98時間75kmのお盆山行 上高地から室堂へ雲の平と薬師岳を越えて
- GPS
- 97:20
- 距離
- 75.6km
- 登り
- 6,319m
- 下り
- 5,391m
コースタイム
- 山行
- 7:21
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 7:30
- 山行
- 9:54
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 10:24
- 山行
- 9:18
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 10:22
- 山行
- 9:06
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 10:10
- 山行
- 4:08
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 4:38
天候 | 8月12日 はれのち曇り 殺生ヒュッテ テント泊 8月13日 雨 稜線は南の風強い 雲の平山荘泊 8月14日 雨 稜線では風が強く 気温が低い スゴの小屋テント泊 8月15日 晴れ 午後から雲が湧き 高山の山頂はガスの中 雷鳥沢テント泊 8月16日 晴れ 午後からガス 午後3時37分新島々到着 午後7時帰宅 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
新島々駅のパークアンドライド駐車場を利用し、12日朝車をデポ。 新島々駅から上高地バスターミナル直通の「アルピコ」バスに乗り登山口の上高地バスターミナルへ。 下山 立山室堂バスターミナルから「アルペンルート」を利用し扇沢へ。 扇沢からJR信濃大町駅まで「アルピコ」バスを利用、信濃大町から松本駅までJR大糸線。 松本駅から新島々駅まで「松本電鉄(アルピコ)」を利用し、デポした車を回収。 上高地へ入山するには、沢渡駐車場を利用するのが一般的だが、今回の様な縦走計画で、下山後にバス鉄道を利用し車に戻ろうとする場合、室堂から松本駅、新島々までの移動手段は問題が無い様だ。 しかし、夕刻の時間には新島々から沢渡までの移動手段がタクシーの他は、歩きかヒッチハイクしかなくなってしまう。 また、室堂から入山する場合には、お盆期間中の混雑で扇沢からのアルペンルートが乗れない可能性が有る上に、時間が遅ければ「雷鳥沢キャンプ場」でアプローチの為のテント泊をする必要が有り、山行日程が一日多く必要になる。 おまけに、上高地へ下山後夕刻発の沢渡行きのバスに乗れない可能性も高い。 と言うような理由で、上高地から入山し、槍ヶ岳を背にしながら室堂を目指して歩くことに成った。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
体力勝負の縦走ルートのイメージです。 ゆっくり楽しむなら、6日間有ると良いですし、立山をも堪能するなら7日間有るともっと良いでしょう。 |
写真
感想
5日をかけて上高地から室堂まで歩く計画にしていたが、雨の為わき目も振らずに歩いていたら、泊地が前倒しとなり4日で室堂に到着した。
西鎌尾根、雲の平、薬師岳と雨の中で何も見えなかったが、天候の回復居した越中沢岳から振り替えったそれらは、やはり素晴らしいもので、最高の達成感に包まれながら室堂に降り立った。
最終日には雄山と大汝山に登頂し、今回の山行はほぼ100%近い完成度を見られたと思う。
室堂〜扇沢、信濃大町、松本など公共交通機関で私の激しい汗臭さに、大変ご迷惑をおかけした方々に、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
あぁ、楽しかった、でも疲れた。
☆8月12日
(朝のうち青空が見えたが、昼ごろには曇り時々小雨が降る)
午前3時起床3時半自宅出発
長野県の新島々駅駅を目指して車を走らせると、未明の時間帯で道路はガラガラの為、予想外に到着時間が早く成りそうな予感がする。
新島々午前7時発の上高地行のバスに乗る予定で居るのだけど、このままの勢いで行けば、午前6時の始発のバスに乗れるかもしれない。
少しだけアクセルを深く踏むと、新島々のパークアンドライドの駐車場に6時55分に到着した。
それからが大忙しだった、切符を買わなきゃいけないし、靴下を履かなきゃいけないし、ザックに入れて無い少量の荷物も忘れる訳には行けないので、恐ろしいほど早い動作で動き回ったが、歯ブラシとパンツを持つのを忘れてしまった。
なんとか、始発のバスに滑り込み、7時10分に上高地バスターミナルに到着した。
さぁ・・・いよいよ始まるぞ!
