北アルプス南から北へ 槍ヶ岳から剣岳
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- GPS
- 32:41
- 距離
- 81.7km
- 登り
- 7,324m
- 下り
- 8,032m
コースタイム
- 山行
- 10:33
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 10:51
- 山行
- 10:59
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 11:27
- 山行
- 9:27
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 10:40
天候 | 17日 曇りときどき晴れ、18日 雨後曇り、また雨、19日 曇り一時雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り 馬場島から上市までヒッチハイク |
コース状況/ 危険箇所等 |
整備されています |
その他周辺情報 | 馬場島荘でお風呂に入れます。500円 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
準備編ルートプラン
少しだけTJARに憧れて北アルプス縦走を計画。自分の足だとどう考えても山中二泊は必要。剱岳から南に向かうか槍ヶ岳から北に向かうか悩んだ。コースタイムは南に向かっても北に向かっても55-56時間で大差はない。TJAR同様南に向かって2泊で抜けるには馬場島を早朝出発する必要があるが、馬場島に早朝に到着できる足が無い。初日のテント場が剣沢の次は五色が原になりコースタイムから見て丁度良い所が無い。(剣沢到着時点で五色が原にたどり着けるかどうか判断するには早すぎる)初日は剱岳を超えて剣沢まで水場が無いという理由で困難と判断。北へ向かうことにした。
北へ向かう場合、夜行バスで上高地に朝着くとすぐに歩ける。初日は黒部五郎、無理なら双六にテント場がある。槍沢は水場が豊富で重量を減らすことが可能。二日目もスゴ乗越か五色が原にテント場がある。疲れたら室堂からエスケープ可能。問題は馬場島からの脱出方法。上市駅まで23キロ走るか?
準備編装備
荷物は水なしで8.5キロ。新規投入装備は無し。天気が悪いことが予想されるため前回同様傘持参。また3000m級の為、雨具の下も持参。(持って行って良かった!)
食料持参はおにぎり2個、パン5個、食事6回分(カップラーメンリフィルとα米の味付きおかゆ各6個)、羊羹三つ、カロリーメイト一個、ジェル5つ、スティックカフェオレ3つ、アミノバイタル3つ。山中三泊の可能性もあるため多めに持参。
消費はおにぎり2個(初日朝食)、パン5個、カップラーメンリフィル4つ、α米の味付きおかゆ2個、羊羹2つ、カロリーメイト半分、ジェル4つ、スティックカフェオレ1つ、アミノバイタル3つ。
結果残りはカップラーメン2つ、α米4つ、羊羹一つ、カロリーメイト半分、ジェル1つスティックカフェオレ二つ。山中二泊、一泊は山小屋で夕食となったためα米がたくさん残った。またコッヘル一つでラーメンを食べた後、再度お湯を沸かしてカフェオレを飲むのは難しい。
交通
出発前日夜にさわやか信州号を予約。奮発してグリーンカーネット決済で9050円。結果これが大当たり。3列シートだが隣の席も空いていてぐっすり寝られた。
帰りは馬場島荘のお風呂で一緒になった金沢から来た(朝2時半出発で早月尾根往復の)同僚三人組に上市駅まで車で送ってもらった。上市駅から富山電鉄のローカル線を楽しんで、富山から新幹線で帰宅。
初日
上高地バスターミナルは朝の5時半なのに大勢の人。トイレに行ってからおにぎりをほおばり、水を入れて出発。雲の間から青空も望めるまずまずの天気。4時間ほど歩いて2500m付近の最後の水場で最初の休憩。ここから槍ヶ岳の方までの急登が辛かったが初日なのでまだ元気。槍ヶ岳の肩に荷物を置いて山頂へ。上高地から6時間。まだ先があるのでサッサと下山。20年ぶりの3000mなのに自分でもあっさりしていると感じる。
ここから西鎌尾根は初めて歩く区間。人数もぐっと減る。雷鳥親子が可愛いが、槍ヶ岳は雲の中で二度と見ることが出来なかった。
双六小屋到着は2時。まだ足も残っているし天気も大丈夫そうなので予定通り黒部五郎小屋を目指すことにする。ここからコースタイムで3時間強。日没までにはたどり着ける。お花畑をスピードダウンしてハイキングモードで写真を撮りながら歩く。鷲羽岳の山容が立派。
初日夜
テント場に到着してしばらくすると雨が振り出した。夕立かと思っていたら止み間はあるものの雷雨になった。ツェルトは天井のシール部からポタポタ雨漏り。地面からの雨の跳ね返りで出入口と反対側の壁面と底面の隙間から泥が侵入。ツェルトの中で傘を開き、シェラフカバーに雨具を巻いてシェラフが濡れないようにする。記憶にない時間があるためうつらうつらしたようだが安眠出来なかった。槍ヶ岳山荘の気象観測結果によるとその夜は一晩に80亶澆辰討い拭
