【飯豊山周回】天空の尾根は遠くオンベマツ尾根
- GPS
- 30:38
- 距離
- 33.6km
- 登り
- 3,387m
- 下り
- 3,379m
コースタイム
- 山行
- 8:00
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 8:49
- 山行
- 11:10
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 12:43
- 山行
- 7:56
- 休憩
- 2:02
- 合計
- 9:58
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
※このレコを参考にする方へ。 このルートには藪漕ぎを強いられる登山道がない区間が含まれています。 計画を立てる場合、不明な点がある場合はできる限りお答えしますので、遠慮なくメッセージやコメント欄でご質問ください。 ■弥平四郎〜鏡山 しっかり整備されています ■鏡山〜湯ノ島小屋 登山道はありません。 標高900mくらいから下は人による踏み跡あり。 キノコ取りか? 実川からの入り口は不明 ■オンベマツ尾根 後から知ったのですが、今年は登山口までの林道が復旧していないので通行止め。 刈り払いもされていません。 ■尾西小屋〜飯豊本山〜三国小屋〜上の越〜弥平四郎 しっかり整備されています。岩綾などもあるけど、ロープや鎖で確保されている。 |
写真
感想
久しぶりの飯豊山。去年から温めていた計画。
以前、大日岳から見た凶悪なオンベマツ尾根を周回ルートで登りたかった。
●1日目
弥平四郎登山口から、まずは鏡山を目指す。
ブナとミズナラなどの広葉樹の森が素晴らしい。推定樹齢200年以上のブナも少なくない。
そして、飯豊連峰の慣例に漏れず、ここも急登。
しかし、稜線まで標高差約560mというのが救い。しかも、350m登れば一息つける横移動がある。
風がない。すぐに汗が噴き出る。持ってきた水は3.5リットル。疲れないようにゆっくり登るが、休憩のたびにどんどん減っていく。
稜線に出る頃には1リットルが無くなっていた。
稜線も樹林帯で、風が差し込むところがなかなかない。小さなピークに上り下りを繰り返して、ようやく鏡山。
山頂周辺は広く刈り払いされていて眺めが良い。大日岳から飯豊本山の稜線やスラブが迫ってくる。
ここで大休止。時間に余裕があるので、なるべく疲れを癒す。時々、風が吹き抜けて汗を乾かす。
ここからは登山道がない尾根を下りる。
まずは広い尾根なので、GPSで確認しながら判かりづらい尾根筋を辿る。
藪尾根は登りより下の方がはるかに難しい。
藪はギリギリ樹林帯。飯豊の緯度で1300m程度だと、まだ偽高山帯のハイマツやミネカエデなどの灌木薮にはならないらしい。
ただ、藪のレベルとしては中級程度とはいえ、油断すると谷に引っ張られる。
谷に引っ張られるというのは、ブナやダケカンバなどの灌木をはじめ、植物の多くが雪の影響で谷に向かって生えているので、歩きやすい場所を歩いていると、いつの間にか尾根から外れて谷に向かってしまうということ。
ボクはこれを谷トラップと呼んでいる。
本当にいつの間にか逸れてしまうのだ。回避するには、こまめにGPSをチェックして、逸れていたら、ゴム跳びのように木を跨いだり踏んだりして戻るしかない。これが疲れる。
最初の標高差200mくらいは、尾根筋が分かりづらく、GPSの確認や軌道修正に時間がかかったが、やがて痩せ尾根になってくると、大きな松の木や獣道が目立ち始める。
精神的にはだいぶ楽になるが、まだまだ油断できない。
痩せ尾根には、土が少なくても根付く松の木などが生えるが、ブナなどの灌木がまとまって生えている事がある。これは真ん中を突破するよりも、避けてトラバースした方が楽だが、この時に谷トラップにかかりやすい。
獣道は断続的なのと、何かの目的で尾根から逸れたりするので、結局はGPSでの確認が必要だ。
標高900mくらいまで下りてくると、獣道が明瞭になってきて、人為的に狩られた枝を発見。それと同時にピンクテープも発見。
