北鎌尾根から槍ヶ岳 残雪期



- GPS
- 29:24
- 距離
- 36.2km
- 登り
- 2,537m
- 下り
- 2,928m
コースタイム
- 山行
- 7:27
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 8:19
- 山行
- 10:18
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 10:55
天候 | 晴れ続き |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
北鎌尾根
体力勝負のルートであったことの他にも、喜怒哀楽、笑いあり、怒りあり、短い時間の中にぎゅーっと凝縮されたいろんなことがあった山行。
「行きたい」を谷口けいさんのDVDを繰り返し見て、思いをあたためていた場所。
映像の中に、槍ヶ岳のとんがりを正面に、左側にハサミ岩、右側に、小槍、孫槍、ひ孫槍を紹介されるシーンがある。是非そこを見たいなあと思っていました。
鹿屋を16:00発、途中高速PAで着替えて、姶良を17:45出発。umeさんと合流し、あかんだな駐車場に到着。交代仮眠しながらきたけど、寝不足。でも辺りが明るくなってくると、わくわくモードに目が覚めてくる。
① 忘れ物
7:20あかんだなバスターミナルより、上高地へ。バスが出発して間もなく、貸すはずだったリーシュとサングラスをあかんだな駐車場の車中に忘れてきたことに気付いた。いつものサブバックのポケットに入れ、車に着替えと一緒に残置。結局、リーシュの代わりは、umeさんが持っていたダイニーマの捨て縄で代用。サングラスは、晴れ予報続きなので不可欠。上高地のショップを手当たり次第売っていないか尋ねるが売ってない!
小梨平食堂の売店にディスプレイされているものを無理を言って売っていただけないか交渉。小梨平食堂の方のものだったのですが、試しに掛けてみて…どこのルートに行くのか聞かれて…下山は、計画では上高地側だったのですが、新穂高の方に下山するかもしれないことも伝えたところ、快く貸してくださることになった。本当にありがたかった。
② 行き先が決まったのが直前すぎる件
前から行きたかったルート。無雪期のものですが谷口けいさんのDVDを繰り返し見て、いつか行きたいと願っていたところ。
山行が決まったのは、日曜の朝。天気が好転したのです。土曜は、鬼岳整備をし、リーダーのプロジェクトに手をつけたところだった。予定では、翌日、そのプロジェクトの掃除に行く予定だった。しかし、疲れていたこともあり、日曜は人工壁に登りに行った。打ち合わせができたけれど、後で考えると、もっと準備に集中しても良かったのかも。そして、火曜日の夜出発した。
③軽量化
今回は、普段からよく山には行っているものの明らかにトレーニング不足。最初、飲料抜きで14キロぐらいだったので、私自身は、中途半端な軽量化となりました。結果は、16キロぐらい。
ザックは、55リットル(今までは、40リットルを多用。使い込んでしまったので世代交代。次回は、35リッターザックに納めようと思います。 )
冬靴にアイゼンは、リンクス。クォークを2本。
共同装備はスコップとクッカー類を担当。雪山スコップは、いただきもので使いやすいので気にしていなかったが、重いと言われ見直しが必要。その他にテント4人用、ダブルロープ50m1本、カム1セット、ハーケンなど。
就寝時、#3シュラフ(防水なのでカバー無し)ザックの中にシュラフごと足を突っ込み、エアマットの下にザックの背板を敷いた。ハードシェルの上下に(今回、長ズボンを省いた)、800FPの上着ダウン。ナルゲンとプラティパスにお湯を入れ湯たんぽ代りにした。
夕食にアルファ米と粉末じゃがいものスープ
朝食に、粉末コーヒーとカロリーメイト。カロリーメイトは、苦手な人もいるけれど、私は好き。朝、一度にたくさん食べられないので、あとは行動食で、アミノ酸ジェルや菓子パン、エナジージェルの補給。実際は、2日目からなんか気持ち悪い…体調不良気味だったので、なかなか食べられなかった。
④ 体調不良
2日から調子が悪く、自分で原因がよくわかっていなかった。途中までハイペースで計画が進んでいたので、2日に登頂〜ババ平まで行こうとリーダーが言っていた。
共同装備を減らすから早く歩けと言われて、体力のないあたくしは、スピードが出ず喧嘩。背後で見守るumeさん。酸素が薄いとつぶやいていた。天気が良いので気温が上がり、雪が緩む。休憩して頑張ろうと思ったけれど身体は動かない。
予定通り、北鎌平にテントを張ることにしてもらった。
昨夜のウイスキーがいけなかったのかなーと思い込んでいたけれど、高度障害がでてたのかも。3日目の朝、イブを飲んで頭痛は治ったけれど、ムカムカは、なかなか取れなかった。要するに体力不足。
⑤稜線テント泊。リーダーのトイレ造り
日中見晴らしの良い場所にテントを張るとなると女子のトイレ問題が発生します。トイレ滑落事故は少なくない。私がしゃがんで隠れるくらいの穴を一番先に掘ってくださいました。そしてその先に行かないように注意!
