【沢合宿】湯俣川〜黒部源流〜祖父沢〜高天原〜裏銀座
- GPS
- 44:59
- 距離
- 56.0km
- 登り
- 3,813m
- 下り
- 3,789m
コースタイム
- 山行
- 7:08
- 休憩
- 2:16
- 合計
- 9:24
- 山行
- 7:59
- 休憩
- 2:01
- 合計
- 10:00
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 9:17
天候 | 11日:晴れ 12日:曇り時々雨 13日:晴れのち曇り時々雨 14日:晴れのち曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
高瀬ダムまでタクシー利用 |
コース状況/ 危険箇所等 |
湯俣川は水量少なめで渡渉に苦労する箇所は少なかった ロープを出すような難しい滝の処理はない 弥助沢以降はヌメりあり、ラバーとの相性はよくない |
その他周辺情報 | 信濃大町 薬師の湯 |
写真
感想
お盆到来、沢合宿!
昨年、悪天で企画倒れとなったO川さんの北アルプス沢周遊プランのリベンジ。
台風も発生している中、果たしてどうなることやらという感じでのスタートとなった。
11日 これぞ夏沢!湯俣川遡行
大町で仮眠ののち、七倉山荘の駐車場でO川夫妻と合流。
食料や共同装備を割り振ってタクシーに乗り込み、高瀬ダムのトンネルの前で下ろしてもらい、いざ出発。
最初はえっちらおっちら、ダム沿いの道を歩いていき、2時間半ほどで晴嵐荘に到着。温泉を掘っている小屋の方に水量を聞くと少な目、先に2パーティほど入っているとのこと。
小屋から戻り、沢沿いを進んで吊り橋を越えたところから沢に降りる。
青空の下、赤い岩肌のなかに白い水流が清々しく流れている。
いきなりのダイナミックな景観に一同テンションが上がる。
歩いてきて暑いので沢に飛び込んでみると、冷たいがアルプスの沢とは思えない冷たさ。
それもそのはず、沢のすぐ横に温泉が湧いていてむせ返るような硫黄臭を放っている。いきなり、他の沢ではお目にかかれない感じでスタートでいい感じだ。
基本的には沢沿いを進み、切り立ったりなどで進めなくなったら渡渉をして、また沢沿いをという感じ。
伊藤新道跡ということもあり、巻き道やフィックスロープがついている箇所もあった。
伊藤新道復活プロジェクトでこのあたりの様相も変わっていくのだろうか。
少ないとはいえ、そこそこの規模なので渡渉には気を遣う。といってもスクラムをしなくてはいけないほどでないのは幸いだ。
入渓からずっと、赤みがっかった大きな岩壁に挟まれた水流が時折、激しく飛沫を上げて流れていく。そんなダイナミックな景色に心躍らせながら遡行していく。
第5吊り橋跡を過ぎると気を遣うような渡渉もなくなる。
水量がすくないことも相まってか、いいペースで進んで行く。
ワリモ沢を過ぎたくらいからハイライトといえる箇所。大きくはないが、時折釜を持った滝なんかもあって迫力もあり楽しませてくれる。
そろそろ硫黄沢も近いかと思っていると、目の前が白の優先する世界となる。
どうやら温泉噴出地のようだ。特に左股は硫黄成分が沢を覆っていて眩しいくらい。
ちょうど二股の尾根を少し上がったところに温泉がたまっていて、沢足袋越しでもお湯の暖かさが気持ちよい。
温度の高い方へ遡っていくと湧き出ているところを確認できた。
沢足袋も脱ぎ捨てて、青空の下足湯タイム。ほっこりだ。
そんなこんなで30分ほど時間を浪費して、硫黄沢出合を分けてテンバを求めて遡るがなかなかいい感じのところがない。しかも巨岩帯っぽいくなって少し面倒な感じ。
1900m付近になんとか見つけてテント場とする。
寝不足もあってなんだかだ疲れたが、目標地点まで進めることができた。
タープを張って薪を集めて焚火。そうこれがやりたかった。
入山をビールで祝い、晩御飯。メニューはO川さん作のとろとろに煮込まれたバラブロック。めっさうまい。
軽量化のためにもってきたスピリタスがなかなかのスピードで無くなっていくのに少し不安を覚えながら沈。
12日 天候不順の中、黒部川源流部へ
朝御飯はそうめん。朝から冷たい麺はなかなか体が冷える。
明るくなってきたが空は曇り。ありゃりゃ。
昨日に引き続きだるめの巨岩帯をこなしていくが、だるい上に雨まで降ってきてしまう。Oh,God…
先行パーティは地形図の「湯俣川」と書いてあるあたりでてんぱっていた。
弥助沢付近に来るとただのゴーロ歩きとなる。開けていて多少気持ちがいい。
弥助沢を2300m付近まで詰め上がると、少し岩盤質な感じなってくる。
ちょうど2400m下くらいに赤いハングの滝が出てくる。
右岸の方から巻き気味の越えることができる。この上から源頭っぽい植生になるが、いかんせんちょっとブッシュがうっとしい。
