八ヶ岳(美濃戸〜硫黄岳〜稲子湯温泉)
- GPS
- 27:56
- 距離
- 18.9km
- 登り
- 1,485m
- 下り
- 1,464m
コースタイム
JR新宿0730=<特急あずさ3号>=0951JR茅野駅=<ジャンボタクシー>=1025美濃戸登山口
1040美濃戸登山口発-1150美濃戸山荘(昼食)1215-1305堰堤広場1310
-1351小休止1356-1415赤岳鉱泉着
2011/01/01
0742赤岳鉱泉発-0755衣類調整0800-0828小休止0833-0912赤岩ノ頭手前0923
-0930赤岩ノ頭-1010硫黄岳1016-1045夏沢峠(昼食)1105
-1137本沢温泉1152-1225小休止1228-1303しらびそ小屋1322
-1353小休止1356-1428稲子湯温泉着
天候 | 2010/12/31 晴時々曇 2011/01/01 晴時々曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
稲子温泉〜JR小海駅:送迎バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
・美濃戸登山口で登山届提出 ・美濃戸登山口〜美濃戸山荘は積雪路。4WDは必須?登り方向、右ヘアピン 急坂が鬼門のようだった(一旦停止すると再発進不可)。 ・稲子湯温泉は炭酸泉の冷泉で日帰り入浴可。 |
写真
感想
昨秋11月の会津駒ケ岳で想定外に夏装備で積雪登山となり、これまでは「冬山登山なんて無理無理、
冬はのんびり山スキーで十分」主義だったのが、冬山やってみようかという気分に。
積雪期の冬山を試す機会を考えてみる。いきなり単独行は無いとして、色々な意味で商業ツアーへの参加
がいちばんハードルが低い。年末年始、現行の技術と山スキー装備で間に合いそう、という条件で探し、
二泊三日硫黄岳、がヒット。
ツアー参加も八ヶ岳も積雪期登山も、すべて初めて尽くしの山行だったが、結果的には好天に恵まれ大変
楽しい冬山経験となり、冬山登山を真面目に初めてみようと決意した。
以下、個人日記です。
【前日まで】
ツアー会社から特に必要な装備のリストが事前送付される。新たに買い足したのはピッケル(※ツアー会社
からは不要の指示)と目出帽。初めての冬山への緊張感とともに、年末年始は強い冬型で大荒れとの天気
予報にやきもき。ツアーは無事催行されるのだろうか?赤岳鉱泉でピストンか?
山の会の先輩から、耐風に関するアドバイス頂戴する。
・耐風姿勢を取れるように
・上着の裾がバタつかないよう対策
【一日目:美濃戸〜赤岳鉱泉】
新宿7:30発のあずさ3号の中でツアー集合。山梨県に入る頃には青空に映える雪山が車窓いっぱいに
広がる。定刻に茅野到着。トイレ等すませ、ジャンボタクシーに乗り換える。暖房が効きすぎ大汗をかく。
美濃戸登山口に到着。身支度を整える。結構暖かいので「わりと薄着」仕様にする。スパッツをつけ、
手にはストック。今日は赤岳鉱泉までなのでピッケルは出番無しだろうとザックにしまいっぱなし。
アイゼンをすぐに出せるようザック上部に入れ替える。CLの「じゃ〜出発します」との声で一列に隊列を
組み歩き出す。途中のショートカット急坂を抜けたところで軽く衣類調節が入る。なだらかな林道の樹林帯
を歩き続けると建物が見えてくる。美濃戸山荘へ到着。ここでお昼。休憩ベンチには多くの登山者、さすが
大晦日。大きなザックにザイル、ヘルメット等担いだ人たちも多く、冬山登攀の世界を実感する。テーブル
には熱いお茶の入った魔法瓶と湯のみがあり、小屋の方から「自由に飲んでくださいね」と声が掛かる。
昼食を終え出発。林道歩行はここまでで、川を渡り登山道へ入る。気温低くギュッとした締まった雪がよく
踏まれたコンディション。沢沿いを順調に登っていく。
山の稜線はガスが覆ったり取れたりを繰り返している。登山道は相変わらず人が多く、我々もそうだが
団体が多い。そういえばいつもは「山でお正月を迎える人達が続々と入山しています…」という釜トンや
