到着
本日の部屋は一人一枚の布団
2012年08月11日 11:38撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 11:38
本日の部屋は一人一枚の布団
初日の夕食
2012年08月11日 16:49撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/11 16:49
初日の夕食
まだ暗い中を出発
2012年08月12日 04:22撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 4:22
まだ暗い中を出発
平蔵谷と出合にある大岩
2012年08月12日 04:55撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
6
8/12 4:55
平蔵谷と出合にある大岩
出合にあるポイントから尾根コースへ
(入口は明瞭)
2012年08月12日 05:05撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 5:05
出合にあるポイントから尾根コースへ
(入口は明瞭)
剱御前のモルゲンロート
2012年08月12日 05:13撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8
8/12 5:13
剱御前のモルゲンロート
お助け紐のある登り
(S師匠が1本残置していく)
2012年08月13日 18:37撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
5
8/13 18:37
お助け紐のある登り
(S師匠が1本残置していく)
木の枝の間を縫うように進む
2012年08月12日 05:26撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 5:26
木の枝の間を縫うように進む
岩と木のミックス
2012年08月12日 05:36撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 5:36
岩と木のミックス
ここは安全を考え、ザイルを出しました
(次のパーティーの方、お待たせして申し訳ございませんでした)
2012年08月13日 18:37撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/13 18:37
ここは安全を考え、ザイルを出しました
(次のパーティーの方、お待たせして申し訳ございませんでした)
こんなところも登ります
2012年08月12日 06:05撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/12 6:05
こんなところも登ります
切れ落ちた斜面をトラバース
2012年08月12日 06:12撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 6:12
切れ落ちた斜面をトラバース
リッジを進みます
2012年08月12日 06:23撮影 by  DMC-FX33, Panasonic
5
8/12 6:23
リッジを進みます
別山と剱御前山方面
2012年08月12日 07:00撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
4
8/12 7:00
別山と剱御前山方面
八ツ峰の六峰の各フェースには多くの人が取付いていた
2012年08月12日 07:35撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/12 7:35
八ツ峰の六峰の各フェースには多くの人が取付いていた
もうすぐ一峰頂上です
2012年08月12日 07:43撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 7:43
もうすぐ一峰頂上です
二峰と山頂
2012年08月12日 07:46撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 7:46
二峰と山頂
二峰へクライムダウン
2012年08月12日 07:57撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 7:57
二峰へクライムダウン
二峰への登りは岩とハイマツの間の超急登を進む
2012年08月13日 18:37撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/13 18:37
二峰への登りは岩とハイマツの間の超急登を進む
二峰山頂から山頂と八ツ峰上部
2012年08月12日 08:33撮影 by  DMC-FX33, Panasonic
5
8/12 8:33
二峰山頂から山頂と八ツ峰上部
懸垂の支点には大きな鎖が
(誰が担ぎ上げたのか?)
2012年08月12日 08:31撮影 by  TG-310 , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/12 8:31
懸垂の支点には大きな鎖が
(誰が担ぎ上げたのか?)
S師匠が懸垂下降
2012年08月12日 08:42撮影 by  TG-310 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/12 8:42
S師匠が懸垂下降
主将が懸垂下降
2012年08月12日 08:52撮影 by  DMC-FX33, Panasonic
8/12 8:52
主将が懸垂下降
私の懸垂下降
2012年08月12日 08:54撮影 by  DMC-FX33, Panasonic
2
8/12 8:54
私の懸垂下降
私の懸垂下降◆塀了)
2012年08月12日 08:50撮影 by  TG-310 , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/12 8:50
私の懸垂下降◆塀了)
N師匠が懸垂下降
2012年08月12日 08:54撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 8:54
N師匠が懸垂下降
山頂に向けて
2012年08月12日 09:00撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/12 9:00
山頂に向けて
山頂まではガレた岩場が続く
2012年08月12日 09:18撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 9:18
山頂まではガレた岩場が続く
この辺りから、各自好きなルートを突き進む
2012年08月12日 09:58撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 9:58
この辺りから、各自好きなルートを突き進む
山頂に到着
2012年08月12日 10:03撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
4
8/12 10:03
山頂に到着
大渋滞中の懸垂下降ポイント
(20名近くいます)
2012年08月12日 10:07撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 10:07
大渋滞中の懸垂下降ポイント
(20名近くいます)
カニのよこばい
2012年08月12日 11:06撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 11:06
カニのよこばい
カニのよこばい
2012年08月12日 11:08撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 11:08
カニのよこばい
この鎖場の影響で渋滞していた
2012年08月12日 11:25撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 11:25
この鎖場の影響で渋滞していた
前剱への登りも渋滞気味
2012年08月12日 11:40撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 11:40
前剱への登りも渋滞気味
トランス・ジャパン・アルプス・レースの選手と撮影に来ていたNHK
2012年08月12日 11:59撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 11:59
トランス・ジャパン・アルプス・レースの選手と撮影に来ていたNHK
今年初めての雷鳥君
2012年08月12日 12:21撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 12:21
今年初めての雷鳥君
一服剱
2012年08月12日 12:42撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 12:42
一服剱
最後の鎖場でも渋滞
2012年08月12日 12:47撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 12:47
最後の鎖場でも渋滞
剣山荘に到着
(S師匠、主将、N師匠、お疲れさまでした)
2012年08月12日 13:06撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 13:06
剣山荘に到着
(S師匠、主将、N師匠、お疲れさまでした)
2日目の夕食
2012年08月12日 17:01撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 17:01
2日目の夕食
3日目はのんびりと山小屋で朝食を
2012年08月13日 05:29撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/13 5:29
3日目はのんびりと山小屋で朝食を
強風とガス(途中から雨に)
2012年08月13日 06:24撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/13 6:24
強風とガス(途中から雨に)
室堂に到着
(こんな天気でもすごく多くの観光客がいました)
2012年08月13日 09:37撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/13 9:37
室堂に到着
(こんな天気でもすごく多くの観光客がいました)
綿毛のチングルマ
2012年08月11日 07:39撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/11 7:39
綿毛のチングルマ
イワハゼとコイワカガミ
2012年08月11日 09:15撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 9:15
イワハゼとコイワカガミ
タテヤマリンドウ
2012年08月11日 11:04撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 11:04
タテヤマリンドウ
クルマユリ
2012年08月11日 14:51撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 14:51
クルマユリ
剣山荘裏のお花畑
2012年08月12日 13:03撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 13:03
剣山荘裏のお花畑

