日本オートルート(新穂高〜黒部五郎〜薬師岳避難小屋〜折立)


- GPS
- 31:48
- 距離
- 43.3km
- 登り
- 3,808m
- 下り
- 3,506m
コースタイム
- 山行
- 7:37
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 8:29
- 山行
- 9:34
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 10:16
- 山行
- 6:59
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 8:17
天候 | 1日目 快晴のち昼過ぎから猛吹雪 2日目 快晴、朝の気温は-12度 3日目 薄曇りのち快晴、西風強し。朝の気温は-4度ほど 4日目 快晴、無風。朝の気温は-1度ほど(体感はもっと寒い) |
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過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
復路 室堂にたどり着けなかったため、折立にタクシー呼ぼうとしたら林道が6/1まで進入禁止でNG。仕方なく有峰口駅まで歩こうとしたら、途中で親切な某山小屋関係者の方が車に乗せてくださった(その節は本当にありがとうございました!!)。有峰口駅からは電鉄富山、JR富山から特急ひだで高山駅、高山バスセンターから新穂高ロープウェイまで。高山駅の6分乗り換えはテキパキ動けば成功する。 |
その他周辺情報 | JR富山駅のとやマルシェ内にある宅急便営業所に事前にアプローチシューズ&着替えを送り込んでおいた。発送は宅急便営業所で受付OK。スキーケースも送り込んでおけば良かった。 |
写真
感想
オートルートとの出会いは、2019年の初めての立山。そのとき、たまたま写真家の松岡祥子さんがオートルートに出発する瞬間に立ち会えた。その荷物があまりにも小さく、これから槍ヶ岳にまで進むという姿に尊敬を覚えたのを、はっきりと覚えている。
その後、「いつかは」という思いは常に持ちつつも、自分が挑戦するのはまだ先だと思っていた。実際、今回も当初は「黒部源流ステイ」を提案していて、yoshikitoがオートルートを一旦提案したものの、「連泊縦走の経験を積む年にしたい」と一旦は却下した。が、再度提案を受けて、これだけの連休が取れる機会が今後あるかも分からないし、自分の山に打ち込める環境がいつまで許されるか分からないし、なによりパートナーが見つかるかも分からないということで、「できる方法を探してみよう」という気持ちになった。実際、二人ともかなり背伸びをしていた計画だという自覚はあり、それぞれ様々な準備をしてきたと思う。その準備の中で学んだことも多く、それだけでも挑戦した甲斐があった。
連休前、「絶望的に雪が少ない」という情報があり、一時は「どうする?」という雰囲気になった。が、幸運なことに4/29、5/1、5/2PMと雪が降ったらしく、雪の量が随分盛り返してくれた。これが無かったら、更に難度は上がっていたと思う。が、それでも雪がないことで行程は遅れがちになった。天候については5/3以降晴天が続いてくれたのは本当に幸運だったが、最後には強風に阻まれて、念願の踏破とはならなかった。そう考えると、オートルートはいろいろな条件が積み重ならないと踏破できないものなのだなと実感。が、この山行の中で自分の中の経験値は格段にあがり、それは今後につながるものになったと思う。山行を提案し、お互いに協力して山行を作ってくれたyoshikitoには、本当に感謝。
以下、詳細。
■5/1:移動日
5/1の昼に集合、松本まで移動して風呂に入り、ご飯を済ませて新穂高についたら20時になってしまってた。折角休みなのだから、もっと時間に余裕を持ったほうが良かったか。ちなみに移動中の車内でいつもよりもお互いに口数が少なかったのは、お互いに緊張感があったためだろうか。
■5/2:新穂高〜双六小屋
獲得標高差でいえば、最大の日。想像どおり、4/29、5/1と高所は雪になってくれたらしく、思ったよりも「白銀の光景」が広がっていた。予定通りノマ乗越から双六谷に降りるか、稜線を進むか議論になったが、双六谷が割れていたとしても地形的にその横を歩くことは可能であろうということで、予定通り双六谷に降りることにした。ここの1ピッチ目が、行程全体で最高の雪質だったと思う。底付無しのパウダー。心配していた沢割れは、先行者が上手くトレースをつけていてくれたおかげで、苦も無く詰めていくことができた。小屋に着くころには猛吹雪。急いで小屋に引きこもる。屋内にトイレがあるのは、本当にありがたい。小屋の周りは強風で雪が吹っ飛んでいたが、ここ数日の雪で吹き溜まりがあり、水作りの雪も容易に手に入れられたが、それがなかったら苦労することになったと思う。
この日は予定通りに行程を進めることができ、この分なら無理にペースをあげなくても大丈夫そう、だと思っていた。
■5/3:双六小屋〜薬師沢左俣B.P.
