秋晴れの紅葉につつまれ、雷鳥に出迎えられた鹿島槍ヶ岳と五竜岳縦走
- GPS
- 16:30
- 距離
- 24.1km
- 登り
- 2,862m
- 下り
- 2,646m
コースタイム
- 山行
- 7:26
- 休憩
- 1:51
- 合計
- 9:17
天候 | 両日とも山行中はほぼ快晴の良い天気でした。一滴も雨に降られていません。 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
下山口 アルプス平からは、8人乗りゴンドラ テレキャビンでエスカルプラザ¥1300 エスカルプラザから大糸線 神城駅まではシャトルバスで5分 無料 大糸線 神城駅〜信濃大町駅 \420 信濃大町から扇沢まで\1390 扇沢からは自家用車で帰宅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
柏原新道登山口から鹿島槍ヶ岳南峰までの登山道は整備が行き届いていました。 要注意箇所は 鹿島槍ヶ岳 南峰から北峰に至る吊り尾根は危険度が違います。 落石・滑落の危険性があります。要注意です。 北峰からキレット小屋までの区間は、危険個所には鎖・梯子がかかっているので慌てず、着実に進んで行けば問題無くクリアできます。 反対方向に向かう登山客との行き違いには充分注意が必要です。 山側で待って、道を譲り、やり過ごしてから進みましょう。 写真撮影時などや、思いがけずバランスを崩すことのないよう安全な場所で撮りましょう。 我々が感じた難易度は、キレット小屋から五竜岳に登るエリアの方が、難易度が高いと感じました。鎖・梯子・岩場が連続しますので、細心の注意を払って行動しましょう。 |
その他周辺情報 | 大町温泉郷にある日帰り温泉施設 湯けむり屋敷 薬師の湯 ¥750 (冷水風呂あり) 小木曽製粉所 安曇野IC店 長野自動車道 安曇野インタチェンジ手前300m |
写真
感想
今年、初めての北アルプス
思い立ったらと頭に思い浮かんだのが、後立山連峰の鹿島槍ヶ岳と五竜岳でした。
昨年、剱岳でご一緒したランニング仲間のさとしさんに声をかけて一緒に行くことに。この縦走ルートには日本3大キレットの一つ八峰キレットを通過しなければならず息が抜けない緊張の連続となる。
ご存知の通り、キレットとは?(YAMAHACKから引用)
『キレット」とは漢字で「切戸」と書き、山と山をつなぐ尾根が深く切り落ちている場所のこと。
長野県の方言からきた言葉と言われており、富山県からは「窓」と呼ばれることもあるようです。
通常の尾根よりも細く断崖絶壁もあるキレットは、登山ルートとしても難易度の高いルートが多く、岩登りの基本的な技術が必要な場所もあります。ほとんどが初心者向きのルートではないため、経験と体力を積んだうえで臨むよう推奨している。』
このような難所なので、単独山行は避けたいところ、また、初心者と行くわけにも行かない。
一緒に歩いていて、お互いに迷惑をかけず、足手まといにならないもっとも信頼の置けるパートーナーでないと危険が伴ってしまう。だからと言って、笑いが無いのはおもしろくない。ざっくばらんな会話やオヤジジョークも言い合える楽しい人! それが、さとしさんなのである。
思い立ったらの企画のため、テント場や山小屋は当然のことながら空室が少なかった。この時点でキレット小屋は満室。扇沢近くの柏原新道登山口から歩いていくと、ちょうどこのキレット小屋あたりがちょうどよいがwebで予約状況を確認すると希望日に空は無く、妥協案として、種池山荘テント泊で鹿島槍ヶ岳をピストンするコースを当初は考え一度は予約を入れていた。だが、2〜3日前にキレット小屋のネット予約状況を見たら「残少要電話」になっていたのでこちらに変更できました。
ひさしぶりの小屋泊。すでにテント泊の装備を準備済みでした。最近、ファストパッキンも愛好し始めていたので、一つ一つの装備も軽量化しパッキング術も学んできたので北アルプスの1泊くらいの縦走なら46Lのザックでも充分余裕をもってもチョイス可能でした。つい7月にも奥秩父主脈縦走ファストパッキングでも33Lのザックで清里駅から甲武信ヶ岳まで2泊3日で縦走している経験がいきている。
とにかく、不要なものを(ツエルト・シュラフ・マットなど)取り除き、ヘルメットを外側に装着しても余りある軽量感になりました。
行動計画では、扇沢に24日深夜に到着して、柏原新道登山口を深夜3時に出発する計画でした。さとしさんは、20日〜22日は神戸・姫路に出張、帰宅後、23日には栃木県に移動するなど、すごく多忙を極めていました。
そんな、大忙しの状況の中でも、私の誘いを快く受け入れてくれ本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
深夜1時過ぎに登山口近くの無料駐車場に到着し、少し仮眠をとって、予定通り、柏原新道登山口を深夜3時に出発致しました。
駐車場に到着した時には駐車場は数台の空きスペース以外はほぼ満車状態でした。真っ暗な中で車中に人がいるのか?いないのか?