感想

 当初、北方稜線を歩く予定でしたが、同行予定の方と都合がつかなくなり、別プラン
で検討されていた本山行に参加することに。
 数日前からの天気予報では大荒れの予報。前日の予報ではいつの間にか前線がなく
なっていたので、少しの期待を持ちつつ、雨でも一般路から登るというプランで集合
場所の会社を出発。途中、部分的な集中豪雨のところもあったが立山駅前の一番近い
駐車場に着いた時は星空が見える。70%ほど埋まっている程度で、テントが張れそう
なスペースがあるところに車を止め、テント設営後軽くお酒を飲んで就寝する。
 翌日、5時頃に起きた時は駐車場はすでに満車。今日は小屋に行くだけなので、
のんびりと準備をするも、富山側は意外にすいているようで、2番目のケーブルカー
に乗ることができた。7時半過ぎに室堂を出発。3年前、主将は雷鳥平への下りで膝が
壊れ、30分で無念のリタイヤという悪夢を再現させないよう、ゆっくりとしたペース
で下って行く。この先、別山乗越までは急登が続くが、ペース良く10時には到着。
ここで、私だけ別行動で剱御前(百高山の一つ)へ。荷物をデポしたためか、往復で
1時間10分のコースタイムの所を35分で往復する。地図上、剱御前からくろゆりの
コルまでは破線のルートになっていたが、非常に厳しそうだった。11時20分には小屋
に到着し、雨も降りだしたので、さっそく乾杯。昼からは温水シャワーを浴び、のん
びりと昼寝をして過ごす。部屋は一人一枚の布団ではあるが、部屋が暑くて寝苦しい
上、昼寝をしたために夜はなかなか眠れなかった。
 2日目は3時に起床。お弁当を食堂で食べ、準備をして出発するが、既に半分以上の
人は起きて準備をしていた。(12時頃に出かけて行った人もいた。)雪渓に出ると、
平蔵谷出合付近に1パーティー、後方から2パーティーのヘッデンの光が見える。出発
して1時間で取付きに到着。小屋を出るときにハーネス類は装着してきたので、アイ
ゼンを外して尾根に取付く。草付きから始まり、木の枝の間を掻い潜って登る場所
もある。お助け紐のある最初の難所は、足元に1本のお助け紐を残置し登って行く。
2つ目の難所は、2mほどまで上がればすんなりと登れそうだが、あえて危険を冒す
必要がなく安全に登ることが第一なので、ザイルを出して登って行く。ここで、後方
から4名のガイドさんパーティーが追い付いてきた。以降、一定の間隔を置きながら
並走することになる。この先からは、本格的な岩稜帯の登りとなる。一峰直下まで
登って来ると、3年前に登った八ツ峰が見えてくる。熊の岩には10張り以上のテント
が設営されていて、6峰の各フェースには多くの人が取付いているのが見え、声も
聞こえてくる。その上、長次郎谷を登って来る多くのクライマーの姿も確認できる。
視線を正面に転じると、これから向かう剱岳山頂が見え、人の姿も確認できる。ここ
からクライムダウンし、どこにルートがあるの?と聞きたくなるようなルートで二峰
頂上に向けて激急登。二峰頂上から少し下ったところには、「どうやって持って来た
の?」と聞きたくなるようなゴツイ鎖が支点として設置されている。このコース最大
