栂海新道 -親不知から朝日岳へ-
- GPS
- 22:35
- 距離
- 95.0km
- 登り
- 4,709m
- 下り
- 4,635m
コースタイム
- 山行
- 6:51
- 休憩
- 1:01
- 合計
- 7:52
- 山行
- 13:47
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 14:34
天候 | 19日: 曇り一時晴れ,20日: 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
黒岩山-長栂山間(黒岩平、アヤメ平)と五輪尾根の上部トラバース区間で数カ所ずつ雪田、雪渓の横断があり、アイゼン携行は必要。ベンガラとテープでルート指示してあるが、見失わないよう注意。 水場について、シキ割の水場はチョロチョロ、黄連の水場は水量豊富、北又の水場は未確認、五輪尾根上部は沢水随所にあり。 |
写真
装備
個人装備 |
無人小屋泊まりなのでシュラフ
マット
自炊装備
|
---|
感想
一昨年の9月に猿倉から親不知までを1泊で歩いたが、次は花の時期に、また親不知から上がる行程にしようと思い、この海の日絡みの連休に計画した。三連休だったが初日は西日本を横断した台風の影響が残ったので残りの二日間で、朝日岳から蓮華温泉に下りるルートとし、蓮華温泉から下界に下りて車に戻るのに自転車を使う作戦とした。
前日の18日は午後6時過ぎに車で富山を出発、一旦蓮華温泉に上がって自転車をデポして親不知の観光ホテル前には夜10時過ぎに着いた。
翌朝4時、先ずは海岸までの遊歩道を下りて海抜0mを起点として出発した。国道を渡って登山口の標識、ポストに登山届を入れて山道に入る。入道山を越える5時頃には灯りは要らなくなっていた。二本松峠の舗装路を横切り、尻高山を目指す。日本海に抜けた台風の名残として湿気が強いが風はなくなって無風に近い。従って汗の出が多い。坂田峠でまた舗装道路、ここまで3時間近くだが、楽しようと思えばここまで車で来られる。しかし海抜0mにはこだわりたい。
坂田峠からの登り標高差300mが金時坂という一気登り、随所にロープ、梯子段のかかる難所。ここを過ぎれば白鳥山まで普通に歩いて登る道となる。金時坂の頭から10分位でシキ割の水場に着く。地形図で「シキ割」とあるところより少し北、二つの小ピークに挟まれた窪地で西のピークからの沢筋になる。水はチョロチョロでいつ枯れても可笑しくない様子だった。
小屋の建つ白鳥山は今年1月にスキーで登って来て以来。その時小屋はすり鉢状の地形の窪みにあったが、今来てみると単純にピークのてっぺんにポツンと立っている。冬の地形は完全に雪が作ったものだったと感心した。
白鳥山からは鞍部まで標高差200mを降り、下駒ヶ岳、菊石山と登り下りを繰り返す。菊石山の次の、1291mピークとの鞍部に黄連の水場への下降路の標識があり往復10分位。犬ヶ岳手前最後の水場になり、ここから5リットル持って上がった。1291mのピーク、次は黄連山(1360m)、さらに先に1384mのピークがあるが、これらはピーク後の下りは小さく、犬ヶ岳へ向けて順調に高度を上げて行く。1384mの手前に、本日初めての残雪通過があった。1384mから一頑張りで犬ヶ岳の肩、栂海山荘に達する。5,6人ほどのご婦人方が調理作業中で、僕が入って行くと「いらっしゃいませ」と言われた。この小屋を管理しているベニズワイ山岳会の関係者らしく、男性陣は犬ヶ岳の向こうで草刈り作業中だとのこと。荷物を置いて犬ヶ岳山頂を往復、小屋利用の協力金二千円を提供して入室。まだ昼過ぎなので今日は後半日のんびりだ。日本酒とウイスキーを持って来たが、ビールは冷やせないだろうと持って来なかった。しかし小屋の直ぐ先に雪田が残っていて、持って来れば良かったと悔やむことになった。
ずっと曇っていたが、夕方になって周辺の山が大分見えるようになり、みんなで外に出て展望談義になった。晴れれば朝日岳や富山湾などが見えるが残念ながら今は見えない等と。草刈り隊の10人余りと、小屋泊まり、テントの人達とでやはり10人余りになっていた。明日の晴れに期待して就寝。
20日の朝、3時に起きて4時出発と考えていたが、1時間寝坊して、急いで朝食と支度を済ませ4時40分に出発。犬ヶ岳山頂を過ぎて直ぐに朝日を迎えることになった。これから行く山なみや初雪山のモルゲンロートが本日最初の感激となったが、その先の朝日岳は頂に雲が被っている。
犬ヶ岳から先も幾つものピークを登り下りして標高を上げて行かない。2時間近くで1606mピークを越えると窪地に残雪と湿原らしきものが現れ、その先を予感させる。黒岩山を越え、ヒスイ峡ルートへの分岐を過ぎて笹原となり、先ずポツンと咲くニッコウキスゲとタテヤマリンドウがご挨拶。そしてニッコウキスゲの群落で百花繚乱湿原巡りの幕開けとなった。
標高1623mの黒岩山より南は徐々に標高を上げながら湿原地帯が広がり、標高1600から1700m台が黒岩平、1900m辺りがアヤメ平の領域と思われる。黒岩平は4段くらいに分けて見られ、今回は下の二段の花が素晴らしく、アヤメ、ミズバショウ、ハクサンコザクラ等が群落を魅せる。またアヤメ平は上下2段とみられ、上の段が素晴らしくこちらはアヤメのみならず、ハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲ、クルマユリ等々。その他花詳細は写真の解説に譲るが、ともかくここは天上の別世界、夢見心地のしばらくであった。いつしか空も晴れわたっている。