仮眠をとっている人はいなさそうでしたが、出発時にとなりの車にはおじさんが寝そべっていました。
駐車場に着いたのは一番遅く、出発は一番早いということになりましたが、夜空を見上げてみると、星が瞬いており、本日快晴を約束するような空になっていました。
柏原新道登山口は標高1350m前後でヘッドライトを頼りに、真っ暗な中、標高をあげていきます。登山道は参考記録通りで、歩きやすく、しっかりと整備されていました。さとしさんは、ヘッドライトの灯を頼りに左右に頭を振ってしまい酔いを感じてしまったようでした。途中、ライトを消したりするなどして登っていたようでした。
途中、「富士見坂」と呼ばれるところで、小さいながらもお椀を逆さにした格好で存在感をアピールしている富士山の姿をしっかりと確認することが出来ました。
そして「鉄砲坂」を通過したところで、周辺の木々の高さが低くなり、周囲が開けてきたところで右手には「朝焼け雲」を身にまとった「爺ヶ岳」がとても晴れやかに美しく存在感をアピールしているようでした。
種池山荘には5時35分頃到着したので、小屋前にはご来光を目当ての登山客がたくさん、集まっていました。針ノ木岳など後立山連峰の山々が赤く朝焼けして
自然の創り出す情景はなんとも不思議だなあと感じました。
次のポイントの爺ヶ岳南峰にてお腹が空いたので日清カップヌードルChiriTOMATO BIGを食べることにカップヌードルとクッカーとバーナーは私が用意すると話していましたが、さとしさんは時間がもったいないからと自ら持参され湯沸かしをはじめました。あっという間に沸かしたのは良かったが、お湯が足りず、追い焚きするハメに(笑)お先に頂きますと、一足先に食べ始められ「うまい」と一言つぶやいてくれたので持ってきた甲斐がありました。自分は相変わらず、モタモタしながらの湯沸かし。そして、せっかく沸きかけていたクッカーをひっくり返す始末。3分の2ほどこぼれてしまいました。しょうがないので、お水を追加して再度、沸かしてやっとのこと、カップヌードルにありつけました。その旨さは地上で食すカップヌードルとは
やはり、大違いでした。こんなシュチュエーションです。爺ヶ岳山頂の風があたらない方角に陣取りその目の前にはポカポカにしてくれるおひさまと眼下には地上が見えないほどの雲海が広がり、富士の頭がヒョコッと出ていて、そこから左手には八ヶ岳連峰も顔を出していて、そんな絶景を目の前にして、カップヌードルを頂くわけですから、うまくないわけがないですよね。生きてて良かった〜と思う瞬間でした。
お腹もふくらみ、元気も出てきたところで爺ヶ岳北峰はパスして鹿島槍ヶ岳を目指しました。ちょうど爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳に向かって歩いていくルートは、とても眺望が良くて、左手、ほぼ目線の高さには立山連峰の雄山、大汝山、別山、剱岳の名峰が一望でき、そして前方には双耳峰でまるで武士がずっしりと胡座をかくように着座しているように見える鹿島槍ヶ岳が視界の中に入り、そして右手にはおてんと様と富士と雲海の世界です。そんな風景を楽しみながら、歩を進めていきます。
爺ヶ岳北峰の西側まき道から一度下っていくとその稜線上の鞍部には冷池山荘が眼下に確認でき、そこから鹿島槍ヶ岳南峰へと続く登りの稜線が確認出来ます。その手前には、鹿島槍ヶ岳手前には立ちはだかる布引山が確認出来ました。
しばらくすると、ヘリのプロペラ音が聞こえてきて、鹿島槍ヶ岳の北峰と南峰との間のつり尾根上空あたりを見上げるとホバーリングしているヘリコプターが確認出来ました。
上空を見上げながら歩いていたのですが、ホバーリングしては、北側、南側、北峰、南峰に移動しながら、何度も旋回しては、吊り尾根あたりでホバーリングしているようでした。
地上から見ても何をしているのか?ちょっとした疑問でした。山小屋に荷物を空輸するなら、ヘリから下に網にくるまれた物資を降ろせばいいだけだし、山岳救助訓練にしては誰も降下している感じではなさそうでした。
そんな会話をさとしさんとしていると、おひとりで登山をされている女性の方が、話しかけてきて、「昨日もヘリが鹿島槍ヶ岳上空を飛来していました」と「何もなければいいんですがね」という会話を交わしました。
そして冷池山荘にたどり着き、手前のベンチに荷物を降ろし、先程の女性もしばらくすると到着されたので、今度はこちらから話しかけました。
「昨日は冷池山荘にお泊りだったんですか?」
と話しかけ、そこから、昨日、ヘリが飛来していたのを確認されたのだそうです。
