西銀座ダイヤモンドコース(折立→黒部五郎岳・三俣蓮華岳・双六岳・槍ヶ岳→新穂高温泉)※はじめてのテント泊
- GPS
- 29:49
- 距離
- 48.5km
- 登り
- 4,147m
- 下り
- 4,366m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 9:04
- 山行
- 10:03
- 休憩
- 2:35
- 合計
- 12:38
- 山行
- 6:18
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 7:51
天候 | 1日目:晴れのち曇り 2日目:晴れのち曇り(ガス) 3日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
帰り:新穂高ロープウェイ新穂高温泉駅前から毎日あるぺん号で東京へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
折立→太郎平小屋:全体的になだらか。森林限界にあたる青淵以降は休憩用ベンチが充実している。危険箇所無し。 太郎平小屋→黒部五郎岳:なだらかで危険箇所無し。黒部五郎岳山頂直下は名前の通り岩が多いが、手を使うことはない。 黒部五郎岳→黒部五郎小舎(カールルート):岩が多く、ガレ場・ザレ場の下りがあるので浮石・落石に注意。水量わずかだが沢の渡渉が複数回あり。 黒部五郎小舎→三俣蓮華岳:鎖や手を使う場面は無いが、稜線下のやせ尾根あり。バランスを崩して転倒すると斜面に落ちる。 三俣蓮華岳→双六小屋:裏銀座縦走路に合流。双六台地から双六小屋までの急な下りにガレ場あり。 双六小屋→槍ヶ岳山荘:裏銀座縦走路と重複する西鎌尾根。樅沢岳から千丈乗越までは、上がって下っての繰り返し。やせ尾根や砂地の下りに注意。鎖場もあるが、上がっていく分には使わなくてもいける。千丈乗越から先は上り一辺倒で槍の肩まで進む。 槍ヶ岳山荘→槍ヶ岳:渋滞で往復2時間以上。浮石に注意しながら三点支持でしっかりと。 槍ヶ岳山荘⇔殺生ヒュッテ:ガレ場と巨岩の急登。手は使わないが足に堪える。 槍ヶ岳山荘→飛騨沢千丈乗越分岐:砂地とガレ場・ザレ場の急斜面を下る。下り始めが滑りやすい。 飛騨沢千丈乗越分岐→槍平小屋:途中から樹林帯。引き続き足下は岩で傾斜もキツめ。 槍平小屋→白出沢分岐:引き続き足下は岩が多めで涸れた沢の横断が複数回ある。滝谷は水量が多く、細い木の橋を渡る。 白出沢分岐→林道ゲート・新穂高温泉駅:綺麗な舗装路では無いが、自動車が通行できるなだらかな道を下る。 水場は基本的に各小屋のみ。双六小屋と槍平小屋が比較的充実している。 |
その他周辺情報 | コース上の休憩施設:太郎平小屋、黒部五郎小舎、双六小屋、槍ヶ岳山荘、槍平小屋、穂高平小屋など。途中の三俣蓮華岳を迂回すれば三俣山荘がある。 飲食:新穂高温泉駅1階の飲食スペース、中崎山荘奥飛騨の湯など。 入浴:ホテル穂高、中崎山荘奥飛騨の湯など。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
サンダル
ザック
サブザック
ヘッドバンド
手拭い
ヤケーヌ
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
ヘッドランプ
予備電池
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
速乾タオル
ストック
一眼レフカメラ
テント
テントマット
シェラフ
インナーシーツ
エマージェンシーシート
熊鈴
ヘルメット
携帯トイレ
アクティブインシュレーション
消毒アルコール
デオドラントシート
コンタクトレンズケース
コンタクトレンズ洗浄液
歯ブラシ
歯磨き粉
ペットボトル
モバイルバッテリー兼用ランタン
首枕
眼鏡
|
---|---|
備考 | 出発時のザック重量は約14.5kg 【水分消費量】 ・2.5L ・3.85L ・2L ※ただし、惜しみなく飲んだのでもう少し減らすことはできたと考えられる。 【減らせたもの】 ・入浴後の着替えのシャツ→お世話になった山小屋でTシャツを買うので、持ってこなくてよかった。 ・アクティブインシュレーション→動けばすぐ暑くなり、静止中の冷えもソフトシェルで凌げたので使わなかった。 ・サンダル→あまりテント設営後に出歩かなかったので、無くてもどうにかなったはず。 ・折り畳み傘→雨が降ってもレインウェアを着るので山行中はささない。 ・小物入れの袋→薄くて軽いものにすればよかった。 【減らすのは気がひけるが使わなかったもの】 ・エマージェンシーシート ・携帯トイレ ・レインウェア上下 |
感想
夏山シーズン真っ盛り、山の日三連休は憧れの西銀座ダイヤモンドコースに挑戦しました。
(前週にテント泊の練習をするつもりが風邪でどこにも行けず、図らずも初のテント泊山行になりました。)
距離こそ長いものの眺めが素晴らしく、危険箇所がほとんど無い…というのが事前に聞いていた話です。
時系列順に感想をまとめてみます。
【1日目】折立→黒部五郎小舎
実際に歩き始めて感じたのは次の3点です。
・折立から急登も無くあっという間に森林限界で一気に視界が開ける。見渡す限りの大草原に雄大な薬師岳、富山湾、富山平野、加賀の白山、そして角度によっては剱岳。
・ベンチや木道も充実して歩きやすいし、気分はハイキングに近い。多くの人で賑わっているのも頷ける。
・太郎平小屋まで着くと、東方面に鹿島槍ヶ岳や爺ヶ岳、黒部五郎岳なども見えてきて改めて展望に恵まれた場所であることを感じられる。
太郎平小屋を過ぎた辺りから少しずつ印象が変わってきて、
・景色は引き続き素晴らしいけれど、一気に人が減った印象。同じ方向に歩いている人には10人くらいしか会わなかった。
・遠くに槍ヶ岳や笠ヶ岳が見えてきて、本当にあんなところまで行けるのかとも思えてくる。笠ヶ岳は位置関係的には疑いないのだけれど、槍穂高から見える姿とあまりに違っているのですぐにはわからなかった。
・太郎山、北ノ俣岳、赤木岳と何度も山頂に登っては下っての繰り返しなので、地味に体力を奪われる。
黒部五郎岳の肩からテント場までは、溜まってきた疲れの中で歩くのはとてもキツく、
・山頂や肩からは黒部五郎小舎が見えていたのに、なかなか辿り着かない。予想コースタイムも崩れ、さらにカールの途中で「あと二時間」という文字を目撃する。
・ザレ場の下りや岩の道が足に堪える。
・時間も押すので余裕が無く、到着時の安心感はひとしおでした。
【2日目】黒部五郎小舎→殺生ヒュッテ
夜明け前、月も細く満点の星空を見ながらテントを畳みました。流れ星も見えたのが嬉しいです。
テント泊装備の重量で思うように歩けていないので、計画前倒しです。槍ヶ岳の肩に午前のうちに到着することを目指して3:30過ぎに出発しました。
・この時点で周りのテントの三分の一くらいは既に撤収されていた。かなり奥まった場所というのは関係しているのだろうか。
・じっとしていると肌寒いが歩いているとソフトシェルが暑く感じる。
・三俣蓮華岳へ向かう稜線に出てしばらくすると、急斜面の上を歩くことになるので、バランスを崩さないよう注意が必要。
・ご来光には微妙に間に合わなかったものの、三県境の三俣蓮華岳まで来ると人も一気に増えた。鷲羽岳や槍ヶ岳を筆頭に名だたる山々が見えるので、とても充実感がある。
三俣蓮華岳から先は裏銀座縦走路と重複し、目の前の槍穂の存在感が強くなっていきます。
・太陽が出ればソフトシェルは必要なく、下着にTシャツで十分過ごせる。
・三俣蓮華岳から双六岳、双六台地まではひたすら気持ちのいい稜線歩きができる。”天空の滑走路”は圧巻。
・双六台地から双六小屋まではかなり下る。これから槍ヶ岳へ向かうというのに、容赦無い。
双六小屋から先は西鎌尾根に入り、いよいよ槍ヶ岳への道です。少しずつ穂高連峰や五竜岳方面が雲に覆われ、槍ヶ岳にガスがかかるのも時間の問題です。
・双六小屋での水分補給がとてもありがたい。池の横のテント場も見ていて綺麗でいい。笠ヶ岳や新穂高への案内標識も現れるが、いずれも所要時間が長く、双六岳の遠さを感じる。
・西鎌尾根は上がって下っての繰り返しなので、地味に堪える。滑りやすい砂地やザレ場も慎重に。
・鎖場が複数あり。使わなくても通れるが、崖に落ちないように注意は必要。
