高所恐怖症と槍ヶ岳(双六、西鎌尾根経由)
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- GPS
- 22:41
- 距離
- 34.3km
- 登り
- 2,684m
- 下り
- 2,677m
コースタイム
- 山行
- 7:52
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 9:01
- 山行
- 11:19
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 13:15
天候 | 7/21 概ね晴れ 7/22 7時半くらいまで 霧 11時半くらいまで 曇時々晴 強風 それ以後 にわか雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
西鎌尾根は、双六〜千丈乗越くらいまでは時折雪渓トラバース有。 トレース明瞭。固いシャーベット気味。 慎重に渡れば、滑り止めを使うほど危険ではないと思われる。 それ以外は特になし。 |
その他周辺情報 | 温泉は新穂高温泉無料Pの目の前にある深山荘で。700円。 18時近くだったが、問題なく受け付けてくれた。 ただし、平日だったからかも。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
装備
個人装備 |
テン泊縦走装備
ビレイデバイス一式
メット
食糧3日分(朝・夜・行動)
|
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感想
体力はかなりあるのに、重度の高所恐怖症であるkun_puさんにとって、
かねてからの宿願だった槍ヶ岳登頂。
新穂高温泉から入山し、鏡平、双六を経て西鎌尾根アプローチという、
ややマニアックなルートを選択しました。
ぼくにとっては、昨春に腰を壊して以来初の北アルプス、
槍ヶ岳は両膝を壊した4年前の夏の北鎌尾根以来です。
2日前の谷川連峰でその古傷の右膝を少し痛めてしまっていたので、
やや不安な入山となりました。
新穂高温泉からのルートは、上高地からのそれに比べて標高差があるし、
足元もゴロゴロしているので、体力的にはなかなかきつめですが、
北ア有数のお花畑を誇る双六近隣の可憐さと、
北ア屈指の岩稜が聳える槍近隣の厳しさを
一度に味わえる贅沢なルートです。
行動時間が2日間で20時間超という長丁場。
初日は猛烈な炎天下での急登、
二日目は時折強風が吹き荒れる不安定な天候の中での岩場歩き、
そして初めてのテン泊。
kun_puさんにとっては大変ハードな行程だったかと思いますが、
最後まで音を上げずに歩ききってくれました。
初日のお花畑いっぱいの中の歩きとは違い、2日目はガスの中。
時間がたつにつれ、ガスが断続的に晴れ、
北側の硫黄尾根やその向こうの後立山、劔などが見えます。
最初はシャッターを押し続けていたkun_puさんですが、
槍ヶ岳が近づくにつれ、その表情には緊張の色が見え隠れしてきました。
千丈乗越を過ぎると風が一層強くなり、
足元もガレ気味で悪くなってきます。
「ちょっと自信ない。。。」などと弱気な発言も。
風上側に肩を入れ、入れた側の脇をしっかりと締めて風の影響を減らし、
風下側の手はフリーで動かせるよう歩いてもらいます。
槍の肩の寸前、親子連れが肩から降りて双六方面へ向かおうとしていました。
雪渓の状況を聞かれたので、情報提供。
こういうやりとりもとても大事なことです。
これから、双六を経て雲ノ平まで行くそうです。
お子さんはまだ小学5年生とのこと。
小学5年生でこれほどのスケールの山行をできるなんてとても素晴らしいこと。
「気を付けて楽しんどいで!」と肩をポン、と叩くと、
照れくさそうに笑顔を見せてくれました。
さて、肩についてほどなく、ザックをデポし、
サブザックにビレイデバイス一式を入れて槍の穂先へと上がっていきます。
最初から及び腰で、恐怖心のあまり、
身体が思うように動かないkun_puさん。
しっかりと三点支持をするよう、再三再四発破をかけ、
かなり遅い速度で少しずつ登っていきます。
これが休日だったら渋滞を引き起こしていたかもしれないし、
それが原因で余計に恐怖心を煽られる可能性がありましたが、
幸いにも平日、しかも午前9時ごろという中途半端な時間だったので、
登ることに集中できていたのではないでしょうか。
最後のハシゴでは、ほとんど身体が固まるような状態でしたが、
どうにかゆっくり時間をかけて無事に登頂。
普段は痛かろうが苦しかろうが、黙って耐えるkun_puさん、
