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記録ID: 2249763
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積雪期ピークハント/縦走
白山

【白山周辺】野伏ヶ岳〜小白山〜枇杷倉山〜松鞍山(福井県側から周回)

2020年03月07日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
29.7km
登り
1,903m
下り
1,878m

コースタイム

日帰り
山行
14:50
休憩
0:00
合計
14:50
3:30
40
下打波冬季閉鎖ゲート
4:10
4:10
30
中洞集落入り口(自転車デポ地)
4:40
4:40
310
尾根取りつき
9:50
9:50
120
11:50
11:50
20
12:10
12:10
80
13:30
13:30
110
枇杷倉山
15:20
15:20
140
松鞍山
17:40
17:40
40
中洞集落入り口(自転車デポ地)
18:20
下打波冬季閉鎖ゲート
地図の軌跡は手書きです。下山時の尾根末端の電光型の林道部分は特に適当なので,御留意を。
天候 晴れのち曇り(終日強風)
過去天気図(気象庁) 2020年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
・下打波集落奥の冬季閉鎖ゲート前のスペースに駐車(福井県道173号線(上小池勝原線)は冬季閉鎖中)
・ゲートから中洞集落入り口までは自転車を利用。県道上には積雪がなく,問題なく自転車を使えました。美濃又川沿いの林道は,途中に大きな崩壊箇所があり,それ以降はかなり荒れています。
コース状況/
危険箇所等
※ 枇杷倉山は小白山の西にある1518mピーク,松鞍山はそのさらに北西にある1419.3三角点のピーク。枇杷倉山は,標高点1518mの記載のある南峰(こちらが本峰とされることが多い)と,その少し北西にある北峰(南峰と同一等高線だが,標高点の記載なし)から成る双耳峰となっている。

【三ノ又谷・中ノ水谷中間尾根〜野伏ヶ岳】
・野伏ヶ岳へは,三ノ又谷(美濃又川の右俣)と中ノ水谷(同川の左俣)の中間尾根を登路にしました。この尾根は道はありませんが,1100mくらいまでは植林が続いているため藪は少なく,それ以降も積雪さえあれば藪漕ぎなしで登れます。
・この尾根へは,三ノ又谷沿いの林道から中ノ水谷沿いの林道へ少し入ったところから適当に斜面に取り付きますが,この中ノ水谷沿いの林道は既に放棄されているらしく藪が激しいです。
・主稜線手前が少し痩せており,雪庇が出ていますが,特に大きな問題にはならないと思います。

【主稜線上(野伏ヶ岳〜枇杷倉山)】
・全体的に痩せ尾根や雪庇が連続します。打波川側(西側)は終始切れ落ちているため,滑落注意。逆に石徹白川側(東側)は比較的傾斜が緩く、悪場はこちらから巻けることも多いです。
・特に,小白山南峰の枇杷倉山方向直下にナイフリッジが発達しており,注意。ナイフリッジ通しに通過することも可能ですが,石徹白川側の斜面を巻くこともできるので慎重に(降雪後は雪崩注意)。ただし,石徹白川側斜面も初めはかなり急なので,特に雪が硬い際は注意が必要。

【枇杷倉山〜松鞍山】
・枇杷倉山の北峰(枇杷倉山(標高点1518m)の北西にある同じくらいの標高のピーク)から松鞍山への下りが,このルート上の核心部。非常に急峻で,感覚的には垂直に近い部分も出てきます。今回はバックステップで何とか下降できましたが,雪が硬い場合や,手掛かりになる灌木が雪で埋まっている場合は,ロープで懸垂下降したほうが安全かもしれません。

