雁ヶ腹摺山 ≪山梨百名山≫



- GPS
- 22:07
- 距離
- 31.2km
- 登り
- 2,722m
- 下り
- 2,666m
コースタイム
- 山行
- 11:22
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 12:13
- 山行
- 8:14
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 9:54
天候 | 1日目(3/3): 雨のち曇り 2日目(3/4): 晴れ一時曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山口:吉久保入口BSから富士急都留中央バスでJR中央本線大槻駅 |
写真
感想
1日目(3/3): 雨のち曇り
夜行バスは20分早着し、明日泊るホテルメッツに荷物を預けた。中央線の電車でI田さんと合流し、大月を目指した。西奥山行の富士急都留中央バスに乗ると運転士が「何処に登るのか?」と聞いてきた。当然金山温泉からだと思ったのか西奥山から吹切尾根を登ると云っても分かってもらえなかった。バスを降り吹切尾根の先端の取り付きを探すがはっきりせず斜面を適当に這い上がった。最初の山は大丸で山頂には「大丸最高点」との表示があった。3等三角点「大丸」を探しに南に進んだ心算だったが改めて地図を確かめると縦走路を先に進んだだけだった。随分距離があり長丁場なので三角点は諦め先に進んだ。
アップダウンを繰り返し戸沢と間明野を結ぶ峠に到った。横断して先に進むと4等三角点「桑西」(958m)に達した。何の表示もなかったが此処が御前ノ頭(ごぜのかしら)であるようだ。富士山方向の展望があり快晴の下、雪をたっぷり蓄えた富士山を眺めた。一旦885mまで下り登り返しは厳しく、I田さんの足が止まった。9月に両神山に行って以来殆ど山に登ってないらしく体力的に厳しいみたいだ。
鳥屋ノ丸(1,205m)は展望のない山頂だがお腹が空いたので昼食タイムにした。北に暫く行くと送電鉄塔があり東側の展望が得られた。無名のピークを越え進路を北北西に変えると一貫した登りから急登となった。乗りあがった処で林道が横断し尾根が分断されていた。斜面はコンクリートで固められ、東の方に回りこんで登路を探すと崩れかけた砂の斜面を見つけ這い上がった。すぐに3等三角点「野脇」(1,499m)に到った。野脇ノ峰山頂はもう少し高くカシミールで1,501mが測定された。展望は得られなかったのですぐに進んだ。存在感のあるピークを越えて右にカーブした所が吹切峰(1,522m)でこの尾根の由来の山に到着した。この尾根は登山地図に全く登山道が描かれていないが、あるか無しかの登山道が続いている。昨日全国的に降った雨は標高の高い所では雪になっていたようで、標高1,000m辺りから湿雪が数センチ積もっていた。さらに標高が1,500mを越えると乾いた雪質になり誰にも踏まれていない気持ちの良い雪原になった。
I田さんの状況は変わらず此処まで予定時間を1時間20分も遅れてしまった。そろそろ判断の時機だ。兎に角、雁ヶ腹摺山には行くが大峠から黒岳への縦走はとても無理で、林道経由で湯ノ沢峠避難小屋に行くことにした。林道なら暗くなっても大丈夫だろう。P1516で暫し休憩しP1616は東側を巻いて通り過ぎ薮に突入して大峠からの道に合流した。
ザックをデポし空身で雁ヶ腹摺山を目指した、標高差は200mあり途中何箇所か展望地があり富士山や大菩薩南東尾根の山々を望むことができた。この山域で見る岩は亀の甲状に線が入ったり、包丁で切ったようなもの等、特徴的な岩を見られた。大峠からの登山道が山頂域に達すると開けた山肌の先に雁ヶ腹摺山の山頂標識が見えた。雁ヶ腹摺山(1,874m)は山梨百名山に選ばれ、大月市の秀麗富岳十二景第一番山頂にも指定されている。楢ノ木尾根、登り尾根の登山道が合流する山頂からの富士山の風景は、今は見ることもなくなったが岩倉具視の五百円札の裏側に描かれた写真が使われている。昭和17年11月3日7:15、名取久作氏によって撮影されたものであると案内板に書かれていた。因みにこの五百円札は昭和26年から平成6年まで発行されていた。
