夏の終わりのハーモニー(起承転結の転・結) 北岳山荘に宿泊し北岳・間ノ岳を登る
- GPS
- --:--
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 2,196m
- 下り
- 2,181m
コースタイム
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 8:37
- 山行
- 8:02
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 9:32
家で調べていると「あれもあった、これもあった、でも撮影してない」というのが多かったです。同じように見える花でも葉の付き方などで種類が変わったりします。また、標高で種類が変わってしまったりします。
また、「実」だと思ったものが家で調べると花だったり・・・。
天候 | 25日 曇り、15時ごろ雨 26日 晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
そこから貸し切りタクシーに乗った、1200円。 バスもあるが、荷物を後ろに積んでくれるし、着席が確保されているのでよい。始発(5時台前半)に乗るには4時代後半から並ぶ必要あり |
その他周辺情報 | 温泉 ゆ~ぷるにらさき ナトリウム・塩化物。炭酸水素塩泉 1分間580リットルを誇る。体中がぬるぬるする、皮膚が溶けていく感覚。ここはいつきてもいい・・・。 |
写真
感想
前日の記録
夏をあきらめて(起承転結の承) 午後雨予報、甘利山で高山植物と戯れたあとは
(http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-948634.html)
25日(起承転結の転)
前日、芦安第3駐車場で車中泊をし、うつらうつらしていた私は一気に目が開き脳が目覚める。目の前の道を乗り合いタクシーが登ったのだ。「そうだ、あれに乗らなきゃ!!」私は、急いで準備をしてタクシー乗り場に急ぐ、6番目であった。
私みたいな鈍足登山者はスケジュールマネジメントが大事だ。この朝のタクシーに乗るというのは今日こなす山行内容に対して必要条件なのだ。
5:15頃朝一の乗り合いタクシーが出る、これは夜叉神峠のゲートが開く5:30に合わせてのスケジュールである。これが5台、10人乗りワゴン5台だ。運転手さんが5人なので残りは45人分、この中に入らなければならない。
この乗り合いタクシーは6:00頃広河原に着く、このタクシーに乗れなかったら6:00のバスだ。スピードもバスはタクシーほどには出せない。広河原到着は7:00位である。たった1時間というが、それが大きいのだ。
ちなみに、5:00頃来たハイカーはもうタクシーには乗れずバスを案内されていた。たった10分来るのが早いか遅いかで1時間違うのである。
広河原のバスターミナルではトイレに行列を作っていた。私は、朝食をとりそれからトイレをすまし、スタートした。6:26であった。
北岳の登りは厳しい、標高1620mの広河原から3193mの北岳まで標高差1570mを約5kmで登る、しかも草すべりコースなら九十九折だが一番早く行ける八本歯のコルを通るコースだとほぼ直登である。
しかも、岩場と階段が多く足へのダメージもある。もちろん花も多く撮影にも時間がかかるだろう。
私は私、自分のペースを守る。予定では15:00北岳山荘に到着である。
北岳山荘は、10人以上の団体は予約が必要だがそれ以下の人数の予約はとらないと電話で言われた。そして「できるだけ15:00までに来てください、無理なら前の小屋に行ってください。」とも念を押された。前の小屋っていっても・・・このコースじゃ、ないじゃん。
川の水が登山道を流れる中を登る、ペースが速い人たちはどんどん前に行き、同じペースの人たちで護送船団のように登っていく。花好きの奥さんと旦那さん、小学生連れのテント泊家族、ただ黙々と登るベテランさん・・・。樹林帯を抜けるとそのまま沢の端を登ってゆく。
二股では予定通り八本歯のコル方面にかじを取る。そうすると、丸太でできた階段が延々と現れる、またこれが滑るのだ。「折れないかな・・・」と思ったが結局1本も折れませんでした。
