知床岳〜知床岬〜東海岸
- GPS
- 176:00
- 距離
- 51.7km
- 登り
- 2,372m
- 下り
- 2,361m
コースタイム
3月19日:相泊-(0.5)-カモイウンべ河口-(3)-.474-(1)-知床平下co600イグルー設営C1
3月20日:Stay C1=C2
3月21日:C2-(2)-知床平手前co950-(1.5)-C2=C3
3月22日:C3-(2+)-知床岳最低コル-(0.5)-知床岳-(+)-最低コル-(0.5+)-.1132-(2)-ポロモイ岳-(3)-ウィーヌプリ南ポコ南コルC4
3月23日:C4-(2)-海岸-(1.5+)-知床岬-(2)-カブト岩-(2)-カブト岩先入り江-(1.5)-赤岩付近の番屋廃屋C5
3月24日:C5-(0.5)-カブト岩手前-(2)-カブト岩先番屋裏-(0.5)-念仏岩手前-(2)-念仏岩先-(2.5)-ペキンの鼻手前番屋前の入り江-(2.5)-ペキンの鼻-(0.5)-ペキン川河口C6
3月25日:C6-(2)-メガネ岩前-(2)-モイレウシ川河口-(3)-化石浜番屋廃屋C7
3月26日:C7-(2)-観音岩-(1.5)-相泊
天候 | 3月19日:冬型 晴れ(稜線はガス) 3月20日:強い冬型 強い寒気流入 3月21日:冬型緩むも寒気抜けず 稜線はガスと強風 3月22日:気圧の谷の全面 晴れ夕方ころ曇り雪 3月23日:高気圧圏内 3月24日:北海道の南を低気圧が通過 午後吹雪 3月25日:北海道の南を気圧の谷が通過 午前中曇り時々晴れ 午後雪 3月26日:宗谷の北を気圧の谷が通過のち寒気流入 晴れ夕方から曇り雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
装備はシーアイゼン・アイゼン・ピッケル・8弌35mザイル・ハーネス 4泊5日停滞日5日で入山しました。 全体的にこの時期にしては雪が多め。 海岸歩きはルートの幅が大きいので、この記録のみを参考にせず、情報収集をしてください。 |
写真
感想
19日 長い旅の始まり
羅臼の道の駅で車中泊。
朝起きると快晴。羅臼岳がまぶしく見える。絶好の入山日だ。
相泊まで行き、準備をして出発。久々の長期山行の荷物が肩にズシリとくる。
海岸を歩いてカモイウンべ河口を目指す。林道ではなく海岸を歩くというのは知床らしい。
流氷のカスがちらほら海岸に残っている。
カモイウンベ河口を橋で渡渉し、番屋の裏手の急斜を登る。トレースが残っていて登りやすかった。
沢沿いにco165二股を目指す。あまりにも地形確認しないとスルーするかもしれない。
二股からは.474を尾根に乗って目指す。尾根上は白く抜けていて気持ちがいい。目の前には白い山、振り返れば国後。
知床にやってきたことを実感する景色。1年ぶりの感覚に心が躍る。
.474あたりが濃い樹林の限界だ。当初はここから西にある.801の下のコル付近に向かいC1とする予定だったが、
このまま、北西から伸びる尾根で知床平に登ればいいだろうといことになり、600付近にある樹林限界を目指して登る。
なだらかでよいところだが、樹林は.474に比べればしょぼいので、天気が荒れるときはテンバを下げるべきだろう。
上の急斜からガイド登山だろうか、4人組が降りてきた。風は強いものの天気は良かったようだ。
さっそくイグルー作成に取り掛かる。少し綺麗なブロックを切り出すのに苦労してドームが大きめになり少し時間がかかるが2時間で完成。
入山をウィスキーで祝う。明日は強い冬型。波も高く風も強そうなのでステイを決め込む。
ちなみに携帯はアンテナは立つが、交信はできないという状態だった。
20日 さっそく停滞
イグルーの中にいても風の音が強い。予定通り停滞。
テントだったらこの標高での停滞は無理だったかもしれない。
昨夜、隙間から雪が吹き込んできたので、風上側を2重にしてイグルーを補強する。
明日は、冬型が緩むようだが寒気は残るらしい。知床は寒気に弱い。どうなることやら。
21日 知床平風強し
今日は、後半のほうがよさそうなので少し遅めに出発。
昨日よりは風は弱めだが、上部はガスがかかっている。まさに寒気が残っているという感じの天気だ。
テンバから少し登ったところから急斜が始まるところでアイゼンに変える。
