槍ヶ岳 北鎌尾根
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- GPS
- 12:18
- 距離
- 27.9km
- 登り
- 2,733m
- 下り
- 1,185m
コースタイム
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 7:44
- 山行
- 3:55
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 4:32
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
○上高地〜ババ平 高速コース。 ○ババ平〜水俣乗越 入る沢を間違え、本来入る手前の沢に進んでしまう。ルートが外れているのに気がつき、間違えたところまで引き返す。約30分のロス。水俣乗越までは急登で距離は短いものの体力を結構削られた感があった。振り返ると槍沢や横尾尾根が綺麗に見えた。 ○水俣乗越〜北鎌沢出合い 下降点の序盤からザラザラの急下りで脇にある木や枝など掴みながら慎重に降りていった。実際に来るまではそんなに大した下りではないだろうと思っていたので、度肝を抜かれた。標高2150くらいから傾斜が緩くなってきたので、これでテンポ良く進めると思ったら、今度は雪渓に道を阻まれる。幸いそれ程大きい雪渓ではなかったため、スパイク無しでも慎重に通過できた。以降は浮き石がそれなりにある多少歩きにくい涸沢を進む。道中でご丁寧にもケルンや赤テープがあったため、迷うことは殆どない。出合いの分岐は目立つケルンがあったが、北鎌沢が目立つので回りを観察していれば通り過ぎることはないと思う。 ○北鎌沢出合い〜北鎌のコル 直線距離にして約1km程度に対して高度差は約600m。約60%勾配とか前代未聞な急登。私がこれまで経験してきたバリエーションルートでもこんな急登経験はなかったと思う。序盤はよくある岩稜帯の斜面だったが、上にいくにつれて傾斜がどんどん強くなり、終盤は簡単なスラブ登攀をやらされているような感じになっていた。これまでのクライミングスキルを活かす事ができたので、クライミングをやっていて本当に良かったなーとすごく実感できた。北鎌のコルには誰もおらず、予定通りここでテント泊とした。まとわりつく虫が多かったのは情報通りだったが、風は弱く、雨は夜間に結構激しく降ったが、比較的快適に過ごすことができた。 ○北鎌のコル〜天狗の腰掛 出発してすぐにハイマツや草に阻まれる。昨夜の大雨によりハイマツや草を掻き分ける度と下半身がずぶ濡れになってしまったが、昨夜の降りっぷりでなんとなくこうなる予感はしていた。道は明瞭で迷うことはないと感じたが、急登な道が多いため、足の置き方に気を遣わないと滑り落ちてしまいそうな感覚があった。ある程度登ってくると視界が開けて、北鎌尾根の前半部が一望できた。天狗の腰掛に来るまで、テント一貼できそうなスペースが何箇所か点在していた。 ○天狗の腰掛〜独標 独標までは地味なパークを登り降りするが、登り降りの落差が地図上で見る時よりも大きく感じられたのとザレの急斜面も多かったため、注意して進まなければならなかった。独標は結構すぐに到達できると思っていたが、気を遣わなければならない箇所が多く、想像以上に時間を取られてしまった。 ○独標 独標下には、かの有名なFixロープが貼られていてロープ側がトラバース路入口。左からの直登ルートの選択肢もあったが、余計なリスクを背負いたくなかったので、トラバース路を選択。トラバース路で小チムニーまで行こうとしていたが、早めに上がってしまいたい思いがあったため、登れそうな所から登攀。登攀の中盤あたりでハーケンが打ってあった場所があったため、そこから上がろうとしたが、岩せり出して多少ハングしている岩だったせいか登攀していて内心ヒヤヒヤした。結局、行く予定ではなかった独標まで上がってしまったが、素晴らしい景観と槍ヶ岳までの北鎌尾根の展望を拝むことができた。 ○独標〜p13(2871m) ここのパートは小ピークを何箇所越えていく事が多く、地図上だと稜線を無難に通るだろうと思っていたが、小ピークの直登すると今度は自分の足で下る事ができなくなる問題が発生した。降りることができる箇所を探して降りる事ができたが、懸垂下降用の残置スリングやカラビナが残っていたので、懸垂下降で降りた方が安全だと感じた。無くてもクライムダウンするところを探せば見つかるため、使うかは状況によると思う。 ○P13〜北鎌平 P13以降も下降をどうするか問題は続いたものの、一部の残置ロープの手助けも活用して進めていった。ロープがあると降りが本当に捗ると思った。北鎌平への本格的な登りに差し掛かると、直登の隣にある巻道がすごく小綺麗でいかにも来て下さいアピールが強かったが、これが罠なのは事前に分かっていたので、頭の中では登攀一択だった。ここからの登りはただひたすらに登ることを考えれば良いので、これまでのクライムダウン問題と比べたら気持ちはすごく楽だった。