夏の北アルプス中央部、雲の平と裏銀座の山々
- GPS
- 97:00
- 距離
- 42.2km
- 登り
- 3,375m
- 下り
- 3,567m
コースタイム
8/13 6:20 烏帽子小屋発-8:50野口五郎小屋(泊)
8/14 6:30野口五郎小屋発-6:40野口五郎岳-8:30東沢乗越-9:10水晶小屋-9:50-10:00水晶岳-11:30岩苔分岐-12:20-50鷲羽岳-13:20岩苔分岐-14:10祖父岳-15:30雲の平山荘(泊)
8/15 6:00雲の平山荘発-8:20黒部川源流部-9:10三俣山荘-10:40-11:30三俣蓮華岳-13:20双六小屋-15:50鏡平小屋(泊)
8/16 5:20鏡平小屋発-6:40秩父沢出合-7:30林道出合-9:10新穂高温泉着
天候 | 8/12 曇り、小雨 8/13 雨 8/14 曇りのち時々晴れ 8/15 晴れ時々曇り 8/16 晴れ |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
(帰り)新穂高温泉-(バス)-高山-(JR)-名古屋ー(JR)-新居浜 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道は全部良好 |
写真
感想
【山行No 177】
※ お盆休みを利用して、遠くてなかなか行けない、長年の憧れの雲の平を第一目標とし、
合わせてその周辺の山々に遠征することにした。
8月11日(火)
・今日はお盆休みの初日。移動日に充てる。
この数日、風邪気味で体調がイマイチなので、朝寝をして、
昼過ぎに四国(新居浜)を出発し、夜7時過ぎに松本着。
松本は雨の夜だった。予約した駅前の宿に泊まる。
8月12日(水)
6:39 松本発
・大糸線の電車に乗り、大町へと出発。
ホテルから朝ごはんの代わりに弁当をもらったので車中で食べる。
北アルプスも雲に隠れており、展望もない中、ゴトゴト走る電車は、やけにのんびりしている。
7:44-50 大町
・時間が惜しいので、ちょっと贅沢だが、タクシーで行く。
前年までは、タクシーでも七倉までしか行けなかったが、
この年より、タクシーだと高瀬ダムまで行ける、とのこと。ちょっとラッキー。
8:30-40 高瀬ダム堰堤(標高=1250m)
・タクシーを降り、さっそく登り始める。
高瀬ダムは巨大なロックフィルダムで、なかなかに豪快。それに比べると、目指す稜線が、以外と貧弱に見える。
8:50-9:10 取りつき手前
・なんだかお腹の調子が悪いので、ちょうどあったトイレを使用し、スッキリした。
体調も天候も、なんだかぐずついているなぁ..
9:20 水場(標高=1300m、気温=18℃)
・この登り唯一の水場になる。水を補給する。
・ここからさっそくブナ立て尾根の急登が始まった。
うわさに聞く北アルプス三大急登の一つだし、
食糧やシュラフ込で15kgの荷物なので、ペースはゆっくり目で行く。
10:20 ゴダンオトシ(標高=1600m)
・朝からどんよりした雲ゆきだったが、とうとう小雨がぱらついてきて、嫌な感じだ。
11:30-50 白ザレ(標高=1950m)
・雨が本降りになる前に、昼食にしようと思い、ザックを開けて食糧を見ると、
なんと!!
重たい目をして担ぎ上げてきたパンのうち、2パックまでもがカビが生えているではないか...
ちょっとショッキングだ。頭に来たが、その場に捨てるわけにもいかず、そのまま持って上がる。
12:20 三角点(標高=2200m、気温=16℃)
・この付近より周辺はモミ林となり、林床にはゴゼンタチバナやオオレイジンソウなど、花がパラパラでてきた。
その後、雨もパラパラ降ってくるが、カッパを着るのも暑苦しいので、横着して、傘を差して登る。
13:40 烏帽子小屋着
・雨が本降りになる前に小屋に到着できて、ほっとした。
小屋にはすでに40人ほどいる。
・烏帽子岳までは往復で1時間程度とのことだが、雨がパラパラ降っているので
なんとなく行く元気が湧かず、午後は小屋でゴロゴロして過ごした。
(後から考えると、ちょっともったいなかった...)
