槍・穂高連峰 憧れ続けた最難・峻険の縦走路(焼岳〜槍ヶ岳)


- GPS
- 22:53
- 距離
- 47.9km
- 登り
- 4,785m
- 下り
- 4,795m
コースタイム
- 山行
- 4:58
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 5:12
- 山行
- 9:12
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 10:08
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 7:35
・距離約12.5
・獲得標高↑1533m ↓706m
・コースタイム8h10m
・結果5h13m(63.9%)
2日目
・距離約11
・獲得標高↑1931m ↓1347m
・コースタイム15h55m
・結果10h10m(63.9%)
3日目
・距離約24
・獲得標高↑588m ↓2000m
・コースタイム13h15m
・結果7h34m(57.1%)
合計
・距離約47.5
・獲得標高約4053m
・コースタイム37h20m
・結果22h57m(61.5%)
※距離、獲得標高は、スント アンビットの測定値
天候 | <9月15日> 曇り一時晴れ(最低16度、最高18度、平均17度。西風0〜5m/s程度) <9月16日> 曇り(起床時10度、最低6度、最高17度、平均10。西風5〜10m/s程度) <9月17日> 9時前まで晴れ、その後曇り (起床時6度、最低5度、最高20度、平均13度。西風が夜中から明け方までは10〜15m/s、その後は5〜10m/s程度) |
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過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
・下山時は満車。 ・バスは上高地までの往復2050円。 ・行きは帝国ホテル前で下車(不覚にも中の湯をスルー…。) |
コース状況/ 危険箇所等 |
<帝国ホテル前〜焼岳小屋〜焼岳> ・田代橋の手前に公衆トイレ、橋を渡ったところに登山届ポストあり。 ・登山道に入ると、しばらく緩やかな樹林帯の登りで、峠沢の左岸に沿って登っていくと、梯子の連続区間となる。 アルミ梯子は足場が折れているものもあるので、注意が必要。 ・中尾峠から焼岳への登りとなり、ところどころ火山ガスが噴出している。 ・火山ガスは、室堂のように気持ち悪くなる程の規模ではなかった(個人的に)。 <焼岳小屋〜西穂山荘> ・樹林帯のなだらかなアップダウン。奥秩父っぽい雰囲気を感じた。 ・大きく分けて、割谷山、槍見台の2山を越えて、最後西穂山荘に登る感じ。 ・コース前半は飛騨側を進むが、尾根が細く、道幅も狭いので踏み外しに注意。 <西穂山荘〜西穂高岳> ・西穂独標の直下までは比較的緩やかなハイマツ砂礫の登山道で、危険個所ナシ。 ・独標から本格的な岩稜帯に。ピラミッドピーク、西穂の直下は割と急な感じ。 ・岩に砂が乗ったところの細いトラバースも多いので油断は禁物。 <西穂高岳〜間ノ岳> ・ここから先は、基本的に両サイドが絶壁。 ・まずはP1を挟みつつ、両手両足を駆使して岩場を下り、西穂・赤岩岳間の最低コルへ。 ・あまり覚えていないが、2連鎖の箇所があったような記憶。そこがこの区間の一つの核心部じゃないかと。 ・最低部から赤岩岳への登り返しは、下りに比べると緩やかだったような…。 ・赤岩岳からの下りは、道の雰囲気が少し落ち着いて、両手が空く場面が多い。ただしガレ・ザレで滑りやすく慎重を要する。 ・赤岩岳・間ノ岳間は浮石が多いといわれるが、特にこの区間だけ多いとは思わず。西穂奥穂間通じて、常に浮石に要注意。 ・急峻さの具合は、西穂・赤岩間に比べるとさほどでもない。 <間ノ岳〜天狗のコル> ・間ノ岳から間天のコルへ下る。傾斜はそれほどでもないが、非常に細い。 ・間天のコルから逆層スラブに取りつく。鎖に身体を預けるほどの勾配はない。岩が乾いていれば、補助的な利用で十分。フリクションは効き、また、手掛かりとなるホールドも多少ある。 距離もさほどではない。