【過去レコ】薬師岳 山頂から百名山18座 飛越トンネル→寺地山→北ノ俣岳→薬師岳→折立
- GPS
- 32:00
- 距離
- 26.7km
- 登り
- 2,112m
- 下り
- 2,206m
コースタイム
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 8:20
天候 | 2日間とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
寺地山の登山口である飛越トンネルへはR41・R471経由で高岡市から約3時間 薬師岳の登山口である折立へは有峰林道小口川線利用で高岡市まで約3時間(有峰林道小見線が現在通行止めであり,時間のかかる小口川線しか利用できない) |
その他周辺情報 | 太郎平小屋に宿泊 http://ltaro.com/ 下山後の温泉は亀谷温泉 白樺ハイツ http://www.shirakaba-toyama.com/ |
写真
感想
薬師岳は標高2926m.北ア北部と南部を結ぶ位置にあり,その大きくのびやかな体躯には存在感がある(天気が良い日は高岡からも遠望できる).薬師岳の名が示すように,かつては信仰の山.危険箇所は少なく,アルプス入門にも向いている.
【1日目(7月24日)】とうとうこの日がやってきた.会社の山登り同好会で行く薬師岳1泊山行.昨年の3月に左膝の手術をして以来,初めての1泊登山である.この日のために6月に金剛堂山,7月に野谷荘司山で足慣らしはしてあるが,左膝に全く不安がないわけではない(実際,まだ大きくはなっていないが,ガングリオンの腫瘤を触れる).
会社の駐車場集合は4時15分.3時半過ぎに起床し,洗顔・日焼け止めを塗って4時に出発.こどもを起こさぬよう細心の注意を払う(連日の猛暑続きで,2階では寝られないためエアコンのある1階で寝ている).4年前の燕岳・大天井岳のときは自分で運転して行ったし,2年前の唐松岳・五竜岳の際は妻に送ってもらったが,長男がいる今回はそうはいかない.やむなく,ザックを背負い,登山靴を前カゴに入れて自転車で会社へと向かう.高岡組は6人.全員4時15分頃に揃い,さっそく富山の越州村へと向かう(今回もいつもと同じとなみ観光さんのマイクロバス).
越州村で11人となり,今回の登山コースを「寺地山→北ノ俣岳→太郎平小屋→薬師岳→折立」とすることが異論なく了承される.というのも,当初の計画では,折立からの往復登山であったが,Nさんからこの縦走コースが提案されたのが,決行3〜4日前.自分は会社の廊下でたまたまSさんと会った際に聞いていたから心積もりはできていたが,往復にするのか縦走にするのかは当日の朝,バスの車内で決めることになっていたのだ.寺地山・北ノ俣岳経由となると1日目のコースタイムがぐっと増える(最初のプランでは折立から太郎平小屋へ上がり,そこから希望者のみが北ノ俣岳を往復することになっていた).左膝が心配ではあるが,マイカーでは絶対に無理なコースであるし,北ノ俣岳の頂上に立てることもあり,これはこれで,楽しみなルートだ.
バスは神岡の道の駅にトイレ休憩で立ち寄り,その後,登山口である飛越トンネルへ(4年前に寺地山を往復した際にはこの道の駅で車泊し,翌朝に飛越トンネルへと向かった).トンネル手前の駐車場には10台ほどの車がとまっている.登山口にある簡易トイレで用を済ませてからいよいよスタート.寺地山までは以前に登っているので少し安心だ.前回はぬかるみがひどく,靴が泥だらけになったが,今回はさほどひどくない.これはここ数日の猛暑続きのおかげであろう.
寺地山までのルートでの花は,ニッコウキスゲ,ゴゼンタチバナ,イワイチョウ,ワタスゲなど.コースタイムより30分ほど早く寺地山の頂上へ.前回この頂上からの展望に感激した記憶が蘇る.正面にこれから登る北ノ俣岳が大きい.その山腹に抱かれるように登山道が伸びているのが確認できる.その左手には明日挑む薬師岳と剱岳の頭.右側には黒部五郎岳・笠ヶ岳・乗鞍岳と続く.
前夜に自分で握った大きなおにぎりとゆで卵で1回目の昼食とする.Nさんからはキュウリの浅漬けをいただく.刻んだミョウガも入っていて美味!Nさんの漬物はもはや登山部山行の楽しみの一つになっている.
