御前岳~猿ヶ馬場山~籾糠山周回 −左に白山、右に北アルプス・乗鞍・御嶽を眺めての稜線散歩–
- GPS
- 10:39
- 距離
- 20.3km
- 登り
- 1,623m
- 下り
- 1,618m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
養魚場からの林道は一部路面が露出。はげくら谷出合で徒渉あり。2週前の偵察時より明らかに水量が増しており、ビニール袋など必要。今回は雪も締まっておりシール登行はゼロ。滑走以外は全てシートラアイゼンで行動した。 主稜線に出てから御前岳に至るまでは笹薮に雪が乗った状態で、ウィペット・アイゼンを用いてのクライムダウンが2回あり。登り返しには雪割れもあり注意が必要。 御前岳以降は樹林帯で雪庇に気をつければ(西側通過)問題なし。 猿ヶ馬場からの北斜面への滑走ラインは時期・降雪状況で大きく異なるので参考程度で。ただし見えている範囲で谷は埋まっていた。 籾糠山からの南東斜面は1500mくらいまではパックされた雪、1250mくらいまではザラメ。それ以下はツリーホールも多数で横滑り多用で下降。横谷の橋を渡ってからは一部雪切れもあるが林道滑走できる。 |
その他周辺情報 | 桜ヶ池クアガーデン620円 |
写真
装備
個人装備 |
雪山一般装備
下降器
安全環付きカラビナ
スリング各種
ピックストック
アイゼン
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共同装備 |
ロープ2本
ピッケル
ビニール袋
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感想
御前岳、という山はshinmonさんのお誘いがあった時点で僕の頭の中の山のリストにはなかった。僕の山登りの守備範囲は富山県を中心として、南北アルプス方面には広がっているが、東海方面は飛越国境をかろうじて越えて白川郷までだったのだ。御前岳は一等三角点の山でありながら、殆ど残雪期にしか登られていない不遇の山。主なルートは東南東の森茂峠から栗ヶ岳を経るもので、西の白川村からのレコもあるが、今回のルートは少なくとも僕らには未開度の高いルートである。さらに話が膨らんで、普通は白川郷から登る猿ヶ馬場山と籾糠山とつないで行程20kmを越す大周回にすると言う。面白いじゃないか。
未明の林道歩きからはげくら谷の渡渉点となる。地図ではもう少し先で林道が谷を渡っているが、shinmonさんによるとその橋が今はないのだそうだ。この時僕は、渡渉があるのでポリ袋持参と言われていたのに持ってこなかったので、少し気が引けていた。しかしここを越えて先を行こうとのChikauさんの気迫が強く、ポリ袋を使いまわして3人が順繰りに水流を横切る。無事渡って尾根に取り付けてひとまず安堵。
このところ僕は僧ヶ岳、唐松岳と山スキーなのにアイゼン歩きが多く、ここでも雪の硬さのためスキーを履かずにシートラ・アイゼンで尾根を登り、延々と猿ヶ馬場山まで続けることになった。スキーの先が頭の上になるシートラでは、藪漕ぎになるとスキーが引っかかって大変難儀することが多いが、ここではそれはなかった。夜が明けると周辺の山のモルゲンロートがまばゆく、意気も明るくなる。そして、標高1400mを越して展望が広がってきた。乗鞍岳、槍穂方面から見えだし、北アルプスの全貌、御嶽へと広がっていった。さらに上、栗ヶ岳と御前岳をつなぐ稜線に上がれば白山が大きく見え、以後左に白山、右に北アルプスを眺めながら歩く、これが猿ヶ馬場山まで続いた。この日は非常に澄み渡った晴れで、どこの山に行っても展望は素晴らしかったと思うが、この場所の眺めは中でも第一級品だと思う。
僕のご愛敬は最初の目的地、御前岳に着くとき。隣接して4つのピークがポコポコと並び、東から行くと3つめが御前岳。手前のピークは巻いて行けるねと地形確認して僕が先頭だったが、4つ目を御前岳だと思ってそれを目指し、本物の御前岳の裾を巻いて行ってしまって呼び戻された。緩くて目立たないピーク、一等三角点もひっそりと笹の間に隠れていた。