の難所(?)となる懸垂下降。ここでも、S師匠が捨て縄で支点を作り、いよいよ
下降開始。かなり急ではあるが、ホームゲレンデの南山でも同様の角度の斜面を下降
しているので、問題なく下ることができた。あとは山頂に向けて岩稜帯を登って行く
だけだ。かなりの間、進行方向には山頂が見え、人影も見えるので、それを目印に
登って行く。約1時間、最後は思い思いのコース取りで山頂に突き抜ける。4名で
ガッチリと握手を交わし、無事の登頂を祝う。山頂から、今回歩いて着たコースを
振り返って見てみると、二峰懸垂ポイントには20名近い人が待っているのが見える。
早出したおかげでトップで行動ができたため、渋滞もなく気分的にはかなり気持ちの
いい山行だった。(後続パーティーは、かなり気を使っていただいたようで、常に
30分ほどの間隔が空いていた。後続パーティーの4名の皆さん、ありがとうござい
ました。)山頂で30分休憩の後下山するが、各所で渋滞が発生し、かなり待たされる
ことに。カニのよこばいでは、前回、鎖にしがみついて足場を探した思いがあるが、
今回は冷静に最初の一歩となる足場を見つけることができ、すごくスムーズに下る
ことができた。前剱の下りで前を行く小学生の女の子が、父親と思われる男性に対し
て「あとどれくらい?」と頻繁に聞いていて、無視をしていた男性は最後にしびれを
きらして、「お前が遅いからだ。」と逆ギレしていた。せっかく一緒に登った子供に
対してこの態度、子供が山嫌いにならなければいいのだが。(一服剱からの下りは、
目標物が見えたためか、かなりハイペースで下っていた。)3年前の八ツ峰の時には
15時間半の行動時間だったのに対し、今回は9時間とかなりいいペースで周ってくる
ことができ、天気も良く、非常に充実した山行となった。時間もあり、無理をすれば
ぎりぎりで下山できたとは思うが、無理をせずに剣山荘でもう一泊することに。この
日はかなり空いていて、4人で8人部屋を使うことができ、温水シャワーに浴びること
もでき、のんびりと疲れを取ることができた。
 3日目は朝から強風が吹き荒れていて、風の音で夜中に何度も目を覚ます。そんな
中、ほとんどの人が山頂目指して出かけて行かれた。安全だけには、十分注意して
欲しいものだ。我々はのんびりと朝食をいただいてから出発する。同じコースを歩い
てもつまらないので剱澤小屋経由で下山するが、小屋を出発した時には強風だけ
だったが、剱澤小屋を出てすぐに雨も降りだし、暴風雨となる。そんな中、多くの人
と擦れ違う。室堂まで来ると、こんな天候にもかかわらず、寒そうな姿の観光客の
方が、ビニールガッパで散策をされていたが、ほとんど効果がない状態だった。高原
バスやケーブルカーには待ち時間もなく、すんなりと乗ることができた。立山駅まで
降りてくると、さすがに暑く、日差しもかなり強く射している。下界がこんな状態
だったら、自分達でも室堂まで上がっていたと思う。
 下山後の温泉は、立山駅から車で7分ほどのところの「グランドサンピア立山」で
温泉とランチがセットになった1600円のコースでのんびとしたあと、帰路につく。
途中のSA、PAはどこも大混雑していて、夏休みを実感する。

