聖沢登山口〜聖岳〜赤石岳〜椹島
- GPS
- 27:52
- 距離
- 29.1km
- 登り
- 3,511m
- 下り
- 3,617m
コースタイム
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 7:25
- 山行
- 9:01
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 10:14
天候 | 概ね晴天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
https://www.t-forest.com/alpsinfo/access/parking/ 送迎バス(乗車には条件有) https://www.t-forest.com/alpsinfo/bus/ 公式アナウンスでは、聖沢登山口へは「椹島ロッジからの下車」のみ可となっている。今回は畑薙臨時駐車場から 私「聖岳の登山口で下りれますかね〜(揉み手)」 運転手さん「(間)……下ろしてあげます」 という、一応裁量運用という感じで下ろしてもらった。 いずれにせよ、聖沢登山口では下車のみ可能。今の乗車システムでは仕方ないとはいえ、今後もう少し改良されるといいなあ、なんて思います。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
なにしろロングコースなので、踏み外したら数十メートル規模で滑落するであろう、注意の必要な場所は結構ある。ただ道迷い等に関しては、慎重にマークを探せばそれほど心配ない。概ねよく歩かれた明瞭な道。 |
その他周辺情報 | 椹島ロッジのシャワー入浴(9:00〜13:00) 一人500円。 宿泊の場合は16:00より入浴可 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
飲料
地図(地形図)
笛
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
スマートフォン
スマートウォッチ
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
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感想
南ア南部の初洗礼を受けた今回の山行は、全日晴天という、一体どこのどなたの行いが良かったのか、バスの運転手さんをしても超レアという絶好のコンディションの中で歩くことができた。本当にしんどいしんどい道のりだったけど、どれほどこの好天に助けられたことだろう。申し分のない、絶景ばかりの三日間だった。
・一日目(聖沢登山口〜聖平小屋)
始発バスを聖の登山口で下りたのは私一人。それだけでわくわくしたものの、登山口から秒で始まる急登には若干おののく。ものすごい急登、やや急登、ちょっと急登とバリエーションはあれど、ほぼ急登でずっと続いていく道。
天気が悪ければもっと怖かったと思うけど、とにかく眩いばかりの太陽が樹々の間から差し込み、時折見える風景は素晴らしく、大変な道ではあるけど怖さを感じることもなく、楽しく登っていける。この日に限らず、全ては天気に助けられた。
下から追い抜かれることもなく、自分が歩きたいペースで歩きたいように歩ける。聖平小屋までで出会ったのは下山してきた三組、5人だけ。
だけど小屋に到着すると、様々な登山道が交わる聖岳登山の拠点だけに、突然の人混みに戸惑う。私は山だと結構フレンドリーな性格だと思うんだけど、こういうときには頑なさが発動してしまう。誰かと話すのも面倒で、黙々とレトルトカレーを食べ酒を飲む。今回から採用した12オンススキットルのウイスキーもじゃんじゃん減ってしまう。まだ先は長いのに!
軒先に置いてあった布製の簡易ベンチでちびちび飲んでいたら、突然座面が破れて、私は酒を持ったままズボッ!!と二つ折りになった。しばし呆然とした後、隣で歯を磨いていたおじさんと顔を見合わせ爆笑。おじさんは恥ずかしいことになった私に気を遣ってくれたのか、「もともと椅子が傷んでたんだ〜」とか「なに飲んでるの〜?」とかいろいろ関係ないことを話してくれる。いやはや、いたみいります。
その後、致命傷を与えたのは私なので小屋受付にいた若いおねえさんに破っちゃったことを申告。「私がもっと痩せてりゃよかったんですがゴメンナサイ」と頭を掻きつつ報告すると全然全然、それより怪我はなかったですか〜?と心配してくださる始末。恥ずかしい以外の怪我はないです!!