八本歯のコルから山荘トラヴァース道までは基本岩登り、どう行けば楽に目的地にたどり着けるか考えながらパズルのように登ってゆく。
分岐点では、13時になっていたこともありほとんどのハイカーは山荘方面に向かったが、私は山頂に向かう。そうすると、私の前を颯爽と登ってゆく方が・・・あとで居住地を聞いたので「埼玉さん」としておきましょう。稜線にザックをデポし山頂にダブルストックで向かいます。トラヴァースの鎖があるくらいで優しい道だ、しかし息が切れる、空気薄いなあと思う。
ようやく山頂に到着したところ。「カメラ貸してください、写真撮ります!」と寄ってきたのが埼玉さんだった。そのとき、ちょうど会津駒ケ岳・こまの小屋で買った「とんでもない、私は山に行きますよ」Tシャツを着ていたのでそれを気に入ったようで、前向き後ろ向きと写真を撮影してもらった。北岳はガスの中だった。
時間のこともあるのであとは稜線歩きを楽しみながら山荘まで下る。カールを見ながら、谷底の川を見ながら、植物探しながら・・・夏の終わりを感じながら・・・。
そして残念!!山荘到着15:03!!3分遅刻でしたが怒られずウケツケをしてもらう。残念ながら食事は一番遅い18:20からである。ビールを買って外で飲むとどこからか「おい!!富士が見えるぞ!!」との声がかかる。行ってみると確かに富士が頭だけを出している。そして虹だ・・・。
ここで、茨城から来たという方に声をかけられ一緒に飲む、「茨城さん」はとても人懐っこくて話も面白い。しかし、また雨が降り出し山荘内へ。北岳山荘は雨になると語らいの場がほとんどないのが残念。
山荘の楽しみは夕食、気圧の低いところなのにご飯が上手に炊けている。さばの味噌煮に手を付ける前にひじきと漬物で1膳食べてしまう。その後さばの味噌煮をメインに食べ、結局ごはん4膳、味噌汁3杯いただく。その後、食堂は談話室となった。
そこで、茨城さんと愛知さん三重さんと話しながら飲む、今回ニッカ「竹鶴」ミニボトルを持ってきたのだ、北岳山荘は沢水を使っている、その沢水で割ったらうまかろう。
全国のいろんな山の話、そしてなぜか隣の山小屋の話、帰りに登ってくる人も結構話していたが、どんだけすごいところなのかと・・・そして実際泊ったことがある人はあまりいないのである。
北岳、間ノ岳、農鳥岳、これを白根三山というが、これすべて行こうと思うといろいろなパターンがある。
.肇譽薀鵑覇帰り
∨務抻柿1泊 行きに北岳、2日目に間ノ岳・農鳥岳 奈良田下山
K務抻柿2泊 行きに北岳、2日目に間ノ岳・農鳥岳ピストン 広河原下山
じの小屋、農鳥小屋で1泊ずつ
ニ務抻柿顱大門沢小屋で1泊ずつ
また、私は始発のタクシーで来たがそれでもしんどいという人は、前日に広河原山荘宿泊、白根御池小屋宿泊して早出という方法もある。下山時はやめに出会う人はこのどちらかの山荘で宿泊した方が多かった。逆に言うと、前泊しなければ登れない。前泊したほうが楽しめると考える人が一定以上いるので、経営が成り立っているのであろうと思う。
26日(起承転結の結)
朝は3時半ごろに始動する。よく眠れたとは言えないが最低限の睡眠は取れた。(隣の人の足が私の腹の上にあったり、息を耳にかけられたり、胸を触られたり・・・・その度に目覚める)
朝食弁当引き換えが4時なので、かなりの人がそれに向けて準備をしている。
私は、朝食弁当を持ち間ノ岳までのピストン予定である。その人はザックを置いておいてもかまわない、同じように空身で向かう人がいる。この4時弁当配布は便利だ、これをもって間ノ岳で朝食をとり農鳥や塩見のほうに縦走するのもよい。ザック背負い組は縦走組、空身は広河原下山組である。
登山道にポツポツととヘッドランプの明かり、鎖などもなく優しい登山道、空の明度が上がるにつれだんだん開けてゆく視界、私は今3000mの稜線を歩いている。東に明かり、その横に日本一が・・・。小ピーク「中白根山」を越えるころ、日の出・・・。頭の中に流れたのは、ベタだがR・シュトラウス「アルプス交響曲」の夜明けの場面、凄烈、荘厳、すべてを黙らせてしまうような光・・・。口をポカンと開け、ただただ眺めていたいという経験、山荘で見る夜明けより登山道で見る夜明けの美しさは際立つ。