御前岳の時点で、三山コンプリートの可能性は高いと信じられたが、猿ヶ馬場山までは幾つもピークがあってアップダウンも多い。雪の割れ目、短いながらも後ろ向きになるクライムダウンもあったが、用心で用意したロープを使うような場面はなくて済んだ。猿ヶ馬場山には2月24日に一般ルートの白川郷から登っていて3週間ぶり。山頂は広い台地の東端にあるので、西からは延々と台地を歩いたが、今回は登り坂が終わるとあっさりと山頂に着いた。西からの登山者が大勢いて雰囲気ががらっと変わった。
行動形態もここでがらっと変わってスキー滑降となる。籾糠山までの地形を見渡し、向かって右の1720mピークの裾を巻くようにトラバースし、籾糠山の裾になるところから登るとルートを定め、目論見通りに行くことが出来た。山頂直下だけがガリガリ雪面だったが、堅い下地に表面柔らかい層のあるものとなり、直に下りた斜面はスラロームを楽しめた。トラバースも概ね不安なかったが、滑走最終近くでは雪が硬くなり、滑落者1名、大事でなく良かった。沢底から登りトラバースで鞍部、尾根で籾糠山山頂までの標高差140mが本日最後のシートラ登りとなった。籾糠山も僕は2月21日以来のシーズン2度登頂、やはり前回西から今回東から。
籾糠山からの滑走ルートは、経験者のshinmonさんにお任せで付いていく。雪は適度に緩んで僕には想定外に快適だった。標高下げると腐れ気味の雪となり、雪切れで右往左往する場面もあったが無事且つ順調に緩斜面帯に到達、林道の橋を見つけて以後は除雪終点の橋まで4kmの林道滑走。ここも案外スキーが滑ってすいすい進み、雪切れ板外しは1度だけ、スキー履いたままの渡渉と雪切れ寸前無理やり通過もアクセントと楽しめた。
山行の充実感、パーティーの結束感、それに展望の素晴らしさは、僕には今シーズンのピカ一だった。shinmonさんにはルート計画大賞をあげたい。
籾糠と猿を繋げたいと思っていろいろ計画していたが、シンモンさんから御前岳もからめてどないや?ってふられて、当然行くしかないこの私。怪我も完治した師匠も同行を快諾してくれて、快晴のbig dayとなるこの日に三人が集結した。
下調べをしてくれたシンモンさんが暗い中ガンガン進む。いつも通りウオーミングアップかな・・・おかげで身体も暖まってきた。さあ、おいらもペースをあげようかなって思っていたら、後ろからニシデン師匠が「チカさん、やわやわ行かんまいけ」と声をかけてきた。富山弁で「先も長いので、のんびり行こうね」っていう意味だが、東京生活が長い師匠が富山ネイティブばりに方言を使ってきて、ビックリだ。暗闇であるがお茶目な師匠はドヤ顔で、吹き出しそうになった。この調子でぜひとも富山に永住してもらいたいものだ。
いつまでも固い斜面でずっとシートラとなったが、変化に富んだこのルートなら仕方ない。だんだんと肩が痛くなってきたが、ここはモモチャンになった気持ち(ちょっとヘンタイになった気持ち)でなんとか頑張るとしよう。でも展望が良いので気分は上々だ。結局そのまま御前岳に到着。なかなか価値があるな〜って自画自賛。
ここからもいつシール登行になるかと思っていたが、結局猿ヶ馬場山までずっとシートラした。猿ヶ馬場山は今シーズン三回目となる。良く来たもんだ。ここはやはり人気の山で大勢の登山者で賑わっていた。軽く食事をして、さあ滑走だ。ガリガリ斜面を慎重にトラバースし、少し楽しめる斜面になったので、みんなで写真を撮り合いあっという間に降りて来た。ここからもシートラで進み、最後の籾糠山を目指して登り返す。最後の山頂直下の斜面ではかなりゴボッて、ひーこらとピークに到着。
籾糠山は今シーズン二回目。前回来た二月に猿までの周回を思い立ったが、今回実現できて本当に嬉しかった。私の個人的欲望に乗ってくれた素晴らしい仲間に感謝だ。ここからはあとは滑り降りるのみ。ルート経験者のシンモンさんを先頭にいいペースで下っていく。雪はこの時期としては問題ない。もし新雪だったら最高の尾根滑走となっただろう。再訪を胸に期して、車に無事に戻ってきた。三人でがっちり握手をして、健闘を讃え合った。同行のお二人には本当に感謝である。今シーズンいちばんのヤマスキーツアーができて、大満足である。今日もスーパーブラボー ヤマスキー&我が素晴らしいヤマ仲間達!