前日の情報では「朝は風が残り、風速17m」と聞いていたので警戒していたが、幸い無風になり、快晴の最高のコンディションとなった。ここ数日の雪のおかげで随分雪化粧をしているものの、最初はシール歩行ができる状況ではなく、担ぎからスタートすることとなる。途中からはシールに切り替えられたものの、ハイマツが出てしまっていて、普段だったら滑れそうな箇所に時間を要することとなった。滑れることが前提のタイムスケジュールなので、それができないと一気に時間を要することになる。黒部五郎岳の登りでもシールだけでは登り切れず、時間を要してしまった。早々に「今日は太郎平までは無理」と悟り、良いポイントが見つかったタイミングでビバークすることとした。幸い、ビバークしやすいポイントは沢山あり、たまたまビバーク跡を使うことができたのもラッキーだった。
■5/4:薬師沢左俣B.P.〜薬師岳避難小屋跡〜太郎平小屋
前日は予定通り進めなかったので、その分出発を早めて巻き返すこととする。太郎平小屋までで遅れを取り戻すことができたが、その後の薬師岳への登りが急なところがあり、行程は遅れ始めていたと思う。そして、いよいよ薬師岳以降の難所に入る、というタイミングで、西からの爆風。一旦試しに板を背負ってみるものの、あおられてしまってまともに進めるとは思えない。薬師平で電波が入ったタイミングで天気予報を見ていて、そこまで風が強くはならないと思っていたのだが、いかんせん西風だったのがまずかった。この山域は西風の影響をモロに受けることは、過去の経験でもわかっていたのだけど。ここで1日停滞して翌日進む案も出たものの、5/5は風がなさそうだが、難所になる5/6に再び風が強くなりそう。そこまで進むとエスケープ困難になることもあり、ここで撤退を決定。が、折角なら荷物をデポして薬師岳の山頂くらいはハントしておいても良かったかも、と後から思った。(爆風の寒さで頭が凍ってたんだろう)
それにしても、そのまま進んでいたらどうなっていたんだろう、と思う。途中ですれ違った室堂からの登山者によると、4/29入山で5/4朝で太郎平までしか進めなかったという。4/29、5/1、5/2PMはほとんど動けなかったとして、抜けるだけで3日かかったことになる。個人的には、体力でゴリ押しすれば何とかなる1〜2日目はともかく、薬師岳を越えてからが核心だと思っていた。ルート経験がないから何ともいえないものの、地形的には難所が多く見えたこともあり、強風で撤退することについては全く異論はなかった。核心部に入ることなく終わったことについては、残念にも思いつつ、「まだ止めとけ」ってことだったのかもしれないとも思う(天候問題で目標ルートに入れなかったときは、いつもそう思うようにしている)。
翌日の下山と電波の入り具合を考慮して、宿泊は太郎平小屋付近とした。が、そこまでの下山も太陽で雪がますます減り、難しくなっていた。yoshikitoがハイマツの中に落ちた時は、かなり焦った(怪我が無くて何より)。太郎平小屋は電波の入りが悪かったが、予想どおり西側は比較的電波の入りがよく、翌日の行動の調査ができた(が、yoshikitoのiPhoneは何故か圏外)。北ノ俣岳から飛越トンネル方面に降りることもできるのだが、ルート調査をしていなかったこともあり、夏山のルート経験があり、かつ早めに林道に降りることができ、荷物を送っていた富山駅へのアクセスも良好ということで、折立経由で下山することとした。うっかりしていたのは、普段はGWには通るはずの林道が、太郎平小屋の開業が6/1になっていた影響か、通行止めになっていたこと。タクシーを使うこともできず、4時間の林道歩きを覚悟した。