逆に我々にどちらから、どちらに?と聞かれ登山口は扇沢からキレット小屋で泊まり、五竜岳に向かって、そこからアルプス平から下山します。と
その方は、以前、逆ルートで五竜岳〜キレット小屋〜鹿島槍ヶ岳というルートを経験されたようでした。今回はキレットへは向かわず鹿島槍で折り返して、気のままの計画で無理せず、下山できなければ種池で泊まられるような話をされていました。
その休憩している最中でも、ヘリは山頂部でのホバーリングから、またまた飛び立ち、我々の休憩場所近くの上空真上を旋回しようとしていたので動画で記録しましたが、ヘリの機体の色が青かったので山岳救助ヘリだと確認出来ました。
(下山後、動画を拡大して機影確認すると、長野県警のやまびこ1号又は2号でした。エアバス社製で13人〜17人搭乗出来、時速240〜270kmで約4時間飛行出来る。)
そのとき、自らが感じた感情を吐露すると「滑落事故などで亡くなられた方がいなければいいなあと、これから、我々も八峰キレット〜五竜岳に向かうので、より慎重に油断せずに安全な登山をして無事に下山したい」と考えていました。
休憩を終えて、リスタート冷池山荘の入口前に、さとしさんがおもしろい
看板を見つけました。
「タクシーのご用命は当山荘で営業致しております。お申込みください。」
えっこんなところにタクシーが来てくれるの?
「もちろん、来るわけないですが」あまり、他の山小屋では見かけない看板だったし、来てくれるなら本当にありがたいなあと、駄洒落っぽくて、思わず笑顔になりました。看板の下部分には「予約金はタクシー料金支払いのときに差し引き精算致します。」とちゃんと書いてありますのでもちろん善意なサービスです。
冷池山荘テント場にはもう一つの看板が切実で「コロナ大不況 山小屋大打撃 経営難の中頑張っています。このままでは本当に? 皆様 募金にご協力下さい。」
まさに切実な問題を抱えているようでした。
冷池山荘〜布引山間の山道の両脇には、赤く色づいた紅葉や、名前のわからない高山植物などが、咲き誇っていて、とても歩いていて気持ちがいいところなので、思わずカメラに収めていました。
そして、しばらく歩いていて9時51分頃
本日の百名山1座目 鹿島槍ヶ岳 南峰山頂に到着。2889m そこからの眺めには、小さな白い雲が同じ高さにいくつか浮かんでいて、そこからの立山連峰の眺めもまた素晴らしく、特に剱岳はカッコヨスギでした。ここから先が少し長い行程になるだろうと予測して、南峰で腹ごしらえしようと途中、コンビニで購入したおにぎりを一つだけお腹に入れ、落石の多いエリアなので、ここからヘルメットを着用しました。
難易度の関係から、ほとんどの方は南峰まで登りピストンで引き返す方や、北峰まで行き、そこから引き返す方もいます。マップには「南峰より吊り尾根へは急な下り落石注意」と記載があるとおり見た目でも急な下りで落石の危険性が高く
南峰でヘルメットを装着するのが正解です。
我々が慎重に下っている中でも、ヘルメットを装着せず、早いペースで下る男性がいましたが、お先にどうぞと何人か道を譲りました。
急がば回れ、ここまでの時間短縮で稼いだ貯金をここからキレット小屋までの危険地帯で有効に活用しようとさとしさんに声をかけて「ゆっくり行きましょう」と再度、声をかけました。
慎重に足場を選び腰を低く落として吊り尾根の最下点まで下がり、登り返しのところから、左手、キレット小屋へと向かう道と右手から、北峰に登る道とに別れます。さとしさんから、どうします?と聞かれたので、「せっかくだから登りましょう!? 再びまた、ここに来る可能性も低いので」とこたえて、登ることにしました。
山頂には4〜5人いましたが、皆、ヘルメット装備は無さそうな感じでした。交代で記念撮影して
いよいよ、八峰キレットを通過して、キレット小屋を目指します。八峰キレットの核心部はキレット小屋手前の20分くらいのエリアと見聞きしています。
北峰からキレット小屋が少し見えていたくらいですから、目と鼻の先ということは理解できます。南峰からキレット小屋までのコースタイムは2時間とあるので、北峰と小屋分岐から、少なくとも1時間あまりがコースタイムと考えると、鎖場、梯子、岩場、トラバース、対向者との行き違いなどで、神経を使うのだろうと考えずにはいられません。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、正直、歩いたことが無いので、「どんなに危ないのか?」「どんなに高度感を感じるのか?」が、まったくわかりません。ヤマレコ画像やYouTubeを見返しても、イマイチ、よくわからないというのが本音です。アドレナリンが出ているのかは、わかりませんが、不安と緊張感、そして期待とワクワク感が心の中を埋め尽くしている感じ、その中でも、不安感に支配されているイメージです。