二日目
朝食を食べていた時は止んでいたのに撤収するときになってまた振り出した。泥だらけでグチョグチョのまま撤収。雨の中を歩き出す。ただ一時間もすると雨は止んだ。100名山を登っていたころ黒部五郎は再訪したい山のナンバーワンだった。カールの中のお花畑ときれいな川が印象に残っている。今回22年ぶりの再訪は感慨深かった。お天気が良ければ更に良かったのに頂上はガスの中。
太郎平に向かう間にすれ違ったソロの人の中に馬場島から縦走してきた人が二人いた。服装(半ズボン)、装備(靴、ポール)、時間(朝早いまたは夕方)、人数(たいていソロ)でファストパッキングで縦走している人はなんとなく見わけができる。二人とも初日は剣沢、二日目は薬師峠とのこと。
薬師峠で最初の休憩。(反省点:結局この後休憩しなかったからか後半はバテ気味だった。)給水できる場所でないと落ち着いて休む気にならないらしい。テントを撤収している人に聞くと、薬師峠も明け方は雷雨だったとの事。
薬師岳は稜線に出ると富山県側からものすごい風そしてガス。避難小屋後をピークと勘違いした。その先にあった本当のピークには大勢の人。祠の風下は風が弱いが休む気にもなれずほぼ通過。ただ暫くすると風は強いものの太陽が出てきた。道が稜線の長野県側を巻くと1m巻いただけでもぽかぽか暖かい。富山県側は強風、長野県側はぽかぽかを繰り返しながら進む。ただこの辺りから疲れていたのか記憶の前後関係が曖昧。
再び天気が悪くなり、雨が降ったり止んだり。スゴ乗越小屋はまだ12時過ぎなので五色が原まで行けると判断して通過。登山道沿いに読書室があるのかのんびり本を読んでいる人が3人ほどいた。羨ましい。(反省点:雨が降り出して気持ちが焦っていた。雨宿りできるスペースもあったので休憩して補給するべきだった。)本日のカレーという案内が小屋の前にあった。何のことだろう。こんなところでランチが提供されるわけがないと思ったが、後から五色が原の小屋であった人に聞くとネパール人の研修生がいて夕食で出たカレーが美味しかったとの事。またランチの提供もあるとのことだった。ものすごい残念なことをした。
地図を見ると距離はさほどないので大丈夫だと思ったが、冷静に考えると距離が無いのにコースタイムが長いというのは何らかの理由があるはず。それはアップダウンのきつさだった。スゴ乗越は2150m、2600m近い越中沢岳への登りは大変。しかも手前にあるスゴの頭も越えなければならない。本日の登りの勝負所は薬師岳と思っていたのでここにきての登りは精神的にも辛い。
遠くでゴロゴロ鳴っていた音が近づいてきたのも気が焦る。頑張って越中沢岳の急登をこなす。山頂では雨が止んでおり苦労して登ったので写真だけ撮ってすぐ出発。
下りになって急に冷えてきた。雨は降っていないが上下雨具を着る。それでも寒い。手がかじかむ。休まず来たためエネルギーも切れてきた。小屋までコースタイムで3時間弱。ジェルを口にして歩く。
そして奴は突然来た。目の高さで稲妻が走った。隠れるところのないふきっさらしの場所だったので焦りは頂点に。慌ててハイマツの陰まで行って腰を下ろす。結局稲妻は3度だけだったが、降り出した雨は止むことなく、五色が原小屋に到着したころには体力も精神も疲労しきっていた。小屋のドアを開けると暖かい。小屋の人の明日の天気も駄目みたいですという言葉。小屋にある乾燥室の存在。雨の中のテント設営。ぐるぐると頭の中で考えて結局小屋泊りとなった。一泊夕食9000円。
二日目夜
宿泊は30人程度。六畳間を一人で使わせてもらえた。布団の中は快適。乾燥室で濡れた衣服を乾かす。テントとは全く違う。ストレッチをたくさんする。足のダメージは少ないようだ。
何と雨は止んだようで夜8時は満天の星空だった。
三日目
朝3時半に目が覚めた。雨は降っていないがガス。満天の星空はどこへ行った?朝食は自炊して夜明け前に出発。暫く歩くと日が昇ったようで明るくなった。お花畑がきれいで雷鳥も見かける。これでガスが取れれば最高なのだが富山県側から吹き上げる強い風に雨が混じりだす。下から雨が降っている状態。時折止むのが救い。一の越から立山山頂は急に人が増えた。100円ショップで売っているような雨カッパの子供もいるが、当然の様にすぐに諦めて下山していた。我慢の時間。神社のある頂上を通過縦走路に入る。大汝山も最高点に寄ってすぐに出発。手がかじかんで寒い。体力が無くなって動けなくなったらやばいと思い、ジェルを補給しながら歩く。剣沢への分岐点を勘違いして少し行き過ぎたがすぐに気が付き戻ってから下り始めると急に暖かくなり生き帰った。同時にガスも取れだして眼下に剣沢キャンプ場が見えだす。