■5/5:太郎平小屋〜折立
皮肉にも感じられるほど、無風の朝。太郎平小屋からの下山は基本的に稜線上をたどっていけばよい。思ったよりも雪の付きはよく、ほとんど斜度が無かったのでシールで移動することとした。青淵三角点(1869m)くらいまでは快適に移動可能、そこからは支尾根が入り組んでルーファイも難しく、かつゴミだらけの雪と苦難。っていうか、シールのままそんなゾーンを滑ったのがそもそも失敗か(登り返しが楽だった部分もあるけど)。途中1750mくらいからはアイゼン歩行に切り替え。夏道が多少出ているものの、それでかえって踏み抜いて落ちることもあり、神経を削られる。途中、何でもないところを歩いているときに、うっかり目に木の枝が刺さってしまった。しかも、思いっきり眼球に刺さり、目から枝が飛び出てる状況。左目をあけ、目が見えることを確認するまで、背筋が凍る思いだった。暗いから、歩いているだけだからとサングラスを外していたのは失敗だった。夏道だったら何でもないルート、この時期は完全にバリエーションの世界。折立に到着したときは、とりあえずは安心した。しかし、問題はそこからの4時間の車道歩き。軽くなったとはいえフル装備の荷物を担いでのブーツ歩きがキツイ。無言で歩いているときに、目の前に車がやってくるのが見えた。なんとたまたま見回りにきた関係者の方で、駅まで送ってくださった。本当に、感謝でしかない。踏破できなかった薬師岳〜室堂区間の下見を兼ねて、今夏お礼に行きたいと思う。
有峰口駅から富山駅に移動、駅ビルは混雑していて宅急便の受け取りや着替えにも時間がかかり、昼ご飯はロッテリア。そこから特急とバスを乗り継いで新穂高に戻り、折角なら松本で美味しい店を新規開拓しようと2店まわるがなんと両方とも休み。結局すき屋で豪華夕食(?)となった。
【備忘録】
・出発時点で、水2L、お湯500mlを含んで19.3kg程度。小物入れ、救急セットも全部ひっくり返して要らないものをカットしたはずなのに、まだ重い。明らかに無駄だったのはシェラカップ(水筒の蓋で十分)。アイゼンケースも無駄っちゃ無駄。そもそもアイゼンもイルビスハイブリットに変えれば300g軽くなり、アイゼンケース(現状115g)も軽くなる。2万円の投資か。。足りなかったのは、スクレーパー用のアクセサリビナ。無いと結構不便だった。ヘルメット固定用の軽量ビナも忘れた。
・食料計画には非常に気を使った。身長、運動強度的に2,500kcalくらいは必要だろうと用意していたのだが、実際には予定よりもずっと減りが少なかった。その割に、下山後に2kg以上体重増加しているという謎。例えば一番行動時間が長かった2日目でいうと、朝食ハヤシメシ(チーズ&サラミ)、夕食カレーメシ1.5(チーズ&サラミ&ビックカツ&フライドオニオン)、行動食 アルファ米、マッシュポテト60g(マヨネーズもたっぷり)、フルグラ50gほど、ドライフルーツ少々。あれ?この日だけでいうと2,500kcalはやっぱり食べてるかもしれない。。マヨネーズはダイソーの120gのを持ち込んだが、明らかに多すぎた。小分けので十分。
・行動食について。事前山行で試した結果、カラカラした食べ物は自分にはあまり合わないと分かったので、アルファ米で作ったおにぎりと、マッシュポテトを中心とした。アルファ米は苦手だったのだが、おにぎりにすると何故か美味しい。何か作業をするときにとりあえず口に詰め込んで食べられるのも都合が良かった。ただし、2日目は寒かったので、最後の一口は凍ってしまっていた。マッシュポテトも同様に食べやすいのだが、作るのが意外に難しく、夜に余裕がないと厳しいかもしれない。ただし、凍りにくい。ちなみにマッシュポテトにフライドオニオンを入れると美味しいが、ふりかけを入れても効果がなかった。味付けは塩とマヨネーズ。マヨネーズはたっぷり目のほうが良い。