途中何カ所も雪田、雪渓を渡るが、特に大きく傾斜もあるのが3箇所ほど、アイゼンは持って来たが結局使わなかった。下りだとしたら3箇所では使ったと思う。アヤメ平の領域を過ぎて標高2000mを越えると乾いた礫地に変わり、植生も変わりタカネシオガマ等になる。標高2200mのなだらかな一帯の中の小ピークに「長栂山」の標識が立っている。しかし昭文社地図の「長栂山」はこの場所にあるが、地理院地形図ではここより500mほど南に2267mの「長栂山」がある。どちらが正しいのか、ここら一帯が長栂山という理解で良いのだろうか。
地形図の長栂山の東斜面の窪地には照葉の池がある。白馬岳を写す青い水面、一端にある残雪が沈み込む色のグラデュエーションが美しく、周辺はニッコウキスゲ、コバイケイソウなどのお花畑でもある。長い間繰り返し繰り返し楽しませてくれる。その先は道が樹林帯に入り込み、それを抜けた所が朝日岳の直下、吹上のコルである。空身で朝日岳を往復、さてここからは蓮華温泉へ向けて五輪尾根を下降、長い上りはもう終わった。(とこの時は思っていた)
五輪尾根の上部は概ね尾根筋の南側をトラバースしながら下降して行き、雪渓渡りが続く。急な所はステップが切ってあり、この下りもアイゼンは出さなかった。連休最後日なのにけっこう登って来る人が多い。10人以上会ったと思う。標高点1983mと1753mの間は五輪高原で、湿地が散在し木道歩きもかなりある。1753mを過ぎて尾根筋の斜面となるが、この区間も木製の階段で整備された割合が多く、これは足に優しく大変有難い。どんどん下って樹林帯の急な道、それが緩くなると川の音が聞こえてきて、しばらくで白高地沢の大きな河原に出る。立派な鉄の橋を渡り、先を進む。
既に蓮華温泉の標高を下回っていて、この先まだ5kmと距離は長いが緩くて楽な道だろう、と思ったら大間違いだった。瀬戸川の横断点に向けてまだまだ下る、下る。瀬戸川にも鉄の橋、ここで標高1160m、何だって?!蓮華温泉まで300mも登り返すんじゃないか!先ずは兵馬の平までが半分、観念してじっくり登る。兵馬の平が今日いっぱい見てきた湿原の見納め、木道歩きで一旦息を静めたらいよいよ最後の登りだ。このやろうと頑張って、建物が見えたと思ったら、蓮華温泉のキャンプ場に出た。ここからは砂利の車道、ゆるゆると登って遂に蓮華温泉ロッジへ到着。3月にもお世話になったお兄さんが出迎えてくれた。地元の物だと言うスイカがめちゃくちゃ美味しかった。
駐車場の隅に置いた自転車を回収し、レーサーシューズに履き替えて、車を停めた親不知を目指す。蓮華温泉を出て直ぐが標高差50mの登り返し、長い山歩きの後のヒルクライムもなかなか辛い。それを越すと平岩まで標高差1100mの豪快なダウンヒルだ。カーブは要注意だが、壮快に飛ばす。一度白いセダンが追い付いて来たが、スピードを上げて振り切ってしまった。
平岩パーキングで一息。糸魚川まで車の多い国道でトンネル、スノーシェッドが長いのでフロント・テールのライトを装備して点け放しにして走る。下り基調だが少しは頑張ってこがないといけないし、背中に10kgのサイクリングはやはり少し大変。もうすぐ北陸自動車道という所まで来て水がなくなり、腹も減った。セブンイレブンを見つけて補給休憩、トイレも借りた。
糸魚川の市街地に入り、新幹線と越後ときめき鉄道の線路をくぐり、国道8号線に出る。後は日本海海岸沿いに15kmだ。青海までは平坦だが、子不知の領域に入ると起伏が出て来てあと10km。太陽が水平線にだんだん近づいて来た。ゴールで日の入りを見られるんじゃないかと頑張ったが、あと1kmの竹ヶ鼻まで来て残りはずっと登り坂、もう間に合わないと判断して夕日撮影タイムとした。そして一頑張りで親不知観光ホテル前、栂海新道の登山口に遂に戻って来た。山歩き11時間とサイクリング3時間超の長い一日だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
できれば今回のルートはご一緒したかったところでしたが、ファミリーキャンプのため断念。
でも、僕が行かなかったおかげで?sea to summitが達成できて良かったのかも(笑)
花も素晴らしいし、最高でしたね。
ミヤマムラサキとウスユキソウは今年まだ見ていないので見に行きたいと思っていました。
あ、初雪山、来シーズンぜひ滑りに行きましょう!
一緒に行けて車二台なら蓮華温泉ゴールに出来て楽だったんですがね。
花は本当に素晴らしく、最高でしたよ。
スキーの適所を巡った感じでもありましたね。初雪山是非行きたいし、白鳥山も良いですよ。蓮華温泉も今度行ったら朝日岳まで行きたいな。
花の多さ、白山の比ではない気がしますね!
日本酒とウィスキー。そしてビールは雪田を見て後悔ってところでNishidenさんの顔が浮かんできて笑っちゃいました。すみません(^_^;)
いやいや、受けてもらって嬉しいですよ。
草刈り隊の人達は備蓄のYEBISUで楽しんでいて、羨ましくもありました。
標高1600から1900mに湿原が散在し、間に乾性の草地があり、朝日岳辺りは高山礫地と残雪流水地が混在と、植生の多様さが花の種類の多さなんでしょうね。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する