大笠山〜笈ヶ岳〜三方岩岳縦走《日本二百名山》
- GPS
- --:--
- 距離
- 20.7km
- 登り
- 2,496m
- 下り
- 2,291m
コースタイム
- 山行
- 8:38
- 休憩
- 1:42
- 合計
- 10:20
- 山行
- 4:12
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 5:20
天候 | 1日目(5/3):晴れ 2日目(5/4):晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2005年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
下山:岐阜県白川村馬狩白山スーパー林道料金所から自転車で桂橋に戻る |
写真
感想
1日目(5/3)
0:30京都を出発し名神・東海北陸道を走り荘川ICで降りた。高速道の飛騨清美と白川郷の間は未開通なので国道156線を走り白川郷へと入って行った。冬季休業中の白山スーパー林道馬狩料金所横の三方岩岳登山口に自転車をデポし、境川ダムの湖である桂湖の最奥にある桂橋登山口に到った。
5:30登山開始、大畠谷の鉄製の橋を渡ると鉄梯子が50mほど連続し、いきなり急峻な尾根を登り始めた。尾根の取り付を登り切るとタムシバ、イワカガミ、シャクナゲが咲き登山者を迎えてくれる。登山口から標高差750mは急登が連続する。標高1,000m辺りから残雪が厚さを増しアイゼンを履く。暫くすると登山口にあった石川ナンバーの主である男性を追い越した。標高1,336mの標高点まで来ると急登も一段落し、ゆるやかな稜線歩きとなる。展望が開け爽快だ。再び急登を登り切ると前笈ヶ岳(1,522m)に至る。登山地図には“天ノ又”と記されている。360°の展望があり大笠山は勿論、笈ヶ岳が同じくらいの距離で見える。前笈ヶ岳といわれる所以だ。空気は澄み遠くに目をやると北アルプスから乗鞍の山並みが全部見える。槍の穂もくっきりしている。展望を楽しんでいると先ほどの石川の男性が登ってきた。暫し話しをすると毎年この時期に登っていると云うつわものだった。今年は雪が多かったが4月の暖かさで雪解けが早く今の残雪は平年並みかそれ以下になっているとのことだ。
大笠山山頂の展望に期待を持ってさらに進む。ピークを3つ越えて最後の鞍部から少し登った所に大笠山避難小屋が雪に埋もれ屋根だけが顔を覗かせている。ここからは最後の急登で登り切ると大門山から続く稜線で北側から回り込むようにして大笠山(1,822m)山頂に達する。登山口から2時間50分、山頂域に雪は無く1等三角点「大笠山」が露出している。遮るもののない山頂からは白山もひときわ白く際立ち山名の由来を実感する。
さてここからが今回の山行の核心部分夏道のない笈ヶ岳への稜線だ。3劼曚匹竜離だがアップダウンが厳しそうで簡単には行きそうにない。笹薮の中の微かな踏み跡を進むとすぐに道はなくなり、急斜面で狭い稜線の雪は既にズリ落ちており、行程の半分近くは薮漕ぎ行軍となる。一旦1,540m位まで下降し小ピークを越えると急登で宝剣岳(1,741m)、錫杖岳(約1,780m)を登る。いかにも高山の険しそうな名の山で正にその通り、尾根の両翼にずり落ちた雪壁の安全そうな所を選び、どうしようもない所は薮コギで進む。稜線なので道を間違えることはないが相当疲れる。錫杖岳からの鞍部には密林があり越えられそうにない。赤テープが西側の谷に巻くように付けられているのでそれを辿り雪の上を行くと難なく進むことができた。雪面の急登を登り切ると待望の笈ヶ岳(1,841m)山頂に到着した。大笠山からの2.9劼2時間10分を要した。
明治時代陸軍陸地測量部による三角点選点登頂の時まで未踏峰だと思われていた笈ヶ岳山頂から阿弥陀仏や観音像が発見されたそうで、剱岳の錫杖の例と同じく修験道の凄さを感じる。狭い山頂には10数名の登山者で賑わっており、すべての人が中宮温泉からジライ谷ルートを取ったようで日帰りのようだ。登山者の一人石川県の男性(前笈の人とは別人)は笈に30回以上登っており殆どのルートを登っているそうだ。中でも大笠からのルートはキツイとの話に納得した。中宮ルートにある冬瓜山のナイフリッジには既に雪はなく越えて来られたようだ。あちこちの山に話が弾み1時間近く滞在した。
