奥穂高岳〜ジャンダルム〜西穂高岳
- GPS
- 23:23
- 距離
- 19.3km
- 登り
- 2,709m
- 下り
- 2,768m
コースタイム
- 山行
- 2:28
- 休憩
- 1:06
- 合計
- 3:34
- 山行
- 5:23
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 6:42
- 山行
- 9:00
- 休憩
- 3:49
- 合計
- 12:49
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
奥穂〜西穂を含む北アの単独テン泊山行の記録です。
二年前に山岳部の先輩に連れられて初めての北アルプス、西穂高岳に登りました。(もちろんロープウェー経由で)
その時は体力不足でチャンピオンピークで撤退したのですが、ロープウェーから見えたジャンダルムが頭から離れず、いつかはあそこに立ちたい、その思いで本格的に登山をはじめトレーニングを積んできました。
いよいよあこがれのジャンダルムに向けて出発です。
1日目
早朝に車で滋賀を出発し、いつものあかんだな駐車場に車を止め、9:00に上高地バスターミナルから登山開始。
本日の目的地は岳沢小屋。
天気は雲一つないぬけるような青空、過去一の晴天の中河童橋を渡る。
岳沢ルートは初めてのルート。
特に難所もなく2時間半ほどで岳沢小屋着。
昼前に着いたのだがテント場はほぼ埋まっている。
テント場は小屋から5分ほど登ったところにあり、炎天下の中汗だくになりながらテントを設営する。
結局その日のテント場は満員御礼、本来の設営場所ではない場所にもそこかしこにテントが張られていた。
ビールとウィスキーをあおって19:00ごろ就寝。
2日目
2日目の目的地は穂高岳山荘。
前日のハイキングとは打って変わって、体力・技術ともに一定のレベルが求められる。
テント場が早めに埋まってしまうことを想定して少し早めの4:45に岳沢を出発。
しばらくは初日と同じような歩きのハイキングコースが続くが、30分ほど登ったあたりから手足を使ったクライミング要素のある本格的な登山道となる。
ミスれば命を落とすような箇所も何カ所かあり、実際このルートでの大きな事故が後を絶たないようだ。(主に下りが多いらしい)
途中のカモシカの立場からは、明日渡る奥穂〜西穂の稜線の全貌を眼前に見ることができる。
7時過ぎに紀美子平着、荷物をデポして前穂をピストンする。
一月前に北尾根から登った時はガスで何も見えなかったが、今回は昨日に引き続き雲一つない晴天、山頂からは北アルプスの山々が一望できる。
紀美子平に戻りそこから2時間ほど吊尾根を歩いて奥穂山頂。
吊尾根も岳沢〜前穂の登り(重太郎新道)と同程度の難易度だが、難易度もさることながら直射日光を浴びながらの稜線歩きで体力をだいぶ削られる。
綺麗な景色を拝めるのはよいが、暑さは本当に体に堪える。
奥穂〜穂高岳山荘の下りは登りとのすれ違いで大渋滞。
イライラした登山客が何やら口げんかしていた。
譲り合いの精神で皆で登山を楽しみましょう!