美濃戸口のニュース映像を暖房の効いた家で眺めていたなぁと思い出す。今年は自分もその一人だと気付く。
などと考えているうちに赤岳鉱泉到着。青いアイスキャンディーが目に飛び込む。これが雑誌でよく目にする
実物か!取り付いている人も。色とりどりのテントもすでに多く設営されている。受付済ませ小屋の中へ。
広い。何かおしゃれな感じ。割り当てられた部屋は炬燵2台で9名がゆったり過ごせる広さ。ありがたい。
ツアー会社からの支給品という焼酎一升が振舞われ、CLとSLを中心に皆で炬燵を囲んで夕食まで宴会。
シチューとポトフの夕食は驚きの美味しさ。重厚な木をふんだんに使った椅子・テーブルは山小屋食堂と
いうよりはダイニングという雰囲気。お楽しみのビンゴ大会は約130名の参加者とのこと。まあ当たらない
だろうと踏んでいたが、結構早く揃ってビンゴ!くじを引いて当たった賞品は定価\13,000のトレッキングパンツ。
サイズはピッタリ!2010年は物凄く悲惨な一年だったので、最後に大きな運で帳尻が合ったのかもしれない。
【二日目:赤岳鉱泉〜硫黄岳〜夏沢峠〜稲子湯温泉】
朝食には澄まし仕立ての雑煮も振舞われ、正月気分を味わう。出発時からアイゼン装着の指示が出る。
ストックはザックに取り付けピッケルを出す。赤岳鉱泉から赤岩ノ頭までは樹林帯なのであまり厚着はせず、
防寒・防風装備をすぐ出せるよう準備。準備が整ったところで出発。久しぶりのアイゼン歩行だが、よく
踏まれ締まった雪面に歯がよく利いて非常に歩きやすい。前爪がないので引っ掛けることもない。樹林帯を
抜け赤岩ノ頭の手前で衣類調整の小休止。ここまで登ってきてもあまり寒さを感じず、目出帽でなくフェイス
マスク、様子見でサングラスのままとする。赤岩ノ頭らしき場所を通過、広々した平らな地形の向こうに稜線
への岩場が見える。風の通り道らしく強風が吹き抜ける。山頂手前の風の弱い場所で、装備の最終チェック。
アウターの袖口や首周りをクローズし、フードのコードも締める。でもやはりあまり寒くないのでゴーグルは
出さず。さあ、いよいよ山頂へ。どんな暴風が待ち受けているかと意気込んで山頂へ飛び出すと…
広々とした硫黄岳山頂は極めて穏やかなそよ風。北へ目をやると、手前の雲海から小さく頭を出す天狗、その
奥にも様々な山が見渡せる。荒々しい爆裂火口の迫力。写真を思い思いに撮り、寒いので早々に出発。夏沢峠へ
向けて下る。ここは風が強いから注意とSL。やや急な岩場で雪の付きが悪く、岩の上のアイゼン歩行となり
若干緊張。しかし特に滑るわけでもなく、アイゼンの威力を実感。すいすいと下り樹林帯へ入るとすぐに夏沢
峠へ。ここで手早く昼食を終え、樹林帯対応衣類へと調整し出発。順調に標高を下げると硫黄臭が。本沢温泉の
雪中野天風呂が下方に見える。雪に覆われた沢を見下ろす位置で気持ちよさそう。本沢温泉で小休止、アイゼン
外すよう指示が出る。休憩ついでにSLに耐風姿勢を教わる。これを咄嗟に素早く、しかし冷静に行うには相当
練習しなければダメだろう。出発、松原湖方面への分岐を右に見送りしらびそ小屋・稲子湯方面へ。若干の
登り返しののち、真っ白なミドリ池の脇にひっそりと佇むしらびそ小屋へ。ここで小休止。穏やかな日差しの下、
青空と白い池に映る樹木の影。このまま時間が止まればよいのに。出発。樹林帯を順調に下り、車道へ出たり
逸れたりしながら、本日宿泊の稲子湯温泉へ無事到着。
重厚な建物の玄関に立派な門松。炭酸泉の冷泉は初体験で、濁り湯、硫黄臭。木の浴槽の滑らかな湯に
浸かると体の芯からほぐれていく。コップがあったので何事も体験と冷泉を口に含むと「!!!!!」
豪華な食事におせちや雑煮も振舞われ、穏やかな天候、青空に映える真っ白な山々、親切なツアーメンバーに
恵まれた心に残る素晴らしい山行を反芻し2011年の正月を心から楽しんだ。
◇今回の装備
<ウェア>化繊下着、長袖アンダーT、フリース(薄、厚)、タイツ、夏用パンツ、ハードシェル上下
<小物>帽子(薄、厚)、サングラス、ゴーグル、目出帽、フェイスマスク、グローブ(薄手、冬用)、ソックス(薄、厚)
<装備>軽登山靴、8本アイゼン、スパッツ厚手、ストック2本、ピッケル