来た道を引き返し分岐点に戻ったのは16:46で往復に1時間30分掛りコースタイムの倍を要してしまった。I田さんの疲れが心配だが行くしかない。大峠まで山腹の巻道を進むが雪が深く谷の横断は相当際どい所もあった。大峠に達すると真木小金沢林道が越えているが冬季閉鎖中で車は来ない。もう薄暗い、時刻は17時30分、日没は17:47で林道を行くと対岸の雁ヶ腹摺山の山頂を赤く染めていた。暫くは林道下りで気温が下がりだして解けた雪がアスファルトの上で凍りだし不用意に足を踏み出すとツルリと滑ってしまった。闇が迫りだした頃、焼山沢真木東林道の分岐に達しゲートを越えて行くと登りに転じた。この林道は最早通行不能の状態で落石や土砂崩壊などが随所で見られた。とっぷり日が暮れ月齢4.5日とはいえ空気が澄んで明るく輝いている。宵の明星金星もとびっきり明るいマイナス4.87等であるらしい。
天体とヘッドライトの灯りを頼りに進み、大峠から5.3劼諒盥圓遼、湯ノ沢峠手前で林道は途切れた。後は登山道となりすぐに湯ノ沢登山道と合流し湯ノ沢峠に到った。
湯ノ沢峠避難小屋は、小奇麗な小屋で春になれば甲斐大和から車で来ることができる。立派なトイレは冬季閉鎖で使えなかった。水場は甲斐大和への登山道を少し下った所にあり冬でも得られる。小屋の周りは20冂の積雪があり雪から沸す手もあるが水の方がよい。遅い夕食を済ませ早々に使い捨て懐炉を張って寝たが寒さは厳しかった。
2日目(3/4): 晴れ一時曇り
今日は曲り沢峠でF澤さん達との10時に合流する予定だ。7時出発を予定していたがI田さんの疲れを慮って1時間10分出発を早めた。空が白み出しヘッドライトはいらない。先ずは大蔵高丸(1,781m)を目指した。樹林帯越しに朝日が昇り、モルゲンロートの南アルプスを期待し歩を進めるが中々樹林帯を抜けることができなかった。峠付近はお花畑として保護され、オダマキ、ツリガネニンジン、クガイソウ、オニユリ等が咲くそうだ。花の季節にも訪れてみたいものだ。P1687は西側を巻いて登り続け、大蔵高丸(1,781m)に到ると廻りの山々は薄いガスを纏い展望が今一になった。今日の最高峰なのでこれからは基本下りだ。
なだらかな稜線は早朝の冷え込みで清々しく、処女雪を蹴立てて進んだ。吹き溜まりは50冂も積りツボ足が沈む。ハマイバ丸(1,752m)は「破魔射場丸」と漢字で案内があり、なるほどと感心させられた。3等三角点「槻沢頭」が露出していた。山頂からの展望は一部だけだった。急斜面を下り1,635mまで高度を下げP1646他小さなピークを幾つか越えて一寸しっかりした登りで天下石(1,626m)に到った。特段山名を感じさせる岩も見当たらず、そのまま先に進んだ。下りは急斜面で下った処は米背負峠(1,538m)で嘗ては山間部で生産できない米を運んだ生活道路であったことが察せられる。
100mの登り返しで大谷ヶ丸(1,644m)に達した。双耳峰で北にもピークがあるが3等三角点「大野」があるのは南峰で残念ながら展望は得られなかった。天下石の南方に存在感を持って見えていた滝子山(1,590m)への道が左手、東方向に分岐していった。滝子山は、この後すみ沢の谷を挟み対岸にずっと眺めることになった。南の急斜面を下ると霜柱がびっしり生え、気温が上がり溶け出すと大変な泥濘になりそうな感じだった。此処で登ってくる人に出会った。昨日から初めての人との出合だ。甲斐大和の景徳院から曲り沢峠に上がり湯ノ沢峠まで行くと云う男性3人組だった。この後はトレースが有るので迷うことはない。
そろそろ曲り沢峠での合流時間が気になりだした。急斜面を下り、西に方向を変える小さなピークに到るとF澤さんたちが心配するといけないので、I田さんを置いて先行することにした。なだらかな雪の斜面を直線的に歩き高速で進んだ。少し登り返してコンドウノ丸(1,392m)に達した。展望がなく山頂標識だけを撮って通過した。あと900m下りきったところが曲り沢峠(1,265m)だ。F澤さんから携帯に着信があったが電波状態が悪く直ぐに途切れてしまった。