分岐で立ち止まっていると後ろから、先程、道を譲ったヘルメット無しの登山者が降りてきて、迷わずこちらに目もくれず南峰に向かって進んで行きました。さっき、道を譲り、なんの挨拶もない愛想のない人でしたが「あ〜行かないんだ!」とさっきは意気揚々としていた感じだったので以外でした。
北峰からキレット小屋までは約300m余りの下り基調で狭く痩せた尾根を進むことになります。とにかく、行き違いには注意しなきゃとか、たった一度のミスが命取りになるなあと。
ここで再度、気持ちを引き締めて、さとしさんに、ここからは慎重に注意して行きましょう! 今の時間は11時前後と余裕もあるし、そのためにコースタイムで貯金をつくってきたわけだし、たくさん時間をかけても小屋から言われている15時までには間違いなく到着出来るって声をかけて、前に進みました。
実際に進んでいくと、さほどでもない感じでした。
ヤマレコや百名山一筆書きの映像、画像で記憶に残り、印象的だったのが、左側が崖で切れ落ちたところで、足場が無いところに「錆びた格子状の橋」がかかっているところ。さとしさんは、難なく涼しい顔で通過して行きます。私も後ろから付いていくのですが、あ〜ここか!映像では恐怖感を煽ってたけど全然怖くないじゃん! 余裕余裕 なんだもっと怖くてスリルを味わえると思った!つまんない!と思わず叫んじゃいました。橋の左側は草木が生茂っているので、切れ落ちているか?はわかりません。片手スマホで動画を記録しながら歩けるくらい恐怖感はありませんでした。
そして、「右側の岩壁に取り付いた梯子」のところですが、わざわざ岩壁に梯子を取り付けているのだから、よっぽど左側は安全ではない! という印象を持ちます。確かに左側は崖ですが、ちゃんと足場はあるので、まったく恐怖感はありませんでした。
核心部はこのすぐ先にありました。
本当にキレット小屋のすぐ手前の箇所で、ウィキペディアでは、ここを八峰キレットと呼んでいます。標高が2518m地点と書いてあるので、鹿島槍北峰から300m下ったエリアになります。
「先程の格子状の橋」と「右側岩壁に取り付いた梯子」を過ぎると、すぐそこです。
2つの切り立った岩山の隙間を逆S字に通過する感じです。一つ目の岩山を時計回りに、先程の2つのポイントを抜けて半周トラバースして、その2つの岩山の谷間というか隙間に入っていくと、奥に梯子がかかっており、そこにとりつき登りきったところの向こう側左手に鎖がかかっており、鎖を掴みながらその岩棚に乗ってから、2つ目の岩山の向こう側の狭い道を反時計回りにトラバースして行きます。
ここの梯子部分の手前も向こう側も狭く、崖下深く切れ落ちているので確かに高度感はありますし私もゾクゾクっとしました。
一瞬、吸い込まれそうな感覚を感じましたが、左岩壁にはずうっと鎖が長くかかっており、そこを掴みながら行けば、足を踏み外すことは無いと思います。
そしてそこを歩いていくと、また、梯子が出てきて
難なく登ると、左巻きにトラバースしながら歩くと1か所、右側に切れ落ちている箇所があってそこには下に落ちないように鎖でつながれた角棒の橋がかかっています。そこだけ踏み外すと落ちるので注意して先に進み10〜20m眼下にキレット小屋が見えてきて、無事にキレット小屋に12時過ぎに到着致しました。
(キレット小屋)
キレット小屋に着くと、入口前に置かれたテーブルとベンチにはすでに到着した登山客が占拠していたので建屋側に荷物を置きました。
嬉しいことに今回はさとしさんが、35缶ビール それとレモンサワーの各二本をザックに入れて持ってきてくれたのです。
ザッと1.5kgくらいの荷物を背負ってきてくれました。昨年、剱岳の時は、私が500ml缶を持参したことがありましたが、それが重いのなんの!どんだけ大変なのかは身を持ってよーくわかっているので、さとしさんには感謝の気持ちでいっぱいでした。ただ問題は、冷えていないということでした。
さとしさんのザックの中に入っていたので、さとしさんの人肌の温度が伝わって、生温いビールでした。到着したら乾杯するつもりでいましたが、小屋のビールも確か35缶で700円でしたので、いくらキレット小屋だとはいえ700円は高すぎるだろうと思って流石にやめました。
