焼穂槍常蝶ぐるり
- GPS
- 80:00
- 距離
- 67.9km
- 登り
- 6,735m
- 下り
- 6,545m
天候 | day1 雨のち晴れ day2-4 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
焼岳の登山口:自分の古い2008年版の地図にはあった中の湯ルートという登山口は現在はないとのことで新中の湯ルートから登りました。 |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
恒例の夏のアルプス山行。
今年は短い時間でがっつり歩くことを目標にルートを探す。
結果、上高地をぐるっとかこむ山々、焼岳、穂高連峰、槍ヶ岳、大天井、常念、蝶ヶ岳をこなして徳本から明神までラウンド縦走する計画を立てる。
地図上でみるときれいに円はつながらないけれどなかなか見栄えのするルートでヤル気をかきたてられる。
コースタイムの合計は50時間55分で期間は3日間+予備日1日。1日の行動量はそうとうなものだろう。やはりたまにはこういうハードな山にいどみたくなる、スピードハイキング/ファストパッキングスタイルでガシガシいこうと思う。
※装備
ここ何年か軽量装備でのスピードハイキングスタイルをこなしてきたので装備リストも洗練されてきたというか自分なりの取捨選択が徹底されてかなり絞れてきた。毎回ビッグな計画の前には全ての装備をリストアップし、下山後に気温、天気などを考慮してその要不用を検討しているのです。
今回の主な変更は…
バックパック→アルパインクライミングで使っていたmont-bellのアタックザック(バランスライト30L )を採用。
これまでのトレラン用34L との違いは外付けのポケットなどの類いが一切ないことと、走るためのパックではないことだ。ただやはり装備がこなれてくるとパックもなるべくシンプルにしたくなりぶっつけで採用してみた。
結果、今回のルートは半分が岩場の登りだったので形状がすっきりしていて、勝つ素材が頑丈なこのパックの選択は大正解だった。
唯一、個人的にどうしても外付けしたい、ウォーターボトルとトレッキングポールはショルダーベルトに別付けのボトルホルダーとポールはリッドの下に横に並べて収納して対応した。悪くはなかったけどまだ改善の余地がありそうだ。
※就寝システム→
今回はマットをチャレンジとしてバルクダウンし、山と道のミニマリストパッドをさらに身頃を詰めて使ってみた。厚さ5ミリしかないけど岩でゴツゴツのテン場で寝れたし十分でしょう。四つおりにするとパックの背面にちょうどいい。
イスカのシェラフをエマージェンシービビィに変える挑戦は今回は見送った。
※食事関係→今回は激烈な移動がメインなので食事関係は無味乾燥なフリーズドライとジェルなどで揃えた。クッカーも湯沸かしのカップだけ。でもランチの山小屋ご飯はオーケー。これくらいの楽しみがないと先にすすめないすから。
※サンダル→あると便利、なくてもいいものの代表、サンダル。自作の極薄ワラーチをもっていった。寝るときはマットの足しにするという多用途性があると信じて。
結果、あって便利だったけど、なくてもよかった(笑)
まだ減らせそうだが今回はこれらで30L でベースウェイト4.7kg、トータルウェイト7.8kgでした。
day1
新中の湯登山口〜焼岳〜西穂山荘 行動時間 5時間1分 :コースタイム7時間40分
毎日新聞の夜行バスで早朝4時過ぎに中の湯到着。どうも登山口が見つからない。近くのゲートの係員に聞くと中ノ湯ルートは閉鎖、車道を一時間上がった温泉旅館先の新中ノ湯ルートしかないとのこと。やはり古い地図はよくないね(泣)
仕方なくつづらおりの車道を歩く。急登のカーブごとに番号がふられていて、確かNo.10のカーブを越えた先が登山口だった。本当に一時間弱かかったな。
やっと登山開始。先ほどから何となく気付いてはいるんだけど雲行きがおかしい。そんなはずはない、梅雨明けすぐの好天が続くはずだと思っていると焼岳前で雨。せっかくのお初の焼岳山頂もガスで何も見えない。あれでは百名山もただの丘とかわらないじゃないか。個人的に去年の夏山から雨続きでヤル気いっきになくなる。トボトホ歩いていくと焼岳小屋あたりで本降り。今日はいっきにジャンダルムを越える予定だったのだがこの雨では無理だ。1日。行程の半分もこなせないとなるとこのあとの計画を大きく変更せねば。
とりあえず西穂小屋について雨宿り。今日の行動打ちきりを決めてさっそくビール。氷結も重ねたった。
午後になると雨がやんだのでツェルトを張りにテン場へいく。いつの間にかかなりのかずのテントが張られているじゃないか。急いで空きスペースを確保した。その後さほど広くない西穂のテン場は満載になった。テント泊ブームなのだろう。