積雪期登山に軽登山靴が最大の懸念だったが、二重靴下のあいだに「貼るカイロ」を仕込み、
特に足先の冷えを感じることもなく無事だった。
8本アイゼンは通常軽アイゼンにカテゴライズされるが、意外と守備範囲は広いのではなかろうか。
前4本後4本に分割されているが、前後パーツを縮められるので収納時はコンパクトになる。軽い。
が、今後積雪期登山を続けるにあたり、雪山用登山靴と10/12本アイゼンは必須だろう。
◇商業ツアーに対する個人的な感想
今回のツアーの参加条件は、ツアーレベル表示に加え「アイゼン8本以上、遭難捜索救助保険加入」。
さらに、自分は初めての参加となるため、過去一年分の山行歴詳細を提出し審査を受ける。ツアー会社から
電話があり若干のヒアリングののちに無事審査通過、参加を認められる。結構厳格=安心感という印象。
ウェブサイトや郵送資料の案内には装備や行動に関し細々とした記載は無い(もっと手取り足取り指示がある
のかと思っていた)。唯一の指示は写真撮影は休憩中のみ、とのこと。
実際に参加して。7名の参加者に対しCL、SLの2名がついていたことにまず驚く。オリエンテーションはないが
自分以外の参加者のほとんどはツアー慣れしているらしく滞りなく物事は進む。親切な女性に「ツアーでは
どうするのか」を細々と質問し教えていただいて何とかついていく。特徴的に感じた点は、皆自主的に
「一定の間隔を常に保って歩く」「時間厳守」写真撮影制限も含め、スケジュールを守り時間的なリスクを
減らし、団体行動の安全性を高めているのだろうと理解した。度々、衣類調整の機会を取ってもらえるのは
ありがたかった。CL/SL、参加者みんな良い方ばかりで、本当に楽しかった。今回はツアー会社・メンバー
共に恵まれた幸運な山行であったと思う。
総合的に考えると、商業ツアーも使い方次第。メリット/デメリットとリスクを定量的に予測したうえで、
有効に利用すれば、山行にも幅がひろがり経験値も上がっていくだろう。
今頃すみません。まめにヤマレコをチェックしてますが今まで気づきませんでした。稲子湯の情報が欲しく調べていてたどりつきました。
内容が実にいいので思わずコメントしました。正月の赤岳鉱泉の様子やツアーのこと、大変面白く、また参考になりました。
ヤマレコユザーの方は、日帰りですっ飛んでる方が多くて、私のような年寄りには、あまり参考にならないくて。小屋に泊まってじっくり味わうのが好きなものとしては、小屋の様子や食事などの記録はありがたい。それだけではなく、読んでいても大変おもしろいものでした。
また、いい記録お願いします。
kaitoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
駄文に勿体ないお褒めのお言葉いただき、大変恐縮です
稲子湯の情報お探しとのこと、折角ご訪問いただきましたのに、ほとんど写真も記録も無く申し訳ございません。初めての冬山、初めてのツアーで意外に緊張していたのか、稲子湯に到着後は脱力しきっていて、写真をほとんど撮っておりませんでした。
稲子湯、登山に絡めて利用できる宿としては最高の部類だと思いました。温泉の素晴らしさは勿論、食事が大変豪華(手が込んでいて、食材も凝っていた)で、量も多かったです。ツアー代金が高騰していなかったので、恐らく正月料金設定が無いのではないかと思います。元旦の夜の宿泊にもかかわらず、比較的空いていました。kaitoさんのご指摘のように、ここでわざわざ泊まってお金を使う登山者はあまり居ないのかもしれません。
翌朝、宿のマイクロバスで駅まで送っていただいたのですが、玄関先で大女将さんらしき方が控えめながらもやさしそうなお顔で手を振っていつまでも見送って下さったのが忘れられません。
先日、安達太良山に行ってきたのですが、事前にkaitoさんの記録を拝見しておりました。のんびりムードにあふれ、あぁいいなぁ〜こういう感じと自然に笑顔になりました
kaitoさんの山行記録も楽しみにさせていただきます。
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