重荷とたまに吹く強風に苦労しながら登る。特に急なのはco700から800の間。雪が固かったら通過不可もありうる斜度。
標高を上げていくにつれて風が強くなっていく。
突風にあおられつつ、やっとこさ緩いところまで辿り着くも、まっすぐ歩くのも大変な風になってしまったので引き換えし。やっぱりダメか〜。
ちょっと下ったところで時間待ちするもよくならないので、イグルーに戻る。
急斜は30mくらいバックステップで下る。
風は強いが、低いところは天気がいい。
暇なのでイグルーをもう一つ作成。今回はブロックも綺麗に切り出せ、ドームも小さめにできた。完成するまでに1.5時間。
濡れたものを干したりする。風以外は天気は良く、白い山々、青い海、流氷、国後が望めて気持ちいい。でも上部の雲は取れない。
夕方ころから焚火をして暖を取り、それでも寒くなったくらいにイグルーに避難。
明日は、気圧の谷の前面。よっしゃチャンスだ。
22日 最高の知床岳&ポロモイ岳のっこし
今日は朝一で出発。イグルーからアイゼンで行く。
昨日、急斜の上にスキーをデポしたので快調。今日は風も弱い。
昨日引き返したあたりで少し風強くなるも超えたら無風。少し局地風になっているようだ。
斜度が緩くなってからはスキーにかえシーアイゼンでサクサク行く。
最初のうちは少しハイマツが頭を出していたが、少し登ると真っ白くなった。
おぉ、これが知床平かぁ。
ところどころ、モンスターと化した樹氷もちらほら見られる。
そして、振り返ると知円別から羅臼まで、中央高地が望める。
知床岳最低コルからは荷物をデポし空身で目指す。足元はそのままシーアイゼン。
肩に上がると、切り立った崖とかっこいい知床岳が姿を見せてくれた。
尾根伝いに進み、今山行最高点知床岳のピークにたどり着いた。
ウトロ側の海は流氷で水平線まで白い。そして、目指す岬も見える。
眼下には白く広大な知床平が広がり、その先には大きい中央高地の山々。
まさに、かつて我が部の先輩が残した「知床は海に浮かぶ十勝連峰」という言葉そのものの景色が広がっていた。
ピークでは携帯は通じた。ひとしきり景色を堪能し、先を目指す。
ポロモイ台地手前の.1132は尾根が細くなっており、雪庇が出ている。
雪庇は1〜2m程度のものが東側に出ているが、左のシュカブラが出ているところを行けば問題ない。
足元はアイゼンに変えて、ストックで通過。
細い尾根の先には、知床平よりもはるかに広大なポロモイ台地が広がっていた。
ポロモイ台地は2年前岬を目指した時も通過したが、その時は天気は悪く全貌は把握できなかったので、あまりの広さに驚いた。
ポロモイ台地に下りきるまでアイゼンで、そこから再びシーアイゼン。
右手には国後、左手には流氷の景色に中ポロモイ台地を思い思いに歩く。
あまりにも思い思いに行き過ぎて、.884を目指すつもりが少し左にずれてしまった。
ポロモイ岳も1000mにわずかに及ばないが、白さと大きさでそれを感じさせない。
振り返れば、知床岳が輝いている。
しかし、後ろからは徐々に雲が迫ってきている。テンバまで持つかな。
見た目よりもダラダラ長いポロモイ岳を超えて行く。
ポロモイの先の尾根も少し細めなので、アイゼンストックで通過した。
そこから先の.976と.763、.763次ポコは東を巻く。
そして、ウィーヌプリ手前ポコの南のコル東側のの針葉樹林内にテントを張る。
このころようやく雪がチラチラふり出した。
充実ののっこしで疲れた体をぺミカンで癒す。
天気図を見ると、後ろからなかなか強力そうな低気圧がやってくるみたいだ。
先の展開は良くなさそうなので、岬での宿泊はカットしてできるだけ先を目指すことにする。
23日 地の果てへ
今日も朝一で出発。
昨日はそこまで雪は降らなかったようだが、樹氷が木々を彩っていて美しい景色を作っている。
ウィー手前のポコも西から巻く。
今日も国後の爺爺岳から朝日が登り、海の上に光の道を作る。それを境に流氷と海霧が向き合っている。後ろの白い山々は赤く染まっていく。
山の中で迎えた夜明けの中でも1・2位を争うくらい美しい光景だった。
そして、最後のピークであるウィーヌプリを踏む。
651m、岬でも目指さない限り行くことのないマイナーピークだが、そこからの光景は標高だけでは推し量れない美しいものだった。