一等三角点百名山なる括りの山々があり、その中で普通の三百名山にも入っていない山の一つに御前岳がある。名前からは白山信仰の遥拝所であったのだろう。
地元白山を身びいきするわけではないが、その昔に白山信仰がこんな飛騨の地でもあったと思い馳せると何かワクワクしてくる。
夏道がないが「御前」と言うだけに白山の眺めは格別なのだろう、と思うとどうにもこの山のことが頭から離れず。あちこち調べあげてIMPのメンバーと連絡をしているうちに、どうせなら猿ヶ馬場も籾糠もってことで今回の山行になった。
2週前に上りに使う尾根を途中まで偵察に行き、渡渉地点や取り付きなどを確認してきた。
Nishidenさんから計画賞を頂いたが、計画の細部はまだまだ杜撰だった。渡渉があることは分かっていながらビニール袋などの準備が不足。猿ヶ馬場からの滑走も自分が思っていた滑走ラインは対面の籾糠山から見ると雪割れ斜面となっており、進退窮まったことだろう。地図と現場の状況で的確な滑走ラインを想定できるお二人にはただただ敬服、なおかつそのトラバースラインで落ちている木の枝を両スキーで踏んでしまい横滑りから勢いのついたまま10mほど滑落して立ち木に衝突してしまった。幸い大したケガにはならなかったが。
そんな反省点は色々あるものの、とにかく今日は得られたものが大きかった。
まず主稜線に上りあげる尾根の1600mあたりからの雰囲気が最高に良かった。ツルツルの斜面に少し霧氷を伴った疎林、青い空。さらに無木立の主稜線。左に白山、右に北アルプスから乗鞍・御嶽。最高の展望だった。
御前岳への登り返しがすでに雪割れしてきていることを考えるとそろそろ賞味期限。この斜面は厳冬期の積雪直後はどうだろうか? 風の通り道のようなのでいつでもパックされた斜面なのだろうか。
御前岳から1818北までの稜線はアップダウンの我慢の稜線。東側を歩けばアルプスの眺めは良いが雪庇には注意が必要。スキー滑走が楽しめるような斜面は少なかった印象だった。どうしても尾根をつなげたいと思うならば、危険なところもなく歩けるし、残雪期ならテン泊も可能そうな場所も何箇所かあった。
猿ヶ馬場と籾糠の間の斜面は時期と積雪状況を考えて入れば楽しい滑走になりそうな場所が多かった。おそらく2月末から3月上旬が最適なのではないだろうか。これは野谷荘司山あたりと同じで繰り返しの経験が必要そう。
籾糠以降の南東尾根の滑走は昨年も経験済み。昨年は上部にはパウダーが残っていたしもう少し下部も雪があったが、今年は下部は随分と地面が見えていた。それでもおよそ2/3は楽しく滑走出来る疎林で、もしパウダーの時期に来たら楽しめることは間違いがない斜面だろう。ただし養魚場以降の林道さえ通過できれば。
今回やり残したことは一つ。過去の僅かな記録からは上りに使った尾根の1700mの鞍部から東側のはげくら谷方面にdrop出来るようだが、この斜面の確認をし忘れた。来年はもう少し早い時期(2月)にこの谷を見に来ないといけないし、籾糠も再訪しないといけない。また楽しみができた。
今日は本当に最高の山行でした。計画倒れにならなかったのは同行のお二人の経験ゆえ。山スキー万歳!・同行のお二人に万歳!でした。
山行にあたり、故篠崎先生(Dr.7さん)の記録を随分と参考にさせてもらいました。上りに使った尾根はブログ「山々の記憶」( http://yama-kioku.blog.so-net.ne.jp )の記録を参考にさせてもらいました。また稜線へ至るルートとして1818mを目指す二本の尾根がありますが、この尾根の使用の可能性に関してはヤマレコユーザーのyottyさんの記録を参考にさせてもらいました。ありがとうございました。
コメント
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みなさんおはようございます。
シンモンさんの御前岳にかける思いが伝わってきますね。いろいろ想定してもその場で違っていれば単独ならば敗退かもしれない場面でも臨機応変に対応していけるのがパーティー登山のいいところですね。
残雪期になり行動距離が伸びてどんどんアドベンチャー登山になってきましたね。(2,3ピーク絡める山行が流行り?)ご迷惑にならないように同行させていただき経験値をあげたいです。
こうえいさん、まいどです。今回は楽しかったですよ。こうえいさんがいればきっと喜んでくれたでしょう。これからもロング周回企画して一緒に行きましょうね。よろしくです。
コウエイさん、コメントありがとうございます。
もはや自分でもよくわからない偏愛でしたが、いい天気の日に行けてスッキリしました。
来年はコウエイさんも参加で今回の北部分を時期を変えて再訪しましょう!
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