(過去レコ)黒部ダム→立山→北方稜線→下ノ廊下→黒部ダム
- GPS
- 80:00
- 距離
- 45.7km
- 登り
- 5,169m
- 下り
- 5,171m
コースタイム
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 8:05
- 山行
- 7:06
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 9:02
- 山行
- 5:13
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 6:25
天候 | 25日=晴れ 26日=晴れ 27日=晴れ 28日=曇り一時小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
単に”北方稜線”と言えば、剱岳から北へ延びる稜線のこと。 概ね 剱岳から小窓までだが、広義には僧ヶ岳までを指すこともある。 |
予約できる山小屋 |
剣山荘
|
写真
感想
【山行記録投稿=2017年7月19日】
9月25日(金)から28日(月)までの4日間、扇沢から黒部ダムへ入り山小屋3泊4日で立山→剱岳→北方稜線を縦走し、下ノ廊下の阿曾原温泉露天風呂に入り、黒部ダムへ戻る周回山行に出る。
扇沢(無料駐車場)から始発・7時半のトロリーバスで黒部ダムへ。
駅から出てダム展望台に立ち、山の様子をうかがう。
立山頂上には、神社の建物が微かに見えている。
ダムからロッジくろよんまでは、コンクリで簡易舗装された遊歩道。登山者ならなるべく歩きたくない舗装路だが、一般の観光客 にも配慮した道だ。
針葉樹林帯の中、よく整備された登山道を東一ノ越へ。
途中、アルペンルートの黒部平駅へ寄り、小休止する。
立山の東斜面(サル又のカール)は、紅葉が今が盛りで、とっても綺麗。
カール内は風がなく、暑くて汗びっしょりとなる。
東一ノ越の先で尾根を乗っ越してからは風を受けて涼しい。
一ノ越からは、室堂からの登山者で賑やかになる。
雄山神社でお祓いを受け、大汝山と富士ノ折立のピークに寄り、別山へ。
白山の別山が白山の素晴らしい展望台であるように、北アの別山は剱岳の絶景展望台である。 北峰まで往復後、剱御前山経由でくろゆりのコルへ下る。
登山地図には『一般者通行困難』とある。踏み跡が薄いだけで困難な所はなさそうに思ったが、地形図2670m 付近で岩壁に突き当たり、右も左も巻けそうにない。
今宵は剣山荘を予約してあり、あまり遅く着くわけにはいかない。
右下をよく見ると草むらに踏み跡があり、これを下るとくろゆりのコルに至る登山道に出て15時50分、剣山荘着。
26日。
剣山荘で朝食後、4度目の剱岳へ。 今回の主目的は北方稜線と下の廊下であり、険しい岩稜と絶壁状の峡谷という対照的な地形でのスリル感が楽しみ。
剱岳〜小窓の所要時間は3時間05分だった。
ネットでは、逆コースの方が、安全でルートが分かりやすいという記事が多いが、上りの標高差が大きくなり、体力的にはきついだろう。
ネットの山行記を印刷して持参していたが、途中で見ることはなかった。
剣山荘の朝食が塩辛かったのかどうか、のどが渇いて水が足りない。
小窓で雪解け水が汲める所まで下り、十分に給水する。
もしここで水を得られなかったら、池ノ平山へは行けなかった。
小窓から池ノ平山へは残置ザイルがあり、ザイルや灌木に掴まって体を引き上げる感じで岩壁状の急斜面。
さらに、ハイマツ漕ぎというか、ハイマツの枝渡りを繰り返しての登頂となる。
剱岳〜池ノ平山間では、池ノ平山への登りが最も厳しかった。
北方稜線縦走者の大半は小窓雪渓から池ノ平へ降りるので踏み跡も薄い。
池ノ平山では、北峰まで往復してから、池の平小屋へ下る。
2006年8月、北鎌尾根を縦走後、次は北方稜線へと夢は広がった。
北方稜線のバリエーションルートは3年越しの夢であり、憧れでもあった。
