白砂山・佐武留山激藪縦走《日本二百名山》
- GPS
- 5495:52
- 距離
- 52.9km
- 登り
- 3,565m
- 下り
- 4,727m
コースタイム
- 山行
- 6:28
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 7:43
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 10:50
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2004年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:小赤沢BSから南越後観光バスで津南徒歩2劼JR飯山線津南駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
白砂山〜佐武留山は最強の藪、5.5劼7時間半を要した |
その他周辺情報 | 小赤沢温泉\500 |
写真
感想
1日目(10/16) 東館山ST〜野反湖キャンプ場 晴れ
夜行バスは名神高速道路工事による影響で発車が25分遅れたが途中挽回し湯田中温泉には定時に到着した。長電バスと共同運行なので志賀高原線の路線バスは乗継割引で半額になるという特典が付いてる。野反湖までの長丁場を考えると主義に反するが止む無く発哺温泉からゴンドラリフトに乗り東館山駅まで上がった。前々日に降った雪が残り早くも冬景色の中、8:35歩行開始し寺子屋峰スキー場のゲレンデを登った。スキー場の上部で登山道に入り暫く行くと寺子屋峰(2,125m)に達した。木の間越しの展望しかないが3等三角点「寺小屋」が設置されている。更に10数分歩くと金山沢ノ頭(約2,130m)に達した。この辺りは山名が混乱し、国土地理院の2.5万図にはここを寺子屋峰としている。一部の指導標も国土地理院に沿ったのがあったが、昭文社登山地図の表示を正しいものとした。
ここで岩菅山へのルートを東に分けるので大半の登山者が東に行く。主稜線に沿って南下し赤石山を目指すと展望が開け高原の縦走が楽しめる。歩き出して約2時間で赤石山(2,109m)に到着した。寺子屋峰と近いのにここにも3等三角点「赤石山」が設置されている。2mほど高い位置に岩場があり360°の展望が楽しめる。空気が澄んで妙高・黒姫が間近に望め、その後には白くなった北アルプスがくっきりと迫っていた。一際白いのは立山のようだ。槍の穂だけは黒く尖がっていた。
志賀山方面への一般登山道から分れ東に長く延びる上信国境尾根分岐点には、「野反湖まで10時間、本格的登山道」と安易な立入を戒める看板が立てられ気が引き締まる。縦走路は笹が茂りこの先どうなることかと案じながら踏み込むと10mほど先からは刈払いも整い歩きやすい道となった。さては間違って入り込むのを防止するための措置ではないかと解釈した。1.8卍の歩行で湯ノ沢ノ頭(約2,020m)の表示を見るが、山頂は少し薮を漕ぐ。この縦走路は指導標がしっかりしており距離、標高、所要時間入りで、これほど親切なものは他に見たことがない。指導標1時間10分のところ36分でダン沢ノ頭(2,040m)に到達。3等三角点「断沢」があり展望は良好、浅間山、草津白根山、岩菅山、榛名山などが見渡せた。
