鈴鹿セブンマウンテン縦走
- GPS
- 35:28
- 距離
- 45.5km
- 登り
- 4,440m
- 下り
- 4,370m
コースタイム
- 山行
- 10:55
- 休憩
- 1:32
- 合計
- 12:27
- 山行
- 9:08
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 10:33
天候 | 晴れ、くもり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
ベスト
長袖シャツ(2)
タイツ(2)
ズボン
靴下(2)
グローブ
ダウンジャケット
雨具
帽子
ヘルメット
ファイントラックアンダーシャツ(2)
靴
ザック
ザックカバー
アルファ米(6)
カップラーメン(4)
行動食(パン
カロリーメイト)
水(2L)
ガスカートリッジ(110)
コンロ
コッヘル
ライター
地図
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ツェルト
インナーポール
テントマット
シュラフ(カバーも)
ストック
ナイフ
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感想
夏のアルプス縦走に向け、今年は早くから始動。
今回の計画は、昼食大休止を設けず、各ポイントの通過予定時刻をコースタイムの0.9倍とした。必要カロリーと水分摂取量のノルマを設定し、それをクリアできるかも試みた。ベースウェイトはシュラフ(イスカエア450X)やテント(今回はツエルト)、ザック(2kg)で8kg、水分2L、食事(行動食+夕食)2kgで合計12kg。体重57kgでスタート。※帰宅後は2kg減だったので、カロリー摂取量に問題あり。
ウェアは、ファイントラックのアクティブスキン(長袖)に同社製メリノスピンサーモジップネック(長袖)。寒いときは、ワークマンのストレッチソフトシェルジャケットを羽織る。パンツはアクティブスキンの上にワークマンのクライミングパンツ(ディアマジック ダイレクト)。膝下をジッパーで着脱できるので、暑くなったら半ズボンにできるのが嬉しい。
シューズは、足運びの軽快さを重視してトレラン用とした。
初日
西藤原の大貝戸登山口は真っ暗で少し肌寒い。最近、藤原岳には登っていないので、今歩いている場所が『登山道だ』と確信するのに少し時間が掛かった。登りとは言え、ヘッデンだとやはり緊張する。5合目辺りで空が白み始める。休憩を取らずに8合目まで一気に登った。急登の連続だが、歩きやすい。9合目辺りに福寿草が咲いていた。今年は例年より早いと聞いていたので、残っていてラッキーだった。程なくして藤原山荘へ到着。ストレッチをしながらコンビニで買ったサンドイッチを頬張る。今回は1時間毎にストレッチを行い、食事は歩きながら行動食だけで済ます計画だったが、少し時間を稼げたのでゆっくり朝食を頂き、トイレを済ませて出発。
一座目は藤原岳。山頂は少しガスが出ていて風も冷たい。登頂の証だけ撮影して、次を目指す。最初の下りはとても滑りやすく、いつも緊張する。更に今回はグリップが悪いシューズで来てしまい、少し後悔する。なんとか転ばずに切り抜けて多志田山に到着。数年前は多志田山を経由せずにトラバースを進んだ記憶があるが、危険箇所だったので道を付け替えたのだろう。
アップダウンを繰り返しながら迷い尾根を通過し、治田峠で休憩。座布団を背中に敷いて仰向けになり、両足をぶらぶらさせたり、殿筋や大腿部をほぐす。このセットで約6分を要したが、これを1~1.5時間毎に入れていくことで、体がどうなるのかを試すのも今回の目的だ。次の目的地をセキオノコバに設定し、カロリーメイトを頬張りながら歩く。この辺りはアップダウンも少なく、とても歩きやすい縦走路になっている。セキオノコバでも同じルーチンでストレッチを行い、竜ヶ岳を目指す。以前ここを通った時のことを思い出しながら黙々と歩くのも悪くない。
竜ヶ岳山頂は相変わらずの風である。先ほどの休憩からまだ1時間足らずだったので、写真だけ撮って石槫峠を目指す。膝下のササ原にまっすぐ伸びた登山道が気持ちいい。大ガレの崩壊地を迂回し重ね岩まで下る。少し太ももに疲労が出始めた。重ね岩からの下り道で迷う。岩を越えていくのか、手前を巻くのか。。。色々試したが、どう考えても違う。で、道標まで戻ってみたら、左折れする道があった(笑)