【松鞍山〜中洞集落】
・この尾根も踏み跡やマーキングはありません。尾根の接続が分かりにくい箇所が複数あるので,ルートファインディングに注意が必要。P1072mから北西斜面を下ると,標高800m付近の緩傾斜帯で林道(地形図に記載なし)が出てくるため,それを辿ると中洞集落の入り口に出られます。
下打波の冬季閉鎖ゲートから自転車でアプローチ。自転車は下山予定の中洞集落入り口に止め,美濃又川沿いの林道を歩く。林道は途中で大きく路盤決壊しており(写真),それ以降はほぼシングルトラック状態で荒れている。何年か前に歩いた時は割ときれいな林道だった記憶があるのだが…。
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下打波の冬季閉鎖ゲートから自転車でアプローチ。自転車は下山予定の中洞集落入り口に止め,美濃又川沿いの林道を歩く。林道は途中で大きく路盤決壊しており(写真),それ以降はほぼシングルトラック状態で荒れている。何年か前に歩いた時は割ときれいな林道だった記憶があるのだが…。
美濃又川は右俣の三ノ又川と左俣の中ノ水谷に分かれるが,中ノ水谷沿いの林道に入ると激しい藪で,どこが路盤かも判然としない。適当なところで斜面に取り付く。
美濃又川は右俣の三ノ又川と左俣の中ノ水谷に分かれるが,中ノ水谷沿いの林道に入ると激しい藪で,どこが路盤かも判然としない。適当なところで斜面に取り付く。
尾根に取りつくと,初めは藪がうるさかったが,すぐに植林帯(手入れはされていないように見える)に入り,歩きやすくなる。登り始めは積雪はほとんどなく,1000mくらいまで上がってやっと雪がつながった。
尾根に取りつくと,初めは藪がうるさかったが,すぐに植林帯(手入れはされていないように見える)に入り,歩きやすくなる。登り始めは積雪はほとんどなく,1000mくらいまで上がってやっと雪がつながった。
尾根の途中で夜が明け,右手に枇杷倉山の特徴的な山容が現れた。
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尾根の途中で夜が明け,右手に枇杷倉山の特徴的な山容が現れた。
松鞍山の姿も見える。
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松鞍山の姿も見える。
1100m付近で植林帯が終わり,気持ちの良いブナの雪尾根となる。雪はあまり締まっておらず,20cmほどの新雪もあり,スノーシューで足首〜脛くらいの沈み込み。重い雪で結構疲れる。
1100m付近で植林帯が終わり,気持ちの良いブナの雪尾根となる。雪はあまり締まっておらず,20cmほどの新雪もあり,スノーシューで足首〜脛くらいの沈み込み。重い雪で結構疲れる。
左手には薙刀山〜願教寺山,そして真ん中には別山の姿も見える。先週登った山々を眺めながら,登高を続ける。
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左手には薙刀山〜願教寺山,そして真ん中には別山の姿も見える。先週登った山々を眺めながら,登高を続ける。
次第に野伏ヶ岳も近づいてきた。福井側から見る野伏ヶ岳は,ところどころ岩も露出しており石徹白側とは全く違う表情で,初めて見る山のようで不思議だ。
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次第に野伏ヶ岳も近づいてきた。福井側から見る野伏ヶ岳は,ところどころ岩も露出しており石徹白側とは全く違う表情で,初めて見る山のようで不思議だ。
振り返ると,経ヶ岳と赤兎山の真っ白な姿も。
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振り返ると,経ヶ岳と赤兎山の真っ白な姿も。
主稜線が近づくと,痩せ尾根に雪庇が連続するようになる。なだらかな石徹白側から登る際とは全く印象の違う,険しい福井側の野伏ヶ岳の姿だ。
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主稜線が近づくと,痩せ尾根に雪庇が連続するようになる。なだらかな石徹白側から登る際とは全く印象の違う,険しい福井側の野伏ヶ岳の姿だ。
雪庇に刻まれた風紋が美しい。
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雪庇に刻まれた風紋が美しい。
主稜線が近づく。
主稜線が近づく。
主稜線に乗り上げた。
主稜線に乗り上げた。
まず野伏ヶ岳を往復する。野伏ヶ岳までは雪庇の発達した美しい雪稜が続いており,息を呑む眺め。
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まず野伏ヶ岳を往復する。野伏ヶ岳までは雪庇の発達した美しい雪稜が続いており,息を呑む眺め。
うねるような雪稜を辿っていく。
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うねるような雪稜を辿っていく。