展望のないオッタテ峰(1,940m)を越えると同じ名前の峠で南に鷹ノ巣尾根のルートを分ける。草津温泉の東北にある花敷温泉へ下る長いルートだ。東尾根を更に進み小高山(1,937m)を越えると笹原となり鞍部で五三郎小屋への分岐に達する。小屋は北西に150mの処にあり水場も備わる。此処から200m余り登り返すと大高山(2,079m)、上信国境尾根の最高点だ。13:37登頂、3等三角点「大高山」があり南面の展望がよい。300mの下降で一面の笹原、カモシカ平となり夏はニッコウキスゲが咲き揃うそうだ。草原を過ぎ100mも高度を稼ぐと分岐点に達する。北に行くと三壁山、南に行くと高沢山からエビ山いずれもその後、野反湖に繋がる。山数の多さから南ルートを選び5分も行くと高沢山(1,906m)に達した。展望がないので素通りすると、やがて草原の尾根となり見晴らしがよく快適に進んだ。エビ山(1,744m)は360°の展望で、野反湖、明日登る白砂山が目前に見え、岩菅山、志賀高原の山々、浅間山、富士山、榛名、赤城など遠望も利いた。野反湖ロッジに泊まるという男性3人組、上信国境尾根に入って初めて出会った人だった。
山頂から弁天山方面への分岐を見送り一路野反湖を目指して下る。下りた所は第2キャンプ場と呼ばれる地点で野反湖の最北端に第1キャンプ場がある。白砂山登山口に近いので第1に泊まろうと思い野反湖ロッジに申し込みに行くと何とテントサイトは第2のみで第1はバンガローだけだと言う。10分も来た道を戻ることになり荷物を下ろしたのは16:18になってしまった。暗くならないうちにと幕営し、夕食の準備に取り掛かる。夕食は何の芸もないアルファ米をお湯で戻しレトルトカレーをかけ、チキンラーメンを作り、お茶を飲んでお仕舞い。朝は丼とコーンスープ、コーヒーが定番化してしまった。風が出てきて恐ろしく寒い。野反湖は秋山郷中津川の最上流部を堰き止めたダム湖で風の通り道のようだ。土砂の流入も殆どなくニジマスの魚場のようで釣り客や家族連れで結構幕営している人も多い。名水「三壁山の水」が湧いており美味しい。
2日目(10/17): 野反湖キャンプ場〜佐武流山 晴れ
強風で手も悴みテント撤収に手間取った。5:30には出発しようと思っていたが、20分遅れてしまった。野反湖ダムサイトを渡ると湖西側の弁天山(1,653m)に朝日を浴びた雲が浮かび、幻想的な趣きを醸し、しっかりカメラに収めた。白砂山登山口には既に数台の車が並び出発直前の人達の姿もあった。結構登山者がいるようだ。登山道に入りすぐに男性2人と10数人の中高年パーティーを追い越した。登山道はすぐ下り坂となりハンノキ沢を丸太橋で渡りやっと登りとなる。地蔵峠で魚野川渓谷沿いを切明温泉へ抜ける東電歩道を分けた。野反湖を発した水は千沢〜魚野川〜中津川と名を変え新潟県に入り津南で信濃川に注ぐ。
展望のない地蔵山(1,802m)で休憩していたおばさんパーティー8人組を追い越し、どんどん登ると堂岩山(2,051m)に達する。どちらの山も山頂標識がなく一寸寂しい。堂岩山を過ぎるとパッと展望が開け眼前に白砂山の雄姿が飛び込んできた。地図には書かれていなかったが、中尾根ノ頭から八間山、野反湖に達する登山道の分岐がある。かなり明瞭な道のようだ。野反湖を基点にピストンするならこのルートを使い周遊するのがいいだろう。見晴らしの良い尾根歩きで2,042mのピークを越え最後の斜面を詰めると白砂山(2,140m)に達した。別に急いだわけではないが先に歩いていた人をすべて追い越したのでこの日の一番乗りだった。3等三角点「西川浦」があり360°の展望、然も空気が澄んで遠望もバッチリ利く。ここまで来ると谷川や越後の山々、そしてこれから目指す佐武流山も望める。パンを食べたり写真を撮ったり寛いでいると、追い越した人たちがボツボツ登ってきて賑やかになってきた。