疲労度が増す太ももを気にしつつ石槫峠に到着した。多くの車が停車しており、混雑していた。水場で空になったペットボトルを満たし、例のルーチンをこなして三池岳を目指す。カロリーメイトとフルグラを交互に食べながら歩を進める。右から吹く北西風が冷たい。三池岳までは誰にも会わないだろうと思っていたが、それなりに人は居た。ソロの人はどうやって車を回収するんだろう?なんて考えている内に三池岳に到着。この区間は予定より30分早く到着できた。スピードアップしていないので、コースタイムの設定が甘いのだろう。ま、こっちにしてみればラッキーである。肩口から下げていたフルグラのボトルが空になったので、袋から追加する。胴体にに蓋がくっついている太めの500mlボトルなのだが、蓋が入口を塞ごうとするので、邪魔で邪魔で仕方がない。携帯するのは便利なのだが、入れるのが苦で、他に代用できるものは無いかと数年間探しているが、なかなか見つからない。
三池岳から釈迦ヶ岳までは色々なパーティーとすれ違ったが、中でも私に道を尋ねてきた親子連れが印象深かった。『猫岳はあとどれくらいですか?』、「??。。猫岳は釈迦の向こう側ですよ」、『えー!どこで間違えたんだろう?』、「山頂から少し戻ったところに分岐があるんですが、気付きませんでしたか?」、『このまま進むとどこへ出ますか?』、「どこから登ってきましたか?」、『地図持ってるんですが、、、今回はこのルートの予定です』、「(地図っていうか、ガイドブックのコピーだよ・・・)1時間位で釈迦ヶ岳に戻れるので、来た道を下るか予定通り猫岳を経由してハト峰から下るかですね。但し、猫岳を経由するとアップダウンが続きますよ!」、『アップダウンがあるんだって!どうする?』。悩んでいるお父さんを横目に一緒に来た子供に話を聞くと、数年前から鈴鹿セブンマウンテン制覇を目指しており、今日が4座目だそうだ。お父さん、子供のためにもちゃんとした知識を身に着けて登ってね(^^) 結局この親子は来た道を戻ることに決めました。一安心。
釈迦ヶ岳でルーチンをこなし、分岐で親子連れを見届けてから猫岳を目指す。数週間前はぬかるんで歩き難かった道も、今日は滑らずに歩ける。ハト峰で休憩を挟み馬酔木の群落に癒されながら根の平峠に到着したのが、予定の50分程前。まだ歩けそうだし、少し先を目指すか。タケ谷分岐を越え、目印の巨木に力をもらい、上水晶谷出合へ差し掛かる。「うわぁ、水多いな」今回のシューズ選びで一番悩んだのは、根の平峠から雨乞岳を経由して御在所山へ至る道の各所にある渡渉だ。トレランシューズは水深1cmくらいで浸水してしまうため、うまく渡らないと水浸しになって不快極まりない。渡渉は上手くいったが、その先のぬかるみであわや浸水の危機に。コクイ谷にテントを張ろうかと思っていたが、少し手前に静かな場所があったので、登山道から少し下ってツエルトを張ることにした。地面からの断熱性を高めるために、落ち葉を集めて敷き詰めたが、栗の殻も含まれていたので、地面からとげが突き出てきて座ると痛い。ツエルトの床をめくって栗の殻を撤去し、ようやく寝床を確保した。服を着替え、ストレッチを念入りに行う。さすがに12時間も歩くと疲労度が高い。晩ご飯を作るのも面倒だったが、持参した賞味期限切れのアルファ米に大豆ミートを入れ、500mlのマグカップで炊く。アルファ米は炊いた方が断然おいしいのだが、他のことをしている間に焦がしてしまった・・・
しかも大豆ミートの浸水時間が短くて硬い。朝にコンビニで買ったベーコンポテトサラダが唯一の救いであった。これを1週間以上続けるとなると、すぐに飽きてしまうことは明白であった。ご飯を食べたら寝るだけだ。3:30にタイマーをセットし、シュラフにもぐりこんだ。何かの鳴き声がずっとこだましている。と、人の声が。登山道から離れているのに、ツエルトに驚いた様子ですぐ脇を通過していった。時計を見たら20:30頃だった。周囲は真っ暗なのに、更に先へ行こうとしている様子だった。
2日目
3:30にアラームが鳴る。耳栓を外したら、ツエルトを叩く雨の音が聞こえた。「雨?みぞれ!」この先のルートには、コクイ谷を含めて多くの渡渉箇所がある。真っ暗でみぞれ交じりの時に歩きたくないなぁと思い、もう少しシュラフの中でゴロゴロすることにした。4時過ぎに起き出し、片づけを行う。朝食は歩きながらと決めていたので、着替えをして荷物をザックへ突っ込んだ。ツエルトを畳んで時計を見たら5時前。結局当初の予定時刻になっていた。
ヘッデンを点けてコクイ谷へ。愛知川を左岸へ渡ろうにも水量が多くて無理っぽいので、コクイ谷を横切ることにする。数年前に新設された橋は既に流されているので、渡渉箇所を慎重に見極める。ストックでバランスを取りながら渡りきり、岩壁を登ろうをした瞬間、「冷たっ!」。湧水が上から流れており、左足が濡れた。心配していたことがやはり出てしまった。結局、左足は昼過ぎまで乾くことは無かった。
