(過去レコ)針ノ木岳 ➡ 烏帽子岳縦走
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- GPS
- 32:00
- 距離
- 26.1km
- 登り
- 3,571m
- 下り
- 3,705m
コースタイム
- 山行
- 8:50
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 11:10
天候 | 2日とも快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
写真
感想
【山行記録投稿=2017年8月22日】
23日朝の天気予報で、金〜日は晴れだったので、24日(金)は急遽休暇を届け出る。
八ヶ岳を泊りがけで縦走しようかとも思ったが、色々思案した挙句、船窪小屋泊まりで針ノ木岳〜烏帽子岳を縦走することにした。
23日は19時半頃床に就く。午前0時頃まで寝るつもりだったが、3時間ほど眠っただけで目が覚め、身支度して家を出る。
扇沢では無料駐車場に停める。今日歩く予定のコースタイムは針ノ木岳ピストンを含めても12時間丁度なので、夜明けと同時に歩き出す予定だったが、扇沢に早く着いたので、まだ暗い3時50分にスタートする。
上空は満天の星空。舗装された車道でライトは要らず、星明りで歩く。4時15分に車道から山道へ入り、大沢小屋には5時着。明かりが点いており、一人の男性が朝食の準備をしている様子。
深い樹林帯の中でも道が見えるようになり、ライトを消す。
針ノ木雪渓へ入る前、沢が広くなった所は花が多くてとても綺麗。背後の爺ヶ岳は端正な三角形だが、逆光により黒々としていた。
5時50分から6時20分まで、30分ほど雪渓をアイゼンで上がる。この雪渓は7日前にも歩いたばかりなので、何の心配もなかった。
雪渓上部の水場で食事休憩、500㎖2本に給水する。早朝からよく晴れていたが、針ノ木峠直下まで山陰で日が差さず、風が強かったこともあり汗は全く出ない。
7時半、針ノ木小屋着。ガスで展望がなければ針ノ木岳は行かないつもりだったが、快晴で立山上空に雲は僅かにあるが、山にガスは掛かっていない。
小屋の広場では大きなパーティーが出発前の準備体操をしている。針ノ木へ行くならサブザックに必要な物を入れ替えて行く予定だったが、団体より先に行きたかったし少々寒いこともあり、重いザックのままで針ノ木へ向かう。
小屋から40分で登頂した針ノ木岳に先行者はいない。
後立山連峰北部の一部には雲が掛かっていたが、時間とともに消える気配。眺望が素晴らしいのですぐ下山するのは勿体なく、30分ばかり山岳風景を眺めて休む。
風が強く、後から上がって来た若いカップルは強風を避けるように岩陰に身を寄せている。平日で登山者は少なく、小屋へ下る途中では手ぶらの二人連れに会っただけ。
小屋まで下って小休止していると、扇沢から上がって来た二人連れの女性に、針ノ木岳まではどのくらいの時間で行けるかと聞かれる。標準タイムでは1時間だと答えたが、山歩きの所要時間は個人差があり、この手の質問には正しくは答えられない。
蓮華岳への登りは、最初はやや急だったが次第に緩やかになり、やがてハイマツとコマクサが白砂を彩るなだらかな高原状のルートとなり、最高点へ。コマクサの大群落がある山とは、前回登った時に初めて知る。
前回から5年が経ち、高山植物保護のロープが張られたかと思っていたが、ロープは張られてなく群生地へも入って行ける状況。可憐に咲く花の女王が心無い登山者に踏み荒らされぬことを祈りたい。
山頂の一角に、若一王子神社奥宮と書かれた石祠があり、古くから信仰の山だったのだろう。麓から見上げるととても大きな山であり、古人が尊宗したのもうなずける。
蓮華の大下りは標高差が525mもあり、地図を見ただけでは実感が湧かない。半分から下はガレ状の急な鎖のある岩場だが、鎖はなくても登降に支障はなさそう。
如何にもプロのガイドらしい、サングラスを掛けた青年に引率された中年女性ばかり7〜8人のパーティーと行き会う。
強風も収まり、気温も上がって薄っすらと汗ばむほどに暑くなる。
下り切った北葛乗越では初老のカップルが腰を下ろして休んでいる。少し水を飲みながら立ち話をして、北葛岳への登路にかかる。
北葛岳頂上には中高年男女10人のパーティーがいたので、1分ばかり先の広大な展望が得られる所で30分ほど休む。
七倉乗越へも標高差240mの急な下り。乗越から先は左側が所々で崩落している。
烏帽子⇔針ノ木間は、ルート自体がコの字型に大きく屈曲しているうえ、急斜面のアップダウンの繰り返しや崩落の進む登山道であることから、安心感の得られやすいパーティー山行を利用する人が多いような気がする。
七倉岳では、船窪新道を上がって来たというカップルが腰を下ろして休んでいた。
サングラスを掛けていたが、女性が大変感じの良い方なので、展望を楽しみながら30分余り色んな話をする。
七倉頂上から10分足らずで15時頃 船窪小屋に着き、宿泊手続きをする。
夕食まで時間があり、サンダル履きで七倉頂上へ行き、500㎖の缶ビールを飲む。
船窪小屋についてはネットの情報や書籍である程度の予備知識を持ち、いつか機会があれば泊まってみたいと思っていた。
6畳間ほどの真ん中に囲炉裏があり、食事時はそれをコの字型に囲んで座卓を置く。