2段に分かれるが、合わせて20mもないと思われ。 ・逆層スラブを登り切ると間もなく天狗ノ頭。 天狗のコルへの下りに入ると、地形がやや緩慢になってきて、30〜40度程度の飛騨側の斜面を斜めに下っていく。ただし、最後の下りは長く急な鎖場。 <天狗のコル〜ジャンダルム〜奥穂高岳> ・まずは飛騨側の急斜面のガレを斜登し、ルンゼの鎖場を直登。畳岩尾根の頭までザレガレに斜登が続く。 ・その後地形はガレた広い稜線となり、コブ尾根の頭までマークが少なく、わかりづらいルートが続く。 ・コブ尾根の頭からジャンダルムは目と鼻の先。マークに沿って飛騨側に回り込む。 ・奥穂へ、まずジャンダルムの基部の信州側を巻く。細い絶壁を横歩きで行く感じになるので、緊張感がある。 ・ロバの耳は、非常に急な岩場の上り下りとトラバースの連続。手足の置き場が薄く、フリクションが悪いところもあるので、細心の注意が必要。 ・ロバの耳の奥穂側を登り返すと、まもなく馬の背。非常に細く高所感があるリッジ。体力的に疲れる程の距離ではなく、また、アップダウンが激しいわけではないので、手足を間違わなければ、問題はない。 <奥穂高岳〜涸沢岳〜北穂高岳> ・間違い尾根との分岐にはでっかい標識が設置されていた。 ・穂高岳山荘手前のハシゴ・鎖以外は、涸沢岳までザレガレの斜面が続く。 ・涸沢岳から最低鞍部まで非常に急な岩場の下り。鎖場とハシゴの連続。ここから先、北穂南峰まで全て核心部。 ・北穂への登り返しは、ルンゼ状の登りが連続。鉄杭・鎖場多い。 ・北穂南峰を巻くと白砂の登山道が現れる。松濤岩のコルから一登りすると北穂の北峰・北穂高小屋。 <北穂高小屋〜大キレット〜南岳小屋> ・北穂高小屋から長谷川ピークまでが核心部。まずはA沢のコルまで壁のような岩場の下りとトラバース。鎖の連続。 ・A沢のコルの手前に飛騨泣き。北穂からのルートだとステップが非常に見にくい。 ・A沢のコルから長谷川ピークまで細いリッジの岩場続く。鎖場・ステップの連続。 ・長谷川ピークを下りると、ガレたなだらかな稜線が続く。 ・南岳への登り返しは、ザレガレの急登。梯子を2つ登った後に鎖の連続。木製の土留めの九十九折が見えたら南岳小屋は近い。 <南岳小屋〜槍ヶ岳〜喜作新道〜水俣乗越〜大曲> ・なだらかな岩稜帯で南岳、中岳、大喰岳の3つのピークを超えていく。アップダウンは各山せいぜい100〜200m程度。中岳からの下りにハシゴあり。 ・喜作新道は、比較的細い尾根道。一部ハシゴ・ロープ・鎖場あり。 崩落が激しい箇所があるので滑落に注意が必要。 ひたすら下るが、一か所だけ、3連梯子を登る箇所がある。 |
その他周辺情報 | <西穂高山荘> ・テント一人一泊1000円 ・西穂ラーメン900円 ・水200円/L ・ビール・ジュース自販機あり(スーパードライ350ml500円、500ml700円) ・ドコモの電波は4G(たまに3G) <南岳小屋> ・テント一人一泊1000円 ・水200円/L ・スーパードライ350ml500円(500mlは取扱い無し) ・ドコモの電波は、テン場では不安定。稜線まで出ると4Gつながる。 ・トイレが小屋内で、ちょっと面倒 |
写真
装備
個人装備 |
ザック:ドイター ACTライト40+10
チェストバッグ:パーゴワークス パスファインダーS
シューズ:スポルティバ ボルダーXミッド
レインウェア上:ノースフェイス クライムベリーライトジャケット
レインウェア下:ファイントラック エバーブレスフォトン パンツ
ウインドブレーカー:パタゴニア フーディニジャケット
ベースレイヤー上:アイスブレーカー テックライトSS クルー
ベースレイヤー上:モンベル ジオラインLWロング
ベースレイヤー上:オンヨネ ブレステックPPタンク
ミドルレイヤー:パタゴニア キャプリーン ミドルウェイト ジップ
パンツ:パタゴニア ギIIIショーツ
タイツ:CW-Xスタビライクス ロング
ベースレイヤー下:オンヨネ ブレステックPP アンダートランクス
アームカバー:ファイントラック アクティブスキン アームカバー
帽子:マウンテンイクイップメント クラシックパトロールキャップ
インサレーション上:マウンテンハードウェア ゴーストウィスパラーダウンジャケット