 3年ぶりの剱岳は、前回と同様にバリエーションルートから山頂を踏んだが、正規
ルートの「カニのたてばい」からの登頂は何時になるかな?(次は何時になるかは
わからないが、たいてい早月尾根からだと思う。)

 同好会で作ったお揃いのTシャツで臨んだ非常に充実した山行でした。
 皆さん、お疲れ様でした。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:5022人

コメント

源次郎尾根、良いですね。
源次郎から劔岳おめでとうございました。
爽快な尾根歩きが伝わってきました。雪渓の谷を足もとに見ながら登じる気分最高ですね。剱岳のバリエーションは人が多かったみたいですね。早出効果でトップだったとのこと。源次郎から八ツ峰見てみたい、何か目の前に浮かんでくるようで。
で、次は何時行きますか? とかげの仲間も行きたいです。

剱岳万歳!
2012/8/15 22:23
うらやましいです。
こんばんは。
12日は快晴でどこも登ってる人が多かったですね。雷雨なんて発生する気配もなし。
ザイル出した場所ってハーケンが一本打ってある場所ですよね。微妙に高度があって嫌な感じ。ほぼ正面のスペースはもろくなっていたのか崩壊・・・。オープンスペース(地獄行き)ができて最悪でした。半数が登った直後雨。撤退決定。降りるのも大変で、散々な1日(13日)。でも、あの暴風雨なら撤退してよかったなぁと思います 夕方からも半端ない雷雨でした・・・。
ホントに羨ましいです
2012/8/16 0:57
源次郎尾根お疲れ様でした。
天気が大丈夫か心配でしたが、さすが晴れ男ですね。
源次郎、お疲れ様でした。
たまには、普通の山歩きにも行きましょう。
2012/8/16 20:16
これぞアルパインって感じ
 tokageさん、こんにちは。

 源次郎尾根、早出が正解で常にトップで進むことができ、時間を気にせずに楽しむことができました。草付き、木の間をよじ登ったり、ハイマツ帯歩き、岩稜帯歩きとバリエーションに富み、これぞアルパインって感じでした。
ここからしか見えない景色も格別。雑踏の山頂に突き抜ける感じも良かったですよ。

 ルートは把握しましたので、準備整いましたらお誘いください。よろしくお願いします。
2012/8/17 17:31
ちょとした違いで
 こんにちは、K guminさん。

 ザイル出した場所ってハーケンが一本打ってある場所です。無理に行けば何とかなるルートでしたが、先頭で後続がまだ来ていないという余裕と、持って来たものは有効に使うという精神で、即決定。崩壊してしまったんですか。確かに、登っていてちょっと嫌な感じはしていましたが...

 13日は、かなりの強風の上、途中からは雨も加わり、さすがにあの状態で稜線に出るのは命を捨てに行くようなものですよね。でも、あのコースを下るのもかなり大変だったのでは?やっぱり、引き際というのも大切なことで、この時こそ一番勇気がいる瞬間ではないでしょうか?