とりあえず、さとしさんが持参してくれたビールは外で冷やそうということになり、受付を済ませることにしました。
前もって記載してきた宿帳用紙を提出して、1泊2食宿泊費\12000を支払いました。弁当はどのタイミングで渡されるか?尋ねると夕食時にお渡しするとのことでした。インナーシーツと枕カバーを持参したので、別途1000円で購入する必要はなく、受付をすませました。コロナの影響で山小屋での宿泊も何か味気ないものになってしまったなあと思いました。夕食は17時と言うことで、それまで4時間くらい開くので、だいぶ、時間をもてあそぶなと思いました。
我々の指定された寝床は2階の通路左側の真中あたりで二段タイプの下でした。我々の到着が早かったので、すでに寝床に待機している人は5〜6人程度でした。
さて、ビールをどこで冷やそうか?外に置けば知らない人に飲まれちゃうし(笑)
窓の外はどう?ということで、窓を開閉してみるとちょうど真中あたりだけ屋根が高くなっており、袋に入れたビールをひっかけるフックも備え付けられていて置くことが出来ました。これで天然の冷蔵庫になりました。
さとしさんは、夜眠れないから人がいないうちに仮眠しておこうと言うことですぐに寝る体制に入り数時間眠れたようです。
私は、身支度を整えて横になったものの、なかなか寝付くことが出来ませんでした。
出発前の自宅でも、扇沢駐車場到着後もあまり、寝付けなかったし、本当ならバタンキューで寝るはずなんですが、なかなか眠れませんでした。
多少、ウトウトくらいはしていたかもしれませんが、考えてみればお昼はおにぎりも1個だけだったのでお腹が空くはずです。夕食までに行動食を消費しておこうと考え、寝床でバリバリ食べるのは気が引けたので外のベンチに座り全部食べてから寝床に戻って少し休みました。その後、さとしさんが荷揚げしてくれたビールプレミアムモルツを外から取り出すとかなり冷えていたので、プシューっと開けてちょっとこぼれたけど持ってきた柿の種を食べながら喉を潤しました。
17時 小屋から、第一陣到着組に対して夕食の呼び出しがありました。
おかずは ハンバーグセットと言われているものらしい。ハンバーグ、マカロニサラダ、キャベツの千切り、アスパラ、ブロッコリーだったかな、味噌汁に海苔の佃煮だったかな、ご飯はおかわり自由だったので2杯頂きました。お腹いっぱいになったし美味しかったです。
お弁当は「白馬連峰登山路図」の絵があしらわれた洒落た緑色の袋に入れられています。まさか、夕食の残りで作ったハンバーグ弁当じゃないよなあ?
と疑問に持ちながら、だったら嫌だなあと思いつつ今はとても温かいので、蓋を開けて冷まさなくて大丈夫かなぁ?腐らないか?
また、明日の朝は冷めきっていてうまくないだろうなあと思いつつ、夕食後の夜食とも考えましたが、やはり、明日の朝食で食べようと言うことになりました。
歯を磨き、トイレに行って、明日、すぐに出発できるように荷物をきちんと整理整頓してから、横になり、さとしさんから頂いていたレモンサワーを傾けながら、何時に出発するか?を話し合いました。
コースタイムを山と高原地図で確かめると、キレット小屋から五竜岳山頂まで、約4時間アルプス平まで8時間50分、ゴンドラリフトが8分
駅まで歩いて20分と考えるとがTOTAL所要時間は9時間見なければならない。神城駅の電車は1時間に約1本しかないが、12時29分発を乗り過ごすと15時58分発になる。やはり、12時29分に乗車するため逆算して出発時間を導き出すと、3時と言うことになった。時計やスマホで目覚ましが鳴れば必ず起きれるというさとしさんの言うことを信じて2時40分に目覚ましをかけました。
私は寝言を言うかもしれないことと、いびきがすごいということを前もって話していたし、扇沢車中泊でもバレているので、少し気が緩んで安心していたかもしれません。
しかし、夕食5時〜で、その後6時、7時で寝られるわけがありません。
寝るまでの間、さとしさんとは、家族のこと、ランニングチームのこと、その他、たわいない話をして、お互いに知らぬ間に寝落ちしたのでした。
寝たと思ったら、目が冷めて、あ〜まだ10時かぁとか、ちょいちょい目が覚めては寝る努力をしてなんか、しっかり寝れた感覚がありませんでした。
深夜2時30分頃、自分の寝言で目が冷めました(恥)周囲を見ても皆さん寝静まっている感じで起床しているのは我々だけです。これだけ寝言でべらべらしゃべっていたら周囲からうるせー!って言われてもおかしくないし、目が冷めて聞いている人もいると思うとすごく恥ずかしくなっちゃいました(笑)