・今回はゴミを減らすためにアイラップを導入した。アルファ米、マッシュポテト、カレーメシ類に使ったが、各段にゴミが減らせる。特にアルファ米はおにぎりにして持ち歩くにも都合が良い。カレーメシも器が汚れるのを防げる。が、どうも混ぜている間に何回か穴が開いたらしい。。
・使った燃料、1缶目は残り186gを使い切り、2缶目は95g利用。4日間で284g利用したことになる。ウルトラの500gは、存在しない模様(通販限定で良いから作ってほしい。。)。水は初日に沢で汲んだ数リットル?以外は雪から作った。ちなみにジョウゴはプラティパスに入れるにはやっぱりあると便利。新雪はきれいだったので、フィルターは利用せず。
・着るもの。上はLWアンダー、長袖Tシャツ、ウインドブレーカー、ハードシェル。下はMWアンダー、ハードシェル。その他に半袖シャツを持ってきていたが、使うタイミングはなかった。当初ハードシェルは雨具で良いのでは?と思っていたが、結局2~3日目は寒くてハードシェルを脱ぐタイミングが無かった。非行動時は薄手のフリース、ダウン上下、象足を追加。これにモンベル#3の寝袋でちょうど良いくらいだった。ちなみに寝るときにカイロは未使用。ただ、腕部分にテルモスが当たってると冷たくて夜中起きてしまった。
・yoshikitoが下戸だというのもあって、酒は基本的にカット。が、神経が高ぶっているのか毎夜深夜に目が冴えて眠れないタイミングが発生していて、そんなときに少量だけ持ってきていたウィスキーが役に立った。ちょっと口に転がすだけですぐに眠れる。前泊時も眠れなくて困ったので、何らかの酒は用意していたほうが良かった。
・重い荷物を持っての滑走が苦手。つい外足をツッパリ気味にしてしまうので、基本通り膝を柔らかくするのが肝要だと思う。
・朝の準備が遅すぎ。2時間を1時間半には縮めたい。1日目は朝にも水を作り足したが、水漏れ対策を兼ねて小さめプラティパスをもうひとつ持てば、作り足しは不要だったはず。ちなみに一番多い日でも750mlしか飲まなかったので、そもそも水を持ちすぎ?沸かし直さずにカレーメシを作り始めるのも手だが、芯有りになりかねないかな。。
・普段当たらないのに長期山行だと当たる場所。くるぶしの高さの内側の筋の手前。ちなみに内側の出っ張った部分にはテーピングをひと巻きで、4日間剥がれる気配もなく過ごせて、水膨れも無し。
スキー版日本オートルートで北アルプスに行ってきました。計画時点で、自分達の実力では余裕シロがほとんどないのは分かっていたので試行錯誤、メンタル調整して臨みましたが、薬師岳手前で強風撤退を決めて折立へエスケープ。自分の能力ではこの風でシートラすると煽られて滑落しかねないと判断しましたが、室堂側からはソロで来ている方が遠目に見えたので強い人であれば問題ないよう。運と実力不足ですが、強くなって再挑戦しようと思います。とは言え、吹雪に遭い、スキーで藪を漕ぎ、雪化粧のアルプスを歩き、板を担いで、パウダーを滑り、モナカに転倒して、北アルプス深部ですれ違う人達と声を交わし、ぼこぼこの春山を滑り降りて、太ももまで踏み抜いてと思い出深いGWとなりました。