昨年の夏は、台風のお陰で縦走山行出来なかったから、今年は去年の分まで歩き倒してやるつもりだ。
意気揚々と歩き始めた私は、槍沢ロッジまで2、3回水筒から水を飲むために立ち止まった物の、休憩を取らずに歩いてしまった。
ルートの時間とは大きく違うが、実際には槍沢ロッジまで3時間20分で到着して居る。
そこから先は槍ヶ岳に向けての急登が始まる部分で、今までの歩行ペースががっくりと遅く成った、本領発揮である。
槍ヶ岳肩の小屋まで上がっておきたかったが、テント場が満杯でテント泊出来ないかも知れない、などと極めて自分に都合のよい理由を探した揚句、手前に有る殺生ヒュッテのテント場に倒れ込むように到着したのだった。
心配して居た先日までの「シャリバテ」状態は、なんとか今山行では問題ない様だ。
☆8月13日
(夜中の内から雨 終日雨)
未明から雨脚が強まり、テントを叩く雨音がやかましくて、夜中にたびたび目が覚めた。
予想されて居た雨とは言え、やはり雨は厄介だ。
テント以外の荷物を、テントの中で全てザックに収納した後、意を決して外に出た。
幸いな事に随分と雨は小降りに成っていたので、テントの撤収には都合が良かったが、レインウェアは上下とも着込んで居るし、フライシートが乾いて居るなんて事は全くない。
雨の中を槍ヶ岳に向かって登り始める、何時もそうだが2日目の方が足の調子が良い、昨日よりも軽い足取りで急登を登る事が出来るのは有難い。
ガスのせいで槍の穂先は全く見えない、先月にも一度登っている槍ヶ岳の山頂なので、今回はこのガスの中、山頂アタックはパス。
肩の小屋でペットボトルの飲料水を買った、槍沢ヒュッテの水が消毒臭くて飲むに堪えないものだったからだ。
肩の小屋で天気予報を見たり、外の空の様子を見たりするが、天候が良く成る気配はみじんもない。
この雨と風の中を、あの西鎌尾根を歩けるのか?
2年前に歩いた事が有る西鎌尾根だが、その時は重荷を背負って双六小屋から、槍ヶ岳目指して歩いて、5時間以上・・いや6時間かかった様に記憶して居る。
今回はその時の逆方向なので、下り基調で楽なはずだ、双六小屋へ4時間で到着出来ると予想している。
意を決して歩きはじめるが、見渡しても誰も居ない。
下から吹き上げて来る冷たい雨が顔を叩く、濃いガスは今来たばかりの登山道をも隠してしまっている、もちろん今から歩いて行く先なんて、ほんの目と鼻の先までしか見通せない。
北向き斜面では、無風状態に成りかえって暑くて仕方がない。
ほとんど落胆しながら双六小屋には10時前に到着出来たが、パンツまで濡れて気持ち悪い。
談話室に上げてもらい、カレーライスとビールを流し込んだ、血糖値の事を考えると非常に内容の悪い食事なのだが、行動中に糖分が切れると全く動けなくなってしまうので、山行中は糖質の過剰摂取の事は考えない様にした。
談話室にはストーブに火が入って居たおかげで、着て居る物も随分乾いてくれた。
双六小屋を後にして、三俣山荘への最初の分岐にやって来た。
当初の予定では、双六岳の山頂もきっちり踏んで、三俣蓮華岳の山頂へ向かうはずだったが、雨のお陰ですっかり士気が下がったので、一番楽そうな「巻き道」を選んで逃げた。
三俣山荘へ案外早く到着してしまったので、先へ行く事にした。
本来の予定では此処が今日の泊地なんだけど、まだ昼の12時30分頃なんで行動を止めるには時間がもったいなさすぎる。
小屋で、雲ノ平までのコースタイムを尋ねると「3時間半くらい」と言う返事だった。
なんとか歩けそうな時間なので、今まで歩きてきた勢いでそのまま歩き始めてしまった。
しばらく沢の横の登山道を下って行くと、「黒部源流」と言う様な立派な石柱の有る場所に降り立った。
