大峯奥駈道〜憧れの修験道へ
- GPS
- 43:31
- 距離
- 98.8km
- 登り
- 7,828m
- 下り
- 7,976m
コースタイム
- 山行
- 13:55
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 15:51
- 山行
- 12:41
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 13:17
- 山行
- 13:00
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 14:15
天候 | 1日目:曇り、2日目:曇りのち雨、3日目:雨のち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:奈良交通 新宮発大和八木行き路線バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
北奥駈道は通じて道標、看板が有り、問題ない。 しかし南奥駈道は整備が進んでいるとはいえ、ピーク間であまり歩かれていない所は、急に踏み跡が薄くなる。 基本、主稜線道なので、テープ等目印を外さぬよう。 吉野〜山上ヶ岳:駅から吉野山の町並みを抜けて金峯神社までは舗装路。もう一度、水と食料をチェックしておきたい。歩きやすいトレイルが山上ヶ岳手前まで続く。鎖場も少しはある。 山上ヶ岳〜八経ヶ岳:大普賢岳との間に倒木の酷い箇所有り。小笹の宿は水が豊富。大普賢岳〜七曜岳〜行者還岳の先までの鎖場、ハシゴに注意。 八経ヶ岳〜深仙の宿:片側が崩落、切れ落ちている箇所も多い。五鈷峰の崩落地、両部分け付近から釈迦ガ岳山頂までを気をつけたい。 深仙の宿〜行仙の宿:南奥駈道に入る。笹の稜線歩きも有り、のんびり歩ける箇所? しかし笹に覆われていると足元が隠れる。踏み外しやスリップに注意したい。また、それなりに起伏もあり、次の宿までが遠く感じられる。 行仙の宿〜玉置神社:笠捨山の登りは踏ん張りどころ。そして奥駈道一番の危険箇所が、葛川辻〜香精岳の激しい登り下り。狭い稜線と鎖場の通過に気を引き締めたい。玉置山へは長い上り基調だがじっくりと。 玉置神社〜熊野本宮大社:僕は南奥駈道をナメていた。ごめんなさい。最後までしっかり登らせて、そして下らせてくれる。 特に五大尊岳付近の激しい登り下りは体力、精神力が削られる。踏み跡薄く、足場の悪い箇所もある。距離がなかなか稼げないが、踏ん張ったご褒美に大斎原が見えた時は感動。最後、熊野川を渡渉するかは自己責任で。 |
その他周辺情報 | 本宮付近に良い温泉地が点在。 帰りに十津川温泉で途中下車。外湯でくつろいで、次のバスに乗って帰る、という風にすれば良かった。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ(マーモット ジップアップ)
ソフトシェル(ファイントラック ニュウモラップフーディ)
下着(ファイントラック アクティブメッシュスキン)
ズボン(モンベル リッジラインパンツ)
靴下(ファイントラック メリノスピン&メッシュスキンソックス)
グローブ(モンベル トレイルグローブ)
防寒着(モンベル ULサマーラップフーディ
NF ゼファーパンツ)
雨具(モンベル トレントフライヤー上下
テムレス)
ゲイター(無名)
日よけ帽子(R*L)
着替え(下着
靴下各1)
靴(サロモン XA PRO 3D GTX)
ザック(MH スクランブラーRT35)
行動食
非常食
調理用食材
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ(SP)
ライター
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ(ジェントス)
予備電池
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト(ファイントラック ツェルト2)
ストック(モンベル)
ナイフ
カメラ
シェラフ(ナンガ)
携帯トイレ
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感想
奈良に生まれ育ったなら、行かねばならぬ。長年の憧れ、大峯奥駈道を歩いてきた。
どこまで行けるか?どれだけやれるか?思いっきり修験の道に試されてきた。
土曜日、仕事が忙しく殆ど仮眠を取れなかったが、やる気満々。今回は食料、バーナー、ツェルト等担いで行く。水を合わせた総重量はちょうど10圓曚鼻
終電車で日付が変わった近鉄吉野駅へ。支度して静かにスタート。数人が相前後する。ところが吉野山の街並みをボーッと歩いていると、いきなりのルートミス…付いてきた方に申し訳ない(汗)
金峯神社を過ぎ、いよいよ奥駈道へ。欠けた月が昇ってきた。高城山、青根ヶ峰、四寸岩山とピークを踏んで行く。
寒気が入り、風が冷たく気温も低い。辺りは霜で白い。大天井ヶ岳手前で朝日を浴び、少しホッとする。