一般的な日本オートルートと言うと、北アルプスの2000m越の稜線を繋ぎながら室堂〜槍ヶ岳〜上高地のようだが、スキーを楽しむという点では南側からスタートする新穂高〜室堂ルートがお勧めされている。山スキーを積極的に取り組み始めて3年目になるがいまいちレベルが上がらないので、高めの目標を設定して押し上げるという意図もあり、今シーズンのぼんやりとした目標山行として設定していた。より具体的な課題としては、厳冬期1500m越/日、2000m越/日の山行を余裕を持ってこなすとしてシーズンを開始。感覚的にはこのくらいできれば、残雪期のオートルートは達成可能だと思う。シーズンを通して期待していたよりも強度の高い山行を入れることができなかったが、後半にはロング、歩荷、耐寒を実施する機会を持つことができた。不足分は計画で補おうと調べて考えての結果、オートルートは体力勝負、軽量化とペース配分、体調管理に集中すれば完走できるだろうという気持ちになった。シートラ・アイゼンの経験値不足でエスケープとなり残念ではあるが、今回は今しかできないギリギリ一生懸命感を堪能することができた。また、山域概要をよく把握して、好きな所を登り滑りできるくらい強ければ、また違った楽しみ方ができるので、ルートを替えて何シーズンでも遊べそうだと思った。
日付:行動予定 / 実際の行動
5/2:新穂高〜双六小屋 / 新穂高〜双六小屋
5/3:双六小屋〜黒部五郎岳〜太郎平 / 双六小屋〜黒部五郎岳〜薬師沢左俣
5/4:太郎平〜越中沢岳前のコル / 薬師沢左俣〜薬師岳前衛〜太郎平
5/5:コル〜室堂 / 太郎平〜折立(エスケープ)
<行動詳細>
5/2:新穂高〜双六小屋 / 新穂高〜双六小屋
獲得標高としては、4日間で最大となる日。この日が4日間の核心になると思っていた。実際には予定よりも順調に登れたので、これは行けそうだなと期待しながら、吹雪く前に避難小屋に到着した。滑走は大ノマ乗越の一本だけだったが、GWにも関わらずパウダーが残っていてさらに気分上々。夜は何とか眠ることのできる寒さだった。
5/3:双六小屋〜黒部五郎岳〜太郎平 / 双六小屋〜黒部五郎岳〜薬師沢左俣
昨晩の吹雪きはやんでいたが、風が強く、気温も低い。GWだから半袖でも汗ばむだろうとの事前予想とは異なり、服を着こんでシートラからスタート。重い。沈む。昨日とは一転して進みが遅く、2.5時間予定の三俣蓮華までで1時間遅れとなった。長時間行動し続けるために、グラノーラとハイドレーションシステムでザックを降ろさずに歩きながら炭水化物と水分を摂取しようとしていたが、寒さでチューブが凍ってしまったのが誤算だった。しかし、三俣蓮華〜黒部五郎小屋まではトレースなく、人にも合わず、北アルプスを二人り占めしたような気持ちが贅沢だった。黒部五郎小屋への大斜面は雪質、斜度ともに最高。面ツルを大回りで楽しむことができた。逆ルートのパーティとすれ違ったが、南斜面はストップスノーだったらしい。避難小屋があるので定着もしてみたい。黒部五郎岳までも長かった。風、寒さ、シャリバテにやられてしまったのか、疲労感が強かった。直下だけシートラ・アイゼンに切り替えて登頂。頂上からの滑走は上部アイス、中部以降は重めパウダーと言った感じでここも良い斜面だった。しかし既にヘロヘロ。予定していた太郎平までは届かないので、中俣乗越からトラバースして薬師沢左俣に幕営。
5/4:太郎平〜越中沢岳前のコル / 薬師沢左俣〜薬師岳前衛〜太郎平