明るくなり、四方八方絶景の中を歩く。ゆるい登り坂の奥に見える間ノ岳の大きさと優しさ、まさに間ノ岳は愛の山だと思う。そして私は絶頂を踏む。周りには北岳以外に間ノ岳よりも高い山はない。仙丈だって塩見だって3000mを超えているが見下ろす。地蔵岳のオベリスクがあんなに下に見えるんだ、鳳凰三山を斜め上から見下ろすのだ。
北を向くと、仙丈のカールたち、鋸岳、甲斐駒、北岳と存在感を放っている。写真で見るのもいいが実際はもっと迫力がある、写真でその迫力まではなかなか撮影できない。遠くには中央アルプス、その後ろに煙を上げる木曽御岳だ、さらに左に行くと恵那山、あとは雲海。東を見れば富士が大きい、手前には毛無山も見える、近くには櫛形山もあるはずだ。南に目を向けると、塩見、荒川、赤石、聖まではわかる。本当はもっといろいろ見えるはずだが勉強不足だ、そして仙塩尾根の雄大なこと。そしてその尾根に間ノ岳からの尾根もつながっている。そう、ここは塩見から間ノ岳近くを通り仙丈、甲斐駒に連なる尾根と白根三山の尾根のちょうどジョイントなのだ。
北岳山荘の朝食弁当をゆっくり咀嚼しながら食べる。この風景をおかずにして食べる弁当、これ正解だ。
その後、北岳山荘に戻りザックのパッキングをしてから下り始める。埼玉さんと会い、また話しかける。「あのTシャツ着てないの?北岳行かないの?」と言われ、もう一度北岳に行こうか迷ったが、もうガスが出てきているので素直に降りることとする。間ノ岳であんなに見られたからもう満足だ。
で、昨日通らなかったトラヴァース道で、チングルマ発見、おおまだいたか・・・昨日花穂はあったので、もっと早かったら見られたろうになあと思っていたのだが、ここにあった・・・よかった。
また、ライチョウの子供発見、撮影するがすぐに飛んで行った(ライチョウじゃないかもしれない、自分の中でライチョウって飛ばないというイメージがあるからなのか・・・)。
その後は、どんどん下山。今日も登ってくる人多いなあ、話しかけるとほとんどの人は白根御池小屋や広河原山荘から4時、5時に登山を開始した人だ。ある程度経つと、朝一のタクシー、バスの人が登ってきていた。楽しさと喜びと少々のきつさを感じながら登っている人たち、きっと今日の夜はお楽しみでしょうね。
そんなこんなで、広河原到着、最後のつり橋を両手を上げて渡る。
乗り合いタクシー乗り場で待つと目の前で埼玉さんが手を振っている、山頂行って草すべりコースでこんなに早く帰ってきたんだ・・・私の前のタクシーである。そして、タクシーが去って行った。
その後私もタクシーに乗る、約1時間の睡眠時間。芦安に着き車の荷物整理をしていると茨城さんが次のタクシーで来たみたいで声をかけてくれた。茨城さんも健脚だ、茨城さんは4時の弁当を受け取らずに間ノ岳往復してから山荘で朝食を食べたそうだ。そして北岳に登り草すべりを降りてきたそうだ。
そんな話をして、私は車を走らせる。ああ、夢のような4日間だった。
車の中で、この4日間は「起承転結」だと考えた。1日目は足慣らし的に赤線つなぎとチョウと戯れる、2日目は午後雨予報でとりとめもない1日を過ごす、そして3日目は転機が訪れ北岳の絶頂を極める、4日目は間ノ岳に登り4日の締めとなる。
そして、夏山の季節が終わりつつあることを感じた。でも、秋山はまた秋山で面白い、秋のアルプスだって大丈夫だ、北岳山荘も11月上旬までやっている。
みんな来てごらん、ここは絶対いいところ、来ればわかるから・・・
数年後、キタダケソウが咲く季節にまた来たいと思った。それか、農鳥方面、塩見方面への縦走をしてみたいと思った。
aideieiさん 待望の後半のメインレコ大変感激で拝見させて頂きました
憧れの北岳・間ノ岳、行きたい願望、満充電です
狙っているんですが?行けない。小屋は混んでませんでしたか?ふとん一枚に何人ですか?
大変参考になりました、ありがとうございます
要望入れすぎてますかね?‥卦い領匹い箸 ⊂屋の空いてる平日
という希望大きすぎるのでしょうか???
でも遠征最高の締めですね。。日本の2位 3位達成!!