恐怖のあまりか、目を真っ赤にしながら
「もうムリ。。。」と震えていました。
さすがにこの状況では下山のほうが危険だったので、
携行していたビレイデバイスできっちりとビレイし、
安全確実に下ってもらいます。
すると、どういうわけか登りよりスムーズに。
後で曰く、「ロープがあると安心感が違った」とのこと。
穂先から降りた肩の小屋では、疲弊した精神を回復させるために、
ゆっくりと休憩してから下山開始。
そのころにはもう曇っており、視界もあまりない状態でした。
北アで曇と言えばライチョウですが、
そもそも北アは燕しか登ったことがないkun_puさん、
ライチョウを見たこともないということだったので、
新穂高温泉までの飛騨沢の長い下り、
ライチョウに会えるのではないかと期待しておりましたが、
途中見事に親子連れに会うことができました。
十分に満足した山行は、
長い長い新穂高温泉までの下りルートで、
その余韻に浸ることになるわけですが、
槍の先では「もうムリ。。。」と震えていたkun_puさん、
槍平に下りる頃には「もう終わりかー」。
まあ、そうなんですよね(笑)。
高所恐怖症は、両神八丁尾根あたりで練習して、
ビレイなしでも登り下り出来るよう克服していって欲しいものです。
これから槍穂大キレットや奥穂〜西穂ルートにも行きたくなるでしょうから。。。
その一歩目としての槍ヶ岳は、十分に満足できたのではないでしょうか。
ぼくも、東鎌尾根、北鎌尾根、と登った槍を初めて西鎌尾根から登り、
(西鎌は下ったことしかありませんでした)
とても新鮮で楽しい山行となりました。
膝の痛みはありましたが、そう悪化することもなく、
少し水が溜まる程度で済んだのは、幸いなことです。
御無沙汰してます
氷詰めの海鮮とはmotchさんらしい力技?(笑
槍の穂先で高所恐怖症とはなんだかアンバランスな感じですけど、このコース2日で踏破とはパートナーに恵まれましたね。
お疲れ様でした!!
PS.八丁尾根、スケジュールが合えば一緒に行きませんか?
お久しぶりです。昨今はとんと沙汰がなかったので、
どうされたのかと心配していました。
ソロの時は原則昼飯食わない、食料は軽量化、
というのを徹底しているのですが、
人と行くときはメシは一種の清涼剤と位置付けているので、
それなりに凝ったものを上げるようにしています。
今回は、かなりの長丁場ということもあって、
メシで釣った感もあります(笑)。
同行者の体力レベルがかなり高いことは知っているので、
あとは荷さえ重くしないようにすれば、歩行時間は計算しやすかったですね。
いざとなればダブルザックにすればいいと思っていましたし。
おかげで、だいたい想定通りのスケジュールで歩くことができました。
しかし、槍の穂先だけは同行者にとって想像以上の鬼門でした。
最後のハシゴでほぼフリーズ状態になってしまっていたので、
下りはガチガチのオンビレイに徹しました。
本当に久々に気合い入れてビレイヤをしました。
ソロだとセルフビレイしかやる機会なんてないので、
いい勉強になりました。
#八丁尾根
特に往路は時間をかけて確実に登ってもらう
スキルを身に着けさせるのが目的なので、
スタートがものすごい早い時間になる予定ですが、
(渋滞の先頭になるのを防ぎ、じっくり練習してもらうため)
それでもよければ。。。
なお、日程は山行計画に入れたものでほぼFIXです。
motchさん こんはんは
前回の谷川岳で膝の具合がよくないと聞いていたので
今回のレコのタイトルを見てビックリです
完調ではないのでしょうが、元気そうなお姿で安心しました
それにしてもmotchさんはパートナーを楽しませることにとても長けていらっしゃいますね
それでいて、自分でも心底楽しまれているところが素晴らしい!
槍のてっぺんでの満面の笑顔が最高です
お疲れ様でした!
こんばんは。ありがとうございます。
膝はしばらくムリできないので、お山は2週間くらいお休みしますが、
本調子でない膝での山行、新たな歩き方を模索できるいい機会にもなりました。
ソロが基本のぼくの山行スタイルとは言え、
人と行くからには人も自分も同じように楽しめるような計画にしないと、
とは思っています。
結果的に、皆が楽しめればいいのかなあと。
前々回の熊倉尾根と言い、今回の双六→西鎌アプローチと言い、
どうしても一般的によく選ばれるルートを選ばない、というか選べないので、
そういうのを面白いと思ってくれる人とでないと
一緒に組むことができないんですけどね。。。(笑)
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