 何事もなく、無事に下山できたことが何よりです。今回は、下見に行ったということで、次回は快晴の中 、楽しんできて下さい。
2012/8/17 17:52
快適でしたよ
 こんにちは、morgenrot2さん。

 天候が急変していい方向に変わり、無事源次郎尾根から山頂へ登ることができました。最近、morgenrot2さんには下山時刻が遅くなって迷惑ばかりかけていましたが、この日はトップで行動でき、かなり早く小屋に戻ることができました。

 次の行先、また相談して決めましょう。個人的に、9月中旬に南アを歩くつもりでいます。
2012/8/17 18:16
楽しそうです!
行ってみたい!と思っているのですが、
詳しい写真、現状の様子が分かりやすく、
勇気もでました☆
12日は北穂も天気が良かったです!(北穂にいました)

すてきなクライミング、おつかれさまです
2012/8/17 22:56
気持ちのいいコースです
 おはようございます、M TERAさん。

 前穂北尾根は残念でしたが、北穂東稜も気持ちのいいコースですよね。私は、まだ春先にしか歩いたことがありませんが、両方とも来年くらいにはと狙っているコースです。

 南山を登っていらっしゃるようですので、ここの懸垂さえできれば、問題なく楽しめるコースですよ。

 南山や御在所でお会いしそうですね。その時は、よろしくお願いします
2012/8/18 6:10
お返事ありがとうございます
源次郎尾根は登攀の技術だけでなく、さすがのバリエーション、まさに総合力だなあと感じました!
前穂や北穂に比べて尾根が大きく距離が長いですし、ルートファインディング等、試されそうなコース…。
うーん、その分、達成感が大きそう!(ウズウズ)

御在所は、そろそろ前尾根でも と思ってます。
お会いしましたときには、こちらこそご指導ください
2012/8/18 14:54
はっきり言って・・・
 はっきり言って、ルートファインディング力はほとんど必要ありません。(高まっている気持ちを崩して申し訳ございません。)必要なのは、「体力」「登攀力」「度胸」だと思います。岩はしっかりとしていましたので、穂高のいつ崩れてもおかしくない岩とは登っている時の安心感が全く異なるのでは?
 岩場だけでなく、草付き、木の間、ハイマツ帯歩きもあり、これぞ『アルパイン』といった感じで、最後の観衆が見ている中を登頂するという優越感、達成感は最高です
2012/8/18 17:15
なんと!
そ、そうなのですか…
過去の記録には同ルートのガイド登山もよくありますので、おそらく想像以上に人が登って、踏み跡になっているのだろうと想像しました。

登攀力などがもちろん大事ですが、
勇気、度胸などの気持ちも大事ですね!
仲間とよく相談してみます
もし行ける際には十分気を付けます!!
2012/8/18 23:05
情報です
 私たちが登った数日前に、日本テレビ(中京テレビ)でやっている『世界の果てまでイッテQ!』のイモトアヤコさんが源次郎尾根を登攀して行ったとのことです。もしかすると、番組でコースが紹介されるのでは?
(逆に、TV放映されると混雑する可能性が高くはなりますが...)

【追記】
8月19日の番組で放映されていましたが、マッターホルンに登るトレーニングとしてこの界隈を登ったようですね。
2012/8/19 19:48
ご参考まで
楽しく拝見させていただきました
僭越ながらご参考まで
163 エゾシオガマ
175 イワオトギリ
2012/8/23 10:44
ありがとうございました
 avensさん、おはようございます。

 わざわざ、ありがとうございました。

 色々と調べはするのですが、なかなか見つけることができません。花の形は似ているんだけど葉の形が違うとか、山行記録を作成するとき、いつも花の名前探しで苦労しています。(年のせいで、一度覚えたものも忘れてしまったりとか...)
2012/8/24 7:21
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

無雪期ピークハント/縦走 剱・立山 [3日]
剱岳 八っ峰上部 バリエーション
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
5/5
体力レベル
5/5
無雪期ピークハント/縦走 剱・立山 [2日]
剱岳点の記コース/剱沢〜長治郎谷〜山頂〜別山尾根 
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
4/5
体力レベル
4/5
無雪期ピークハント/縦走 剱・立山 [4日]
技術レベル
3/5
体力レベル
5/5

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら