記録ID: 751406
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
飯豊山
門内岳(胎内尾根)
2015年10月23日(金) ~
2015年10月25日(日)
体力度
10
2~3泊以上が適当
- GPS
- 56:30
- 距離
- 43.6km
- 登り
- 3,686m
- 下り
- 3,690m
コースタイム
1日目
- 山行
- 8:28
- 休憩
- 0:31
- 合計
- 8:59
距離 8.3km
登り 1,326m
下り 326m
2日目
- 山行
- 9:05
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 10:31
距離 13.4km
登り 1,450m
下り 818m
3日目
- 山行
- 7:23
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 8:36
距離 21.9km
登り 916m
下り 2,547m
14:17
ゴール地点
天候 | 10月23日 晴れのち曇り 風なし 最高気温 20℃ 10月24日 曇り 風しだいに強まる 気温 門内岳で10℃くらい 10月25日 稜線でガス一時あられ 強い西の風 最低気温 −4℃ 日の出 6:00 日の入り 16:56 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
胎内尾根 奥胎内ヒュッテの先でトレッキングコースに入り、道なりにまっすぐ頼母木川に下ると吊り橋がある。渡った先の登山道が廃止されたため橋が通行禁止になっているが、橋自体は渡れる。前回鉾立峰に登った時、奥胎内ヒュッテでも聞いて渡れることを確認しておいた。 吊り橋の先はしっかりした道が続いている。山と高原地図にある「見晴し台」には、文字の判読できなくなった標識が残っている。そこは三叉路になっているので注意。眼下には胎内川の工事現場が見える。それを頼母木川の奥胎内橋と勘違いして、右に下りてしまった。赤テープがあらわれるのを胎内尾根のコースを示すものと思い込んだために、間違いに気づくのがさらに遅れた。 池平峰の次の小ピークに雨量観測所があり、そこまでは道が続いている。その先はヤブの中に踏み跡があり赤テープもつけられていたが、尾根が平坦なのですぐに踏み跡を見失った。ヤブの薄いところを選ぼうとせずに、なるべくまっすぐ進んだ方がよかったかもしれない。そのあたりで右に下ったところに水場があるらしいが、水場を確認するどころではなかった。郷倉峰の登りでは踏み跡に合流できた。郷倉峰で眺望が開けた。 郷倉峰の下りの難所には、直径20mmもあろうかという太いロープがまだ設置されていた。古いロープは信用できないので、枝をつかんで下った。そのロープは途中でちぎれていた。 郷倉峰の先にはカモシカ岩の岩稜がある。左から回り込むようにしてカモシカ岩に近づく途中、左に下る踏み跡があった。踏み跡はカモシカ岩の尾根左下のヤブ斜面をトラバースしながら徐々に岩稜の上に到達していた。 狭い尾根上に踏み跡がないときは、斜面を巻く踏み跡があるのにちがいない。それくらい、しばらく見失っていた踏み跡に後から合流するということがよくあった。胎内尾根は、はっきりした踏み跡ができるほどではないが、かなりよく歩かれているという感じがした。最近人が歩いた痕跡、まだ新しい落とし物をいくつも見つけた。飴の包み紙などは拾ったが、タオルやモスキートネットなどはそのままにしてきた。 滝沢峰の登りがはじまると踏み跡を見失った。薄いヤブのすぐ近くに踏み跡があったようだがわかりにくかった。ヤブこぎだけならたいしたことがないが、登りはきつかった。 滝沢峰の先は踏み跡がたどれた。小桜の池の湿地にヤブがなかったので、池の先の一番高いところにツェルトを張った。 一の峰を目指し、はじめ踏み跡を見失ってササのヤブをこいだ。登りがはじまると踏み跡に合流することができた。一の峰は下りは急斜面のヤブこぎだった。 二ツ峰の手前では左側が大きく崩落しているところがある。それほどの危険は感じなかった。ヤブをよけて通れるので楽だった。 二ツ峰から藤七の池の湿原に下るところは、鎖の残る急斜面だ。鎖も信用せずに枝をつかんで下った。湿原からはササ原の中に踏み跡がある。刈り払いしてつくられたものなので道といってよい。門内岳手前の小ピークまでこの道をたどってピッチをかせぐことができた。 門内岳の最後の登りはチシマザサのヤブをこいだ。なかなか思ったほどに進めないので苦しかった。とはいえ、焦りさえしなければそれほどたいへんなヤブこぎではない。背丈以上のササで見通しはきかないが、登るべき方向ははっきりしている。この頃にはかなり風が出ていたが、ササヤブの中にいると風があたらなかった。 御西小屋−頼母木小屋の稜線 門内岳から御西小屋に向かった。小屋に着いて水場を往復するころ、雨がぽつぽつあたりはじめた。小屋の中で本降りの音になった。夜、風の音しかしないので窓をのぞくと、ガラスに雪がついていた。 朝、小屋の前の地面はうっすらと雪におおわれていた。雪も雨も降っていなかったが、風が強く、ガスで視界がきかなかった。天気はこれからもっと悪くならないともかぎらない。大日岳に登ってみたくて御西小屋まで来たのだが、大日岳を断念することにした。そうと決まれば安全な下山圏内までさっさと移動しよう。 気温はマイナス2℃ほどだった。ハイドレーションのホースが凍りついたので、水はポリ袋に移した。上半身には半袖のアンダー、長袖の冬用アンダー、薄手と厚手のユニクロのフリース2枚を着込んだ。頭にはワークマンのフリース目出帽をかぶった。その上からモンベルのレインジャケットを着ていると、風が完全に遮断されて、寒くないどころか汗ばむほどだった。足には沢用のネオプレーンソックスの上にウールのソックスを重ねた。足も全然冷たくなかった。手には、甲がメッシュの夏用グローブの内側にナイロンのインナーグローブをつけた。歩いているうちにだんだん暖かくなった。ただし、これでもし雨や雪でびしょ濡れになったらまずいことになっていた。テムレスのゴム手袋も持ってきたが、グローブの上に重ねられるサイズではなかった。 積雪は多いところでも2〜3cmしかなく、足が滑るような場面もなかった。ガスは薄くなってきた。ところによって稜線の西風が強かったが、これくらいなら大日岳に登れたのではないか、もったいないことをしたと思いはじめていた。しかし、それから風がもっと強くなった。とにかく風が強い。稜線部での多少の降雪を想定していたので、ストックは持ってきていた。ストックをついていても時々よろける。恥ずかしながら一度は尻もちをついた。地神山手前から頼母木山にかけて、風の強さに立って歩けず、片膝をついてこらえる場面があった。足を開き、身を低くして進まなければならなかった。冬山の風を知らない私にとっては十分な経験だった。 頼母木小屋で休憩していると、朳差小屋から来た登山者があらわれた。今回出会ったのはその人だけだった。お互いに驚くとともに、飯豊山を甘く見ていたという感想でも一致した。 |
ファイル |
(更新時刻:2015/10/27 09:10)
(更新時刻:2015/10/27 09:09)
(更新時刻:2015/10/27 09:09)
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写真
装備
個人装備 |
腕時計
GPS
カメラ
ヘッドランプ
地理院地図/山と高原地図/コンパス
水(3.5L)
食糧/行動食/非常食
レインウェア/スパッツ
グローブ
ツェルト
銀マット/ウレタンマット
シュラフ/シュラフカバー
防寒着
アルコールバーナー/コッヘル
アルコール(500ml)
クマよけ鈴/スプレー
ナイフ
ホイッスル
救急用品
ストック
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感想
かつて登山道のあった胎内尾根は今でもすばらしいコースだ。起伏に富んだ胎内尾根を稜線から眺めれば、誰しも歩いてみたいと思うのではないだろうか。頼母木小屋で管理人の亀山さんからアドバイスをいただき、胎内尾根を歩くことがかなった。検索してみると、廃道になって久しいこのコースには多くの山行記録が書かれている。実際に歩いた後で目ぼしい記録に目を通すと、いずれもよく書かれている。速い人は無雪期でも門内岳まで1日で到達しているが、2泊の心づもりをしておけば安心だ。
稜線に出てからの冬の天候への急速な変化については、昨年の今頃の越後駒ヶ岳で同じような経験をした。それにしても今回のような強風は、想像をはるかに超えたものだった。本格的な冬になったらどんな風が吹くことやら。
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コメント
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shiremonoさん。ご無事で何よりでした。
稜線での強風には,さすがのshiremonoさんも苦労されたのですね。レコの写真からその厳しさが伝わってきました。
私も,今年,飯豊山に登りましたが,そのとき心を引きつけられたのが,二ツ峰,一の峰が印象的な胎内尾根でした。門内小屋の管理人さんに「この尾根は廃道になっているようですが,今でも登る方もいるんですか。」と尋ねたところ,「登っているのは残雪期ぐらいかな。足の松尾根に新しく登山道ができたので廃れてしまったけど,いい道だったよ。」と言われました。
その言葉が気になって,帰った後,ネットで調べて見ると,shiremonoさんの言われるように,結構,登っている方もいるようでした。
しかし,到底、自分一人で登れるようなコースではないことが分かり,すぐに諦めたのですが,憧れとしてはずっと残っていました。
そんな中で,今回,shiremonoさんのレコを見つけ,心が躍った訳です。ワクワクしながら拝見させていただきました。
それにしても,単独で,しかも,この季節に登ったというのは,本当に凄いと思います。
FUKUSIMAさん
御神楽の花の名前を教えていただいたことがありましたね。
ヤマレコのおかげで、山行記録を書くところまでが登山という感があります。
そしてほかの人が同じコースを登った記録を見ると、記憶がよみがえり、いろいろ教えられます。
FUKUSIMAさんの御神楽や飯豊そして裏巻機の記録も、楽しく拝見しました。
そのうちに胎内尾根の記録も読ませていただけそうですね。
FUKUSIMAさんも高校時代に登山部だったということを知り、親近感をいだきました。
myoukouhiuti(妙高燧)といいます。
あの吊り橋、渡ったんですね。私は、怖くて徒渉しました。
守衛のおじさんは、渡っている人はいる、と言ってましたがすごいです。
10年位前に登った時は、しっかりしていたのですが、今はちょっと私には無理でした。一の峰まで一泊で水の心配が無い6月下旬でした。今回は池平峰から浦島の廊下を下りました。ダムが出来ると無くなるかもしれないということですので。
見晴台で私も右へ下ってしまったんです。良い道だったので引き込まれてしまいました(+_+)
ああ、やっぱりとちょっとほっとしました。
もう飯豊と言わず、高山は冬ですね。
はじめまして
myoukouhiutiさんの日記は時々拝見しておりました。
妙高火打とばかり思っていましたが、妙高燧だったのですね。
myoukouhiutiさんの記録を読みました。
「池ノ平峰から胎内川へ下降浦島ゴルジュを下る」(2015年09月21日〜22日)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-723375.html
Satwo3さんのレコやインターネット上にある記録をいくつか併せて読み、「浦島の廊下」がどういうところなのかおぼろげに理解しました。mieeさんのいう「本流下部の名所」というのもきっとこれですね。「(ダムが)完成すると土砂が下流に流されなくなるため、数年後には埋まってしまうかもしれない」(Satwo3)とのこと。
「浦島の廊下」に単独で入るのは私には難しそうです。おそらく行く機会のないまま失われてしまう渓流のことを教えてくださり、ありがとうございました。
見晴台の三叉路は、やはりそそっかしいから間違えるのだと思います。myoukouhiutiさんはそれ以外にも山行中に大事な物を落としたりしていますよね。そういう点で自分に似た人がいるなあと、失礼ながらなごませてもらいました(+_+)
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