ここからは、稜線からはさよならして流氷広がる西の海岸を目指す。
地図のウィーのイの字の北に伸びる沢型に入っていく。急なので足元はアイゼンに変えた。
白い稜線から一気に森の中へ降りる。緩くなってからはスキーに変える。
あっという間に海岸にたどり着くと、そこには水平線まで白い海が広がっていた。
海外沿いに、岬の森を行く。木の種類も多く、縦横無尽ににシカやキツネの足跡が走る。
冬の地の果てとは思えない、生き物の気配があふれる森だ。
近郊や大雪の美しい森というわけではないが、生きるというのを全身で感じれるという点では北海道の中では1番ではないだろうか。
しかし、シカによって樹皮をはがれて、立ち枯れている木もちらほらあった。
.95手前の崩壊地はうまくかわして、文吉湾を目指していく。
文吉湾の手前からは雪原が広がる。岬の前の美しい景色…
と思いきや文吉湾周辺から柵が張り巡らされており、その中には無数のシカの亡骸が転がっている。
tentyoによると、今年、岬周辺のシカを囲い柵に追い込んで100頭近く駆除したというニュースがあったそうだ。
確かにここまでも、シカの食害によって弱った木もあったし、増えすぎたシカの問題は、高校時代から大学でも耳にタコが
できるくらい聞いている。自分も駆除はしなければならないと思っている。
しかし、駆除したシカを亡骸の数々を野ざらしにするのはいかがなものだろうか。
狩猟で仕留めた分は持って帰り、食べるなりなんなりするのが正しいありかたなのではないか。
そんなことを思いつつ、シカの地獄を抜けて、改めてまぶしい雪原に出た。
海には流氷が揺蕩い、青空にはオジロワシが舞い、雪原にはシカが駆ける。
これ以上はないといえるような中、岬を目指す。
そして、たどり着いた地の果て。
そこにはピークのような達成感はない。この先には歩くところはなにもない、そんな寂しさが胸にこみ上げる。そんな場所だ。
そんな寂しさを打ち消すように岬グッズを出す。
シャボン玉を吹いたりビールを飲んだり。そして、到達記念の写真。
思い思いに過ごして岬を後にした。
斜里町と羅臼町を分ける灯台の下を抜け、急斜をツボで降りて東海岸へ降り立った。
さて、ここからはドキドキの海岸歩きだ。
先端まで来たら東側にも流氷が増えた。
途中、滑落して瀕死のコジカがキツネについばまれていた。
しばらく海岸を歩いて、カブト岩にたどり着いた。
ここでアイゼンにし、さらに2重のプラスチックブーツのインナーの上にゴミ袋をかぶせアウターを履くという防水方法で先を目指す。
流氷が浮かぶ浅瀬を流氷飛び石で超えたり、岩や岩に張り付く氷壁をへつったりして岩場を進んでいく。
海岸歩きの醍醐味を堪能して、カブト岩の岩場もあと少しというところで入り江にぶち当たった。
入り江の対岸は切り立った岩壁で、へつったら20mもある。それはこの荷物では無理だ。
しかし、できれば今日は先に進みたい。服を脱いで泳ぐかなどいろいろ悩むが引き返して大きく巻くことにする。まじか〜〜。
そういえば、北大山岳部の記録にはカブト岩の「巻き」と書いてあった気がする。
そもそも、海沿いルートを選んだのが間違いだったのかもしれない。
失意の中引き返すと、先ほどは歩いて行けた浅瀬が、満潮で水没している。
プラブを脱いでいこうかとも思ったが、早く戻りたいという気持ちから、そのまま行ったら、見事にプラブが浸水。
冷たい水が染みわたり、引き返しでなえていた気持ちからさらに行動意欲までそいでしまった。雑なことはするものではない。
取りあえず、今日は赤岩付近まで引き返すことにする。
さっきのコジカはもうおしりのところが無くなっていた。自然の営みを直に感じれるのも知床だ。
帰り際に、岩場の始まりを見ると急な沢地形が高台まで伸びている。おそらくここが正規のルートだろう。
しかし、技術的に自信がいまいち持てなかったので、アカイワ川手前の斜面から取りついて大きく巻くことにする。
引き返しと水没でなえて疲れた体を引きずって、廃屋と化した番屋の一室を除雪してテントを張る。
濡れた靴下をなんとか乾かして、明日の巻きのルートなどを確認して就寝。
なかなか前途多難な海岸歩きになりそうだ。
24日 巻いて巻いて巻いて
今日も時間がかかることが予想されるので早めに出発。ここまでの疲れがたまっている体が重い。