インサレーション下:マウンテンイクイップメント パウダーパンツ
サングラス:スミス バズー
グローブ1:アクシーズクイン ライトシェルウォータープルーフグローブ
グローブ2:マッキンリー インナーグローブ(指ぬきイボ付き)
靴下:スマートウール PhDアウトドアライトクルー
靴下:ファイントラック パワーメッシュ靴下
靴下:ユニクロ フリース靴下
ネックゲイター:バフ ネックループ
ストック:ブラックダイヤモンド ディスタンスカーボンFLZ
ヘルメット:ブラックダイヤモンド ハーフドーム
テント:ファイントラック カミナドーム1
シュラフ:モンベル ULSSダウンハガー#5
マット:クライミット イナーシャ オゾン
ストーブ:SOTO SOD-310
コッヘル:エバニュー Tiマグポット500
カップ:スノーピーク チタンシングルマグ450ml
水筒1:プラティパス2l
水筒2:サロモン ソフトフラスク500ml
水筒3:OMM ウルトラボトル(H2OMM)
ヘッドランプ:ペツル NAO
時計:スント アンビット
カメラ:オリンパスE-M5
ミニ三脚
モンベル コンパクトパッド
ラジオ
ルナサンダル
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
予備電池
ファーストエイドキット
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
手ぬぐい
ナイフ
ポリ袋
ジップロック
ウェットティッシュ
120cmスリング2本(お守り)
|
---|---|
備考 | <主食> アルファ米3袋、チキンラーメンリフィル1袋、カップヌードルBIG1個、クルミパン4個入り、レーズン食パン3枚入り、コンビーフ、サバの味噌煮パウチ <行動食> ショッツ(グリーンプラム)2個、パワージェル(梅)2個、スニッカーズ4本、ソイジョイ1本、一本満足バー2本、スポーツ羊羹プラス4本 <間食> カラムーチョ スリムパック、カライーカ、アルフォート、厚切りバウム <サプリ等> アクエリアス粉末、マグマ、アミノダイレクト、アミノバイタルゴールド、風邪薬、ロキソニン、胃薬、アリナミン糖衣錠、ウコンのカプセル <小屋で購入> ビール350ml1本、ビール500ml1本、ポカリ500ml3本、コーラ250ml1本、西穂ラーメン味噌1杯、キーマカレー1杯 |
感想
高所恐怖症の自分が歩くことは絶対ないだろうけど、強い憧れを持っていた西穂・奥穂の縦走路。
この数年で、岩登りの技術や体力を高め、一昨年、昨年と3大キレットを踏破して、高所への耐性も付きました。
これらに加えて、昨年に奥穂からジャンダルムピストンも成し遂げ、心理的障壁がかなり下がり、いよいよ縦走の機運が高まった今年、決行を決心。
しかし、天気と仕事の都合から機会を伺っているうちに秋雨前線の時期に…。
仕事との兼ね合いから今年はもう無理かなと思っていたところに、思いがけず日本海に高気圧が発生ということで、今年最後のチャンスと、急遽休みを取ってバタバタと沢渡へ。
当初のプランは、新中ノ湯コースから焼岳を踏み、西穂山荘で1泊、2日目は北穂山荘、3日目に槍を踏んで上高地に降りる計画。
パッキングのキモは、今回初投入のザック、ドイターのACTライト。吟味して選んだだけあって、背負い心地は最高。これまでメインで使っていたバルトロは、長い時間背負っていると肩回りが痛くなりますが、ACTライトは荷重が完全に腰に乗り、縦走中どこも痛くならず。
荷物は比較的コンパクトにまとめ、この日のためにコツコツと地味な軽量化を図ってきたアイテムで揃えました。また、ウェア関係も、シューズは岩稜歩きで絶対的信頼を置いているボルダーXミッドを選択し、動きやすさと保温性を両立するためレインウェアのほかにウインドブレーカーを持ち、歩行安定性のためにCW-Xを履くことにしました。
ただ、毎度のことながら食料を持ちすぎ…。今回もかなり余った。
肝心の山行は、ぼーっとしているうちにバスを乗り過ごし、帝国ホテルからの出発となってしまいましたが、なかなか登る機会がなかった焼岳を踏むことができました。
また、メインの2日目の天気は、ほぼ曇りで、気温も適度、風も適度に吹き、行動するには絶好のコンディション。