予定では最短行動時間となる日。前日の進みが悪かったので、早めに出発。山奥なのに人がたくさんいて驚いた。飛越からのルートがあることを初めて知った。北ノ俣岳からの斜面はモナカとトレース跡が硬くなっていて辛かった。太郎平付近のハイキングを楽しんで、薬師峠から急斜面を登る。滑ったらどこまでも落ちていくので、行程中で最も緊張した。神経がすり減った。薬師岳山荘からもそこそこ斜度はあったが、直近の降雪と先行者のトレースが良かったのでシールだけで登ることができた。避難小屋からは稜線上の雪が飛んでいたのでシートラになるが、風が強い。まずいなと思って、とりあえず背負ってみたが煽られる。この先を歩いたことなく、煽られて転倒する絵が見えてしまったので、殆ど悩むということなく、撤退することにした。判断として正しかったのかはよく分からない。正直、事前情報の収集不足とアルパインエリアでのスキー経験不足だと思う。太郎平へ引き返しは、避難小屋からの斜面は片栗粉(ザラメに新雪が乗って固まるとなるみたい)で怖いので、一歩ずつ降りて緩んできた辺りから滑ったが重くて足がパンパンになった。その後、尾根を一本間違えたのでハイマツをスキーで藪漕ぎしてルート復帰。登りはあんなに怖かった斜面が下りだと何ともなくことに驚きながら滑り、一登りして太郎平小屋に着。防風壁を作り、薬師岳の見えるテン場を作成してエスケープルートを検討した。最終的に折立に下山後、通行止めの林道をブーツで4時間歩くのが体力ゴリ押しとなるが最も安全だろうというところに落ち着いた。
5/5:コル〜室堂 / 太郎平〜折立(エスケープ)
本日も3:00起床、5:00発。朝焼けで綺麗な稜線を歩く。全行程を通して一番ツアースキーな雰囲気だったかもしれない。夏道の階段が見え始め、春スキーのぼこぼこ斜面になって来た。残り1kmくらいからシートラに切り替えたが、完全に残雪期登山だった。踏み抜くし、緩んだ雪が滑った。夏道コースタイム3時間に対して、4時間で薬師岳登山口に到着した。すっかり除雪されていて人が来る気配は全くなかった。いちおう安全圏に到着した安心感半分、これから林道を延々と歩く吐き気半分の中、準備して出発。心を無にして一定のリズムを刻むロボットと化して、歩き続けよう。と思った矢先に向かいから車が来た。山小屋のスタッフの方が偵察で来ていたらしい。乗せてってあげるよというご好意に甘えて、4時間(車で走った感じは1日かかると思った)の重労働がゼロになった!エスケープになったのは運がなかったが、その分こっちで運が回って来た。ありがとうございました。
<その他>
・食糧計画:2,400kcal/dayとして、下山後に体重落ちていなかったので良かったのだと思う。朝の800kcalをカレーメシ+リゾッタとしたが2つ食べるのはとても辛かった。一つは水分少なめの食べ物が良い。
・防寒:荷物を軽くするために冬用寝袋は持って行かなかった。シュラカバ、ポリゴネスト、アンダー、薄手長袖、フリース、シェル、ダウン、ハクキンカイロ。シュラフカバーに荷物を詰めて断熱材として使用した。軽量化のためにツェルト泊を提案していたが、この気温だと何とか眠れるかどうかだったので、結局、テントを持って行って良かった。
・体力:荷物が重いのもあるが不足を感じた。息が上がらないペースで歩くとスピードが出ない。足の速い人であれば, 2泊3日で抜けるので鍛える必要がある。ペース配分の点では上手くコントロールできたと思う。
・計画:通過する稜線に繋がる登山道、登山口を全把握するくらい調べておくとより安全だった。
・時短:シートラ、滑走切り替えの判断と時間がまだ上手くない。シールの方が速く進めるところをツボ足だったり、また切り替えの時間が長いように思う。
オートルート行ってたんだあ〜。すごい!僕も来年あたりチャレンジするかな!!
頑張ったら3日で通過できたみたいなレポートが出て着そうですね。今回、クラシックを歩こうとしましたが、新ルートのほうも楽しそうでした。他のラインも面白そうだし幾らでも遊ぶところあって良いですね。
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