こうしてどうにかギリギリ午前中に槍ヶ岳山荘へ着いたものの、テント場は既に埋まっていました。計画が甘かったということです。
代替案は殺生ヒュッテです。もし、こちらも駄目ならババ平?槍平小屋?…さすがにこんなことで路上で勝手に野営というわけにもいかないし、下山を目指すか…と考えましたが、殺生ヒュッテのテント場を確保することができました。まさに生かしていただきました。助かった。
・殺生ヒュッテは槍ヶ岳山荘から最も近く、見える距離にある為、代替しやすい。
・パンを300円で売っているので、翌朝食べられるしお湯もいらない。この場所で300円というのも安い。
・尖った槍ヶ岳を見たいなら、こちらの方が眺めはいい。槍を見上げる場所にテントを張れる。
幕営地を確保したところで、まだ午後になったばかりなので穂先へ向かいます。天気はほぼガス、稀に晴れ。
・肩を出発して戻って来るまで2時間半。時期が時期だし、人気の山なので渋滞は想像に難くないのだが、こんなにかかるか。。
・この日も文字通りに老若男女が登っていましたが、手足の置き場はしっかり見定める必要がある山なのは間違いない。山のグレーディングではCなのだが、緊張感高めな気がする。
・山頂で想い想いにのんびり過ごす人は皆無で、順々に記念撮影しては下りていく。もはや渋滞というより流れ作業の行列。
【3日目】殺生ヒュッテ→新穂高温泉
天気予報によると晴れのち午後から雷雨ということなので、この日も午前中の下山を目指しました。
予報よりも天気はよく、夜明け前は引き続き満天の星空です。下山の前に、朝の槍ヶ岳を楽しみに行きます。そして考えることは皆さん一緒です。
・2:30頃にはテント場は出発準備をする人たちが目立つようになっていた。
・槍の肩を出発できたのが4:30過ぎになってしまったが時既に遅し。登り始めから混雑はしていたが、山頂直下2本梯子の手前で定員に達し、下りて来る人を待つことに。4:54日の出なので、それより前に下りる人はいないだろう。
・笠ヶ岳方面に槍ヶ岳の形をした影を見ることができた。これは嬉しい。
・練習を兼ねて、鎖を使わずに上り下りをしてみた。鎖は触れなくてもいける。ハシゴと上りの杭は必要だった。
朝は好天に恵まれ、これから特に飛騨側から雷雨だなんて想像できないのですが、とてもその中を歩きたくないので、6時半すぎには下山を始めることにしました。
・道はほぼ下り一辺倒。小ピークを目指さなくてよいだけ気が楽。
・多くの部分は砂地かガレ場・ザレ場か、岩の上かという路面状況で狭い。
・水平距離は上高地より短いものの、より低い地点まで下る。
・営業施設は槍平小屋と穂高平山荘の2箇所のみ。槍平小屋は飲用水が潤沢なので、槍ヶ岳山荘や殺生ヒュッテで買う量は抑えてもよい。
・下山までの安心安全や華やかさを求めるなら上高地を目指した方がよい。新穂高への下山は静かに歩きたい人向け。
【全体を通じて】
・天気に恵まれたが暑くはなく、風が吹けば涼しく感じる。
・樹林帯が少なく見晴らしがいいので、天気がよければ絶景を見ながら歩ける区間が多い。
・折立から太郎平小屋までは近いが、太郎平小屋を過ぎると次の山小屋である黒部五郎小舎までの距離が長い。また、有峰林道は朝6時まで通行できないため、これを待って折立から歩き始めると黒部五郎小舎に着くのは夕方になってしまう。コース紹介で折立-太郎平小屋の区間と、太郎平小屋-黒部五郎小舎の区間が別の日に分けられがちなのがよくわかる。
・黒部五郎岳と黒部五郎小舎もそれなりに離れており、黒部五郎岳が北アルプスの最奥部と呼ばれるのがよくわかる気がする。
・水場や施設の配置や距離等を踏まえると、西銀座ダイヤモンドコースの所要日数が一般に3泊4日以上とされているのは非常に頷ける。
・西銀座ダイヤモンドコースは危険箇所がほとんど無いと言われるが、荷物の重量によってはバランスを崩して転倒→滑落に繋がりかねない箇所もある。
・夏山シーズン、お盆休み、山の日という好条件に加え、人気の槍ヶ岳。混雑はある程予見できたが、肩から往復2時間以上はかなり時間を取られる。この時期に登頂するのは考えものかも知れない。
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