⑥ 稜線テント泊。スノーソー
「MSRのスノーソーは、使いやすい。持ってきて良かった。」とリーダーが絶賛。前述のトイレの穴掘り、テントの風除けブロック造りに活躍しました。
⑦ 火災事故…これは本当に大きな反省点。あともう少しで命が無くなるところだった。風が強く、テント内で、水作りをしていた時、一個目のガスカートリッジを使い切り、次のガスカートリッジに付け替えているとき、ガスバーナーヘッドをしっかりとセットできていないうちにライターの火を近づけてしまったため、漏れたガスに引火してしまった。少量とはいえ引火した火はなかなか消えず、そばにあったザックなどで押さえ込んだりしたけれどそれでも消えず、テント前室にバーナーシートごと投げて雪ブロックを落としてようやく鎮火。テントフライシートのジップ付近が溶けた。テントの入り口を開けていたので、3人とも外に逃げられたし、なんとか鎮火もできた。けれど、救助ヘリを呼ばなくてはならないぐらいの事案になりかねなかった。思い出すだけでも恐ろしい。3人とも髪の毛やまつ毛が少し焦げたぐらいで済み、本当に良かった。疲れや油断、慣れは恐ろしい。些細なことだけど、確認や言葉掛けは大事にしようと思います。
⑧ソフトクリーム
計画書通りのデプローチは、上高地なら徳沢園で帰りにソフトクリームが食べたかったあたくし。槍ヶ岳山荘から飛騨沢に降り槍平小屋経由、新穂高温泉へのデプローチでは営業小屋はないが、歩行距離が5キロ近く変わる。リーダーがそれに気づいてしまいデプローチを変更するという。えーっ、ご褒美ソフトクリームが無くなる…!人気の少ない登山道は、季節の変わり目の雪渓をいくつも越えた。新穂高温泉駅のターミナルでバスチケットを購入するときに、ソフトクリームを売っているよとumeさんが教えてくれた。早速購入!あたくしのご褒美ソフトクリームなのに(もちろん自分で買った)、メンズが早速嬉しそうにインスタストーリーに下山報告をあげる。あたくしのソフトクリームよーっ!
⑥温泉600円
⑦下山ご飯…お蕎麦と飛騨牛飯をサービスエリアで。渋滞をかわしながら、鹿児島への帰路。途中仮眠3人システムで(運転は、メンズ)土曜10:00ぐらいに姶良に到着。約4日のエクストリーム山行。
5/3(水)
1.上高地〜ババ平…夏道。横尾、槍沢ロッジで大休止。水は、ナルゲン500のみ。ババ平でアイゼンを装着。
2.ババ平から水俣乗越…雪渓を上がって行く。長かった。稜線は風が強く、ハードシェルを着た。
3.水俣乗越から北鎌沢右俣出合…長い雪渓を降り、途中尻セードを試るが、午後の水分の多い雪は滑りにくかった。天上沢は雪渓から離れてゴーロ帯を歩く。踏み抜きがあった。北鎌沢出合が1日目のビバーク地。
北鎌沢出合には、私の他に1パーティ。水は雪渓から滴るものを集めて使った。行程が長かったので18:00には就寝。4人用ファイントラックのテントは3人では広々としていた。テントの四角をバイルで固定。寝付けたものの寒かったです。
5/4(木)1:00起床。2:43スタート
4.北鎌沢出合から北鎌尾のコル
谷口けいさんのDVDでヘリ空撮の映像があり、それを見ていると長そうだなあと思っていたけれど意外と早く終わった気がする。雪渓の割れ等があったので、雪が締まった時間帯の早朝アタックで良かったと思います。最後は、左俣に入ってしまい、(明瞭なトレースがあり、雪の状態も上がりやすがった)稜線に上がりました。
5.北鎌尾のコルから独標P10
稜線から見る山々はとても美しい。とても感動的。朝日に焼けたピンク色の雪壁を登るのも嬉しかった。
槍ヶ岳のとんがりが見え始める。
6.P10独標へ
1p目…取り付きにハーケン。右手の岩に古い残置ロープ。取り付きの岩から左手に回り込み、一段降りて凹角を登る。左手の立木で中間支点、少し上がったところの右手にハーケンで中間支点。さらに雪壁を上がり、右手の立木で終了点。左手に上がり岩でビレイ点。