アカイワ川を渡ったところの急斜をシーアイゼンで登っていく。アイゼンでは埋まって無理だった。固いならアイゼンが登りやすいだろう。
斜度が緩くなってからは、.213から伸びる緩い尾根を登り、尾根の向きの変化で.213を確認。
そこから崖マークの切れ目に伸びるベロ尾根にコンパス切ってアイゼンで下り、番屋の裏に出た。
一本東の尾根に入ると崖にあたると思われるので、.213からの下る方向には注意が必要。2時間かかった。
取りあえず一息ついて念仏岩を目指す。
海岸に突き出している岩塔の手前の沢型地形を2本目のバンドの末端を目指して登る。そこにはfixロープがある。
ここも埋まるのでシーアイゼンで登り、fixロープ直下でアイゼンに変えてロープを使ってバンドに乗る。難しさはない。縦シートラがよい。
上まで登り切って、下るルートを探す。記録にはfixロープがこちら側にもあるはずだが、雪が多いのかわからない。
取りあえず、2本ある急な沢地形を偵察し、2本目が行けそうだったので下る。
急なのでバックステップ。雪が黒ずんでいるところは固くて緊張する。
下部に段差があり、意外と高さがあったので右手にあった雪のついていないバンド地形を行く。
狭く、下りになっているバンド状でホールドももろく浮石が多いのでかなり緊張する。
とりあえず、下にザックを落として空身で突破。
ひいひい言って下に降りてみるとfixロープの張ってあるバンドがあった。
これが正規ルートか。あんな緊張なんて必要ないような優しそうなルートだった。おそらく1本目の沢地形を下せばそこに出るのだろう。
ちなみに下部の段差は氷瀑になっていた。怖や怖や。
ここも2時間かかった。
さぁ、あとはペキンの鼻までなんもないと思って進んでいく。今日は日中は吹雪という予報だが、意外と天気が持っている。
白い爺爺岳がよく見えて、登りたい気持ちを掻き立ててくれる。
ペキンの鼻もだいぶ近づいてもう一息と思い、等高線100の文字の下の番屋マーク先の岩場についた。
が、どう見ても腰まで浸からないと行けないでしょうという入り江になっている。Fuck'in。
山岳部に記録によると干潮で突破できたのが2か所あったということだそうだが、これがそうなのか。
失意に暮れつつも、地図を見る限り番屋の裏手を登っていけばペキンの鼻まで行くのは可能なのでまたしても巻きへ。
暗雲立ち込めるという感じのように天気も崩れ吹雪になった。
急斜は相変わらず埋まるのでシーアイゼンで登っていく。
斜度が緩くなる直前が一番急でスキーでも大変そうなので、ツボにして行く。
ステップも決まり快調かと思いきや、最後の10mがステップ決まらず、あがいていもあがいても登れない。Fuck'in。
空身にして、スキーを履いて何とか上にたどり着く。
そこからザイルをたらして、荷物を引き上げた。
荷物が重く、一人で上げるの大変だったのでtentyoに空身で往復してもらって引き上げる。
最後の10m登るのに1時間かかった。雪質さえよければ…。
そこからは、崖マークをかわすようにトラバースして、30分でペキンの鼻の台地に出た。
白くて気持ちいいのだろうが、天気が悪い。台地には神社があった。
細くなっているところを進んで途中から降りるのだが、ペキン川側には雪庇が崖沿いに出ている。局地風もある。
細くなる手前でアイゼンストックにして、細い尾根の終わりから海岸に降りた。雪庇様の段差は固く一瞬後ろ向き。
ちなみに、入り江の先は海岸普通に行け、ペキンの鼻の北側も緩く簡単に登れる。
あそこさえ突破できれば…。
ペキンの河口のカンバの中にテントを張る。
予想以上に大変な海岸歩きにヘトヘトになって、下界が恋しくなってきた。
晩飯は、岬の隠しグッズだったレトルトカレーで英気を養う。
25日 強敵メガネ岩
今日は干潮を狙ってのゆっくりめの出発。
ここから先はsamoaは行ったことのあるルートだが、昨日までの苦労とルートの幅が多いので不安も大きい。
まずは、ペキン河口先の岩場。
先端部の2mほどの凍った雪の詰まったルンゼを超える。tentyoが空身にした。
次に舟泊の舟の字北の岩場。南側に回り込んだところがへつりになっている。
潮が引けば岩棚歩いているが、まだ引ききっていなのでへつりとなる。