・夕食は天ぷらなどが出た。
夜になって雨は本降りとなり、山小屋の屋根をたたく雨音が響いていた。
体調がイマイチのせいか、頭も重苦しくて寝苦しい夜だった。
8月13日(木)
・夜中じゅう、風と雨の音が小屋を包んでいた。
5時に起きて朝食を取り、どうしようか、と考える。
天気予報では、今日だけでなく明日まで天気が悪いとの予報なので、あきらめて下山する人も多いが、
雲の平を目指すには、今日も少しでも先に進んでおきたいので、出発とした。
6:20 烏帽子小屋発
・雨具を着こんで出発する。 ..が、雨、風、霧の三拍子そろった中を進むので、意気は上がらない。
ポケットラジオで音楽を聴きながら、ひたすら忍耐の行軍。
7:20-30 三つ岳山頂
・この山頂を越えたあたりから、風はひときわ強くなってきた。
風速は15〜20m/sはあるのではないだろうか?
体が風にふらふらと揺れるような中を、ひたすら前に進む。ピッケルがほしいくらいだ!
・この付近の登山道は花は結構多い。
キバナシャクナゲ、コマクサ、チングルマ、コイワカガミ、ハクサンイチゲなど。
天気さえよければ良い道だろうに、と思いながら進む。
8:50 野口五郎小屋 着
・ちょっと休憩のつもりで中に入る。
中に入ると、TVの音が聞こえ、温かくて、外とは天国と地獄のような差だ。
本来、今日はなんとか水晶小屋まで行けないか?と思っていたが、
小屋の中の心地よさに参ってしまい、再度外に出る気は失せてしまった。
たった2時間半しか行動していないが、今日はここに泊まることに決定。
(ほかに同様に烏帽子小屋を出た人たちも、多くがここに泊まるようだった)
その後も、難民の群れが流れ着くように、続々と小屋には人が入ってきた。
・いざ、泊まることに決定すると、あとは気楽な時間があるばかり。
午前中はTVで高校野球を見たりして過ごし、ラーメンの昼食を取った後は、
昼寝などして、至極のんびりと過ごした。
・経営が烏帽子小屋と同じなのか? 夕食のメニューは昨日と同じ天ぷらだった。
ただし、ごはんの炊き具合はイマイチ。
・今日は結局60人の宿泊。布団4つに7人の詰め込み具合となった。
8月14日(金)
・5時に起きて外を見ると、雨は上がっているが、雲は低く垂れこめドンヨリしている。
6:30 野口五郎小屋 発
・今日もぱっとしない天気かな? と思いながら出発する。
とすると、思いもよらず、周りの雲は風に吹き飛ばされてキレかかっており、待望の青空が見え始めた。
まぶしい太陽は、まるで懐かしいものでも見るようだ。
6:40-50 野口五郎岳(標高=2924m、気温=10℃)
・小屋からすぐのところが野口五郎岳の山頂だった。
強い風に洗われるように雲は消えてゆき、青空がグングン広がってきた。
槍ヶ岳も、雲間にちらっと見えて、いい感じ。
・この後は緩やかな稜線歩きとなる。眼下の五郎池は、なにかを中に秘めているような神秘的な印象だった。
7:30-40 真砂岳(の西のコル)
・この付近一帯はお花畑となっており、ミヤキンポウゲ、ハクサンイチゲ、コイワカガミなどの群落となっている。
8:30 東沢乗越
・上空、アマツバメが飛翔している。風を切る音を残して...