ここから先は人が歩いていることが確かとなった。きのこ取りか山菜取りか。
下から歩いてきたら、もしかしたら鏡山山頂まで道があったのかとも考えたが、この上の痩せ尾根に人為的な道がないということは、鏡山登頂を目的とした道ではない可能性が高いと考えている。
人が歩く道ならほぼ登山道。しかし、急坂なので枝を掴みながら下りるところも少なくない。体力が削られる。
そして、もうすぐ実川というところで、木に巻かれたピンクテープの先の道を見失ってしまった。
見つけたと思ったら途切れる。そんな調子でだいぶ下ってしまったので、崖マークがないところに下りることにした。
急斜面を枝を頼りに下るが、あと6〜7mというところで結局は崖。横にも動けない。
そこで、念のため持ってきた6mm15mのロープを出して、半分に折って腰をかけている木にかけてみると水面に届いた。
これを頼りに足場を探して沢に降りた。
その後、登り口を探したが見当たらなかった。この辺りかとも思う場所もあったが、それでもかなり急斜面だ。
実川はすこぶる透明度が高かった。沢を渡る時にちょっと転んだついでに、落ち込みで首まで水に浸かってクールダウン。
疲れた、本当に疲れた。
しかし、もうひとつのメインイベントは、翌日のオンベマツ尾根だ。
そのオンベマツ尾根の登山口の岩場で昼食。
ここはアブも少なく、日陰で涼しくて素晴らしく居心地が良かった。
1時間以上いたと思う。うとうと眠ってしまうので、重い腰を上げて湯ノ島小屋に向かった。
湯ノ島小屋は、素晴らしいブナの森の中にあった。水場はすぐ裏。
中にあまり光が差し込まず少々暗いということはあるが、トイレもあって居心地が良い。
陽が落ちてから雷。明日が雨にならないようにと祈りながら眠りにつく。
深夜近くに暑くて目を覚ますと外から雨音。しかしそれも3時半に起床すると上がっていて、木々の隙間から見える夜空には星が出ていた。
●2日目
晴れた空の下で出発。
オンベマツ尾根は、入口から生半可な登山者を受け入れない雰囲気。
ここも素晴らしいブナの森。太いミズナラも多く、舞茸が出そう。
細尾根の急登が続く。今日も暑い。すぐに汗だく。
月心清水までで1リットルの水を消費してしまう。
水場がなんとか生きていて良かった。
ここまでも急登でキツかったが、ここからが本番だった。
急登とザレ場が交互に出てくる。急登でザレ場も。
体力と緊張感、さらに暑さで体力がどんどん奪われていく。
動けなくなっては困るので、明るいうちに着けば良いと、高度を100m上げるたびに休憩。20分歩いて、5〜10分休憩という具合に。
とにかくずっと上がっている息を落ち着かせて、また歩き出す。
果てしない。
1500mより少し上の一服平に着いて、やっと息が抜けるかと思ったが、ザレた痩せ尾根と藪がかぶった道が続く。
そして再び早川のつきあげに向かって急登。
この辺りからガスがかかって雨が降り出す。熱った体に恵みの雨。
そしてようやく早川のつきあげ。時間的に櫛ヶ峰は諦める。
雨が強くなってきたのと、風も出てきたのでカッパ装着。
ここから牛首を挟んだ稜線歩きも厳しかった。
ザレ場から岩場。巻く場所もあるが、登らせる場所もあって緊張感が続く。
少しの高低差だが、登っては下り、登っては下りと精神的に効いてくる。
ようやく牛首。ここにきて再び100m高度を落とさなければならない。
そしてコルから200m上げるのだ。ただ、目の前の山に直登ではなく右から巻いていくのが救い。
しかし、ガレ場はどこが道かわからず、ガレ場じゃないところは藪が被っている。ルートをキープするのに苦労する。
さらに、藪ですぐ脇が崖だということに気がつかず、足を滑らせてしまう。
なんとかそこにあった岩にしがみついてことなきを得たが、さらに注意する点が増えた。
この辺りはもう、少し歩いてキツくなったら足を止める、の連続。それでも少しずつ少しずつ山頂は近づいてくる。
最後は狭い草原に出て、短いビクトリーロード。
山頂表示の下にザックを下ろして座り込む。
5:30に小屋を出て16:00到着。所要時間10時間30分。