この辺りから山頂の祠や山頂で待機しているハイカーが見え始める。 ○北鎌平〜山頂 北鎌平以降はひたすら岩登り。終盤に向かって傾斜がきつくなっていき、核心と呼ばれているチムニー状の登攀。特に最後のチムニーが1番難度が高いようだった。最初の取り付きが少しやっかいだったが、靴のフリクションを活かして対処可能。疲れと背負っている荷物重量にもよるが、荷は軽くしてきていたので普通に登攀できた。後々確認したところによると、チムニーを避けて登ることは可能とのこと。上に着いた時はちょうど景観がガスっていたので、ちょうど空いている時に来れた。北鎌のコルから4時間半弱で来れたので慎重に行動していた割には予定の4時間に対して悪くないペースだった。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
昼ご飯
行動食
飲料
ガスカートリッジ
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
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---|---|
備考 | ストック、チェーンスパイク |
感想
去年から目指していた北鎌尾根を踏破について、終わったみてから振り返ると
)務尾根まで着くのが結構大変
北鎌のコルに辿り着くまでの天上沢と北鎌沢右俣が想像に以上に険しかった。水俣乗越以降の登りが基本的に急登で、一般登山道ではまず出てこないであろう斜度が当たり前のように出てくる。当然歩きにくいので、登りパートでは体力も普段より削られ、降りパートは滑落に気を遣わないといけないため、慎重に下ることで、普段の下りよりも時間を要する。今回は上高地からスタートだったが、1日のテント泊である北鎌のコルまでは約24kmある。
登攀経験はあると何かと便利。
登攀はそんなにないとの事前情報だったが、簡単な登攀はガンガンやるため、登攀経験がある程度ないと進むのに苦慮することが多い。また、荷物の大小で登攀できる選択肢が狭くなっていくため、ルーファイ経験が求められる。間違うとタイムと体力を無駄に費やすのに加え、ルート難度も増えることにになるため、地図を確認しながら先の地形を想像して行動する必要がある。今回は荷物を最軽量、コンパクトで行った。ある程度の登攀は難なくこなす事ができた。精神衛生状は全く宜しくなかったが・・・。去年の秋からクライミングを初めてみたが、やっておいて本当に良かったと心底思った。
ロープはお守りとして持っておくと安心できるかも。
単独行だとおそらく使用機会はないかもしれないが、残置スリング、カラビナの所も含めて懸垂下降点はそれなりにあったので、ロープを出した方が早い降りもあるかもしれない。その他に必要になるケースとしては、北鎌尾根から撤退する際に北鎌沢右俣の下りで、おそらくロープで懸垂下降でないと下るのが相当しんどいと予想される。登ってきた感想として、ここを下るのは無理だと強く感じた。
ぅ船А璽鵐好僖ぅもしくはストックは欲しいなーと思った。
水俣乗越から天上沢への降りパートにおいて、序盤のザレ場がとにかく急斜面で、何かにつかまらないと滑り落ちていってしまうくらいの斜度。雪渓に関しては7月末時点でまだ残っていたが、傾斜が緩くなっていたのと踏み固めた部分もあったので、上手くやり過ごす事ができたが、涸沢に入るまでは転倒の危険が付きまとうので、持参しておくのが無難。私はテクニカルルートではストックが邪魔になると思って持参しないのだが、こういうこともあるので、転ばぬ先の杖という意味で一本くらいは持っておいても良かった。
1番必要なのはやっぱり体力
北鎌尾根に必要なもので真っ先に挙げられるのが体力と言われるが、山に必要な知識、技術を始め、全て活動に必要な源泉となるのが体力であり、これがないと知識、技術を活かすための判断力が乏しくなるため、余計な事故リスクを抱えることになる。時間や金を融通する事である程度は補える事ができるが、山行を優位に進めるためにやはりあるに越したことはない。
Ψ變眠
滑落、転落事故リスクを少しでも減らすのと、体力を可能な限り温存しておくためにも荷物は必要最低減の方が良いが、これに関しては一長一短な意見もあるので、個人的に許せる範囲で軽さを最優先しました。参考までに今回担いだザックはOMM Phantom25で、最大積載量が11kgでした。
思ったこと、感じたこと、反省すべきこと等々、挙げてみるときりがないくらいに内容が濃かった2日間でした。結果オーライな部分も確かにありましたが、装備のリスクについては何カ月も考えて結局答えが見いだせず、結局は自分が今持っている能力で自信が持てる装備がベストだという形で北鎌尾根に挑んで無事に予定通りに踏破できたので、これも正解の一つだったかと思いました。今後の新たな目標に向けて、この経験を活かせるようにしていきます。
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