2450mくらいまでくるとすっかりカールの中に出る感じで、稜線を歩く登山者も見える。晴れていればさぞかし気持ちがいいのだろうが、依然として雨は降ったりやんだり。
三俣山荘への最短ルートを辿るべくコンパスを切って、トラバースを交えながら稜線へ詰め上がる。
詰め上がる途中で大きな岩を落石させてしまい、要反省…。
そんなこんなで三俣山荘へ到着。明日以降の行程を考えるため、天気の情報収集。
テント場上部の雪渓付近までDoCoMoの電波を拾いにいったりする。
今日の午後は回復(ほんとか!?)、台風の影響は明日の午後以降に現れ、夜は雨に見舞われ、明後日は午前は持ち直し、後半から明々後日にかけて天気が悪化していくようだ。
明日の夜を沢中で迎えるのは得策ではなさそう。いろいろ考え、高天原山荘に宿泊できないかダメもとで電話してみるとなんとOK。奇跡、むしろ台風様様か。
というわけで当初の予定通り、黒部源流部を下降し、祖父沢出合へ行き、明日雲の平経由で高天原を目指すことにする。
稜線の風ですっかり冷え切った体に鞭を打って、黒部源流の碑まで歩き、そこから再入渓。
釣り人と出会ったので話を伺ってみると碑から上流でも25僂らいのイワナが釣れるとのことだった。
そんなこんなで黒部源流を下降してく。特に何もないゴーロ歩き。午後から回復とのことだったが、時折雨が強く降ったりする。
テンバについてもこれだったらどうしようかと思いつつ。ダラダラ下降していく。
川岸には雪渓のかけらが残っているところもあった。
碑から3時間も経たないくらいで祖父沢出合に到着。
出合から少し下降した左岸をテンバに決定。15時と割と余裕のある時間に行動終了。
のんびり設営して思い思いに過ごす。16時半くらいに焚火を点火。
今日の晩御飯はペミシチュー。久々だがやっぱり疲れた体に染みわたる。
暗くなったくらいで、実は誕生日だったsamoaにプリンとバームクーヘンが出てくる。こんな日なので大概山の中で迎えるので、わざわざありがとうございました。
ちょこっと通り雨を食らったりしながら沈。明日は晴れるかな?
13日 天国のち極楽
今日もそうめんだが冷水では〆ずに、汁なし担々麵の素をかけていただく。うまい。
なんと今日は抜けるような青空が広がり黒部五郎(のカールの端)もしっかり見えている。
今日は祖父沢を詰めて雲の平を目指す。大学3年生の時に詰めたことのある沢だが、そのときは源頭ガスガスで大した思い出もないが果たして今回は如何に。
祖父沢を少し詰め上がると左岸が少し高くなったところがあり、焚火跡もある。
確かになかなかいいテンバだ。
単調な沢だが、晴れているというのはそれだけで素晴らしい。高度を上げていくにつれて、背後には黒部五郎岳がそのどっしりとした山体を露わにしていく。
2350m二股を右股に進み2450m付近まで詰め上がると、まさしくアルプスの沢の源頭の雰囲気。
綿毛となったチングルマと青い草原が風に揺られ、朝陽にキラキラ照らされた渓が輝く。
抜けるような青空の下、久々の天国のような詰め上がりで本当に癒される。源頭で休憩して思い思いに堪能する。
ほんの一瞬だけハイマツに突っ込むと雲の平のテントサイトに飛び出す。
水を汲んで、ライチョウを愛でながら木道を登っていきいよいよ雲の平へ。広々とした草原に木道が続き、その向こうには雲の平山荘が佇んでいる。まさしく雑誌で見た光景だ。
振り返ればどっしりと水晶が構えている。その後ろには暗めの雲が・・・。
そんなこんなで小屋に向かって木道を歩きながらこの空間を堪能する。
小屋も少し寄らせてもらったが、奇麗ないい小屋。残念ながらお洒落な手ぬぐいは売り切れだった。
そんなこんなで今度は高天原を目指していく。大きな尾根を一越えして、岩帯や草原を挟んで樹林内の急斜を下っていく。
目の前には薬師が、さらに向こうには剱もどっしりと構えていく。それを回り込むように流れるのは黒部の上ノ廊下か。
一度、湿原となって開けるところで一休みし、梯子交じりの急斜をもうひと下りすると高天原峠へ。もうひと踏ん張りして岩苔小沢で火照った体を覚ます。
上流に雪渓でもあるのか、これまでのどの沢水より冷たい。この沢も詰める予定だったのでいつかリベンジしたい。
もしゃもしゃになったミズバショウの中を進むと、視界が開けて目の前に清々しい湿原が広がる。10年以上ぶりの高天原。また来れたとはなかなか感慨深い。
当時は傾いていた小屋もすっかり奇麗になっている。
受付をすまし、荷物を整理したらお待ちかねの温泉タイム。
20分弱あるいた湯の沢出合に見覚えのある掘っ立て小屋が。
しかしながら、男湯は現在ためている最中なので、野湯の方へ。
最高に気持ちがいい。小屋で買ったビールやらを開けて極楽気分。
暑くなってきたら、沢に飛び込んで体をさっと冷まして、岩の上で日光浴。
頭から雑念が消えて、心地良さだけが残る。これが整う?