夕食は好評どおり、古代米の御飯に山菜の天ぷら。日常生活で食する物ではないだけにとっても美味しい。
小屋の雰囲気の受け止め方や感想は人それぞれだが、家庭的な雰囲気に包まれていることは誰しも感じるだろう。電気はなく、小屋も広くはなく、質素ではあるが、真心のこもったおもてなしは松澤さんご夫妻の人柄そのものだと思う。
二日目。
ゴーゴーと唸る強風の音で目が覚め、時計を見たら真夜中の2時半…。
それから2時間ばかり浅く眠ったり目が覚めたりの繰り返し。
今朝はレインウェアの上着を着て出ないと、強風と寒さが我慢できないだろうなぁと考えたりしていた。4時半頃に布団を畳んで身支度していると、50分頃になって食事の用意が出来ましたと、若くて可愛い感じの女性スタッフが言いに来る。
朝食は普通の御飯でお代わりをする。
”鐘の音”に送られて小屋を出る時、評判の“”おかあさん“”が見送りをして下さる。
昨日はずっとお目に掛からず、街に下りていらっしゃるのかと思っていたが、忙しい早朝にもかかわらず、一見の登山者でも見送って頂き、感激して深々と頭を下げる。
小屋のすぐ脇から富士山が見えており、今日も素晴らしい山行となりそう。
南アルプスは見えないが、八ヶ岳は全山よく見え、これは全く予想外の眺望だった。
強風も収まり、外の気温に慣れるとレインウェアを着るほどの寒さでもない。
分岐から七倉岳へは5分で行けそうだが、もう富士山は見たし、頂上からの絶景は昨日堪能していたので船窪岳へ向かう。
針ノ木谷への分岐がある船窪乗越には6時丁度に着く。その先で、船窪岳第一ピーク(2300m)と思われるピークに立つが、現地表示は何もない。
船窪岳第二ピークは小さなプレートに山名が書かれている。登山者が表示したと思われる板切れに、『船窪松澤岳と言おう』と書かれているが、正式な山名ではない。
東と北側が好展望で、水を飲んだりして小休止する。
山名の標識はないが2341mピークは8時20分に通過。ルート上の所々に樹林帯があり、越中側から涼しい風が吹き上げて来る。信州側は大規模に崩落している所が多く、その上端ぎりぎりに沿って歩く所もある。
トリカブトなど高山植物が多く、激しいアップダウンに加えて、歩きにくい砂状の斜面だったり、背の高い高山植物が鬱蒼と生い茂る草いきれの中だったりと、とても変化が多いルートである。
梯子や鎖が完璧なまでに取り付けられていて、登山道を整備される松澤さんらの並々ならぬ苦労が偲ばれる。
不動沢を挟んで大きく対峙する七倉岳と不動岳。七倉から不動を見ると巨大な扇型だが、不動から七倉を眺めると頂稜が長くて平らな台形。
前方に不動の一角、カニの鋏のような岩峰を見上げながら進み、9時10分にその岩場へ着く。展望がすこぶる良いので5分間いて写真を撮る。
4〜5分先の最高点には烏帽子側から来た10人近くのパーティーが休んでいる。
サングラスを掛け、日焼けして屈強そうな壮年がいて、一目でガイドだと分かる。
その人達と二言三言話し中、私が5時半に船窪小屋を出て来たと言うと、その内の一人が速いと言う。即座にガイドが『単独行はみんな速い!』と言う。
確かにそれは言える。ガイド自身も昔は山を疾走していただろうと思う。
昨日蓮華の大下りで会った人と言い、今日不動岳で会った人と言い、ガイドは如何にも頼りになりそうな第一印象であった。
針ノ木⇔烏帽子間はどちらかと言えば難路なので、ガイドに頼って縦走する中高年パーティーが多いようだ。
ルートは頂上直下を巻く感じで、少し先で直角に右折する。
その付近はコマクサが密生して展望も良い。その先の小さな岩場も展望が良く、結局不動岳一帯には30分いたことになる。
不動岳より高い割には目立たない南沢岳には10時45分に着く。
三角点の少し先で、直角に左折して下る所に大きな岩場があり、その岩上からは立山連峰が絶景。菓子パンをかじりながらここでも30分間 山岳美を楽しむ。
前方に見下ろす烏帽子田圃は草原の中に池塘がいくつもあり、小さくても鋭い烏帽子のピナクルとのコントラストが絶妙。
烏帽子岳は南側から見ると南ア・鳳凰山のオベリスクに似ている。
頭に被る烏帽子形に見えるのは北からで、南からは鳥のくちばしのように鋭い。
頂上の先端は巨岩が二つあるが、巨岩の上には立てそうにない。
分岐から登って下りるまで、大きなパーティーなら時間が掛かりそうな岩山である。
ブナ立尾根の下りに備え、烏帽子小屋で水500㎖2本を調達。
その際、小屋の公衆電話で高瀬ダムから扇沢までのタクシーを予約する。
北アルプス3大急登に数えられる尾根だがジグザグの連続であり、標高差が1200mを超える割には歩きやすいと思う。
尾根取付き点の水場では、山小屋の弁当を食べながら水をたっぷり飲む。
高瀬ダム堰堤ではタクシー2台が下山者を待っている。
その1台のドライバーから、「○○さんですか?」と声を掛けられ、かってない安堵感と、もう歩かなくていいのだという終息感が込み上げる。
タクシードライバーは女性だった。
昨日の朝、扇沢からまだ暗いうちに歩き出して縦走したこと、一週間前には白馬から針ノ木まで二泊三日で縦走したことなどを話すとびっくりしていた。
針ノ木から烏帽子まで主なピークは8座だが、船窪以外の7座は2500mを超え、森林限界を抜けているので360度のパノラマであったことを付記しておく。
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