美しい雪庇の連なり。
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美しい雪庇の連なり。
福井県側が鋭く切れ落ちており,一部氷化していてスノーシューが滑る箇所もあったため,アイゼンに切り替えたが,今度は膝まで潜ってしまいなかなか進めない。慌ててスノーシューに戻し,慎重に進んでいく。
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福井県側が鋭く切れ落ちており,一部氷化していてスノーシューが滑る箇所もあったため,アイゼンに切り替えたが,今度は膝まで潜ってしまいなかなか進めない。慌ててスノーシューに戻し,慎重に進んでいく。
雪稜上に巨大なポコがあり,石徹白側を巻いて進んだ。
雪稜上に巨大なポコがあり,石徹白側を巻いて進んだ。
野伏ヶ岳までもうすぐ。
野伏ヶ岳までもうすぐ。
振り返って。
野伏ヶ岳に到着。野伏ヶ岳は今日も大盛況だ。
向こうに見えるのは経ヶ岳と赤兎山。
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野伏ヶ岳に到着。野伏ヶ岳は今日も大盛況だ。
向こうに見えるのは経ヶ岳と赤兎山。
薙刀山から願教寺山まで連なる山々と,その奥の三ノ峰,別山,御前峰,大汝峰の眺め。先週,願教寺山から縦走した際にガスで見ることができなかった眺めを見ることができて満足。
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薙刀山から願教寺山まで連なる山々と,その奥の三ノ峰,別山,御前峰,大汝峰の眺め。先週,願教寺山から縦走した際にガスで見ることができなかった眺めを見ることができて満足。
これから辿る小白山から枇杷倉山までの美しい稜線。
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これから辿る小白山から枇杷倉山までの美しい稜線。
大日ヶ岳の向こうには御嶽の姿も。
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大日ヶ岳の向こうには御嶽の姿も。
野伏ヶ岳からの眺望を楽しんだのち,小白山に向けて歩いてきた稜線を引き返す。
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野伏ヶ岳からの眺望を楽しんだのち,小白山に向けて歩いてきた稜線を引き返す。
稜線に乗り上げた地点まで戻り,行く手を眺める。
稜線に乗り上げた地点まで戻り,行く手を眺める。
野伏ヶ岳を振り返りながら,穏やかな稜線を行く。
野伏ヶ岳を振り返りながら,穏やかな稜線を行く。
巨大雪庇が重たそうに垂れ下がっていた。
巨大雪庇が重たそうに垂れ下がっていた。
小白山の北峰へは,まずは橋立峠へ大きく下り,再び大きく登り返さなければならない。
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小白山の北峰へは,まずは橋立峠へ大きく下り,再び大きく登り返さなければならない。
稜線通しだと急な箇所もあるため,左手の斜面を絡むように橋立峠へと下降する。
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稜線通しだと急な箇所もあるため,左手の斜面を絡むように橋立峠へと下降する。
橋立峠に到着。あんパンを頬張りながらこれから登り返す稜線を見上げる。
(橋立峠は,昔は美濃と越前を結ぶ道として,人が行き来したらしい。今は深い雪に埋もれており,往時を偲ぶべくもないが…)
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橋立峠に到着。あんパンを頬張りながらこれから登り返す稜線を見上げる。
(橋立峠は,昔は美濃と越前を結ぶ道として,人が行き来したらしい。今は深い雪に埋もれており,往時を偲ぶべくもないが…)
橋立峠から小白山へと登り返していく。相変わらず福井側が急峻に切れ落ちており,スノーシューの蹴り込みを確かめながら慎重に登っていく。
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橋立峠から小白山へと登り返していく。相変わらず福井側が急峻に切れ落ちており,スノーシューの蹴り込みを確かめながら慎重に登っていく。
烈風に荒々しく造形された雪庇。
烈風に荒々しく造形された雪庇。
波のような雪庇の稜線が延々と続く。
波のような雪庇の稜線が延々と続く。
(ちょっと雪庇に寄りすぎのように見えるかもしれませんが,この箇所は向こう側の斜面が緩いので大丈夫です。)
(ちょっと雪庇に寄りすぎのように見えるかもしれませんが,この箇所は向こう側の斜面が緩いので大丈夫です。)
小白山の北峰が近づく。
小白山の北峰が近づく。
野伏ヶ岳ももうあんなに遠く見える。
野伏ヶ岳ももうあんなに遠く見える。
小白山の北峰に到着。南北に広い雪原のような山頂だ。向こうに見えるのは小白山の南峰。