キャンプ場に到着すると太陽が顔を出し、周りの景色も見え始めた。一時間前と全く違う気持ち。やっぱり山は良いねえ。水も大量に出ていて嬉しい。(20年前はここでテントを張った記録が残っているが記憶には全く残っていない。)本日初めての大休止。パンをかじりながら濡れたものを乾かす。(雨具、傘、前の日から濡れたままのツェルト)暫く待ったが剱岳頂上の雲が取れそうで取れないので30分程で出発。
カニのタテバイで10人弱の中高年グループがいて渋滞。同じく待っていた外人さんに頂上から引き返すのか超えて行くのかと英語で声を掛けられた。馬場島への分岐が分かるか不安のようである。その後頂上で休憩して下山を始めるまで一緒だったため色々と話した。
イスラエル人で六週間の休暇で日本に来た。北アルプスには上高地から入って10日目。日本語は全く理解できない。だが山と高原の地図を持っていて現在地は把握できている。食事に制限があるようで頂上では食パンにサラミとチーズをはさんで食べ、ナッツをかじっている。地図を片手に話を聞いていると雲ノ平に行ったり、五色が原から黒部湖に降りたりうろうろしているらしい。下の廊下から欅平に行きたかったが通行止めだとか内蔵助沢も行きたかったが通行止めだと説明してくれた。更に何時か聞かれたので時計は持っていないのかと逆に聞いたら持っていないという。どうして時計がいるんだ?約束無いから遅れる心配ないだろう。日本は電車だって10分毎に来るし。との答え。ちょっと羨ましい。
話を戻して剱岳。丁度20年前の1997年8月に登頂して以来2回目。上は太陽が出ているが、下はガスで周りの山は何も見えない。少し早いが本日二回目の大休止。何しろ槍ヶ岳から予定通り二泊で無事に縦走してこられたので嬉しい。槍ヶ岳も黒部五郎も薬師岳も立山も頂上はほぼ通過だったがゆっくり堪能することにする。
イスラエル人と室堂を一緒にスタートしたという女性(この方は地元富山で剱岳は先週に引き続き二度目、先週は早月尾根日帰りという強者)も加わって3人で暫くおしゃべり。
下山は分岐をイスラエル人と一緒に確認。途中のお花畑は植物図鑑のよう。時間もあるので写真を撮りながら堪能。ただ樹林帯に入ると永遠と続く下りに足ががたがたになってきた。足のダメージを抑えるため途中で3度小休止。馬場島直前ではまた雨に降られたが無事に下山できた。
下山後は馬場島荘でお風呂。(500円)そしてお風呂で知り合った方(この方もすごい人で、厳冬期の槍ヶ岳にスプリッドボードで登ったとか、秋に北鎌尾根に行ったとか。。。)に上市まで車に乗せてもらい、富山電鉄、新幹線を乗り継いで帰宅した。3時半に下山して8時半には自宅にいるなんて便利な世の中。緊張が解けた新幹線の中で靴の中の足が痛いことに気付いたが、靴脱ぐと臭いがすごいので我慢。
まとめ
計画から今日まで長かった。TJARのDVDを見た数年前からなんとなくぼんやりと縦走してみたいなあと思っていたが、毎年夏休みは家族旅行だったので具体的な計画に落とし込んだことは無かった。ただこの日の為に軽量マット、寝袋、軽量な固形燃料の自炊用具等の装備をそろえ、ツェルト泊の練習を何度か行い、雨の日もあえてツェルト泊に挑戦した。そして今年初めて私以外の皆が忙しくて家族旅行に行かないことになり、具体的に計画を詰め始めた。直前の三連休は山に行かず我慢。更に天気を見て決行日を一日伸ばし(結果は多少ましだったようだ)今日に至った。
そして20年ぶりの北アルプス。生憎お天気に恵まなかったが堪能できた。というか堪能し過ぎて楽しさを通り越し辛かった。晴れていれば大丈夫だったのかもしれないが、当日の天候により自分が楽しいと思える条件を超えていたようだ。二日目の夜は二晩続けての雨には勝てず予定を変更して小屋泊となったが、小屋泊にしていなかったら室堂でリタイヤしていたかも知れず、良い選択だったと思う。真夏の3000m稜線でも風雨に合うと寒くてやばいと実感できたのも経験。防水グローブ、速乾靴下等の検討を今後行おう。
翌日
太ももや脹脛の張りはちょっときついロード練習をした程度で大したことはない。
足の指が全部むくんでぱんぱんに腫れて痛い。左足小指と右足親指の爪がご臨終。右足薬指と小指の上面の皮がこすれて向けたらしく痛い。
雨具、ツェルト、シェラフカバーを洗ってアイロンをかける。
お疲れ様でした!
素晴らしい縦走ですね。
中央アルプスと南アルプス行ってらっしゃいますね。私もいつかやってみたいです。
kenkenhkさん、こんばんは。ナイス大縦走でした。日頃のトレーニングとビバークの成果ですね。
現在、kennnoguさんが逆コースを行っていますが、実は自分も北部分だけですが、今週末狙っています。
天気悪そうなので決行するかはわかりませんが、私も剱の洗礼を受けたいですね。
ありがとうございます。大変でしたが日ごろの練習の成果が出せてよかったです。早月尾根頑張ってください。
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