ちなみに聖平小屋の若い衆はみなさん歩荷らしく、若い女の子でも26kgの荷物担いで5時間でここまで登ると、帰りのバスで運転手さんから聞いた。このおねえさんもお強いのかしら〜。。。
しかし深夜1:30から登山準備の物音で起こされるってのは初めての経験だった。夜中に動くなら、もう少し静かに準備しましょうよ。
・二日目(聖平小屋〜聖岳〜百間洞山の家)
やかましい物音に起こされ、予定よりも二時間ほど早く出発。そのときはいたく不機嫌になったものの、結果として早出は大正解。聖を含めて四つのピークを上り下りするこの日のルートは、私にとって相当厳しく、コースタイムよりもかなり遅れてしまった。二時間早く出て、ようやく予定通り到着という感じ。
兎・小兎とゼエゼエしながらようやく越え、眼前に迫る中盛丸山に「いやまさか笑」と声に出して突っ込むものの、そのまさかだった。南アすげえな。
小屋に到着してほんの十分ほどで、雨が降り始め夜半まで降り続けた。あと少し遅かったらと思うと、やっぱ早出で良かった。朝に超うるさかった皆さんありがとう。
百間洞山の家はこぢんまりとした清潔な小屋。食堂で一人飲んでいると、私と寝床を隣り合わせたおじいちゃまが話しかけてくれた。伊那在住というおじいちゃまに、「新田次郎『聖職の碑』を読んで木曽駒登山したのが私の初登山です〜」なんて話していると、おじいちゃまと同行してきたガイドさんを紹介してくれた。目の前で静かに飲んでいた人じゃないですか。そのガイドさんが読んでいるのはまさに聖職の碑!なんか偶然過ぎて作り話みたいで嫌じゃん。
その後おじいちゃまはどっか行っちゃったので、ガイドさんと話し込む。「いや〜ガイド登山だとこんな話がたくさん聞けていいですね〜」なんて言うと、普通は話なんかしない、あんたが知ってそうで何にも知らないから話してやってるだけだ、と。正解!
でもね〜「知ってそうに見える」のは私のスキルだから笑。面白い話をたくさん聞けて楽しかったです♪
・三日目(百間洞山の家〜赤石岳〜椹島ロッジ)
前日を教訓とし、この日もコースタイムより相当オーバーするだろうことを想定して、朝食をお弁当にしてもらい夜明け前に出発することにした。
お昼のお弁当も頼んであったので、「……え、弁当二つってことすか」と小屋番さんは不審そうだったけど、まあそういうことっす。ぎゅうぎゅうに握られたおにぎり計八個はダークマター並みに結構な重量があった。でも結論から言うとやっぱ相当遅れたので、これで正解。
まだ真っ暗な4:30、見送りに出てきてくれた(と私は理解している笑)ガイドさんにアドバイスをもらい出発。ガイドさんとおじいちゃんは私と反対方向、あのきつい縦走路を聖に行くとの由。きっと私と同じく、素晴らしい光景を目にしたことでしょうね。
立ち込めていた雲も、日の出と共にどんどん下がり、太陽が昇ったころには眼下に見下ろす雲海となった。誰もいない百間平。広い平野に、南アの深い深い山々を照らす、眩い太陽……浮世離れした光景に、思わず足を止めてじっと見入ってしまう。
人よりずっと体力もなくて、虚弱な中年で、根性もない私がどうして登山みたいな過酷なことをしているのかというと、やっぱりこの一瞬のためだとしみじみ思う。もっと体力があれば、人より早く歩ければ、もっと長い時間楽しめるのにね。まあしゃあない、来世に期待だ。
赤石岳山頂では、同じく百間洞の小屋から出発した「見える範囲全部の山を同定できるおじさん」に見える範囲全部の山を同定してもらい楽しむ。荒川方面へ行くというおじさんたちと山頂で別れ、後ろ髪引かれる思いで下山開始。
3100mの山頂から約2000mの標高差を下るとかもう終わってんだけど、あまりに辛すぎて、危うく去年の平ヶ岳(https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3412049.html)
と同じ轍を踏みそうになる。本当に危ない!!今回はねずちゃんではなく現飼い猫のまいちゃんを妄想し乗り切った。
十時間超えると発動するやばい牛歩でようやく辿り着いた椹島ロッジは天国。まずお風呂に入れるという時点で最高。なんだか全てが夢の中のよう。あんなに辛かったのに、楽しかった光景ばかりが蘇る。
・四日目、帰宅
始発のバスに乗ったのは三人だけ。私ともう一人のおじさまは駐車場まで、残るおねえさまは私が登り始めたのと同じ、聖沢登山口で降り、聖岳のピストンをするという。バスの運転手さんも交え雑談しバスは進む。あの登山口からの道はいきなりの急登だぜ〜と脅す運転手さん、マジでやばい急登すよ〜と追い打ちをかける私。
登山口で一人降りていくおねえさまが、ドアの外で両手を振っていた。私も手を振って応える。どうかいい日になりますように。
駐車場に着き、ピストン運行のバス乗り場で、運転手さんは暫しの休息中だった。この日は夏場を凌ぐ、今年最多の予約客があるという。
私は駐車場を出るとき、運転する車の窓を開けてお礼を言った。運転手さんは「またおいで」と手を振ってくれた。
必ず、また来ます。
コメント
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暗いうちに行動するのもそれなりに危ないので、あまり褒められたことでもないんですが、遅くなるよりはずっとマシということで……^^;
晴天だったからこそできただけのような気もします。運が良かった。
この山域はどこへ行くにも長い道のりで、長い縦走をする上での様々な発見や反省点がありました。三日間山の中にいると、細かいアクシデントもありますね笑
しかし長かった!しばらくは日帰り登山でいいや^^;
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