幾度かの渡渉を何とか乗り切り、杉峠の下にあるキャンプ適地へ到着。テントが1張りあった。昨日の夜に私のテント脇を通過していった人だろうか。ここで水分を補給し、スポーツドリンクを1L作った。上を見上げると強風が吹き荒れているのが聞こえてきた。昨日の風でお腹が冷えた反省から、今日は早めにレインウェアを上下着こんで防風対策を行う。杉峠でテムレス(薄手)を着け、雨乞への急登に取り掛かる。ザレ場で足を滑らせないように歩を進める。急登が終わり平らな場所に出ると、目の前にはエビのしっぽをまとった木々が姿を現した。エビと言っても小エビ程度だが、4月にこの光景を目にするとは思ってもいなかった。横風が冷たいものの、背の高いササに遮られて幾分マシである。それでも雨乞山頂の池が半分凍るほどの寒さだ。山頂で4座目の証を撮影しているところに一人の青年が現れた。「大変な日になりましたね」と声を掛けた。武平峠から三人山を越えて登ってきたとのことだが、7時に雨乞岳に到着しているとは、かなりの速足である。
東雨乞岳へ続くササ原を抜け、七人山のコルまで駆け降りる。ここまであまり休憩していないので、太ももにダメージが蓄積されているのが分かる。先ほどの青年は、このまま沢谷峠を通って武平峠へ戻るのだという。私は鈴鹿セブンマウンテン縦走の途中で、群界尾根から御在所山へ登るんだと話した。彼は、へぇーっといった顔で私を見返してきたが、靴ひもを締め直して颯爽と去っていった。クラ谷の渡渉手前で休憩を取り、沢谷峠へ。今日は昨日と違い、やけに人とすれ違う。こんなご時世だが、山は安心できる場所の一つであるのだろう。沢谷峠で群界尾根の入口を探すが、以前あった派手な目印が見当たらない。それでも急登を登っていくと、登山道らしき踏み跡に出会った。御在所までは約2時間を予定しているが、足取りは順調で急登を1時間ほどで駆け上がった。ここで大幅に貯金できたと喜んだが、計画書を見ると区間時間は1時間だった。がっくり。
5座目の撮影を終え、武平峠へと下っていく。登山道は、花崗岩の浸食がすすんで滑りやすいザレ場になっている。武平峠で休憩を入れず、鎌ヶ岳へ向かう。家族連れの親子と抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り返しながら、ザレ場を登っていく。こちらは御在所山以上に浸食が激しく、迂回路がいくつも設定されていた。
6座目の鎌ヶ岳に到着。数パーティーが山頂でお昼ご飯を採っていた。冷たい横風も山頂だけは止んでいた。目の前には最後の山(入道ヶ岳)がデーンと見えていた。しばしの休憩を取った後、岳峠の急坂に取り掛かる。この岩場は以前通った時より険しく感じるなぁ・・・、こっちから回るのか?と試行錯誤をしてみたが、どう考えても一般道には程遠い難路である。冷たい横風の中、地図を広げてみてようやく間違いに気づく。山頂へ登り返して降り口を見つけた。私が下り始めたところは、50m以上の岩壁で、懸垂下降じゃないと降りられそうもない場所だったようだ。こんなところで危うく大けがをするところだった。気を引き締めて入道を目指す。入道までは宮妻峡を大きく迂回する必要がある。さっきまで目の前に見えていたのに、どんどんと離れていくのである。なんとも空しい。細くザレた稜線を慎重にアップダウンを繰り返す。こちらも意外と登山者が多い。水沢峠を越えて、イワクラ尾根の道標を目にした時はうれしかった。あとは入道まで直進あるのみだ。しかし、ここからが正念場だった。何度となく繰り返される大きなアップダウン。急登でザレザレの難路に何度となく心が折れそうになるが、ラスボスはそう簡単に本当の姿を見せてくれない。あるピークですれ違った方に、「もうこれが最後の下りですよね?」と問いかけると、『まだありますよ。頑張って!』と声を掛けられた。もう笑うしかなかった。
入道の山頂に自生する木々が見え始めても、更に下りが待っている。そして、北尾根のピークに立った時、大きな白い鳥居が目に飛び込んできた。嬉しさのあまり駆け出したくなる気持ちを抑え、馬酔木の祝福にあいながら最後の瞬間を噛みしめるように坂を下る。そして、山頂で両手を上げて叫んだ。ものすごい風も気にならない。鳥居をくぐると伊勢湾が一望できた。良く晴れて遠くまで見渡すことができた。7座目は道標が無くなっていたので、鳥居を証拠写真とした。
風が少し弱い場所で、前日に買っておいたランチパックを食べた。旨かった。
二本松尾根の下りで太ももがかなり傷んだが、河川敷に咲く満開の桜を眺めると、なんだか穏やかな気持ちになっていくのが分かった。椿大神社で感謝と今後の安全を祈願し、縦走終了となった。
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