五番関の女人結界を越え、洞辻茶屋で休止。水筒の水がシャーベット状になっていて驚く。山上ヶ岳への道は薄く雪が被り、岩には氷、木には霧氷。慎重に行くところもあった
阿弥陀ヶ森へ向かう稜線は、昨年の台風による倒木が酷い。何回も迂回を強いられる。雰囲気の良い小笹ノ宿で沢清水を補給。
大普賢岳は和佐又からの登山客で賑やかだった。
七曜岳付近の鎖場を越え、無双洞への分岐で休止。裸足になり足のケアをする。
眠気と疲れで少し弱気になる。
行者還トンネルからの出合いから、また登山客が増える。みんな日本百名山の八経ヶ岳ピストンだろう。
バテ気味に弥山へ。小屋に飛び込んだ。寒さと疲れで素泊まり決定です。天気が気になるが、明日は自然に目が醒めるまで寝よう。夕食後、一瞬で眠りに落ちた。
二日目。4時前に目が覚める。よく寝て疲れも取れ、スッキリ回復。気力も充分。
明るくなってから歩き始める。天気は高曇り。遠くの山々まで見える。昨日より暖かく風も無い。雨も降りそうに無い。
まず奥駈道最高地点、近畿最高峰の八経ヶ岳へ。お兄さんに写真を撮ってもらう。
釈迦ヶ岳へは崩壊地を高巻きする所が数カ所。ある所でロープが下りてきていたのでグイグイ登る。が、狭いリッジに立つとその先が無く、後から来た人とウロウロ。これはおかしいと戻る。逆に更に下りるパターンでした…登ったのは五鈷峰という行場へのロープ(汗)まぁ修行を一つ追加だ(笑)
孔雀岳からの狭い稜線、釈迦ヶ岳への急登をこなしてお釈迦様とご対面。ひと息つく。
深仙小屋を越え、前鬼への分岐、太古の辻からいよいよ南奥駈道、まだ見ぬ道へ。
ーー かつて明治の世になり、修験道が禁止されて、奥駈道の南半分は廃道同然になっていたという。その価値を見出し、再整備し、登山道だけでなく小屋の維持管理まで精力的に行っておられるのが、地元の登山会、新宮山彦ぐるーぷだ。ーー
文字通り、シャクナゲ天国、石楠花岳から始まり、たおやかなトレイルを進む。
大峯全山が女人禁制だった頃、山を越える花嫁が、幅三尺のみ通るのを許されていたという嫁越。そして涅槃岳、証誠無漏岳、阿須迦利岳など、難解な山名のピークを越え、持経ノ宿へ。
ちょうど山彦ぐるーぷの方がおられたので挨拶をし、志をして水を分けていただいた。ミカンありがとうございました。
今日は平治ノ宿で泊まろうかと思うが、足が動くので進む。
が、とうとう雨が降ってきた。ここで行動は行仙宿までに決定。雨足が強くなるなか、本日のラスボス行仙岳をやっつけ、小屋へ。
しかし中を覗くと満員御礼。薄々予想していたが、これで幕営も決定。近くの杉林にツェルトを張る。昨日ほどの疲れは無かったが、夕食をかき込んでとっとと寝る。
夜中、顔への水滴と風音で目が覚める。雨風は強くなり、ツェルト内はビショビショになっていた。
見なかったことにしようかと呑気に構えていた(笑)が、これ以上、身体も持ち物も濡らすわけにはいかない。雨具を着込み、外に出てエマージェンシーシートをツェルトの上から掛け、もう一度ロープなど張りを確認した。あとは時々起きて浸水をチェックし、図太く寝るしかない。気のせい気のせい…
三日目。4時起床。雨は時折強く降るが行ける。行かねばならぬ。
先に雨具を着込み、カロリーメイトと羊羹、生姜湯の簡単な朝食。てきぱき撤収して、雨とガスの中を出発。
笠捨山へ、いきなり延々と登り。朝練と思って登る。登頂し家族へLINE。ここまで来たよ。
しかしその先が南奥駈道のクライマックスだった。
地蔵岳前後の鎖場は、道中、一番厳しいんじゃないだろうか。岩場の急登下降を繰り返しなかなか進まない。香精山まで来てホッとした。
しかしまだ先は長い。途中、雨は上がり雨具を脱ぐ。暖かくなってきて元気が出る。
玉置山のピークを踏み、厳かな雰囲気の玉置神社へ。何か食堂か自動販売機でもと期待したが、無かった(涙)(駐車場まで行けばあったようです。)
暗くなる前に本宮に着きたい。少し飛ばす。
しかし、大森山でも延々と登らされる。五大尊山付近の急登と急下降の繰り返しでも体力は削られていった。まだあるんですか…!状態がかなり悪い所もあり、頑張っている割になかなか距離は稼げず、めげそうになる。まさに修行。
これでもかというくらいのアップダウンの果てに熊野川と大斎原が見え感動。もう前進あるのみだ。
最期の荒れた下りの終え、熊野川のほとりに立った。川の様子がよく分からず徒渉は出来なかったけど、まぁどうでもいい。満ち足りた気分で車道を歩き、夜の帳が下り始めた本宮の街へ入った。そして遂に、熊野本宮大社にゴール。濃密な三日間が終わった。
その夜は、本社前のバスターミナルで野宿。翌朝、新時代の幕開けに本宮大社と大斎原にお詣りして、観光客や熊野古道を歩く人たちで賑わう本宮を後にした。
色々苦しいこともあったが、前を向いて一歩ずつ進めば道は開ける。
平成の終わりに、濃く思い出に残る山行ができた。
今日も良き日!
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