少し下の樹林帯から、メボソやルリビタキのさえずりも聞こえ、いかにも夏山らしく、良い感じだ。
9:10-20 水晶小屋(分岐)
・水晶小屋は小さいとは聞いていたが、予想以上に小さい小屋。
「昨日ここまでこなくて、むしろ良かったかもしれない」、とも思う。
昨日の強風でトイレが壊れたとのことで、小屋のおじさんが修理していた。
・再び夏雲がわいてきて稜線は霧が湧いてきたが、ここに荷物を置いて空身で水晶岳へと向かう。
・この付近の稜線もパラパラとお花畑があって気持ちがいい。イワオオギ、ヨツバシオガマ、ミヤマシオガマなど。
9:50-10:00 水晶岳山頂(標高=2986m)
・北アルプス最奥の百名山にようやく登頂できた。60個目になる。
霧が覆っていて展望は少なかったが、遠くには黒部湖も見えた。
10:30-11:00 水晶小屋
11:30-40 岩苔乗越
・ここは雲の平への道と、鷲羽岳への道の分岐となっている。
鷲羽岳を目指すため、ここで再びザックをデポして、サブザックで鷲羽へ向かう。
・途中、ワリモ岳を越えて進むが、以外と急な登りが続く。
12:20-50 鷲羽岳山頂(標高=2924m)
・61個目の百名山に到着。
人気(ひとけ)のない静かな山頂だ。岩の上にごろりと寝転ぶ。
そよ風とせせらぎの音だけがあり、ほかには何にもない贅沢な山の静寂を味あう。
13:20-30 岩苔分岐
・デポしたザックを背負い、今日の最終目的地、雲の平へと向かう。
しかし、そろそろバテてきた感じで、足も重くなってきた。
14:10-20 祖父岳
・岩と乱立したケルンがゴロゴロした、面白い風景の山頂だった。
ちょうどここから眼下に、雲の平の全景が望める。
・少し下ると大きな雪田があり、水が流れ出ていた。飲んでみると冷たくて美味しい!
・小屋の手前にはテント場があったが、管理されていないのか、ゴミ屑がやたら多く、
なんだか、ごみ箱の中にテント場があるような感じ。
15:30 雲の平山荘 着
・ようやく小屋に到着。かまぼこ型の結構大きい小屋で、2F建て。
2Fが体育館のような大部屋となっており、そこにびっしりと布団が敷いてある。
・小屋で一休みしたのち、雲の平を散策してみた。
予想していたのは、一面のお花畑が広がる高原だったが、思いのほか花は少なく、
全体にハイマツがびっしり覆っている感じの高原だった。
花は、ところどころにハクサンイチゲ、イワイチョウがある程度で、以外と淋しい。
・今日の宿泊者は60人程度でそれほど多くはなかった。布団も一人一枚ある。
持ってきたシュラフは、なくてもよかったな..
8月15日(土)
・朝起きると、今日は朝からよく晴れている。夏山らしさが戻ってきた。
朝食は、小屋の外にでて、山々に囲まれながらのモーニングティ。
四周の山々が洗い立てのような顔を見せてくれている。
6:00 雲の平山荘 発(気温=10℃)
・生き返ったような、すがすがしい朝の道だ。
夏草に光る朝露のまぶしさ..