寺地山から先は未知の領域となる.まずは一旦数十メートル下る.その先で木段が現れ,北ノ俣岳避難小屋への分岐点.ここを右へ100メートルほど行くと,避難小屋と水場があるとのことだが,小屋の姿が見えないし,水もまだ十分あるので,避難小屋には寄らずにスルー.木がなくなって太陽にまともに照らされるし,急な木段がしばらく続き,足にも堪える.
木段がなくなると池溏がいくつか点在するようになる.振り向くと寺地山と有峰湖が見えるが,この程度の景色では元気が出ない.ラジオを付けて気を紛らわせる(高原兄の5時間耐久ラジオがやっていた).10分程度の小休止を何度か取るが,遅々として足が前へ出なくなる.水の消費量も自ずと増える(今回はアミノバイタル500mLを4本持参).「こんなにしんどい登山はいつ以来だろう」と自問する.2年前の槍ヶ岳・奈良岳あたりだろう.しかし,手術を経て,またこうしてつらいと感じるほどの登山ができる心地良さもあり,気分的にはそんなにめげてはいない.北ノ俣岳日帰り往復と思われる健脚の人3〜4人とこの斜面ですれ違う.
やっとの思いで,ハイマツ帯の登りを終え,太郎平衛平からの縦走路に出ると,一気に展望が広がる.ここから同定できるのは,赤牛岳/水晶岳/鷲羽岳/大天井岳/三俣蓮華岳/双六岳/槍ヶ岳/大喰岳/中岳/南岳/黒部五郎岳/笠ヶ岳/乗鞍岳の山々,そして「地上の楽園:雲ノ平,高天原」(雲ノ平山荘の赤い屋根も確認できる).目指す薬師岳はガスの中だが,ハクサンイチゲ,チングルマ,イワカガミのお花畑もあり,まさに気分爽快!
ここにザックを置き,空荷で北ノ俣岳頂上を目指す.分岐点からわずかに5分余りで北ノ俣岳頂上.頂上は少し風が冷たく,ガスもかかってくる.ここでおにぎりとアミノバイタルプロで2回目の昼食を摂り,三角点で右足の記念写真を撮影し,分岐点へ戻る.この間に,槍の頭がだんだんと顔を出してくれる.
ここからは先頭で太郎平小屋を目指す.ゆっくりダラダラと下っていく感じ.木道とガラガラの岩道の繰り返しで,ガスによりもう展望はない(ルートが分からなくなるほどの濃いガスではない)が,比較的に花が多く,救いとなる.
太郎山に近づく頃,サンダル履きで散歩をするおじさんに会い,小屋が近いことを教えてもらう.太郎山山頂へは主稜線をわずかに逸れる.ケルンと三角点があるだけの山頂で,名峰に囲まれたこの地域では地味な存在の山だ.
16時丁度に太郎平小屋に到着.小屋前のベンチで多くの人が休んでいる.小屋の横にパイプを通した水が流れており,この冷たい水で頭と顔を洗うと,実に気持ちがよい.疲れが半分ほど取れたような気さえする.この小屋は水が豊富で,無料でわけてもらうことが可能.
有峰林道小見線の通行止めと,薬師岳山荘の改築休業の影響か7月の最終土曜日だというのに,小屋は比較的空いていて,布団はひとりに1枚もらうことができ,ゆっくり休むことができる.荷物を片付けてから少し酒盛りをし(自分は300円で買ったペプシ),17時45分から食堂で夕食(数種のおかずにごはんと味噌汁のメニュー).夕食後,小屋前のベンチで再び宴会となるが,半分ほどのメンバーは既に寝てしまったし,次第にガスが濃くなって寒さを感じるようになってきたので,19時頃には宴会終了.太郎兵衛平は携帯が通じないので,小屋の公衆電話から妻に一報を入れる(100円入れたのに話の途中ですぐに切れてしまった).19時30分には布団に入る.何度か目が覚めたが,ひとり古今東西をやって眠りにつく(あのガスでは星は見えないと諦めていたのだが,実際には綺麗な星空が見られたらしい.外に出てみれば良かった!)
【2日目(7月25日)】2日目は4時に起床.外に出て顔を洗い,日焼け止めを塗って入念にストレッチをしておく.小屋のホワイトボードには「くもりか霧のち雨か雷雨」という心配な天気予報が書かれているが,空は次第に明るくなり,2日目も好天が期待できる.