北鎌尾根と比較すると、北方稜線がはるかに易しい。 ネットの記録からもそのことは感じていたし、実際に歩いても難しくはなかった。
何と言っても、北鎌より距離が短くルートもわかりやすい。
池の平小屋で宿泊手続き後、平ノ池へ紅葉見物に行く。
池周辺も紅葉の見頃で、とっても鮮やかだった。
チングルマが綿毛を付けたまま、葉っぱが真っ赤に紅葉している。
深紅のナナカマド、ダケカンバの黄色、深緑のハイマツなどのコントラストが名状しがたい壮麗さだ。
27日。
池の平小屋から仙人池ヒュッテへ行く間に八ツ峰に掛かっていたガスが消え、仙人池では湖面に映る紅葉、林立する剱岳の針峰群を眺める。
もし仙人池ヒュッテに泊まっていたら、ガスが消えるのを待ちきれずに下ノ廊下へ下っていただろう。裏剱は雲ノ平同様、簡単に行ける所ではない。
ヒュッテの志鷹静代さんは『山と渓谷』2006年10月号で詳しく紹介され、存じ上げていた。ヒュッテには泊まらなかったものの、泊まった人と分け隔てなく心のこもった言葉をかけて頂いた。
阿曽原温泉へ下る途中、仙人温泉小屋へ寄り、露天風呂に入る。 先客はなく、私が入浴中に若い男女二人連れが小屋に着いたが湯船には入って来ず、小屋を発つ時にはいなかった。
2006年10月に開削されたという雲切新道で、黒部川の仙人ダムへ下る。人見平まで標高差770m、急斜面には鉄製の梯子が設置してある。
下る途中で先ほどの若い男女二人連れに追い付く。「私が温泉から出るのを待たれていたのですか?」と聞くと、そうではないという。逆に、女性から「もしかして急がれましたか?」と言われる。
人見平にはびっくりするような鉄筋5階建ての大きな関電の宿舎が2棟ある。
社員は休日は何をして過ごすのだろうかと、つい余計なことを想像する。
12時05分、阿曽原温泉小屋に着き、宿泊手続き後、露天風呂へ。
ここも先客はいなかったので、水のホースを湯船に入れてお湯をぬるめにし、午後2時頃まで入っていた。
その間、テン泊の単独行の青年が来ただけ。
十数人は一度に入れる大きな湯船で、中途半端な建造物がなく、野趣満点!
ここの風呂は人気があるらしく、午後3時頃から続々と小屋に到着した団体客は、殆どの人が入りに行っていた。
28日。
小屋から高差約100m上がり、山中をほぼ水平に横切り、約100m下って人見平へ出る。 峡谷の谷間には異様な雰囲気の関電宿舎に人影はない。
雪崩による倒壊を避けるため、毎年解体と組み立てが繰り返されるプレハブの阿曾原温泉小屋とのギャップが半端ではない。
7時半頃から小雨となる。
レインウェアを着るほどではないので、ザックカバーをして傘を差す。稜線なら 必ず強風を伴うが、峡谷の底なので風はない。
しばらくして、殆ど止んだ状態が続く。
半月峡辺りから峡谷美が素晴らしくなる。
十字峡の核心部を見るのは、剱沢に架かる吊橋上からであり、黒部川本流は上流側も下流側も林の陰になりよく見えない。
白竜峡は激流が白い泡となり、白っぽい岩肌の合間を怒涛と化して、流れ下る。
対岸には100〜150mはあろうかと思われる絶壁が、垂直に谷底に落ち込んでいる。
ある種、凄絶さを感じさせる圧倒的な峡谷美だ。
内蔵助谷で裏剱からのルートと合流し、普通の登山道となる。
13時15分、黒部ダム駅に着き、改札口の長椅子に腰を降ろして休んでいると、北アルプス北部の二つの難関を無事にクリアー出来、感極まって目頭が熱くなった。
4日間とも6時間半〜9時間と長い時間ではなかったが、密度の濃い日々だった。
心残りは阿曾原温泉〜欅平間が宿題として残ったが、まぁ仕方がないか・・・・・
35分発のトロリーバスで扇沢へ戻る。
トンネルなので車窓からの風景は楽しめず、静かにまぶたを閉じていると激しかった4日間が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
まだ消化しきれてない山の余韻を反芻するには、格好の静かな車内であった。
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