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小白山の北峰に到着。南北に広い雪原のような山頂だ。向こうに見えるのは小白山の南峰。
小憩ののち,小白山の南峰に向かう。
小憩ののち,小白山の南峰に向かう。
枇杷倉山と松鞍山の姿もかなり近づいてきた。やはり小ぶりながらよく目立つ山容だ。
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枇杷倉山と松鞍山の姿もかなり近づいてきた。やはり小ぶりながらよく目立つ山容だ。
打波川側(福井側)は相変わらず急峻。滑落したら無事では済まないだろう。
打波川側(福井側)は相変わらず急峻。滑落したら無事では済まないだろう。
大きな雪庇。
小白山の南峰への最後の登り。
小白山の南峰への最後の登り。
深く刻まれたシュカブラを越えていく。
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深く刻まれたシュカブラを越えていく。
小白山の南峰(三角点のあるほう。こちらが本峰とされる)に到着。5年ほど前に福井県側から直登尾根で登ったことがあるので,何となく懐かしい山頂。
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小白山の南峰(三角点のあるほう。こちらが本峰とされる)に到着。5年ほど前に福井県側から直登尾根で登ったことがあるので,何となく懐かしい山頂。
山頂から南東方向の尾根。この尾根を使って石徹白ダムから周回してみてもおもしろそうだ。
山頂から南東方向の尾根。この尾根を使って石徹白ダムから周回してみてもおもしろそうだ。
そしてこれから進む枇杷倉山方向の尾根は…。見るからに険悪そうなナイフリッジが続いている。前来たときにこのナイフリッジを渡っているはずなのだが,なぜかあまり記憶がない(その時はガスっていたので,あまり恐怖を感じずに済んだのだろう。知らぬが仏とはこのこと…)。
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そしてこれから進む枇杷倉山方向の尾根は…。見るからに険悪そうなナイフリッジが続いている。前来たときにこのナイフリッジを渡っているはずなのだが,なぜかあまり記憶がない(その時はガスっていたので,あまり恐怖を感じずに済んだのだろう。知らぬが仏とはこのこと…)。
地図を眺めながら少し悩んだ末,ナイフリッジを敬遠して石徹白川側の斜面を巻くことに。この斜面も巻き始めがそれなりに急峻なので,少し緊張した。
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地図を眺めながら少し悩んだ末,ナイフリッジを敬遠して石徹白川側の斜面を巻くことに。この斜面も巻き始めがそれなりに急峻なので,少し緊張した。
こういう大きな斜面は雪崩の危険があるのでできればトラバースしたくなかったのだが…。雪の安定を気にしつつ慎重に行く。
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こういう大きな斜面は雪崩の危険があるのでできればトラバースしたくなかったのだが…。雪の安定を気にしつつ慎重に行く。
このまま巻いていけば,うまいこと稜線に復帰できそうだ。
このまま巻いていけば,うまいこと稜線に復帰できそうだ。
無事,稜線に復帰。
無事,稜線に復帰。
とはいうものの,枇杷倉山直下の尾根が痩せているように見える。まだ緊張が解けない。
とはいうものの,枇杷倉山直下の尾根が痩せているように見える。まだ緊張が解けない。
枇杷倉山が近づく。やはり尾根が痩せているうえに急峻だ。うまく越えられるだろうか。
枇杷倉山が近づく。やはり尾根が痩せているうえに急峻だ。うまく越えられるだろうか。
痩せ尾根を行く。右手は灌木が生えていて一見怖くないように見えるが,そのすぐ下で斜面が切れ落ちており,滑ったら灌木をつかむ間もなく谷底に転落してしまいそうだ。
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痩せ尾根を行く。右手は灌木が生えていて一見怖くないように見えるが,そのすぐ下で斜面が切れ落ちており,滑ったら灌木をつかむ間もなく谷底に転落してしまいそうだ。
最後は左手の斜面も絡みながら,急傾斜をスノーシューを蹴り込んで一歩一歩登っていった。
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最後は左手の斜面も絡みながら,急傾斜をスノーシューを蹴り込んで一歩一歩登っていった。
枇杷倉山の南峰(P1518m。こちらが本峰とされることが多い)に到着。念願の山頂にようやく立つことができた。
右に小白山,真ん中が野伏ヶ岳,左手に白山の眺め。
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枇杷倉山の南峰(P1518m。こちらが本峰とされることが多い)に到着。念願の山頂にようやく立つことができた。