あとは濡れものを乾かしながらフラフラ手持ちぶさたですごす。ヤル気満々できたのでのんびりしようとしてもどうも落ち着かない。
夕飯のフリーズドライを詰め込んで18時には寝る。
厚さ5ミリのミニマリストパッドでも十分眠れた。もちろん小石たちの存在感を背中にひしひしと感じるけれど。何とか許容範囲でしょ。
day2
西穂山荘〜奥穂高〜北穂高〜槍ヶ岳山荘〜殺生ヒュッテ
行動時間(14時間10分)・コースタイム(19時間55分)
1時起床、3時出発。
細切れではあるが8時間近くねむれたか。
1日目の停滞で大きく計画に遅延がでてしまったので今日はいっきに槍ヶ岳まで行ってしまおう。
たいへんな行程だが、ワンデイで槍穂縦走をやっつけるなんて痛快ではある。満天の星空が晴天を約束してくれている、さぁ歩くか。
夜明けと同時くらいに西穂高岳に着いて、これからはじまる岩場の前に立つ。ここからは1日のずっと岩鎖梯の連続だ。先行のパーティ一ひと組に先を譲ってもらってからはずーっとひとりで快適にすすむ。自分はクライミング歴が長いのでさすがに岩登りは怖くない、怖いのは人為的な落石だった。今回、早朝スタートでひとりで奥穂まですすめたので何も気にせず岩場を楽しめた。
途中でよったジャンダルムからの眺めは最高、北アルプスのジャイアンツがほとんどながめられた。風はやみ早朝の晴天と動きを止めた雲海。あの瞬間のために山にいったんだと今は思う。
九時くらいに穂高山荘につく。チップスターをかじりつつツェルトを乾かす。
ここから北穂高までの一般道で意外に疲れてしまう。北穂高小屋につく頃にはなかなかの疲労感だ。名物の味噌ラーメン食べて回復をはかる。…ここから大キレットか。
だいぶ疲れてきたのと、時間的にすれ違う登山者も多いので、あらためて集中し、浮き石は、持たない、踏まない、落とさない。を意識してキチキチの三点支持を徹底してくれて進む。
南岳小屋につきジュース飲んで休む。あとは槍ヶ岳までもう少し。しかし1日岩場でかがんでいたから腰がつかれた。
南岳から槍はわりと近いイメージだったが途中の中岳が強烈な登りだった、
ようやく槍山荘についたのが16時過ぎ。しかし急斜面のテント場は大盛況だし北アルプスでも指折りの喧騒を誇る山小屋は今日も大盛り上がりだ。これはたまらないとさらに残業して殺生ヒュッテまで下る。予想通り静かでいい。硬い地面のテン場に苦戦し、ほぼ置き石でツェルトを張り終えたらのが1730ころか?結局湯沸かしの元気もなく山荘で牛丼食べて寝た。19時頃には寝たか。
day 3
殺生ヒュッテ〜西岳〜大天井〜常念岳〜蝶ヶ岳
行動時間(12時間20分)・コースタイム(15時間)
1時半起床。けっこう寒くて何度か目を覚ました。しかし今日はツェルト内の結露がほとんどない。計測すると外気と室内の温度差が8℃くらい。この辺りが結露の有無の分岐点なのか?すごく興味深い、引き続きデータを、とってみよう。
しかしこの日の行程には悩んだ。本来は三日目の今日、常念、蝶ヶ岳を越えて徳本から上高地に下山しようとしていたが、さすがに槍からその行程は無理だろう。初日の停滞が響いている。予備日を使って四日かけて計画を完遂するか、蝶ヶ岳前で横尾におりて期日内で終えるか?どちらが縦走として美しいのか?決めきれないまま出発する。まぁ分岐までには答えを出せばいいだろう。
先ずは東鎌尾根を朝焼けにけされかかった星空をゆく。今日も天気がよさそうだ。少々ザレたトルイルを進むうちに日が昇ってゆく、それに合わせ一枚また一枚とレイヤーを脱いでいき、いつもの勝負服まで脱ぎ切ったところでヒュッテ西岳につく。
ここのテント場は素晴らしいかった。リッジ状?の先端に位置して槍穂と常念の山塊に囲まれた島のよう。場所的にあまり混まなそうだしいつかは張りにきたいな。
そこから大天井までの喜作新道も最高。連なる山々の天辺を縫う一本道、あれこそが理想の縦走路だよ。夢見心地のひとときを過ごす。
いい気分でしばらくいくと大天井ヒュッテ、ここらでなかなかの疲労を感じていた。しかし今日は異常にのどが渇く、早くも水の補給が必要だ。(思えばここらで体に異変が起こっていたのだろう。)大天井までの登りでかなりつかれて大天井荘で本日最初のコーラ休憩。でもあまり回復を感じない、腹の調子もよくないし先に進むのが億劫だと感じていた。
でもそこから常念までの遠望を望んだらいっきに元気回復。あそこらへんも表銀座にはいるのかな?誰もいない最高のアルプストレイルをいく喜び。あのへん最高だ。眺めたいのか、走りたいのか、撮りたいのか?わからない。その全部だろうな。いい時間を過ごしました。