すでにさとしさんは起きて身支度を整えはじめていました。私も起きたらこうしよう、あ〜しようと想定したとおりに準備を進められたので予定通り3時に出発することが出来ました。
小屋前でヘルメットをかぶり、時計とヤマレコをセットして、軽くストレッチをしてスタートしました。もちろん、空は真っ暗、また今日も星が瞬いています。今日も午前中は天気が良さそうです。
但し、キレット小屋〜五竜岳までのルートは、これまた難所が連続します。心を引き締めていかなくてはならないし、真っ暗なので岩の凹凸や足場の確認がしづらいので最新の注意で進みます。
確か、ヤマレコのコースマップで計画すると長野県と長野県山岳遭難防止対策協会によって制定された信州 山のグレーディング つまり、難易度と体力度がABCDEでランク分けされているのですが、キレット小屋〜五竜岳の間でも、CとかDとかEばかりで難易度は高くなっていました。まずキレット小屋から1時間くらいは小さなアップダウンを繰り返しながら100mくらい標高を下げていきます。
鎖と長い梯子もあリました。落ち着いて進めばまったく問題はないところですが、ちょっとしたミステイクをすると大怪我や死に直結するので要注意です。
山道を歩いては鎖場で下降する感じです。
歩きながら、剱岳方面を眺めると、ヘッドライトの灯りがいくつか確認することが出来ました。
この時間なのでご来光目的で登っているのは確実ですが、あれは前劔の門あたりかなあとか、前劔あたりかなあ?と話しながら歩いていました。
小屋から100m下ったら、そこから140mくらい登り
北尾根の頭に着きました。
そこからは五竜岳に向かって右手には神城駅か白馬駅かはわかりませんが、雲の切れ間から街明かりが見えました。
そして目の前に、五竜岳の姿が確認出来ました。
私が見た五竜岳の印象は、ゴジラの体のゴツゴツとしたイメージです。まさに山肌が岩石で覆われている感じです。そしてG5、G4と鎖場の難所を通過して五竜岳の登りになるあたりに谷間といいましょうか、鞍部がありました。時刻は5時38分。そこで立ち止まって2日連続の雲海のお出迎えに感激しながら、太陽が地平線から出ているのに雲に隠れていて、見えそうで見えない。もうすぐ出そうな感じになっていたちょうどいいタイミングでシャッターを切りながらただ、感動して見つめていました。
そして夜明けとともに真下の斜面にはやまひばりの群れが鳴きながら飛び回っていました。そしてあたりが明るくなってくると、鹿島槍ヶ岳が、威風堂々とした姿で視界に入ってくると、やはり、鹿島槍ヶ岳は白馬岳と並ぶ、後立山連峰を代表する山なんだなあと思いました。
五竜岳山頂まで目と鼻の先です。
最後の登り、これを登ってしまえば、帰りはほぼ下り基調になります。
上を見上げると間違いなく、偽ピークではない五竜岳の山頂が見え5、6人のハイカーが確認出来ました。ここから、山頂までの様子を動画で記録しようと思いつき、動画撮影を開始し山頂に到着してさとしさんと握手するまでの間、記録し続けましたが、6時9分無事に五竜岳山頂に到着することが出来ました。
五竜岳山頂からは、一番近いところにある鹿島槍ヶ岳、そこから右に少し視線をずらすと槍ヶ岳が確認出来ました。そして立山連峰 雄山、大汝山、剱岳が見え、そしていつか行きたいと思っている白馬岳、唐松岳などが確認出来ました。365度パノラマで眺望出来てサイコーでした。
そして、この五竜岳山頂で食べようと楽しみにしていたお弁当タイムです。
風が比較的避けられる北側に腰掛け、二人で歩いている道中も、多分、晩飯がハンバーグセットたがら、ハンバーグに決まってる! とか、いや、さとしさんは鮭弁当じゃないか?とか、私は、いや海苔弁当じゃないか?とか、いろいろ好き勝手なことばかり並べて発言していました。
流石に12時間以上が経過しているので、だいぶ、お弁当自体は冷めきってしまいました。せっかくだから、お弁当の蓋を開けるところから動画撮影しようと言うことでカメラをスタンバイ!そしてさとしさんが、お弁当を袋から出してみると、山椒? そして蒲焼きのタレ?が蓋の上に乗っかってるぞ! まさか? あれじゃないよな? そんなバカな、山小屋であれが弁当に出されるわけがないとか大騒ぎしながら、さとしさんはアジだか秋刀魚の蒲焼きじゃない? って笑いながら話し、さてなんだ?と蓋を開閉してみると!? なんと、鰻の蒲焼きだ! えっ山小屋のお弁当で鰻の蒲焼きが出るとは本当に驚きでした。でも、鰻をどうやって調達してきたんだろうか?