思えばかなり深い山の中に立ち入って居るんである、いまさら泣きを入れたって帰るに帰れない場所なんだとあらためて思った。
そこから黒部川を渡渉し、直ぐに雲ノ平への急登を登る、見上げる程の急坂なんだが、雨とガスのお陰で見通しが悪いので、急登の全体像が見えないのが幸いだ。
急登を登り切ると、だだっ広い場所に躍り出た。
ちょうど御嶽山の賽ノ河原の様な雰囲気に似た草木の生えて無い所で、「日本庭園」と呼ばれる場所の近くらしい。
滑り止めの施された木道をテクテクと歩く、なんだかひたすら歩いた気がする。
歩いても歩いても木道はずっと繋がって居て、何処までも歩かないといけない気がした。
この辺りで、島根県の出雲から来た登山者と一緒に成り、いろんな話をしながら歩いた。
それにしても彼のザックは大きい。
私は4泊5日で40Lのザックでシュラフマットだけを外付けしているが、彼は70L位のザックにシュラフマットを外付けして居る。
いったい何を持って来て居るんだろう?私の荷物に不足して居るのは、歯ブラシとパンツだけの様な気がしているが、・・・あ!焼酎は昨晩少し飲んだんで、軽く成ってるけど、まだ800cc位は残ってたはずだ。
祖父岳(じいだけ)からの登山道が右からやって来て分岐点に成った、地図を良く見て無い私がいけないが、どうやらこの辺りは複雑に登山道が入り組んでいるようだ。
しばらく歩いて、やっと雲ノ平山荘に到着した。
ずっと降り続く雨に、すっかりテント泊の気力は無くなり、小屋泊の手続きをした。
客が多いので1枚の布団に2人で寝るそうだ。
そんなの初めてなので、どうなるのか分からないが、小屋の中は喧しくて、一人ひとりが思い思いの事をやってる様な気がする。
天気さえよければやはりテント泊だな!!人に気を使って、縮まって寝るのは性に合わない!!
明日は晴れます様に!!
☆8月14日
(朝から雨 午後3時頃に雨が上がる)
明け方に小屋の屋根を叩く雨音で目が覚めた、屋根裏に寝て居るのと同じ様な物なので仕方がないが、本当にトタンを叩く音が大きかった。
さて、久しぶりの小屋泊は夜中にイビキの合唱で賑やかだった、睡眠導入剤を服用の上、耳栓とアイマスクの防備をしておいて良かった。
晩ご飯は小屋の食事を食べたが、朝ご飯は自炊した。
同じ様な人は結構沢山居て、聞けば雨に負けて小屋に泊まったと言う人ばかりであった。
午前6時過ぎにゆっくり出発した、今日の予定は薬師峠キャンプ場の予定だからだ。
ゆっくり歩いてもかなり余裕の時間で到着出来るはずなので、急ぐ事は無いと納得して居たが、いざ歩きだしてしまうとそんな考えは直ぐに何処かへ忘れて来てしまった様に、一目散に歩いて居る。
雲ノ平から薬師沢小屋への下りはきつかった。
大きな岩が積み重なり、それが雨に濡れて滑り易く、樹林帯の中なので風も吹かず、下りなのに汗だくに成ってしまった。
薬師沢小屋で給水しながら、ペプシコーラを飲んだ。
昨晩、小屋で一緒に成った人たちと話しているうちに、気分が良く成って3日分の焼酎を一晩で飲み干してしまったから、二日酔いで気持ちが悪かったからだ、無性に炭酸飲料が飲みたくて仕方なかった。
あぁ・・あんなに飲むんじゃ無かった。
薬師沢小屋から太郎平小屋までの詳しいコースタイムは分からないが、太郎平小屋方向から歩いてきた人、数人に聞くと、おおよそ2時間半位で到着出来そうだ。
薬師沢小屋を8時半頃出発したので、11時頃には到着出来るんだろう、雨の中かなりいい加減な物である。
それでも太郎平小屋には10時20分頃に到着してしまった。
途中から一緒に成った男性(浜松在住のヤマハ発動機社員36歳)と、楽しく話しながら歩いて来れたので、時間と疲れを忘れてしまった。