名残は尽きないが腰を上げ縦走を再開する。南に続く稜線を見ると比較的なだらかで雪も十分ありそうだ。暫くは中宮ルートと同じ稜線で踏み跡がいっぱいある。笈ヶ岳のコブのような小笈(約1,810m)を越え、分岐を過ぎると踏み跡の数は2つ位に減るが比較的新しい。トレースを辿りピークをいくつか越え大笠と同じくらいの距離を1時間で歩き仙人窟岳(1,747m)に到着した。振り返ると笈ヶ岳、大笠山が美しい。さらに南下し1,646m峰で南東に進行方向を変え斜面を下り切ると目前に国見山(1,960m)の壁が立ちはだかる。一つの足跡はあっさり左に巻いているが、もう一つは律儀に登っている。大変な急登を一歩一歩登り山頂に達すると素晴らしい展望が待っていた。白山はいよいよ近づきこの尾根をずっと辿ると白山に達することを実感する。
稜線は東に90°方向を変え、瓢箪山(ふくべやま1,637m)に向かう、大したアップダウンもなく、なだらかに進み15:50山頂に達し、疎らな松林が風除けになり広い山頂域は絶好の幕営地だ。まずは雪を溶かし水作りから始めるが、溶かすだけで水を沸騰させるぐらい時間がかかる。今朝0時から起きているので食事が済むとたちまち眠くなり早々にシュラフに潜り込んだ。
2日目(5/4)
昨日に引き続き快晴、5:00遠く立山に朝日が登り、久し振りにご来光を拝むことができた。今日の行程は三方岩岳に登り白川郷に下山するだけなのでゆっくりして6:30に歩き始めた。白山スーパー林道が下を通る鞍部まで下ると観光客用の展望櫓が雪の中に半分埋もれていた。ここからは登山道があり、三方岩岳へは半分露出している。雪上歩行が楽だが、夏道も薮漕ぎをしなくていいのは嬉しい。三方岩岳の加賀岩(1,705m’)からの展望も素晴らしく、山頂には「三方岩神」の標識があり三方岩岳山頂と思い込みここまでしか登らない人も多いようだ。三方岩岳(1,736m)の山頂は岐阜県側に岩肌を見せる飛騨岩だが山頂標識はない。
予定ではここから昨年秋に通った白山スーパー林道沿いのルートで馬狩へ下山するつもりだったがまだ8時前と早い。馬狩荘司山と野谷荘司山の間のピークから分岐する鶴平新道で馬狩集落へ下りることにした。三方岩岳から白山北縦走路の下りは殆ど雪がないが、平坦になると雪が現れそのまま馬狩荘司山(1,704m)に登る。展望が良く最後の稜線上での白山を楽しんだ。分岐点ピークには雪がなく鶴平新道の下り口が明瞭だ。尾根上に赤頭山(1,602m)があり山頂に立つと麓を巻くように登ってくる男女6人のパーティーがある。遠くから言葉を交わすと野谷荘司山(1,793m)に登ると言う。これで下山ルートのトレースは大丈夫と安心する。
トレースを辿り下っていくとどうもおかしい、尾根ルートのはずなのに谷筋へ向かっている。不安になるがトレースがあるのでそのまま辿っていくとこれが命取りで傾斜は恐ろしく急で、ピッケルとアイゼンを利かせ慎重に下りるが標高1,250m位で腐れた雪にステップが崩れ滑る。ピッケルを打ち込むが止まらない。みるみる加速し落ちる落ちる! ピッケルを引き寄せようとするが思うに任せない。最悪の事態を覚悟した時、雪の窪みで突然止まった。生きている! 幸い顔と手にかすり傷を負っただけで済んだ。九死に一生とはこのことかと神仏に感謝した。失くした物は眼鏡だけのようだ。落ちた処を登り返して探すが雪の中では見つからない。登り返してみると100mも滑落したことが分かった。眼鏡は惜しいが命と引き換えなら安いものだ諦めよう。この後はなお一層慎重に下るが、石や雪の塊が転げ落ち危険この上ない。こんなルートを取るには最低ヘルメットが必要で、絶対下りには向かない。三方岩岳から発する白谷の流れに合流し砂防ダムを乗り越すと林道に出る。ここで雪装備を解き昼食を摂る。馬狩登山口までは10分の歩行で11:50到着した。
この後は26劼亮転車行で桂橋登山口に戻る。荻町までは白山スーパー林道導入部の下りで270m一のエネルギーだけで下る。国道156号線に入っても概ね下りなのでいいが、長大トンネルが3本もあり自転車には辛い。そして大変なのは上平のであい橋からは境川ダムへの上り急勾配、4劼曚匹龍茣屬世殆ど押し歩きの状態で登山より疲れる。極めつけは1,413mの打越トンネルで一貫して上りだ。漸く境川ダムに達すると桂湖沿いの水平道となりやっと快適なサイクリングとなった。馬狩から2時間15分掛って漸く到着した。
連休で白川郷への国道は大渋滞していた。自転車から見ると荻町入口のトンネル内から集落中心部まで殆ど車列は動いていなかったので15:40まで登山口で過ごし、その後荻町へ向かったが渋滞はまだ続いていた。トンネルを出た所にある“道の駅白川郷”に入りそのまま一夜を過すことにした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する