2p目…右手に上がり、最初の岩を左から巻き上がり、2個目の岩は真ん中を上がる。ホールドはある。カムで中間支点を取っていただいてあたと思う。さらに3個目の岩を右から巻き上がるように進む。独標ピークから槍ヶ岳とんがりが近づいて見えてくる。
3P目…記憶に自信がない。
7.ザレザレのトラバースや短い下降の繰り返し、雪は、気温が上がりグサグサとなってくる。疲れもピークとなりつつある。
8.P13の短い懸垂。紫のスリングと古いフィックスが残っていた。
9.ニセ北鎌平のようなところ。ここでもテントを張ることができそう。
10.p15のちょっとした懸垂。たくさん残置スリングが巻かれた岩があり、そこから降りた。
11.北鎌平…2日目のビバーク地。夜中は、風が強くなってくる予報。テントの横にブロック雪を積んで壁を積み上げ、テントはバイルで固定。私たちのほかに、1パーティ。昨日北鎌沢出合で一緒だったパーティは、そのままピークを抜けてババ平まて降りたらしい。
雪を溶かして水作り。アルファ米を食べて18:00には就寝。いろいろありすぎて疲れた。ナルゲンボトルとプラティパスの湯たんぽが温かく、履きっぱなしの湿った靴下も翌朝には乾いていた。
5/5(金)2:00起床。朝ごはんを食べて、風が強いのでザックに詰め込んでからテントの外へ。いろんなものが飛ばされないように気をつかう。月齢が良いのでかなり明るい。
12.北鎌平から槍ヶ岳岩峰基部へ
雪稜、雪壁を進む。高度のせいか昨日から息が切れやすい。
13.槍ヶ岳岩峰基部からピーク、槍ヶ岳山荘へ。
1p目…岩をぐいっと左から乗っ越し右へ上がっていく。雪稜を上がって次の岩の基部へ
2p目…左から回り込むように雪壁を上がり、雪で埋まったチムニーを上がり最後の岩の基部へ。ここでお日様が上がってきた。
3P目…記憶に自信がない。
4p目…目指すピークの尖った2本の岩が見える。最初、岩を右から回り込んで一段上がり、谷口けいさんのDVDで何度も見たチムニーへ。右足を一段上げて、左壁に足を張り、グイッと乗っ越します。ホールドは割と豊富。下から見えていた2本の尖った岩の奥に祠がありました。
山頂…早朝だったので、山頂にはあまり人はいませんでした。風が強く、記念撮影してそそくさと降ります。鉄製の梯子、鎖場を降り槍ヶ岳山荘へ。槍ヶ岳山荘ではコーラをいただきました。安全圏に来た安堵感があります。
14.槍ヶ岳山荘から飛騨沢下降
長い雪渓降り、尻セードが上手くできなくて歩いておりました。体調のせいで朝ごはんが食べられなかったのでようやくお腹が空き始めました。
15.槍平小屋から滝谷出合、白出沢出合、林道歩き、そして新穂高温泉駅のバス停へ。
アイゼンを外し、岩がゴロゴロした登山道を降ります。デブリ跡のような雪渓をバイルを支えに何度も何度も越えていきました。林道に出てからは早かったです。途中、近道(黄色の看板に新穂高登山道?と書かれていたような)が2箇所ありました。新穂高温泉駅の駐車場が見えたときはかなり嬉しかったです。
反省点の多い山行でしたが、umeさんのメッセージ、「北鎌尾根からの槍ヶ岳、みんなでやり遂げましょう!」
のとおりに、やり切ることができて良かったです。
反省を教訓として、次の山行に生かせるように、まだまだトレーニングほかやっていきたいと思います。
追記
体力勝負の北鎌尾根。その必要な体力について、山行を終えて思うこと。
① 長いアプローチを担いでできるだけ早く歩くことができる力
② 槍ヶ岳は、3000メートル級。酸素が薄いなあと感じられる高度の高い場所で、登るパフォーマンス(力とスピード)をできるだけ落とさずに行動できる。
アルパインに必要な力…体力、クライミング力、そして山感。
ルーファイは全てリーダーで私は、ついていくのが精一杯だったけれど、まだまだ行きたいところはあるし、もっと楽しむためにも努力は続けて行きたい。
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