5時から朝食を食べ,小屋前で記念写真を撮ってから6時15分にスタート.歩きはじめはのんびりとした木道を行き,少し下るとテント場がある薬師峠となる.右手に槍の頭が見えてきて早くもテンションが上がる.一眼レフを首から提げ,頻回に写真を撮りながら進むため,皆に離されては追いつくの繰り返しが頂上まで続くことになる.
小さな沢を渡り,大きな石がゴロゴロする道を登る.その先で雪渓の横断がある.高度が上がるにつれ,槍の穂先が大きくなり,他に見える山々の数も増え,全く飽きないし,疲れを感じることがない.薬師平周辺にはチングルマ,ハクサンイチゲ,ミヤマキンポウゲが多い.
やがて,現在改装中の薬師岳山荘に着く.8月からオープンとのことで内部の仕上げを行っている.ここから先はガラガラの道をつづら折りに登る.登りきると東南稜との分岐に出る(愛知大学生が遭難した場所).ここに立つ避難小屋は太郎兵衛平からも視認でき,一見,山頂のように見える.ここからしばらく稜線を行けば,薬師堂のある山頂だ.
山頂からはまさに息を飲むような展望が広がる.鍬崎山/大日岳/奥大日岳/毛勝山/剱岳/立山/鷲岳/鳶岳/越中沢岳/北薬師岳/白馬岳/唐松岳/五竜岳/鹿島槍ヶ岳/爺ヶ岳/針ノ木岳/蓮華岳/高妻山/烏帽子岳/浅間山/赤牛岳/水晶岳/野口五郎岳/鷲羽岳/祖父岳/富士山/甲斐駒ヶ岳/槍ヶ岳/大喰岳/中岳/南岳/北穂高岳/涸沢岳/奥穂高岳/西穂高岳/三俣蓮華岳/双六岳/笠ヶ岳/乗鞍岳/黒部五郎岳/御嶽山/白山⇒なんと百名山が18座も!!!槍ヶ岳の左にうっす〜ら富士山まで見えている.薬師岳の山頂は富山市.
「富山市」から富士山が見えるとは何とも不思議な気分だ.また,立山がいつもと見る方向が違うため,随分ととんがって格好いい.
Fさんがコンロで湯を沸かしてくれ,コーヒータイム.カントリーマームとバームクーヘンがたくさんあったので,自分はこれを皆に配る.十分に展望を楽しみ,記念写真を撮ったら,太郎兵衛平へと戻る.
今日の昼食は太郎平山荘のランチメニュー.ラーメン,カレー,うどんなど.行者にんにく入り特製ラーメン(800円)を注文する.弁当ではなく,小屋で温かいお昼を食べるのもなかなかよい.
いよいよ最後の下山.コースタイム3時間,標高差1000mの下りである.1871m三角点までは,木道や石畳の道をゆるやかに行く.途中,ザックを背負わず,スーパーの買い物袋ひとつだけをもったおばさんを追い越す.太郎平小屋から薬師岳への登りでも出会ったこのおばさん,一体どういうつもりでこんな荷物で薬師岳へ来たのだろう?水も500mL 1本しかないようだ.摩訶不思議!(同行者と思われる人は近くにいない)
三角点からは樹林帯に入る.薬師岳の山頂は肌寒いくらいだったが,標高が下がるに連れ,暑さが増してくる(下界は熱中症患者が続発する猛暑日).展望がなくなり,味気ないのでラジオをつけ,「たかじんのそこまで言って委員会」を聞きながら歩くことにする.かなり急な傾斜だが,心配していた左膝は全く問題ない.
14時半に折立へ到着.無事2日間の登山終了である.ここから小口川線を通って,亀谷温泉へ向かう.2年前に妻と紅葉の有峰を訪れたときには,あまりの長さに途中で運転にうんざりして車を停めて眠ったことを思い出す.
亀谷温泉で汗を流し,越州村経由で高岡へ戻る.予定通り19時頃会社着.妻の父母が来訪中のアパートへ自転車で戻るが,気分の高揚感もあり,足取りは軽い.今回はアミノバイタルを1日3袋ずつ計6袋服用した.翌日は多少の筋肉痛はあるものの,いたって元気に出勤できた.
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する