青空があまり見られなかったのがちょっと残念でしたが、体力的に得をしました。
憧れの西穂・奥穂の縦走路は、技術的には、大キレットや涸沢岳・北穂間よりも難しいという感じではありませんでした。
馬の背のようなインパクトのある難所はあるものの、大キレットのように数百メートルもの断崖を一気に登り下りするようなこともなく、全般的に地味な感じがしました。
ただ、鎖などは非常に少なく、途中に小屋がないことが、この縦走路を最難としている理由の一つかと思います。
そんな感じで、想定以上に早く、西穂山荘から奥穂まで5時間半足らずで踏破。10時前にあっけなく終わってしまいました。
当初の予定では北穂で行動を終える予定だったところ、頑張れば大キレットも越えられるんじゃないかと思いました。
3日目は天気が持たないことが分かっていたので、できるだけ進んでおきたいということもあり、12時までに北穂山荘に着いたら、南岳小屋まで進むことに。
涸沢岳・北穂間は、昨年逆ルートで踏破していますが、涸沢岳北側の急登が下りになるので、昨年以上の高所感と技術的難易度。西穂からの縦走路に劣らない厳しい縦走となりました。
北穂山荘には12時ちょうどに到着。予定通り南岳小屋を目指します。
大キレットも、逆ルート以上に難易度が高いとされる北上ルートですが、そうは言ってもこれまでの難路に比べれば、鎖やステップ等整備されているので、問題なく踏破できました。
行程に余裕が出たので、3日目は当初槍からモーレンのルートで降りようと考えていたところ、東鎌尾根を水俣乗越まで下るルートに変更。
夜間風が強くあまり眠れませんでしたが、5時に出発。気温が一ケタで風も強かったので、レインウェアも着て完全装備で行動開始したところで風が弱まり拍子抜け。
おまけに、高気圧の最後の悪あがきなのか、3日目にして青空が!
最後の最後で好天の稜線歩きを堪能して、帰路に就きました。
西穂・奥穂の縦走は、思ったよりもあっさりいってしまいましたが、一日で南岳小屋まで進み、濃密な岩稜歩きを堪能できました。
最難と言われるこのルートですが、技術、体力以上に、足の置き場を間違えないこと、正しいルートを見極めることが相当重要だと感じました。
そして集中を切らさないことと、ビビりすぎないこと。
あとは団体さんの行程と被らないように祈ることですかね。落石と気候変化に遭うリスクが高まるので。
ここを踏破してしまうと、次どこを目標にしようか、迷ってしまいますが、夏秋のメイン山行はこれで終わりです。
来年に向け、ゆっくり考えたいと思います。
すごい!北アルプスの岩稜帯の魅力を詰め込んだ厳しく険しい好ルート!
天気を味方につけ、そして相変わらずの安定した健脚っぷり!!
ドキドキしながらレコを見させていただきましたぁ(>_<)
ルートの記録も詳細で来年に向けての大キレットやジャンの良い情報を頂けて感謝です!
わたし涸沢〜北穂間は実はジャンより警戒してます…
このルート、緊張の連続で体力はもちろんですが歩ききるにはかなりの精神力がいります…しかもテントで(>_<)
てかカミナドーム買ったんですね!!ULギアの最先端ですね
このレコ、夢中になって目で追ってましたが、超ニアミスしてたことにあとから気付きました(>_<)
わたし、この前の日に表銀歩いて槍でテントしてたんです!!
1日違いでした
次はニアミスでなくばったり!が叶うといいですね〜♪
お互いお疲れ様でした!
いつもありがとうございます。
ホントだ!「最近の登山で会ったかも?」にありました(*゚▽゚)ノ
実際、西穂・奥穂間と涸沢・北穂間で、体力要素以外に差は無いと思いました。短い区間で難所が連続する点では、涸沢・北穂の方が上かも…。
treetopさんも来年行けると良いですね!
カミナドームは、オレンジ色が好みなのと、天井がメチャメチャ高いのが気に入ってます♪
前はステラリッジでしたが、設営もカミナの方がしやすいですね。
私は土日に行くのが多いので、今回のニアミスは本当に惜しいです…。
まあ、引き続き北アや八ヶ岳中心に歩きますので、お会いできること、楽しみにしていますヽ(*´∀`)ノ♪
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