【椹島から聖岳〜赤石岳テン泊縦走】南アのおいしい水と稜線からの大展望を満喫
- GPS
- 26:20
- 距離
- 33.1km
- 登り
- 3,875m
- 下り
- 3,884m
コースタイム
- 山行
- 5:27
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 6:19
- 山行
- 7:57
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 9:37
天候 | 8月17日(金) 晴れのち時々曇り 8月18日(土) 晴れのちガス 8月19日(日) 終日晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・ 06:30発の臨時便には余裕で間に合ったと思ったのですが、登山の準備をしてバス停に向かうと、すでに長蛇の列。27名定員のバスは、私の二人前で満員となり、臨時便には乗れず、さらに1時間待って、07:30発のバスで椹島へ。このバスも満員で、重いザックを膝の上に乗せたままの、つらい乗車でした。しかも乗車受付に時間がかかり、椹島到着が08:45頃になりました。 ・ なお、椹島に下山した日は登山小屋に宿泊し、翌朝06:15発の始発バスで臨時駐車場に戻りましたが、乗車は7名だったので、荷物を座席に置いてバスに乗ることができました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
1 聖沢登山口から聖平小屋まで ・ この区間は、特に危険なところは見当たりませんでした。 ・ 出合所小屋跡までは急登ですが、その先は聖沢吊橋までトラバースルートとなり、歩きやすいです。 ・ 聖沢吊橋は、休憩に良いポイントです。そこから先はまた急登となりますが、特に危険なところはありません。 ・ 造林小屋跡を過ぎると傾斜が緩み、アップダウンとなります。乗越では、このルートで初めて聖岳の山頂部が望めます。良い休憩ポイントです。 ・ 乗越から先は、アップダウンがきつくなり、何か所か小沢を渡渉しながら進みます。吊橋を過ぎると、滝見台に到着です。滝見台は岩頭の上にあり、晴れていれば聖岳の稜線が見えるでしょうが、この時はガスで展望がありませんでした。 ・ 滝見台からは、聖沢沿いに徐々に高度を上げていきますが、沢を渡る橋のところで、一旦、かなり高度を下げます。そのあとは、ぬかるんだ登山道をダラダラと進んでいき、2ヵ所ほど橋を渡ると、聖平小屋のテン場に到着です。 ・ テン場は広く、整地もしっかりされていて快適でした。しかもトイレは水洗でとてもきれい。また、小屋でテン泊の受付をしたあと、フルーツポンチを頂きました。疲れた体に、フルーツの甘みが染み渡り、とてもおいしかったです。 2 聖平小屋から聖岳(奥聖岳往復)まで ・ 標高2,260mの聖平小屋から標高3,013mの聖岳まで、標高差753mを登るので、結構きついです。できれば小屋に荷物を置いて、サブザックで往復したいところですが、テン泊縦走の場合はそうはいきません。すべての荷物を背負って、一歩一歩じっくりと登りました。 ・ 薊畑から森林限界に登っていく途中で、3名のTJARの選手とすれ違い、さらに、聖岳山頂までの間に4名とすれ違いました。また、小聖岳の少し先では、NHKの撮影クルーが待機中でした。本日はTJARの最終グループが静岡のゴールを目指してこのあたりを通過中のようで、このあと、中盛丸山までの間でさらにすれ違い、合計では15名くらいの選手とすれ違ったのではないでしょうか。すれ違うたびに「レース頑張ってください。」と声をかけさせていただきました。 ・ 聖岳山頂には、07:22に到着しました。3回目の登頂です。上空は薄曇りはあるものの、晴れていて素晴らしい展望が広がっていました。北には目の前に巨大な赤石岳の雄姿。南には、上河内岳から茶臼岳を経て光岳へと連なる、南ア最南部の山々。東には、すぐそばに奥聖岳、そして遠くに富士山。西には、これから縦走する兎岳から中盛丸山を経て大沢岳へと続く稜線。すべてが見渡せました。 ・ 本日の日程には余裕を持たせてあったので、まずはここから奥聖岳を往復しました。過去に2度、聖岳に登っていますが、いずれも前聖岳のみの登頂でしたので、今回は、ぜひとも奥聖岳の頂きに足を運ぼうと計画していたのです。 ・ ルートの初めは岩場が多く、少し歩きづらいところもありますが、後半はフラットで歩きやすいです。途中には、テントサイトとみられる跡もありました。奥聖岳山頂には、17〜18分ほどで到着。東尾根の展望も素晴らしく、この尾根を歩いてみたい衝動がわいてきます。 ・ 山頂で写真を撮り、聖岳へと戻って、水分&エネルギー補給の休憩を取ったあと、兎岳へと歩き出しました。 3 聖岳から兎岳・小兎岳・中盛丸山・大沢岳を経て百間洞まで ・ 聖岳からは、標高2,590mの聖兎のコルまで約420mほど下った後、標高2,818mの兎岳まで約230m登り返すアップダウンのルートとなります。しかも、コル周辺は南側が切れ落ちた断崖となっていて、転落に注意が必要です。登山地図でも「危」表示がされており、慎重に歩きました。 ・ コルからの急な登り返しをひと頑張りすると、間もなく、兎岳避難小屋分岐に到着。ここから左に80mほど進めば、避難小屋です。小屋は外観はかなりくたびれていますが、中はプラスチックの波板などで補修されており、広さも8畳ほどあり、快適に使えそうです。また、小屋の前は平たんなテントサイトとなっていて、小型テントならば、2〜3張は張れそうです。 ・ 避難小屋を確認した後は、ひと登りで兎岳山頂へ。この山頂からは、赤石岳や聖岳、これから向かう中盛丸山などの展望が素晴らしいです。ここで水分&エネルギー補給のため、15分ほど休憩を取りました。なお、ここでもNHKのクルーがドローンを使って撮影を行っていて、3名のTJARの選手とすれ違いました。 ・ 休憩のあとは、一旦160mほど下ってから、小兎岳手前の小ピークまで40m登り返し、そこから少し下って小兎の水場分岐に到着。水場は、分岐から東に5分ほど下ったところにありました。水量は少ないながら、斜面から湧き出していて、冷たくおいしい水でした。今回の縦走は、ここの水場を実際に確認することも、ミッションの一つでした。なお、水場分岐周辺は、フラットで使いやすそうなテントサイトが点在しています。ハイマツなどの灌木が西風を防いでくれる地形となっていて、緊急時のビバークにはもってこい。5〜6張は張れそうです。 ・ 水場分岐から少し登ると、小兎岳の山頂に到着。ここは休まず、中盛丸山を目指して歩き続けますが、中盛丸山への登りはなかなかの急登で疲れました。登りの途中で4〜5名のTJARの選手とすれ違い、最後尾の撮影スタッフを見送って、中盛丸山の山頂には、12:33に到着しました。小兎岳からは1時間弱かかりました。 ・ 正午を過ぎ、お腹が空いていたので、ここで昼食タイム。白飯の残りにふりかけをかけて、昼食とし、そのあとフルーツゼリーのデザートでお腹いっぱいです。 ・ 昼食後は、前回の縦走時に登っていなかった大沢岳を目指して進みます。日本百高山の59番目の山として位置づけられている山ですが、百間洞山の家に向かう場合、山頂を経由せずに小屋へと降りていくことが多く、不遇の山というイメージです。今回は、必ず山頂に立とうと、心に決めてきました。 ・ 中盛丸山から100mほど下り、少し登り返すと、百間洞下降点に到着。百間洞山の家に行くには、ここを右手に下りますが、今回は直進して、大沢岳の山頂に向かいます。大沢岳は双耳峰で、二つのピークからなっていますが、山頂標識があるのは奥のピークです。断崖の岩場の縁を登り、13:37に山頂に到着しました。中盛丸山からは40分ほどでした。残念ながらガスで展望は得られなかったものの、山頂に立てたことに感慨もひとしおです。 ・ 山頂からの下りも、切れ落ちた断崖のガレの縁を進みます。登山地図で「危」の表示がされた場所を通過しますが、右手のハイマツ帯寄りに歩いたので、高度感もそれほど感じることなく歩けました。 ・ 大沢岳の先にもピークがありますが、百間洞へと下る登山道は、ピークへと向かわず、斜面をトラバースして百間洞のテン場へと下っていきます。下るにつれて大きな石のゴーロ帯となり、歩きづらくなりますが、すぐにテン場が見えてくるので気分的には楽です。テン場には、14:30に到着。小屋に一番近い1のサイトが空いていたので、ここにザックを置き、テント宿泊の手続きをしに小屋へと向かいました。 ・ 百間洞のテントサイト周辺には沢が流れており、ここも水は使い放題です。顔を洗ったり、冷たいタオルで汗を拭いたりできます。