日本一、南アルプス、八ヶ岳一望って、良い山ですよね
行きたい
でわ、、。。また、情報報告会楽しみです、、、、、
muttyann
muttyannさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
累積標高差を考えると相当きついですね。やはり、1泊で行くなら始発のタクシーを確保したいところです。話に聞くと6時発のバスも5:30ごろにはもう「乗れない」と言われ7:30のタクシーだったという人もいました。
逆に言うと、タクシーやバスなどの輸送量が限られるため、山荘は混んでも布団1枚に2人、それ以上になったことはないそうです。私が泊まった日は満員でしたが布団は1人1枚ありました、屋根裏部屋、廊下などにも布団を敷いていたそうです。まあ、2日とも平日が良いと思います。金土や日月はそこそこ混むのだろうと思います。なお、テン場はかなり好いていました。
以前、muttyannさんが苗場に登られた、そこで私が「よし時期が来た」と思いました。ぜひ、北岳・間ノ岳、登ってきてください。
私より速いmuttyannさんなら、きっと行けますよ。
aideieiでした。
aiさん
さすが3,000m級の山良いですね
稜線からの景色、高山植物、ご来光・・と低山ではとても味わえないですね
やっぱりアルプスデビューかなぁ
起承転結4日間、素敵な夏休みでしたね。
楽しく読ませていただきました。
hamburg
hamburgさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
高い山で見えるものと、低い山で見えるもの、本当に違います。そして、夏山シーズンのみ一般客に開かれるのが日本アルプス。
それにしても、今回は高山植物という点では失敗しました。トリカブトだけでも3種類咲くんですね、普通のトリカブト、ミヤマトリカブト、そして固有種のキタダケトリカブト、結局最初のトリカブトだけ撮影し他2つは見ているのに撮影しませんでした。
北岳は固有種の宝庫なんです、キタダケヨモギ、キタダケナズナ、キタダケトラノオ、全部見ましたが写真に撮り逃しました・・・。再訪があれば撮影してこなきゃ、と思いました。それ以外は大満足な山行でした。
aideieiでした。
aiさん、こん○×は(^o^)/
転結の記は天空の縦走路ですか、いいなぁ…
いろいろなTV番組で、を横目に3000m級の縦走路を歩くのを見ていましたが、このようなレコを見るとやはり羨ましいです。
「贅沢」 この言葉がピッタリと当てはまるんでしょうね。
北岳はガスっていましたが、締めの間ノ岳では絶景を楽しめたようで、最高の夏休みになられたのではないでしょうか。
mamepapa
mamepapaさん、こんにちは。
北岳から間ノ岳までの縦走路は、気楽に歩けるルートです、気分よく歩きながら絶景を眺める。自分の呼吸の音を聞きながら周りの空気と調和する楽しさがありますね。
しかし、ここにたどり着くまでが長いんです。なので、天空の縦走路はご褒美ですね。
北岳山荘の朝食弁当を間ノ岳頂上で噛みしめながら食べているときは本当に「贅沢」だと思いました。
そして、また行きたいところが増えるんですよね・・・嗚呼・・・。それがあるから暇を見つけて歩こうというモチベーションになるんですよね。
aideieiでした。
aideieiさん こんばんはー
おそ コメント申し訳ないです
皆様の 素晴らしい 夏の 山歩きを見て いいなー
と思いつつ、
雑事をこなしつつの 8月中旬から下旬でした。
aideieiさん おすすめの
この場所 時間を取って 歩いてみたいなー
こんな景色 見たいなー と思っております。
まずは 起承転結 素晴らしかったです。
tsuiさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
この日、ほぼ同じコースを日帰りで歩いている人もいました。きっとtsuiさんだったら日帰りでも行けると思います。芦安の駐車場にも温泉ありますし、広河原から甲府駅までの直行バスもありますし。
でも、せっかく来たら宿泊して楽しむ、本当は行きたかった農鳥岳まで足を運ぶのがいいと思います。もう1日あったら農鳥岳まで足を運んだのになあと思います。(農鳥岳から奈良田まで下ると標高差2000m以上下ることになるのです、バス2本乗って芦安まで戻らなければならないし・・・)
とにかく、自分の歩く力、交通機関のダイヤなどからいろいろ選べるのが日本アルプスです。次はどこに行こうかなと思います。
aideieiでした。
ヤマを始めて2年目に連れて行かれたのが白根三山でした。
北岳肩・農鳥に泊まっての二泊三日山行。
奈良田の民宿(旅館)で入った露天風呂の気持ち好かったこと。
でも確かに大門沢の下りは長かった!!!
もう30年近くも前のことですけどね。
当時と比べて、雲泥の差で入山客が多いように思います。
バスやトイレの混みようはスゴイですね
3000m稜線からの 、見事です
隊長
半袖隊長さん、コメントありがとうございます。
家に帰ってきてから深田久弥の「日本百名山」をその山だけ読み直すことがありますが、「南アルプスに林道ができる計画があり、この山もこれからたくさんの登山者が訪れることになるだろう、そのことを私は必ずしも喜べない」みたいなことが書いてありました。奥深い山が奥深くなくなり、大衆化されることを良く思わない人もいるのだろうなあと思います。
空前絶後の登山ブームと言われるこんにち、どのようなこだわりを持って登るかが大事だなあと思うこともあります。
今回残念だったのは、間ノ岳から鳳凰三山を撮影したショットがなかったことです。オベリスクがあれほど下に見えたのに、撮影したと思って撮れてなかった・・・。
でも、本当に絶景の山行でした。
aideieiでした。
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