ホールドも豊富で水際のスタンスは大きいくしっかり置けるので難易度は低い・
そして、2年前手こずったメガネ岩のへつり。
さっそくルートを見てみると、回り込むところに氷がびっちりついていてみるからに難しそう。落ちたら全身ずぶ濡れだ。
取りあえず空身で行く。
まず2mほど氷壁を登り、ザクザク雪で回り込むところの手前の岩棚まで。
トラバリ下りで、岩棚手前は岩が当たるので後ろ向き。
そこから、5mくらい氷壁にピッケルをぶち込んでホールドにしながら岩をスタンスにへつる。ここが核心。
先端部の回り込むところが一番緊張する。
回り込んだ先はザクザク雪の急斜面をトラバッテ、トンネルに抜ける。
ルートを見出し、最初の氷壁部分をザックつり上げて岩棚にザックを運ぶ。
そこからザイルを引いて先端部を回り込み、ザックを振り子で反対側へ。
tentyoは肩絡みで簡易的に確保して核心は突破。
回り込んだ先も何回か通過しているうちに雪が落ちて、一番急なところがへつりチックになったのでtentyoは空身でザックを釣り上げた。
ここだけで2時間近くかかった。緊張感からどっと疲れた。前回もそう思ったが、前回以上にもうこんなのはごめんだと心から思った。
その先の剣岩は干潮時に現れる岩棚を使って突破。楽勝だ。
やっとのことでモイレウシ河口。天気は良く3日前にいたポロモイが見えている。もう3日も前か。
タケノコ前までやたらシカの死体が転がっている。今年は雪が多く、餌をとるために無理をして滑落したのだろうか。
タケノコ前の岩場は沢型地形を使って巻く。
最上部にfixロープがある。雪が多いのでそこまでスキーで登れた。
最後だけツボでロープ使って登る。
下りの最初もロープ使う。落石注意。
ザックとスキーは下に放り投げる。
タケノコも岩棚を使っていく。
最後の入り江は反対はへつれないように見えるが、入り江の一番奥にトンネルがあるのでそこを行く。
満潮だと少し大変になるかもしれない。
干潮だよりの部分が終わり一息ついた。シャリバテ気味だったtentyoには無理をさせてしまったようだ。
しかし、その先の巨岩帯もなかなか巻いたり、空身でトンネルくぐったりとかなりだるくて疲れてしまった。
思っていたより大幅にCTがかかってしまったので、化石浜の番屋の廃屋で今日の行動を終了とする。
もしかしたら今日下山できるかもと思っていたが、なかなかうまくいかない。
明日こそとおまわりに行くぞと食料などを食べてすっからかんにする。
26日 始まりの場所へ。
今日も干潮狙いだが、とおまわりへの連絡リミットがあるので昨日より早めに出る。
今日も天気がいい。そろそろオジロワシも見飽きたなぁ。
岩場地形には氷瀑があり綺麗だが、溶けて落ちてくることもあり見惚れていると痛い目にあいそうだ。
嘴のように2つとびている地形の一つ目北側はへつり。
もう少し潮が引けば岩棚を歩いて行けるだろう。舟の字北のへつりよりは難しめ。
あとは岩棚歩くだけ。
そのさきの2つある入り江地形は1つ目は歩くだけだが、2つめの入り江の北側がへつり。
ホールドスタンス多いとおもっていくと、samoaが最後のほうのでホールドが取れて落ちる。
幸い浅かったので濡れたのは膝くらいまでで済んだ。下山日だからよかったものの油断大敵だ。
実は、その先のおりるところが難しく、tentyoは空身で慎重に降りた。
やっとこさ海岸の核心は突破し、一安心。
あとは観音岩超えるだけ。
海岸歩いて、ウナキベツは細い橋で渡渉。
観音岩を巻く沢型の上部までスキーで登り、ザックとスキーを放り投げてバックステップで下る。
雪が少ないと岩が出るので、木をピンに懸垂するのが楽だろう。
さぁ、あとは海岸歩くだけ。汗ばむ春の日差しの中、国後を横目に海岸を行く。
海岸沿いの急斜面はところどころ雪崩には注意。
7日前に知床岳を目指して登ったカモイウンベの河口をこえ、相泊にたどり着くと、愛車が迎えてくれた。
そして、とおまわりへ向かったのでした。
長かった。大変だった。でも感動と充実に満ち溢れ、知床をどっぷりと満喫できる最高の8日間だった。
はじめまして。
○「シーアイゼン」というものがでてきますが、どんなものか写真があれば追加していただけるとありがたいです。
○8日間バッテリーを持たせるためにどういうことをされていたのでしょうか?