もちろん西大日岳はオアズケ。
キツかった。肩で息をしながら笑いがこみ上げてくる。
やった、登り切ったと思ったら、鼻の奥がツンとした。
尾西小屋に着いてから、急いで水汲みに。
ご飯を炊き、夕食、翌朝の朝食、行動食に。
神経が昂っているのかなかなか寝付けない。
外に出ると星空。
なんとか3時間弱だけ寝られた。
■3日目
4:40に出発。ここから本山の向こうの朝焼けと、振り返ってオンベマツ尾根を眺めながら天空の稜線歩き。誰もいない。独り占めの気分。
駒形山で360度の展望を楽しむ。大日岳と本山を眺めるのに良い場所だ。
そして飯豊本山。
本山小屋から山頂に着いた方々と喜びを分かち合う。
ここから先は他の方のレポがたくさんあるので、そちらに譲るとする。
鏡山から750m落として1500mの登り返し。
藪の下りが思ったより楽だったとはいえ、この暑さは想像以上のダメージだった。
オンベマツ尾根は、整備されていたとしても、紙地図のコースタイム8時間で歩けるような気がしない。かなりハードなコースだった。
3日目は体力も足の筋力も限界に来ないように、じっくりと休みながら、なんとか下山できた。
気力も、体力も、筋力にも限界に近いチャレンジだった。
西大日岳、櫛ヶ峰を踏めなかったのが、ほんの少し心残りだけど、今シーズンで一番の充実感を得られた山行だった。
鏡山〜湯ノ島小屋、オンベマツ尾根のレポありがとうございます。
酷暑の中でのソロ山行、ドキドキしながら読ませて頂きました。
今年歩いた御沢ルートでもヘロヘロだったのに脱帽でございます。
またどこかの山で!
ありがとうございます。
さすがにキツかったです。入山前は車中泊であまり寝られず、湯ノ島小屋でも暑くて2時間くらいしか寝られなかったので、寝不足も祟りました。
やっぱり涼しくなってからやるべきでした(笑)
朝日あたりでバッタリお会いするような(笑)
だいぶ前に小国の井〇さんが歩かれてる記録を拝見し「いつか自分も」と思ってました。
ただ以前アシ沢辺りから実川対岸を眺めた際、取りつきがすべて崖に見えたのでビビッて萎えてしまいました(笑)
そもそも藪ルートを下りに選択するのがさすがです。
お疲れ様でした。
大日直下の水場はこの時期無いのでは?
やっぱりあの水場はないですか。
ヤマレコのオレンジの線だともう少し先なんだけど、手前の沢筋は完全に枯れてました。
藪尾根の取り付きですが、おそらくそのアシ沢の向かいの砂利の場所からですね。
崖はキツいので、木が生えているところか?それでも相当急斜面ですが。
藪漕ぎの下りは難しいですが、かなり頻繁にGPSで確認しながら歩きました。
痩せ尾根になっても、気がついたら少し外れてたりするので気が抜けません。
このルートを歩くなら、藪尾根のことを考えると逆回りもアリかと思いますが、やはり不安要素は前半でクリアしたかったんですよね。
2泊して、藪尾根に登れないとなったらアウトなので。
とりあえず、取り付きさえなんとかなれば、逆回りでもオッケーです
あ、失礼しました。おそらく、ボクが水汲みの帰りにすれ違った方ですね?
お疲れ様でした。
消した方が良いでしょうか?
ありがとうございます〜
私は藪は歩いてないけど、kozouさんの感想がよくわかる気がします。
お疲れ様でした〜
オンベマツ行かれましたか。
キツいですよね、暑さもありますが、予想以上でした(笑)
秋頃からな?と思ったら、この暑さ真っ只中で歩くとは、驚きです。しかも、軌跡をみると、改めて独創的な貴重なルートのレポだな、と実感します。
今シーズン初めて飯豊を歩いた者からみると、季節も含めてどんだけ大変なルートなんだと想像できます。飯豊の一般登山道をある程度経験した段階で、再度、見直してみたいレポでございます。いつか妻とこのルート、トレースできれたら、と思わせてくれますね。
もう藪漕ぎも慣れてきたでしょうし、てくてくさんご夫妻なら行けそう(笑)
秋のオンベマツは良さそうですよ。紅葉が始まる頃とか。
ぜひ(笑)
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