白砂山から先に道はない。「遭難の恐れがあるから立ち入るな」の看板すら建っている。佐武流山までの5.5劼離襦璽箸世果たしてどれだけ時間がかかることか。成程踏み跡も有りや無しやの尾根だ。山頂から300m程先が長野・群馬・新潟の3県境となっており、真直ぐ行けば稲包山に達するがこちらも勿論道はない。この3県境でルートを北に転じ、信越国境稜線をなだらかに下った。足で掻き分ける程度の笹原だ。登山地図には細点線道として描かれているが、実態は踏み跡を所々に見つけるだけで道は皆無と思ったほうが良い。晴れていて次の目標が目で確認できるから良いが、ガスが出ていたら本当に遭難しかねない。
尾根は西に廻り込み北へ真直ぐ下る。笹薮に視界を遮られ少し手前を下り出したらしく見通すと先に尾根が続いていない! 薮は強烈に濃くなり、元に戻るのも不可能で右へ右へとトラバースしリカバリーを目指した。直径1儖幣紊棒長した笹はもはや“竹”と言ったほうが良さそうだ。“竹コギ”で急斜面を登りなんとか尾根に復すことができた。薮も少しマシになり白砂山から220m余り下降したあと登りに転じ沖ノ西沢ノ頭(2,036m)に達した。ルート取りは忠実に稜線の高い所を取り小さなピークも丁寧に通過した。3等三角点「赤石沢」があるはずだが藪が濃く標石は確認できなかった。勿論山頂標識も無い。しかしルートの所々に赤テープの代わりかプラスティックの小片が木に打ち付けてあるがそれ程助けにはならなかった。
山頂5分の休憩で次の赤土居山(2,095m)を目指した。比較的順調に進み鞍部に達した頃思わぬ落とし穴!ササの下に潜んだ沼に足を踏み入れてしまい、膝まで泥まみれ! 踏んだり蹴ったりだ。それでも沖ノ西沢ノ頭から1劼領農を1時間で歩き赤土居山に到着した。此処まで比較的順調だったので、あと1.9卅瓩韻譴2時間で佐武流に着けるかなと目算し歩行再開した。西に廻り込む形で下るのだが、またルートを誤ったようで北寄りに下ってしまいリカバリーのトラバースに余計な体力を消耗した。笹藪の急登では自分の中心で左右に笹を分けその笹を掴みんで体を持ち上げる。横にトラバースする場合は倒れている方向に踏みつけ、斜面上側は持ち上げて通る。踏み損なうと容赦なく脛や膝を打つ、時には足が挟まり身動きが取れなくなることも再々だ。途中見晴らしの良い岩場で30分昼食休憩を取り2,107mの標高点に到着したのは14:01になってしまっていた。
あと1.1辧⇔ちはだかる佐武流は容易に人を寄せ付けない厳しさで笹薮は益々酷く遅々として進まず悪戦苦闘の末、漸く佐武流山(2,192m)山頂に達した。P2107からの僅か1.1劼2時間39分を要し暗くなる寸前の16:40になってしまった。しかし明るいうちに到着で来て何よりだった。当然山頂には誰も居ず、刈り払われた山頂にはテント2張り分位の広さがあり早速幕営にかかった。幸い昨日のように風はないが気温の低下はその予兆を見せており早々とテントの中の人となった。
白砂山から7時間30分、100m進むのに8分掛かり、此れほど長時間の薮漕ぎは初体験、長袖・手袋で完全装備だったが脛から膝は痣だらけ、袖と手袋の間は傷だらけ、ズボンは解れ、沼と雪で靴はズクズク、夕食が終わると疲れ果て19時には寝に就いた。
3日目(10/18): 佐武流山〜小赤沢BS 晴れ
4時に起きようと思っていたのに30分寝坊してしまった。テントの外に出ると満天の星、久し振りに降るような星を見た。寒い! そして昨日フライシートの下に新聞紙を入れて干しておいた靴が固い。何と凍っているではないか! フリースを着て、ホカロンを抱えて寝たのでそれほど寒さは感じなかったが標高2,192mはやはり冬の気温だった。急いで朝食を摂りテントを撤収している頃、遠く足尾の袈裟丸山に朝日が昇り、苗場山が焼けて真っ赤。山でのご来光はやはり素晴らしい。見とれている間にまた時間が経ってしまい出発できたのは6:02になっていた。