そしたら、さとしさんが種池や冷池で養殖してたんじゃない?でも、池の水は濁っていたからなあみたいな、ジョークを言い合っていたところに
お二人の食べているところをお撮りしましょうか?と声をかけてくれたので、我々の満面の笑顔を撮ってもらいました。ただ、お弁当の味はどうか?というと
さすがに半日経過すると冷めきってしまいご飯が固くなり、本来の美味しさが損なわれていたように感じました。いい意味でも悪い意味でも弾力があってなかなか噛みきれなかったのも事実。できれば昨日の温かいうちに頂いておきたかったけど、夕飯食べたあとにさすがに食べることはできませんが。サプライズ弁当で驚かせて頂いたことには感謝したいと思います。有難う御座いました。
あと、ショッキングなニュースが山頂でもたらされました。五竜山荘方面から登ってきた一人のご婦人からです。どちらから来られたんですか?
どちらに行かれます?みたいな会話をしているうちに、昨日、鹿島槍ヶ岳の南峰から吊り尾根の下りで滑落事故が発生したニュースがもたらされました。
300m滑落してお亡くなりになったことを知りました。ヘリが何度も旋回を繰り返していた理由がこれでわかりました。理由はどうあれ、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
腹ごしらえもしたので、あとは五竜山荘を経由してアルプス平に下山です。
あと残りはほぼ下りだけです。山荘までは約40分のコースタイムです。山頂でヘルメットは格納し、帽子に切り替えて下って行きました。
振り返って、五竜岳を見ると、反対側から見た山容と違う顔を見せてくれています。
向こう側は岩がゴツゴツゴジラみたいだけどこちら側は緑が見えて優しさを感じます。
五竜山荘に到着しました。
今回の目的の一つ五竜山荘でしか売っていない
「山が好き、酒が好き」って背中に書いてあるTシャツを買うことです。第一希望の紺は売り切れでした。やはり、一番人気なんですね。仕方がないので、白を買いました。3500円でした。
五竜山荘を7時30分頃に出発しました。
あとは、とにかくアルプス平に向かって、下山していくしかありません。
途中、白岳のピークを通過して、ハイピッチで下って行きます。途中、鹿島槍ヶ岳が格好良く見える地点で写真を撮りました。かなり、日差しが暑くなり、長袖のシャツを脱ぎ、涼しくして一気に標高を落としていきます。なかなか、アプローチが長いせいか、歩いても歩いてもなかなか標高を落とせない長いコースです。途中、テント装備で登って来る人と何人かすれ違いましたが聞いてみるとゴンドラリフトの始発で来た人たちでした。ゴンドラで上がってくるとはいえ、テント泊はなかなかハードなコースだと思います。
全くの下りだけかと思っていましたが、大遠見山、中遠見山、小遠見山とまあまあの登りでした。それ以外はほとんど下りでした。
アルプス平の標高まで、あと100m程度となり、残り所要時間の案内も出てきました。
ここまで来ると登山道というよりは、一般客も散策出来るような遊歩道もしっかりと整備されていました。途中、運転中のリフト乗り場が見えてきたので、あ〜アルプス平に着いた!と思って吸い寄せられるように近づいて、さとしさんが行き先を見てみると、まったく見当違いな方向に向かわされるリフトでした。前もってアルプス平の画像を見ていたのですが、すっかり頭から忘れ去られていました。
私だけだったら誤って乗っていたかもしれません(笑)さとしさんが気がついてくれて助かりました。
アルプス平の植物園上には、アルプス平自然遊歩道が整備されており、高山植物などを見ることも出来るようになっています。
遊歩道を歩いてアルプス平に向かって下るところは夏秋は高山植物園で、冬はスキーのゲレンデになっているようです。アルプス平に到着すると駅には湧き水を源泉とした蛇口が設置されており、そこで顔を洗い飲水を補給しました。そこから足早にゴンドラリフト乗り場に向かってリフト券を買い求め1300円を払いました。
スキーのリフト券ならフリーパスで3〜4千円払えばもちろん、何度でも乗れますが、この時期は閑散期おそらくはどうやってシーズン外の時期にお客を呼び込めるか?を日々、苦心されているのでしょう。この1300円という料金は縦走登山用 ゴンドラ片道券というもので、通常、往復2000円のようです。
このアルプス平の標高は1513mで下のエスカルプラザという建物では約1000m弱なので、標高差約500mくらいを一気に降ろしてくれることになります。さとしさんと、この下りを歩いたらこ一時間はかかるだろうね?と話していたくらい。助かりました。深夜3時に出発したこともあり神城駅発12時29分発どころか10時35分に乗れるかもしれない?と思って、ゴンドラ内でネットに接続し調べたところ、ここで10時35分発信濃大町行き普通電車があることが判明。
ゴンドラで今今移動中ですが時刻は10時15〜20分くらいだったと思います。
下のエスカルプラザ(白馬村のショッピングモール)に到着するのが10時20〜25分とするとエスカルプラザから神城駅まで歩いていくとGoogle Mapsで徒歩22分と出てきます。
まず、歩いたら間に合わないな。タクシーがあるか? ゴンドラから降りると一目散に階段を駆け下りていきます。下を見る限り、タクシーはいなさそうです。これで万事休すか?と諦めかけながら下まで駆け降りると1台のバスが止まっているぞ!