太郎平小屋ではカレーライスとビールを補給、しかしカッパの上着を脱いで小屋の外の庇の下で休憩しているうちに、体が冷えてしまった。
小屋を出発する時、震えながら歩き始めたが、低体温症の事が頭をよぎり、これってかなり危ない状態だよなって自分自身で思った。
少し早足で20分程歩くと、体が温まって来て寒さによる震えはなんとか止まったので、ほっとした。
薬師峠キャンプ場に11時ちょっとに到着したが、この頃にはすっかりスゴ乗越小屋まで行く気に成って居た。
先ほどの太郎平小屋でコースタイムを確認したら、5時間程に成って居たため、午後4時前後にはスゴ乗越小屋に到着できそうだと考えたからだ。
ただ、こんなに遠いとは思って居なかったので、倍増し蓄積する疲労は予定外だった。
薬師岳、北薬師岳は強まる風と雨の中、通過しただけに成ってしまった、こんど晴天を狙って訪れようと、気休めをつぶやきながら歩いた。
大きな岩が折り重なる様になって、岩を一個一個乗り越えながら、しかもすこし雨で滑り易く成っていて気が抜けない、通過するのにとても疲れた。
午後4時半頃やっとスゴ乗越小屋に到着出来た、この1時間半ほど前に何とか雨は上がり始めて居た。
途中、間山からスゴ乗越小屋までは緩やかに高度を下げながら降りてゆく、しかし登山道が大きく左にカーブした様な気がして成らず、つまり北進して居た登山道が大きく左に曲がりながら、知らぬ間に南西方向に進んで居る様な気がして成らなかった。
記憶して居る地図は、ずっと北進して居た筈だから進む方向が違う様な気がして不安で成らなかった。
途中で3回も4回もGPSで進路を確認し、間違って居ない事を確かめても不安だった、不思議な物だ。
スゴ乗越小屋に着いた頃にはすっかり雨は上がって居て、青空は見えないが二度と雨が降る心配はなさそうだったので、まよわずテント泊の申し込みを行った。
小屋から2分程スゴ乗越方向へ歩いた所に、そのテント場は有った。
テント場の小屋に一番近い最上部の平らな場所には、10人用?の大きなテントが張られて居た。
テント場で大きなテントと言うのは、まったく良い印象が無い。
大学や高校の山岳サークルなんかが、キャンパスのノリをそのまま山に持ち込んで、他の登山者の事なんかお構いなしに騒ぎ、就寝時間や消灯時間と言う物に縁が無いと言う記憶しかない。
出来るだけその大型テントから遠くにテント設営したかったが、あいにくそのテント場の面積は小さく、私のテントは大型テントと10mも離れては居なかった。
大型テントの主は「滋賀大学の山岳部」だと、翌日分かった。
彼らとは、翌日以降4回も遭遇する事になろうとは、この時微塵も思って居なかった。
予想を裏切ってと言ったら彼らに非常に失礼だが、彼らは午後7時半に「消灯」と言って、きっぱりと静かに成り、良く未明の3時に起床して、出発準備を始める迄本当に静かに、規律正しく行動して居た、滋賀大学山岳部・・バンザイ!!
テントで晩ご飯を作ったが、昨日の焼酎の飲み過ぎで食欲がなく、「親子どんぶり」は半分を捨ててしまった、飲み過ぎを反省。
そうそう、スゴ乗越のテント場には蚊が居た。
「蚊が居る、蚊取り線香なんか持ってないよ」と声を出したら、隣のテントの人が「蚊取り線香は常備品ですよ」と言って、線香を分け与えて下さった、有難う!でもそれを使うことなしに、テント内の蚊を叩いて退治してしまった。
しかし、今まで蚊の居たテント場は、ゆいいつ上高地の小梨平のキャンプ場で、標高は1500m程のお盆の時期だった。
登山のテント場で蚊が居た経験は皆無で、本当に蚊取り線香は常備品なんだろうか?そんなに大事な物を、なんで持ってないんだオレ??