道があるとは何とありがたい事だろう。切明温泉から地元前進倶楽部の人達によって切り開かれたのは平成13年、そして赤倉山までの縦走路が開通したのは平成15年、猛烈な笹薮を切り開かれたご苦労に唯々感謝の思いだ。泥濘みの悪路を下り西赤沢源頭で切明温泉へのルートと分れ北東に信越国境稜線を行く。1,800m位の鞍部に達すると左に「水場15m」の表示がある。野反湖で4.5ℓ確保した三壁の名水がまだ十分残り通過した。見晴らしの良い稜線歩きでナラズ山(2,052m)に達した。古い地図の旧道(細点線道)は山頂西側を巻いていたが、しっかり山頂経由のルートとなっており嬉しい。展望は素晴らしく平標・谷川が益々近づいてきた。さらに稜線を行くと赤倉山(1,938m)に達する。樹林帯の小広い場所に山頂標識があり更に曲がったところに3等三角点「二居」があった。しかし苗場方面への分岐がない。先へ50mほど行くと漸く分岐があった。2年前に赤湯温泉からのルートで赤倉山を通り苗場山へ行った時、この分岐点を山頂と思い込み山頂標識がないなあと残念がっていたが、厳密には山頂に達していなかったのだった。
赤倉山からは1,787mの鞍部まで下り、泥濘んだ道を登ると苗場のなだらかな稜線に達した。東側の開けた笹原を進むと龍ノ峰(2,037m)だが山頂ははっきりしない。高層湿原帯となり登山道は益々歩き辛くなる。貴重な湿原なので回りに踏み込まないように注意しながら歩を進めると小赤沢からのルートが合流するP2060からはしっかりした木道が整備され山頂域の散策が楽しめる。ここで白砂山以来24時間ぶりに人に出合った。
泥濘んだ山頂に10:35に到着。1等三角点「苗場山」(2,145m)があるが山頂部は樹林帯で展望無し。山頂東側の展望箇所で昼食にした。流石は日本百名山で月曜日だと言うのに結構人がいる。大半の人は三合目の標高1,300mから登れる小赤沢コースを取っており、激藪を制した私にとって安易過ぎる登山に若干の寂しさ覚えた。谷川岳、越後・上州の山々、浅間、横手そして3日間ずっと回り込むように見てきた岩菅山の姿を瞼に焼き付けいよいよ下山にかかった。ずっと天気に恵まれたが晴れ続きで今日は若干霞がかってきたようだ。秋山郷への下山路は4本あり、メインルートが先程の小赤沢コース、途中から南に分岐し栃川高原コース、山頂三角点から北西尾根を下る大赤沢新道、それに北東側を回りこむ縦走の小松原コースがある。前回は小松原コースを取ったので今回は途中に2峰ある大赤沢コースを取ることにした。
北斜面は雪がしっかり残り5僂らい積もっていた。急斜面で雪がなくても危険そうなトラバース道もあり、アイゼンを着けようかと迷いながらも結局付けなかった。天狗の庭と呼ばれる7合目で振り返ると苗場山の雄姿がドンとしている。少し行くと猿面峰(さるつらみね1,832m)のピークに達し小松原コースの山々が北に壁を作っている。ずっと下って林道に達し大赤沢BSへの下山路は再び林道を分れ右に下るが、温泉に入りたくて林道を真直ぐ進んだ。14:30小赤沢BSに到着、ここから15分の小赤沢温泉楽養館でゆっくり時間を過ごした。入浴料500円、鉄分を多く含んだ赤茶色の温泉だった。入浴後に食べた“きのこそば”はきのこが山ほど入り美味しかった。
南越後観光のバスに乗り込み津南へ向かった。津南役場前で降り飯山線に乗るが駅は信濃川を挟んだ街外れにあり約2劼鯤發しかなく20分かかって辿り着いた。列車はすぐにあり長野へ出て22:30発の夜行バスで帰京の途に着いた。
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