そんなこんなで1時間過ごし、すっかりリフレッシュして小屋へ戻る。
テラスでまったり過ごしていたら、ようやう雨が降ってきた。ようこんな時間までもったものだ。
そんなこんなで談話室に逃げ込み、晩御飯を作る。メニューはペミカレー。今日も今日とてうまい。
明後日の天気が雨なので、明日一気下山を決め込み、酒やらつまみやらをどんどん出す。
みんなこんなに持ってきてたのね・・・。期せずして今日が最後の夜かと思うと途端にさみしくなりお酒が進み、気が付けばもってきたスピリタス1500mⅼがすべて空いていたとさ。
14日 怒涛の裏銀座一気下山
今日も今日とてにゅう麵を啜り、明るくなり始めたくらいに出発。青空スタートだ。
いきなりの急斜をこなす。昨日の酒なのか4日目だからなのか微妙にペースも上がらない。
意気揚々と水晶池を見に行ったが干上がっていて残念ぬん。
秋めいてきている高山植物を横目に稜線目指してえっちらおっちら上がっていく。
早くも雲に巻かれはじめ、水晶は見えたり見えなかったり。
意外と遠いなと思いながら水晶小屋へ。小腹が空いたので、おでんやらおしるこやらを頼んで虫養い。すっかりアルプスに毒されているような・・・。
さてここからは裏銀座の縦走道。このまま悪化の一途かと思った天気は小康状態で意外と波が大きく、時には青空が見えたりもする。
ふと見ると槍ヶ岳が雲の切れ間から見えていたりする。手前に見えているのが硫黄尾根でその袂が、3日前に足湯をしたあたりだと思うとなかなか感慨深い。
右を見ればどっしりと構える水晶の先に赤牛がずでんとしている。
さて、歩を進めるにつれて白さの増していく稜線を進んで行く。時に登りはペースが上がらなくなってきた。
野口五郎に近づくとなかなか風が強くなり、風に体重を預けられるくらい。Max20m/秒くらいあり、地味に体力を持っていかれる。そのおかげか稜線は青空も覗く。不思議なもんだ。
野口五郎小屋で一息入れて、ガスに巻かれながらも三ツ岳を越えると心地よい下りになる。
この辺りはコマクサ畑で。砂礫の砂漠にピンクが散りばめられていて素晴らしい。
三ツ岳の山頂になにか獣がいると思ったら、なんとサル。こんな稜線まで上がってきているのか。
なるほど烏帽子とよくわかるピークを遠めに見ながら標高を下ろしていく。右手には高瀬ダムが青々と水を湛えている。
烏帽子の瓢箪池からひぃひぃ言いながら、小屋へ登り返しやっとこさ休憩。情けないことに足はガタガタだ。
再度、出発するころには雨まで降りだす始末。むしろここまでよく持った方か。
朝一の登りで拾った傘のおかげか、思ったよりも快適。幸いそんなに降り続くこともなかった。
アルプス三大急登の一角であるブナ立尾根を無心で下ろしていく。いや途中からカラオケよろしく、いろいろ歌を歌いながら下ろしたので無心ではない。
途中でタクシーを手配しつつ、ばーっと降りていく。
カラオケ作戦が功を奏した?のか、気が付けばとりつきへたどり着く。
このまま一気にダムまでといきたいところだが、なかなか限界。河原に腰を下ろして一息入れて、吊り橋を渡りトンネルを抜けると、果たしてそこにはジャンボタクシーの姿があった。お願いしていた時間よりだいぶ早いがありがたい。
ダムをバックに下山写真を撮り、健闘を称えあう。
七倉小屋まで下りてきて、車を片付けているといよいよ本降りの雨が降ってくる。
ここまで天気が持ったのはひとえにリーダーの人徳か。
大町まで下りて薬師の湯で汗を流し、テンホウでスカスカのお腹を満たす。
慰労会とまた沢に行くことを約束し、夜は更けていった。
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