夏鳥の声も、メボソムシクイ、イワヒバリ、ルリビタキのコーラスが涼やかだ。
7:00 祖父岳手前分岐
・ここより、右手の黒部源流方面に向かう。
黒部源流へは下りの道となるが、フウロソウ、クルマユリなどのお花畑になっており、ひときわ明るい印象の場所。
8:20-30 黒部源流(渡渉点)
・狭い沢とはいえ、冷たい水が流れているところを渡渉する。ちょっとスリリングな感じ。
・ここから再び主稜線へと登りかえすが、この付近もお花畑でいい感じの道だ。
クルマユリ、フウロソウ、セリ類、ミヤマキンポウゲ、ミヤマキンバイ、
オタカラコウ、スミレ類、オンタデ、チングルマ、ハクサンイチゲなど
多くの花に出迎えてもらった。
9:10-40 三俣山荘
・黒部源流地帯を歩いている際は、周りは朝霧に覆われていたが、
主稜線にたどり着くと、再び青空と視界が戻ってきた。
昨日登った鷲羽岳など山々の姿も良く見える。暑い太陽の日差しと、涼しい稜線の風も出迎えてくれているようだ。
・ここから三俣蓮華岳へと登る。
登りの道も高山植物が多く、アオノツガザクラ、コイワカガミ、ミヤマキンポウゲ、
シナノキンバイ、ハクサンイチゲなどのお花畑が広がっている。
10:40-11:30 三俣蓮華岳山頂(標高=2841m)
・見晴の良い山頂にどっかりと座り、昼食をとる。そのあとは岩のうえに寝転んで軽く昼寝を楽しむ。
空を眺めると、雲が、見えない大きな川の流れに流されていくように、
南西から北東へと、滔々(とうとう)と流れてゆくのが見える。
下界の憂鬱な気分も、風に乗って流れ去ってゆくような、雄大な景色だ。
鳥が飛んで、空を切り取る。一瞬のきらめき。
・たっぷりと夏山の醍醐味を味わい、そのあとは途中まで稜線伝いで行き、
途中からトラバース道へと下った。
クロユリ、シャクナゲなどあり、雷鳥を見ることもできた。
13:20-40 双六山荘(気温=20℃)
・風が吹き渡るコル、1個300円のリンゴを買う。
疲れた体にしみわたるようで美味しい。
・ここから最後のコース、鏡平への下りへと道をとる。
さすがに疲れが出てきて足が重い。
夏雲も湧き出して、見えるはずの槍、穂高の稜線も雲に隠れている。
15:00 弓折分岐
・ここからの下りは急坂で大変かと思っていたが、案外と楽に下れた。
15:50 鏡平山荘 着
・ようやく今日の宿に到着。
チェックインした後、小屋の前のベンチでお茶を飲みながらのんびりしていると、
三俣蓮華で出会った女性二人組が到着。少し話を交わす。
その後も、続々と人が到着するが、雲の平で泊まっていた人が多いようだった。
・夕食はコロッケと天ぷらのおかず。ごはんも美味しく、3杯もお代わりした。
・夕食後、再び小屋の前に出てみると、雲が切れかかり、ちょうど槍の穂先が雲間から顔を出した。
本場アルプスの風景のような、思いがけない高さの槍の姿だった。
・夜になるとこんどは、槍穂高の稜線からでっかい満月が出てきて、それもまた幻想的でいい風景だった。
・標高が少し下がったせいか、昨日よりも小屋の中は暑くて少し寝苦しいほどだった。
8月16日(日)
・今日はとうとう下山日。4時過ぎに起床する。
5:20 鏡平発(気温=6℃)
・星が次第に消え、槍・穂高の稜線が赤々と染まったころに出発。
5:50-6:10 大ノマ分岐
・穂高が、明るい東の空をバックに、黒々とした姿を見せている。
残念ながら写真のフィルムが終わってしまったので、手帳にスケッチをする。
・ここからの下り、静かな朝の雰囲気の中、メボソ、コマドリのさえずりが響いていた。
6:40-50 秩父沢出合
・きれいな水が流れている。少し飲んでみるがなかなかおいしい。
・この付近では花もちらほらあり、
セリ類(ツリガネニンジン?)、ガクアジサイ、アキノキリンソウ、ミヤマカラマツ、カライトソウなどの姿を見かけた。
7:30-40 林道出合
・ここからは平坦な林道歩きとなった。
普段だと退屈な林道歩きだが、この道はブナの巨木が多く、
夢の中に出てきそうな美しい森を歩いてゆく。
9:10-10:00 新穂高温泉 着
・5日間の長い山旅が終わった。
前半は雨にたたられたが、後半は夏山を満喫でき、充実感に満ちた山行だった。
バスターミナル前の無料温泉に入り、長旅の汗を流す。気持ち良い...
・高山へのバスに乗る。午前中のバスなので、空席も多い。車中でのビールも美味しいこと。
11:40-12:40 高山
・予約した電車の時間まで少し余裕があるので、少し市内見物をした。
・あとは、またまたビールを片手に、持参した山の本を読みながら名古屋へと向かう。
・名古屋から新幹線で、岡山に向かい、四国(新居浜)についたのは、夜の7時過ぎ。
充実した夏山が、終わった。
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