昼前に穂高岳山頂着、思っていたほどテント場は混んでなく、山小屋に近い絶景スポットにテントを張れる。
ただ昼からはガスが立ち込めてほとんど何も見えない。
時折りガスの晴れ間に姿を現す前穂北尾根をテントの中でビールを飲みながら鑑賞する。
おぼろげながら初のブロッケンも見ることができた。
半日だらだら過ごし、19:00ごろ就寝。
3日目
奥穂山頂でのご来光を見るために3:30出発目標で2:00に起床したが、テントの結露のふき取り等に手間取り4:00出発。
奥穂山頂への道中、白みかける空を背景に槍ヶ岳の山影が美しい。
4:30奥穂山頂着、5:00過ぎの日の出まで山頂で待機する。
日の出とともに真っ赤に色づく北アルプスの山々を一望でき、この世のものとは思えない光景が眼下に広がる。
綺麗な景色を見ていたいのと、ジャンダルムに向かう緊張感からなかなか山頂を離れられずにいるが、5:15意を決して奥穂山頂を出発。
ほどなくして馬の背の下りに到着。
足場はしっかりあるので難易度はそれほどでもないが、ナイフリッジの両側が何百メートルも切れ落ちており恐怖感が半端ない。
後から慣れた登山客がすいすい下っていくが気にしない、ゆっくりゆっくり慎重に手足を確認しながら下っていく。
ウマの背の難所を超えた後はこれも有名な難所の一つロバの耳の登り。
登りということもあり、それほど恐怖感はない。
特に苦労することもなく順調に登るが、踏み跡を頼りに進んでしまい一度ルートを見失いかける。
またそこらじゅうで「ラック」の声とガラガラという音が飛び交っており、自分自身のクライミング以上に気を遣う。
ロバの耳を超えた後はジャンダルムは目の前、事前に調べてきた通り左手から反対側に回り込みジャンダルムアタック。
ほかの難所に比べて難易度はそれほど高くなく、念願のジャンダルム登頂。
ジャンダルムを回り込む際のトラバースの方が怖かった。
山頂では念願の天使と一緒に記念撮影。
ここでも空はこれ以上ないという位の抜けるような青空、きれいなアルプスの山々の写真を撮りまくる。
ジャンダルムの先は天狗のコルまで300mほど延々と下る。
途中ザレ場の急坂をクライムダウンする箇所もあり、ジャンダルムを超えた後も一筋縄ではいかない。
ここでも踏み跡に惑わされて一度ルートを見失いかける。
天狗のコルでしばし休憩。
ここはビバーク用に二張りほどテントを張れるように石で囲ったスペースがあるが、すぐ横はトイレスペースになっているのか異臭とハエが飛び交っておりすごいことになっている。
天狗のコルから天狗の頭への登り返し、登りはじめは10mほどの垂直の鎖場。
上から下ってきている人に気づかず、石が降ってきたときは焦った。
鎖場の後もいやらしい岩場の登りが延々と続き、天狗の頭を超えた後はさらにいやらし逆層スラブを数十メートル下る。
鎖に全体重をかけながらクライムダウンするのだが、後から来た慣れた人は前向きで片手で鎖をつかみながらすたすたと下ってくる。
まだまだ修行が足りない。
天狗の頭の後は間ノ岳を超える。
ここの登り下りもいやらしく、特に下りは地獄のようなザレ・ガレの急坂。
前後に登山客がいなかったからよかったものの、誰かいたら相当気を遣う。
案の定この難所を超えた後、はるか後ろの方で「ラック」の声が飛び交っていた。
体感的にはジャンダルムまでの難所より、ジャンダルム以降のルートの難所の方が難しく感じた。
この辺りで水が残り僅かなのに気づき節約しながら先に進むが、そのせいで熱中症のような症状が現れ、さらにそのせいで行動食がのどを通らずシャリバテのような症状も現れる。
荷物の軽量化のために普段は3L持ち歩くところ、2Lにケチったのが悪かった。
炎天下のせいで水の減りが速かった。
とにかく水と体力を温存しながらゆっくりゆっくり進む。
赤岩岳を超えて次に見えるピークが西穂だと思って頑張って登ったらそこにはP1の標識、心が折れそうだった。
もうひと踏ん張りがんばってようやく西穂山頂到着。
後は過去に2度ほど通ったことがあるルートで一安心と思いきや、体力を消耗しているせいか西穂からの下りがやたらと難しく感じる。
1時間ほどたっぷり時間をかけて独標にたどり着いたときは水も300ccほど残っておりようやく本当に一安心、人心地がつく。
独標から40分ほどで西穂山荘に到着。
自販機で買ったコーラを一気に飲み干し、水もチャージし元気を取り戻す。
15分ほど休憩して時刻は15:00、上高地17:30発の終バスまで残り2時間半、何とか間に合いそう。
取り戻した元気を使って西穂山荘から上高地バスターミナルまでジャスト2時間で一気に駆け降り、17:00発のバスに間に合う。
終盤いろいろ反省点も多かったですが天気にも恵まれて、おそらく生涯一二位を争うような思い出に残る山行でした。
〇反省点
酷暑の中荷物の軽量化のために携行する水が少なかったので熱中症になりかけた。
熱中症になりかけてパンがのどを通らなかったので後半行動食をとらずにシャリバテを引き起こした。
踏み跡を信じすぎてルートを見失いかけた。
〇良かった点
出発時間を早くして余裕のある行程で計画を立てたので、体力を消耗した後でも落ち着いて登攀を続けることができた。
踏み石には細心の注意を払い、落石が一つもなかった。
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