常念小屋で食事休憩をとろうとしたら水のトラブルで調理が出来ずカップヌードルしかできないとのこと。フリーズドライのリフィルで散々食べているが食べないよりはよかろうと詰め込んだ。この辺りからまたなんとも言えない不調を感じる。どこが痛いとか苦しいとかではないが、何かしら変だ。たぶんじっくり鏡を見れば異変に気づいたかもしれない。たぶん凄い顔してたろうから。
まだ先は長いので目の前の常念岳は心拍数をあげないようゆっくり一定の歩幅の登山スタイルで昇る。スピードはないが、一度も止まらずいいペースで登りきったのにコースタイム通りの一時間かかってしまった。だいぶペースが落ちてきた。今日の上高地から新宿直行のバスに乗るのはかなりきびしい。まだ行程の決定が出来ずにいた。
常念の頂上でこの旅初めての自分の写真をとってもらう。今この時の写真を見返すとはっきりわかる。全体がひとわまり大きく見えるのだ。
常念の下りからは岩のガラ場や大岩の飛び石が続きとにかくつらかった。強烈な日射しにやられ喉も異常に渇く。これまでの経験からハンガーノックと塩分不足の熱虚脱にだけは気を付けて定期的に補給をとる。ランニング用のジェルなんて不味いしトレイルレースなんかではいつも余るんだけどこのときはよく染みた。持っておいてよかった。
やっとのことで暑い稜線から樹林帯に入ってからも先は長い。もう完全に心が折れて暗黒モードでひたすら足を動かす。悔恨、自嘲、屈辱、自棄。嫌な感情が次々現れる。こういう耐久系のスポーツで気持ちが切れるとこういう心持ちになる。
やっとのことで蝶ヶ岳まえの横尾方面の分岐についた。そこでしばし座り込む。そして考える。
もう東京直行便は無理だ、間に合わない。頑張って下山して小梨平に止まって朝帰るか?
いやすぐそこの蝶ヶ岳を通らず帰る判断の意味がわからない。予備日もあるし、そこで一泊して、明日の体力回復を信じて、最初に描いた大滝〜徳本経由のルートを歩き切ろうと決心する。その場で1日延長のメールを嫁に打つ。まぁ多少はやいやいいわれるかもな、でもこの縦走計画は最後まできれいにトレースを描かないと意味がないんだよとひとりごちて蝶ヶ岳小屋に向かって腰をあげた。
コースタイム15時間を歩いて小屋に着いた。
蝶ヶ岳小屋は激混みだったが予備食糧が怪しいので1500円の小屋ご飯を頂く。とても美味しいのだがどうも軽い嘔吐感がある。そしてお茶をがぶ飲みして食事を終える。つーか誰か顔のこと言ってよ。
ツェルトにもどり19時過ぎに寝た。
day4
蝶ヶ岳〜大滝山〜徳本峠〜上高地バスターミナル
行動時間(6時間5分)・コースタイム(8時間20分)
12時頃から浅い眠り。どうやらまたツェルトが濡れているようだ。もう最終日だしシェラフが濡れようがどうでもいいや。
今日は残りのコースタイム8時間ほどの行程。蝶ヶ岳から徳沢に下るショートカットも可能だが、ここまできてその選択はない。足も痛めてないし、昨夜の嘔吐感も消えた、あとは進むだけ。
2時頃に起きて夜明け間近の0410出発。大滝山に向けて森のなかをを進んでいく。途中、清水のたまりなんかもあらわれてなかなかあきさせない。今日も足はよくまわる。北アの最南エリアの大滝山は眺めもよく、小屋のテン場は小さいながら穂高連邦目の前の一等地だ。ひと張りだけテントをみた。
大滝小屋からしばらくいくと樹林帯の程好い下りがしばらく続く。今回初の走りやすいトレイルだ。ジョグ以下のペースで快適に進んでいく。
槍見展望台を経て徳本峠までコースタイム4時間と地図にあったがけっこう厳しめの設定に感じた。
徳本小屋着。物腰の柔らかい親父様とすこし言葉をかわす。ここはかつての上高地への交通の要所。島々から歩いてきてここに泊まって霞沢に登る計画もいいだろうな。北アに通じたベテランが歩く通なルートのようなきがする。
あとは明神まで長いつづらおりをくだる。そこからは観光客と一緒に梓川沿いをすすんで上高地をめざす。
バスターミナルに到着して長い旅が終わった。
思い描いたとおりのルートを歩ききってきった充足感はたまんない。何度か決断の分岐点があったがいい判断ができたと思う。
2014の夏アルプスは会心の山行でした。
バス前に上高地ビジターセンターでシャワーを浴びる。鏡の前で裸をみて驚く。なんか太ってる?あんなに歩いたのに?違う浮腫みだ。なんだこれは?
あずさに乗り込み新宿につく頃には脚丸太みたいだし、顔も体もパンパンだった。
どうも二日目くらいから変な違和感があったんだがこれのせいか。
こんなの初めてだった。原因はいろいろあるみたいだけど極限の行動が人体に影響を与えるということか。
浮腫みは二日間ほどで引きました。
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