☆8月15日
(晴れ 午後からガスが上がって来て薬師岳を隠した)
午前3時半に起床した、疲れがたまって来て良く眠れない感じだ。
今朝も尾西のアルファ米「五目御飯」を食べた、湯を入れてほっとけば20分も有れば食べごろに出来あがって居るので、その20分間にシュラフなんかを片付けるのにちょうど良い。
しかも、結構美味しいのだ、もう少し濃い方が良いかなと言う薄味だが、それが飽きずに食べられる良さなのだろう。
テントも片付け、一旦小屋に行きトイレを済ませる。
水を補給して居ると、東の空が明るさを増し、日の出を迎えた、空は青空だ!
さぁ・・・今日は何処まで歩こうか?
五色ヶ原でキャンプを張れば体が楽だが、16日の日程に無理が来る様な気がするし、スゴ乗越小屋から五色ヶ原までは、5時間も有れば到着できそうな話を聞いた。
午前11時前に五色ヶ原に到着後、そのままキャンプでは時間がもったいない。
今日は、雷鳥沢キャンプ場まで歩いて、そこでキャンプを張ろう、決めた!!
スゴの頭(すごのず)を「越中沢岳」だと思って、頑張って登る途中で滋賀大学に追いついた。
スゴの頭が越中沢では無いと分かって、すこし落胆しながら更に急登を登ると、やっと越中沢岳に到着。
コーヒーを沸かして行動食を食べ、ゆっくり休んで居ると、遅れて滋賀大学が到着。
この山頂からは、薬師岳が大きく見える。
昨日おとといと歩いてきた稜線が一望できるのだが、あんなに遠くから、しかもギザギザの稜線を、ガスの中何も見えずに風に吹かれて、よくも歩けたものだ。
じっと稜線を見つめて居ると、昨日歩いて居た一歩一歩が、まるで今歩いて居るかのように思い出される、辛かったな。
180度振り返って見ると、五色ヶ原が見える。
優雅な右肩下がりの斜面の途中に、赤さび色のトタン屋根が大きく見える。
滋賀大学の誰かが「あそこが五色ヶ原〜?めっちゃ近いやないですか?」と言い放った。
いやいや、私にとっては十分遠いんですけど・・・・。
その向こうにはザラ峠の急登も見えて居る、この疲れた足で登り切れるか心配に成って来るほどの急斜面に見えた。
越中沢岳から五色ヶ原山荘まで、心行くまで山を堪能しながら、青い空と眼下に広がる五色ヶ原の高山台地、登山道脇の高山植物と、吹き抜ける心地よい風を楽しんだ。
近くに見えて居る様で案外遠い、五色ヶ原山荘にやっと到着した。
小屋の外には水場が見当たらなかったので、小屋から少し今来た道を戻った所に有る、大きな貯水タンクまで戻って顔を洗った。
大きな貯水タンクの上部からあふれ出て居る水は、五色ヶ原の豊富な自然を見せつける様に、冷たくてとても美味しかった。
そんな水の落下地点には、バケツに入れられた缶ビールが良く冷えて居て、さぁ!どうぞって言ってる様だった。
小屋の前のテーブルとベンチに座り、行動食を、小屋で買ったビールで流し込んで、真っ青な空の下をざら峠に向かって再び歩きはじめる。
誰も居ない、五色ヶ原を一人占めだ。
大きな急斜面が立ちはだかる様に突き立っている。その斜面の向こう側に信じられない位の大きさを持って、立山の主峰、雄山が頂きに祠を載せて天に突き出している。
いったい何時間かかるのだろう?あそこまで行くのに?