右に小白山,真ん中が野伏ヶ岳,左手に白山の眺め。
小白山から越えてきた稜線の眺め。痩せ尾根や急斜面が続き,想定以上に長く感じる稜線だった。
小白山から越えてきた稜線の眺め。痩せ尾根や急斜面が続き,想定以上に長く感じる稜線だった。
テルモスの温かいお茶とおにぎりで遅い昼食を摂りながら眺めを楽しんだのち,今度は枇杷倉山の北峰へ。地図上では同一等高線だが,北峰のほうが少しだけ高く見える気がする。
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テルモスの温かいお茶とおにぎりで遅い昼食を摂りながら眺めを楽しんだのち,今度は枇杷倉山の北峰へ。地図上では同一等高線だが,北峰のほうが少しだけ高く見える気がする。
枇杷倉山の南峰と北峰の間は,一部尾根が細い箇所もあるが,問題なく通過できる。
枇杷倉山の南峰と北峰の間は,一部尾根が細い箇所もあるが,問題なく通過できる。
枇杷倉山北峰に到着。南峰よりも少し広い山頂。
枇杷倉山北峰に到着。南峰よりも少し広い山頂。
南峰には特にプレートの類は見当たらなかったが,北峰には文字の消えたプレートが括り付けてあった。
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南峰には特にプレートの類は見当たらなかったが,北峰には文字の消えたプレートが括り付けてあった。
さて,松鞍山へと歩を進める。この先,地図上では枇杷倉山北峰から松鞍山の鞍部まで100m近く急峻に切れ落ちており,最大の核心部になるはずだ。
さて,松鞍山へと歩を進める。この先,地図上では枇杷倉山北峰から松鞍山の鞍部まで100m近く急峻に切れ落ちており,最大の核心部になるはずだ。
核心部の急峻な下りが始まった。ロープを出すか迷ったが,雪が柔らかいためバックステップで下れると判断。スノーシューをアイゼンに履き替え,ピッケルを深く差し込み,アイゼンを蹴り込みながら下降していく。
核心部の急峻な下りが始まった。ロープを出すか迷ったが,雪が柔らかいためバックステップで下れると判断。スノーシューをアイゼンに履き替え,ピッケルを深く差し込み,アイゼンを蹴り込みながら下降していく。
途中,岩が露出していて雪付きの悪い箇所に阻まれたため,左手の雪が豊富なルンゼ状の部分に移ってさらに下降。
途中,岩が露出していて雪付きの悪い箇所に阻まれたため,左手の雪が豊富なルンゼ状の部分に移ってさらに下降。
下部へ行くほどどんどん急峻になり,部分的には垂直に近く感じられる箇所も出てきた。灌木にぶらさがり,アイゼンを強く蹴り込みながら慎重に下っていく。手掛かりになる灌木がなかったら,懸垂下降が必要になっただろう。
下部へ行くほどどんどん急峻になり,部分的には垂直に近く感じられる箇所も出てきた。灌木にぶらさがり,アイゼンを強く蹴り込みながら慎重に下っていく。手掛かりになる灌木がなかったら,懸垂下降が必要になっただろう。
何とかロープを出すことなく下り切ることができた。降りてきた急斜面を振り返って撮影。黒い部分は岩が露出している箇所。
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何とかロープを出すことなく下り切ることができた。降りてきた急斜面を振り返って撮影。黒い部分は岩が露出している箇所。
核心部を過ぎた後も,崩れやすそうな雪庇に縁どられた痩せ尾根が続いており,意外に気が抜けない。
核心部を過ぎた後も,崩れやすそうな雪庇に縁どられた痩せ尾根が続いており,意外に気が抜けない。
地味な痩せ尾根(地味に気を使う)からの地味な急斜面(地味に疲れる)を登り切り,樹林に囲まれた松鞍山の静かで落ち着いた山頂に到着。ここにも,特に山名板らしきものは見当たらなかった。
地味な痩せ尾根(地味に気を使う)からの地味な急斜面(地味に疲れる)を登り切り,樹林に囲まれた松鞍山の静かで落ち着いた山頂に到着。ここにも,特に山名板らしきものは見当たらなかった。
枇杷倉山の北峰を振り返る。離れてみると余計に鋭角的で険しい山容がよくわかる。
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枇杷倉山の北峰を振り返る。離れてみると余計に鋭角的で険しい山容がよくわかる。
さて,松鞍山から中洞集落へと下山に取り掛かる。松鞍山からもしばらくは痩せ尾根が続くうえ,尾根の接続が分かりにくいところもあるので,視界不良時は注意が必要そうだ
さて,松鞍山から中洞集落へと下山に取り掛かる。松鞍山からもしばらくは痩せ尾根が続くうえ,尾根の接続が分かりにくいところもあるので,視界不良時は注意が必要そうだ
少し下ると穏やかな尾根となり,遠く白山を眺めながら快調に飛ばしていく。自転車をデポした中洞集落口に戻ったころには,辺りは夕闇に包まれ始めていた。
少し下ると穏やかな尾根となり,遠く白山を眺めながら快調に飛ばしていく。自転車をデポした中洞集落口に戻ったころには,辺りは夕闇に包まれ始めていた。