ただし、テント泊利用者の排泄物で汚染されている可能性があるので、小屋の受付で飲用に使用しないようにと注意されました。 4 百間洞から赤石岳、富士見平を経て椹島まで ・ 昨晩は、午後7時過ぎには寝入ってしまいましたが、午前零時を過ぎたころ、寒さで目が覚めました。大陸からの高気圧の張り出しにより、放射冷却が強まったようです。それでも起床には早いので、二度寝を決め込み、午前3時過ぎにようやく起床しました。 ・ 朝食は、昨晩の白飯の残りをお茶漬けで頂き、ドリップコーヒーで一息入れて、テントを撤収。午前5時に百間平へと出発しました。登りの途中で来し方を振り返ると、昨日歩いた兎岳から大沢岳へと続く稜線に朝日があたり、スポットライトで浮かび上がるような感じに見えていました。また、北側には、中央アルプスの山々も朝日を受けて赤く染まっていました。 ・ 百間平には、05:50に到着。雨具の上衣を着ていましたが、かなりの寒さを感じます。地面に目を落とせば、霜柱があちこちに。また、草花には霜が降りています。このあたりは、夜明け前には氷点下の気温だったようです。 ・ 百間平を過ぎると、斜面左手が崩壊した馬の背となります。ここは左に寄りすぎて転落したら命はありませんので、要注意。慎重に通過します。馬の背を過ぎると、いよいよ赤石岳の西斜面のトラバースとなります。岩だらけの登り道を、20分ほど頑張ると、標柱のある休憩適地に到着。ここで水分&エネルギー補給のため10分ほど休憩。ここから見下ろした、百間平とその先の聖岳〜兎岳〜大沢岳へと続く稜線の眺めは素晴らしいです。 ・ 標柱からは赤石岳への最後の急登となります。標柱の表示では、赤石岳避難小屋まで50分とのこと。途中、赤石岳山頂西端の展望地に寄り道して、百間平や聖岳〜兎岳〜大沢岳へと続く稜線を今一度目に焼き付け、避難小屋へと向かいました。赤石岳の山頂も、目と鼻の先にあり、5〜6人の登山者がいるのが見えました。 ・ まずは、避難小屋で管理人のご夫婦にご挨拶をし、昨年は悪天候でここまで来て椹島に戻ったこと、赤石岳は今回で登頂4回目となるが、何度登っても味わいのある、素晴らしい山であることなど、話をさせていただきました。そのうえで「登頂ビール」を購入し、小屋の南側に置かれたベンチとテーブルのところで快晴の聖岳を眺めながら、のんびりとビールを味わいました。 ・ そのあとも、小屋の東のピークに置かれた展望ベンチで、赤石岳や荒川三山、富士山などの眺めを楽しみ、赤石岳山頂には、避難小屋到着から30分以上たって、ようやく到着です。 (続く) |
その他周辺情報 | ・ 椹島ロッジの入浴時間は16:00~19:00です。ロッジ宿泊者だけでなく、登山小屋宿泊者やテント泊の方も利用できます。16:00ちょうどに風呂場に入ったのですが、すでに入浴を終えて出てきた方がいました。少し早めでも大丈夫なようです。私が風呂場で体を洗っていたら、すぐに満員となりましたので、少し早めが良いかもしれません。 ・ 入浴のあと、今回も椹島レストハウスで1杯600円のジョッキ生ビールを3杯ほど頂きました。冷たくて、おいしかったです。最初のオーダーは生ビール&ソーセージセット1,000円。ソーセージは単品だと500円なので、100円お得です。野菜サラダも付いていて、なかなかおいしく、おススメです。昨年食べた唐揚げセットは、今回は選べませんでした。また、フライドポテト300円もコストパフォーマンスが良く、一人で食べたら、お腹が膨れて、夕食に予定していた親子丼はとても食べられず、結局、ラーメンで済ませました。 ・ スマホの充電は、充電器があれば、ロッジや登山小屋、トイレ棟などにあるコンセントで充電ができますが、私は充電用のUSBケーブルしか持っていなかったので、ロッジに置いてあるパソコンのUSBポートを借りて充電しました。 ・ また、ロッジ内ではwifiサービスを行っており、メール送信やインターネットアクセスが可能です。 |
写真
感想
・ 南ア南部で、まだ歩いていなかった聖沢ルートを辿り、聖平小屋と百間洞のテン場に宿泊して、椹島〜聖岳〜赤石岳と周回縦走してきました。昨年の夏にこの周回ルートを逆回りで歩こうとしましたが、赤石岳山頂で暴風雨に打ちのめされ、椹島へと引き返したことへのリベンジです。