ざら峠を登り詰め獅子岳に到着した、1時間30分位かかったが、なんとか登り切れた。
昨日位から、コースタイム通りかちょっと余分に時間を見ておかないと、歩けなくなってきている。
疲れて居るのが自分でもわかるくらい足が痛い、筋肉痛と言うより疲労からくる足の重さが原因だ。
しかも、足の裏が痛いし、雨が上がったのに靴の中が濡れて乾かない、足がふやけた感じで何とも気持ち悪い。
鬼岳を左に巻きながら登り詰めると、右手に大きな尾根が見え、その尾根を辿って行くと、一の越山荘が見えて居る。
ちょうど富山大学の研究施設が有る辺りで、右へ一旦下りれば一の越山荘、左へ下りれば浄土山を経由して室堂平へ下りられる。
地図上で見ると、左へ行くと近そうなので、浄土山経由で降りる事にしたが、どうやら一の越経由の方が道が良かった様な気がする。
私の人生はいつもこんな風に遠回りばかりだ。
室堂平へ下りると、コンクリート舗装された遊歩道があちらこちらへ伸びているのが見える。
何処をどう進んだら、雷鳥沢キャンプ場へ行けるのか、全く分からない。
案内の大きな地図を見ながら、登山者にも聞きながら、キャンプ場を目指したが、ここら辺りは「にわか登山者」と「ファミリーキャンパー」と「一般観光客」が入り混じり、非常に複雑だ。
でも、頑張って山登ってますって言う風な登山者は、どこからかノボラーのオーラが出て居て、一目しただけでなぜか分かってしまう。
ちょっとした足の運び方なんかの違いなんだろうけど、どこかが違う雰囲気が見て取れるから面白い。
休憩時に、居合わせた登山者と話をしても、辛い山を越えてきた登山者は口数が少ないが、越えてきた山の数だけ匂いがして居る。
しかし、にわか登山者は雄弁だが、厚みがないのである、なぜか話をするとペラペラな薄っぺらさで、いくら見栄をはって有名な山に登った自慢話をされても、その人の向こうにその山が見えないのであるから、不思議だ。
雷鳥沢キャンプ場で、なるべく静かな場所を探してテントを張ったつもりが、ファミリーキャンプ場の要素が有った事をすっかり忘れて、水場の近くに場所を取ってしまった。
夜遅くまで、鍋を洗う音が喧しかったのは、失敗だった。
☆8月16日
(朝から快晴 午後は雲が多い)
午前3時半、疲労が蓄積して体が重いが、最終日なので鞭を打ってテントを片付ける。
朝ご飯は食べる元気がなかったので、行動食を少し水で流し込んで、歩き始めた。
昨日は疲れ果てた上に、靴の中が濡れて恐ろしく気持ち悪く、風呂に歩いて行く元気もなかったし、疲れがピークで眠るのも苦しい程だった。
5日で歩く工程を、4日で歩ききった疲れが来ている、しかし、もうひと山・・いや雄山と大汝山の2つだけは今日登ってしまおう。
絶対に登らないと駄目という義務感を持って、昨日下りてきた遊歩道を雄山に向かって上がって行く。
こんな遊歩道じゃ無くて、ほかに登山道は無いのか?と考えていたら、ちゃんと他に登山道が有る様だった、随分と標高を稼いでから見渡したら、雷鳥沢キャンプ場から続く細い登山道が、一の越山荘の方へ伸びて居るのが見えた。
雄山山頂は神社の祠が有り、登拝料を支払わないと登頂できない仕組みに成って居る。
不本意ながら500円を支払い、雄山に登頂。
ついでにお祓いをうけて、お神酒を頂いたが、宮司の態度はまるで仕方なしにやってるんだ的で、ご利益も何もあったもんじゃない。
雄山の向こうに見える大汝山にも行って見よう。
途中にザックをデポして、身軽に成った体一つで、ポケットにGPSと財布、それにアイフォンだけを入れて、小走りに駆け抜けた。
ザックが無ければ、本当に体が軽い。
最後の山頂も踏んで、下り始める。
下って居ると、どこかで見た様な顔の青年たちが上がって来る、一人だけ女の子が混じって居たので、「滋賀大学だったよね?」と聞いたら、向こうも私を覚えて居て、偶然の不思議さを口々に発して居た、スゴのテント場から4回も会って居るんである。
まぁ、同じ登山道を同じ方向に歩いて居るんだから、驚く事も無いのかもしれないが。
室堂のバスターミナルに到着したのは午前8時40分頃。
これでこの山行も全て終わった。
午前9時発の臨時便に乗り、室堂を後にした。
時々すれ違う、室堂行きのトロリーバスは恐ろしく満車だったのが、やけに目に焼き付いている。
あぁ・・・・・楽しかった!!