○8日間もの山行、食事で気をつかったこととかはあるのでしょうか?(例えば、飽きないようにメニューを工夫するとか、アザラシを捕るとか、これはないか )
質問ばかりでスミマセン。
自分もほぼ同じ時期に8日間山篭りしてました。
最後の一文大変共感します:)
北海道の冬山は本州と比べて何倍も厳しそうですし、景色が全然違いますね。
いつかは冬に遊んでみたいもんです。
イグルーは単独でも作れますかね?
ひとりだと効率悪いかな。。。
bibiloloさん はじめまして。
シーアイゼンとは、スキーのビンディングにつけるクランポンのことです。
自分が使ってるジルブレッタ500のは下のページのカタログのような形状をしています。
http://www.greenlife.co.jp/item/ski/mt-bin/silvretta-500.html
シールだけだと固すぎ、でもアイゼンだと埋まるというところで威力を発揮します。
知床は雪が固めなので、非常に重宝しますが、ガンガン行き過ぎると滑落の危険もあります。
バッテリーを持たせる工夫は特にしていませんでした。
結構写真を撮ってしまうほうなので、やはり最終日には電池切れになってしいました。
最近のデジカメはしっかり充電すれば200枚くらいは撮れると思うので、それを目安にするといいかもしれません。
今回は1台しかありませんでしたが、複数人でいってカメラが2台あるときは、1台温存するという作戦もあります。
食事ですが、今回はほとんどが乾燥食材を入れた雑炊、停滞食としてパスタ・棒ラーメンを食べていました。
はっきり言って最後のほうは飽きてきますが、長期の山行対する軽量化としては、諦めなくてはならない部分だと思います。
ただ、雑炊の味もある程度変えられます。
また、ペミカンという肉や野菜の水分を飛ばして油で固めた保存食を1食持っていきました。
軽量化の次第によって何食持てるかは変わってきますが、私の中では楽しみなごちそうです。
体力に自信があれば、いろいろ持って行けて飽きることはないかもしれませんね。
アザラシではありませんが、私が所属していた北大ワンゲルの過去の記録には、他大のテントにシカが滑落したというニュースで聞きつけ現場に行き、そのシカを食べたというワイルドの先輩もいらしゃったようです(笑)
riCさん
8日間も入るともうしばらくいいやと思うのですが、3日後くらいにはつらい記憶も美化されて、また行きたいと思っているで不思議なものです。
記録拝見しました。単独で8日間はとても私にはできない所業です。尊敬します。
数は力といいますが、山ではそれが顕著です。2人になるだけでだいぶ違います。
垂直方向に大きい冬のアルプスの山々にもいつか行ってみたいです。
この時期の北海道は雪も安定していてラッセルなどで苦労することは本州に比べると少ないかもしれません。
やはり山の規模が段違いな本州も大変なのではと思います。
我々も、今年になってイグルーを作り始めたので明確な回答できないのですが、ドーム型のイグルーは中で支える人が必要なので、大変かもしれません。
ただ、横穴を作って、空いてる部分をブロックで塞ぐような半雪洞・半イグルーなら1人でも作りやすいのではないでしょうか。
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