約束の6分前に峠に到着し何とか面目を保った。彼女たちは初狩からタクシーで道証地蔵に入りすみれ沢登山道を登り9:30頃に到着したとのことでダウン等を着込んで待ってくれていた。I田さんは頑張って歩き10時5分頃到着した。F澤さんを先頭にI田さんを2番手に配し南へと進んだ。縦走路は再び処女雪のエリアとなった。直ぐ南に聳えるオッ立(1,301m)は道があるのかどうかわからない。北側に巻道がありピークはパスして巻いて進んだ。大鹿山手前から景徳院への尾根道が分岐し、縦走路を進むといつの間にか下りに転じK原さんがおかしいと言い出したのでどうも大鹿山を巻いてしまっているようだ。彼女達にとって今日始めての“山”なので巻きたくないと云うので山頂を探ると3等三角点「大鹿山」を伴いしっかりした山頂標識が立っていた。コールして皆を呼んだがI田さんはピストンせずに待っていると云うので皆ザックをデポして斜面を這い上がり山頂を踏んだ。山頂から西にも踏み跡があり前回は尾根ルートを取った。
巻道を進んでいると中年男女の登山者が登ってきた。今日二組目の出合だ。送電鉄塔のピークで景徳院への別道が分岐し下りきると大鹿峠(1,138m)に達した。道証地蔵への点線道が分岐し見上げるとお坊山が大きい。300m余りの登り返しがあり今日の正念場だ。ゆっくり進んだがI田さんは苦しそうだった。東峰への分岐点から少しにしに進んだ所に大菩薩南東尾根が一望できる展望地があり山頂かと思ったが未だ先だった。I田さんの心が折れ登頂を諦め此処で待っていると云うので、他の4人はザックをデポし兎に角お坊山(1,430m)山頂を踏んだ。高齢の女性が一人昼食を食べていた。人恋しいのか良く喋る人だった。適当にあしらっていたが横浜から来た。この山域が好きでしょっちゅう来ている。聞いてもいないのに此の山は何、あの山は何と一寸煩い。アルプスが一望でき白峰三山の白さがが一際目立った。
展望地に戻り昼食休憩を取っているとさっきの小母さんが下りて来て立ち止まりまた喋ってきた。昼食後分岐まで戻り東峰へと踏み出すと往復してくるトレースが付いていた。此れはさっきの小母さんだ。そうすると景徳院の方に下ったのだろうか。何れにしろもう会うことはないだろ。東峰(1,421m)にも大月市の立派な山頂標識がありお坊山で撮れなかった全員での写真を撮った。此の尾根は、初めて通る道で登山地図には赤点線道となっている。ルートファインディングに自信のないF澤さんは僕に先頭を譲った。微かに道形は認められるが外しても比較的分り易い稜線だ。
東峰から200m余り下って少し登り返すと棚洞山(1,201m)に達した。東峰がピラミダルな山容で聳え大きさを感じさせた。3等三角点「入道山」があるが、この先のピークが入道山で山名と一致していない。更に200m下るとその入道山(992m)で少しだけ展望が得られた。今山行の山は此れでお仕舞、尾根を東に進み吉久保集落へ下るだけだ。P891は若しや山名があるのでは密かに期待していたが単なる標高点だった。送電鉄塔を潜ると尾根の先端が近い。赤テープが尾根の左右に向けて付いている。登山地図通り右の南に下りる道を進んだがこれが大変な急斜面で送電巡視路の階段の残骸を辿って降りたが土砂と落ち葉に埋もれ危険この上ない。後で登山地図を確かめると地図ルートの少しに西に下ってしまったようだ。中央道の下を抜けたのは良いが中央本線が越えられず吉久保集落へと入りガードを潜り国道に出ると吉久保入口バス停があった。大月行のバスがうまい具合に10分後にあるので笹子駅までの2匱紊亮崙司發を省略してバスで大月へと向かった。
16:33の高尾行に乗ろうとホームに行った時、F澤さんがストックのないのに気づいた。バス停に戻ったが其処にはなく、バスの運転士が吉久保入口バス停を次のバスで見てくると言ってくれたので一本後のホリデー快速で追っかけてきた。先行した我々も高尾からホリデー快速に乗り立川で下車して駅前の坐・和民で反省会をした。ホテルメッツ立川泊り。
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