最後までお付き合い下さったアナタ!どうも有難う!!
おめでとうございます!
凄いとしか言いようがないです
しかも、雨でかなりの悪条件のなかよくがんばりましたね!
神です!
自分も登山の経験を積んでいつか挑戦してみたくなりました。
ゆっくり身体を休めてください!
psmaruさん有難うございます。
5日間の予定を4日間で歩いてしまったのは、今思うと失敗でした。
足腰への負担が大き過ぎた様で、下山後3日経った今疲れがどっと出て来ました、昨日は未明から神戸へトラックに乗って往復してしまいましたし<泣
>神です!
いえいえ・・私まだ生きてますから
・・・天国には召されません、きっと地獄に行きます私<笑
>自分も登山の経験を積んでいつか挑戦してみたくなりました。
木曽駒から空木を、日帰り縦走したpsmaruさんなら楽勝です!!
有難うございました
graveltrek
お見事です!これぞ縦走!!
天晴れです
kaakaka さんコメント有難うございました。
昨日は未明から神戸に行っておりましたので、返信が遅くなりました。
>これぞ縦走!!
有難うございます!!立山の雄山に立って、歩いてきた道を振り返った時、とても遠くに見える槍ヶ岳、ギザギザに尖った稜線を持つ薬師岳が見え、その道のりの長さに自分自身とても感慨深かったです。
またひとつ、山の楽しさの奥深さに触れる事が出来ました。
お盆の期間中に、kaakakaさんと案外近くに居たんですね、お会いできたらさぞ楽しかったでしょうに、残念でした。
graveltrek
お疲れッス
なんとまぁ、登山者の夢を具現化した様なコースですなぁ〜 これだけ歩けたら、完全復活宣言かな?
ボチボチ平日休みをとって、ワタシもアルプス行こうかなぁーという季節なので、相談乗って下さいネッ
大縦走 ご苦労様でやんした!
osamu310さんコメント有難うございます。
7月の体調不良も、なんとか克服方法が見つかった様で、今回楽勝と言う程では有りませんでしたが、予定の泊地を先に取る事が出来ましたので、5日間の予定の行程を4日間でこなす事が出来、最終日は立山をゆっくり味わう事が出来ました。
休日が合えば、穂高の縦走などをご一緒しましょう、こんどは西穂から先の大キレットまで歩けますよ!!
graveltrek
湿気で曇ってしまったカメラのレンズが、二日降り続けた雨の激しさを伺わせますね
graveltrekさん、こんばんは
楽じゃなかっただけに、歩いてきた道のりを振り返った時の達成感はハンパなかったでしょうね
いつかこんな長い距離を歩いてみたいなぁと思わせてくれるレコでした
lowriderさんコメント有難うございます。
湿気に曇ったカメラは、山を降りてから息を引き取りに成られ、天国に召されました<泣
今回の山行は、私自身にとっても無理をし過ぎた感じです、8月21日の今日も疲労感の真っただ中に居て、ダル〜イ体で仕事してます。
lowriderさんなら簡単に歩けるコースだと思います、ぜひ一度歩いてみて下さい。
graveltrek
プロフ、めちゃくちゃウケました笑
なので、ついコメントさせていただきたくなってしまい。。。
ところで、とても良いルートですね!
車回収の手段もとても参考になりますので、お気に入りに登録させて頂きました。
やはり、IN & outが異なる山旅はロマンがありますね。
来夏の縦走の参考にさせていただきます。
はじめましてmessiahさん。
まだまだ他に良い方法が有るかも知れませんが、新島々駅のパークライドの駐車場は使えます!
夕方以後にバスが無くなりますので、鉄道の駅じゃ無いとタクシーのお世話になってしまいます。
どうぞお楽しみに下さい。
graveltrek
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