装備

備考 ・スノーシュー使用。まだ雪が締まっておらず,新雪も稜線上で30cmほどあったため,スノーシューにして正解でした。
・痩せ尾根や急峻な斜面が出てくるため,アイゼン・ピッケルは必携。
・枇杷倉山北峰からの下降に備えて,40mロープと懸垂下降用のギアを携行しましたが,今回は使わずに済みました。ただ,雪の状態によっては懸垂下降したほうが安全かもしれないので,念のため携行したほうがいいと思います。

感想

 枇杷倉山は小白山の西隣にあるピークで,地形図に山名の記載がなく,地味な山だ。しかし,周囲から眺めると,山頂部がぷくっと膨れたような特異な形をしており,握りこぶしを天に掲げたような,何とも頑固そうな山容で,興味をそそる山である。しかも,周囲は雪庇の発達した痩せ尾根で固められており,北峰は状況によっては懸垂下降まで必要な急斜面を擁すると聞いていた。いつか登りたいと思っていたこの山に,野伏ヶ岳から松鞍山まで周回する形で訪問することにした。
 石徹白の山は,どちらかというと丸く穏やかな印象なのだが,野伏ヶ岳から南の稜線は雰囲気ががらっと変わり,痩せ尾根や雪庇が断続的に現れ,ちょっぴり緊張感のある縦走ができて面白かった。この穏やかさと険しさの対比は稜線の南北だけでなく東西にも顕著で,なだらかな石徹白側(岐阜側)に対して打波川側(福井側)はどこまでも急峻で,野伏ヶ岳へのアプローチに使った尾根や,下山に使った松鞍山のある尾根も,痩せ尾根や壁のような急斜面がちりばめられ,変化があって楽しいルートであった。この山域は,同じ稜線でもどちら側から登るかによって趣の違った登山を楽しむことができ,面白い山域だなと思う。
 念願の枇杷倉山は,見た目どおり登りも下りも頑固な山だったが,人の気配のない静かな山頂からは,遮るもののない素晴らしい眺望を見せてくれた。お気に入りの山がまた一つ増えた。
 

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