ペイントが、「白馬五竜高山植物園エスカルプラザ」と書いてあります。うんや? あっそうだ!
記憶がよみがえってきて、これだ神城駅とを往復運行しているシャトルバスは?
運転手が運転席に乗り込もうとしていたので、すみません??と呼び止めて「神城駅まで行きませんか?」と聞くと、「何時発の電車があるの?」と聞かれたので
「10時35分発があります」と話すと、運転手さんもその場で調べて「確かにあるね!じゃー乗って」と言われて、すぐに乗り込むと神城駅まで向かいます。10分くらい余裕はあったと思いますが、運転手さんから、10時30分には到着するから大丈夫、間に合うよ!的な話が出て安心しました。
無料だった?と記憶しながらも「有料でしたっけ?」と聞くと「無料だよ」とこたえてくれました。予告通りの時間に到着して、運転手さんにお礼をして、すぐに切符を買い求めました。
まだ、列車来るまで少し時間があるので、一旦、駅舎を出て、神城駅と乗ってきたバスを撮りました。さとしさんがまずは下山したらコーラが飲みたいと話していたのですが、駅出口の左手の自販機に缶及びペットボトル両方ともコーラがあり、さとしさんは缶を私はボトルを買い、乾いた喉を潤しました。
私は下山直後にソフトクリームを食べるイメージを抱いていましたが、そんな時間はありませんでした。
とにかく10時35分を乗り過ごすと次は12時29分なので約2時間無駄な時間を過ごすことになるし、帰宅時間も2時間遅くなってしまうので本当にラッキーでした。出発時間が10分でも遅れていたら、ここで間に合わなかったわけです。
これは予期していないし、本当に偶然の産物でした。時刻通りに列車が到着しました。2両編成くらいだったと思います。何人かの登山客を乗せていました。
もちろん、suicaは利用できません。乗った路線は大糸線は松本〜新潟県糸魚川駅までの105kmを走る沿線で1時間に1本あるかないかの本数しかない電車です。
外の美しい車窓の景色を眺めながら、我々は本当にラッキーだったなあと、今回の山行を振り返るのでした。
乗車時間は約30分で信濃大町に到着しました。
ここから扇沢まで車を回収するためにバスに乗らなければなりません。信濃大町発11時35分で扇沢着12時15分 扇沢駐車場は立山、黒部アルペンルートの玄関口、登山客の車で満車になっており、扇沢に止められない人たちは、かなり手前の駐車場に止めなければならず、登山ツアー客が隊列を組んで道路を歩く姿も見かけました。
我々は12時15分に車をピックアップすることが出来ました。その後、大町温泉郷にある昨年もさとしさんとお世話になった「湯けむり屋敷 薬師の湯」入浴料750円につかり、汗を流し、筋肉痛予防のため水風呂と温浴を何度か繰り返しケアしました。
帰り食事は、やはり、蕎麦の名産地長野県ということで、お昼は鰻弁当だったし、あっさり系にしようということで、さとしさんが行ったことが無いけれど、以前より気になっていた蕎麦屋チェーン小木曽製粉所に行きました。その場で茹で水でしめる蕎麦は腰があって本当に美味かった。また、お腹も空いていたのでミニカツ重が付いたセットメニューに私は茄子の天ぷらをチョイスして1000円ちょっとでお腹いっぱいになり大満足でした。
その後は、中央高速で帰路につきましたが、やはり、いつものところで渋滞にあいましたが、家には18時過ぎに到着しました。あの電車に乗り遅れていたら?と考えるとつくづく良かったと思いました。
長文お読み頂き有難う御座いました。
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