・ ただし、今回は、昨年とは逆回りでの縦走としました。その狙いは、近くに沢が流れる水の豊富な聖平小屋と百間洞のテン場に宿泊し、南アのおいしい水をたっぷりと味わうこと、そして、2日目の行程にゆとりを持たせ、奥聖岳・小兎の水場・大沢岳に赴くことでした。
・ 幸い、縦走中は天候に恵まれ、素晴らしい展望を楽しみながらの登山となりました。そのうえ、水がたっぷりと使えたので、顔を洗ったり濡れタオルで汗を拭いたりできて、汗で汚れた体をリフレッシュすることもできました。
・ また、TJARの最終グループが静岡のゴールを目指してこのあたりを通過中だったので、聖岳から中盛丸山までの間で合計で15名くらいの選手とすれ違ったのは、驚きました。秋に放送される番組に、私の姿が映っているかもしれないと、ひそかに期待しています。
・ 下山後の椹島では、いつものようにジョッキで冷たい生ビールを楽しみ、一晩ゆっくりと疲れをいやして帰宅することができました。南ア南部は、何度訪れてもよいところだと、実感した次第です。
・ この縦走で、ひとまず南アルプスの一般登山道はすべて踏破しましたので、今後は、バリエーションルートを視野に、さらに活動エリアを広げていきたいと思います。
・ なお、写真のサイズがまちまちのため、そのままでは画面に応じたサイズ感を感じることができないと思いますので、よろしければ、スライドショーでご覧ください。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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rikimaruさんのアイコンのワンちゃん見覚えあるなと思ったら、松木渓谷から皇海山のレコでコメントさせて頂いておりました。
去年の10月に私が伝付から畑薙歩く際もレコ参考にさせて頂き本当にありがとうございました。
ちょうどこの日程で私は椹島から荒川三山、赤石岳と周回縦走しておりました。
一度聖平から赤石岳まで歩いたことがあるのですが、ガスガスで黙々と歩かざるを得ませんでしたのでこんな好天下で歩いてみたいものです。
私は白峰南嶺、笹山〜伝付まで未踏です。
来月歩いてみたいと思ってるのですがrikimaruさんの丁寧なレコ、読み返してみたいと思います。
それにしてもシーズン中の南アルプスは雨に祟られることが多いだけにこの三日間の好天は本当に嬉しかったですね。
南アルプスメジャールート全制覇おめでとうございます。
tomhigさん、コメントありがとうございます。
本当に、この3日間は良いお天気に恵まれ、縦走登山には最高でしたね。まさに絶景の連続でした。そちらのレコも拝見させていただきましたが、特に赤石岳から望む小赤石岳と荒川三山の夕景は素晴らしいです。私のほうは、山小屋のテン場に宿泊していたので、あのような絶景は見られませんでした。赤石避難小屋で宿泊すればよかったかなと、少しうらやましいです。
ところで、今度は白峰南嶺にチャレンジですか。あのルートも、天候さえよければ、実に清々しい展望が広がっていて、ナイスな縦走路です。好天をお祈り申し上げます
少しでも、私のレコが参考になれば、嬉しい限りです。ではでは。
rikimaruさんこんにちは。
千枚岳〜荒川岳〜赤石岳と光岳〜聖岳は歩いていますが、聖岳〜赤石岳間はまだ歩いていないので今度このコースを歩こうと思っていました。
rikimaruさんのレコは本文とコース状況はもちろんのこと『その他周辺情報』も丁寧で参考にさせていただきます 。
ERUさん、コメント書き込み、ありがとうございます。
ERUさんのほうも、良い天気の下で裏銀座テン泊縦走ができたようで何よりです。
というか、私も北アルプスの小池新道や西鎌尾根を同じ時期に歩いていたので、一日ずれていれば、バッタリできたかもですね。残念。
ところで、今回歩いたルートは、8年前に歩いた時と比べ、とても登山者が多かったです。
皆さん、南ア南部の良さが知れ渡ってきている感じでしょうか。
聖岳から兎岳を経て赤石岳へと縦走するルートは、南アの核心部であり、素晴らしい山岳展望を満喫できるおススメルートです。南アらしく、テント縦走をおすすめしますが、百間洞山の家のとんかつも魅力大ですので、小屋泊りでも楽しめそうです。
ERUさんのレコ、楽しみにしておりますね。ではでは。
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